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2004/02/29

ケリーVSエドワーズ、鍵を握るディーンサポーター

米CNN2004/02/28付け記事より。

民主党の大統領候補推薦をめぐり、ケリーを追撃するエドワーズ候補は、12の予備選挙州で勢力を温存するディーンサポーターとのミーティングを実施し、民主党系としては最大の草の根組織の支持を取り付ける構えのようだ。

エドワーズはハワード・ディーン本人とも頻繁に会談し、協力関係を築こうとしている。「ディーン氏はまだ決断していないようだ」。しかしエドワーズの選挙スタッフはディーン氏の支持を期待していないと語っている。

一方のケリーもディーン氏と頻繁に会談しているという。ケリー曰く、「ディーン氏は素晴らしい働きをしているし、ジョージ・ブッシュを倒すことの切迫性や、民主党が一致団結する必要性を説いた際に抜群のリーダーシップを発揮している」。

さて、ハワード・ディーン陣営は、どう動くのか?ディーンのインターネット草の根活動を指揮した元キャンペーンマネージャーのジョー・トリッピは、ディーンのウェブサイトとは別に、草の根活動サイト「Change for America」を立ち上げた。「ディーン陣営、分裂か?!」とさっそくボストングローブ紙が叩いたがLAタイムズ紙の記事によると、どうやらディーンとトリッピは完全に分裂したわけではなさそうである。

もっとも、ディーンはトリッピの散財のおかげで、予想どおり借金を抱えてしまい公式サイトでも借金返済のための寄付を募っている有様なので、ネガティブな憶測は今後も頻出するだろう。トリッピも責任を感じて、自身のサイトで借金返済寄付を募っているが、Balance budget(健全な財政)をスローガンのひとつにしているだけに、格好の良いものではない

ディーン氏は知事時代にも同じようなヘマをやらかしている。ディーン自身が自慢するように、バーモント州は医療保障面でずば抜けた良い環境だが、高額な保険料が企業と州の財政を圧迫しているのも事実だ。おまけに州最大の病院は経営者のずさんな管理がきっかけで経営危機に陥り、州民の税金で賄う融資も焦げ付き寸前だったようだ。(彼が知事時代の執務記録を封印している理由はここにある

怒りっぽさと頑固さと、数々の失言(決して間違った内容ではないがストレートすぎる)により、メディアの格好の餌食になったドクター・ディーンだが、専門ライターの下書きを使わない即興スピーチのウマさとその強いメッセージ性、政治家らしからぬ率直な人柄とトレードマークの安物スーツ(87年にJCペニーで購入した125ドルのスーツを着まわしている)により、選挙戦を離脱しても支持者の人気は揺らいでいない。それどころか、ディーン氏と仲間たちの興した草の根民主主義ムーブメントは、Deaniacsという新語を生んだだけでなく、今後も確実に米国の政治システムに影響を与えていくだろう。

大学生や若年層を多く抱えるDeaniacsは、若くエネルギーに富み、情報能力に長けていて将来性がある。例えば、ディーン支持者の一人、ユージーン・ヘッドランドの立ち上げたディーン支持組織「Truthandhope.org」は、10の州で45,000ドルのラジオ広告を配信し、次の予備選でもディーン候補へ投票するよう呼びかけている。リベラル系メディアにおいてもディーンの影響は大きい。(関連コラムはここにもここにも

メインストリームからドロップアウトした大統領候補は、この先何を可能にするだろうか?それは誰にもわからない。

ひょっとしたら、現在の米国大統領選挙システム(実質はホワイトハウスのオークションである)は、アメリカが掲げる民主主義から大きくズレているという事実に、米国市民は目覚めつつあるのかもしれない。

2004/02/28

牛肉業者の自主的な全頭検査を停滞させる米農務省

ニューヨークタイムズ2004/02/27付け記事より(リンク先は会員登録要)。

米カンサス州カンサスシティで高級黒毛アンガス牛肉を扱うクリークストーン・ファームズ社は、日本への輸出を再開するために、自主的な牛肉全頭検査の許可を当局に申請したところ、米農務省と食肉業界団体から反発を受けて、検査の開始が遅れているとのこと。(日経新聞の関連記事

クリークストーン・ファームズの社長、ジョン・スチュアート氏によると、同農場で生産されている牛肉の1/4はアジア市場に輸出していて、輸出停止により毎日8万ドルの損害を招いているという。「日本と同じ検査システムを実施すれば、日本政府は輸入再開するだろう」と彼は期待しているが、こんな愚痴もこぼしている。

「今私たちが抱えている問題は、米国農務省が全頭検査をさせたくないと考えていることです。彼等は検査をしたくないし、BSE問題を認めたくないのです。いつ、どうやって検査するかを農務省が決定するまで、自主的検査を許可しないのです。ひょっとしたら彼等は検査を実施するつもりが全くないのかもしれません

カリフォルニア州ハーキユリーズ市のバイオラド社は、日本でも使用されている異常プリオン検査キット導入についてクリークストーン・ファームズと検討中であるという。バイオラド社の広報担当者、スーザン・ベルグは語る。

「クリークストーン・ファームズとは検査技術の提供について話し合っています。しかし法に反することはできません。違法な販売を行うつもりもありません」

彼女の説明によると、同社は今年始めに米農務省の動植物衛生検査部に対して異常プリオン検査キットのライセンス販売に関するデータを提出済みで、認可を待っているとのことである。

さて、毎度同じことばかり主張して申し訳ないが、日本政府は、米食肉業者の自主的な全頭検査を「人道支援」するために自衛隊をアメリカに派遣すべきである。いくら治安が悪い国とはいっても、カンサス州は「非戦闘地域」と認定しなければ失礼だし、「非戦闘地域」に武器を持ち込んでも小泉政権の下では違法性はないので、マシンガンと丼を持った自衛隊員が米国の市街地で活動することは何ら問題はないはずなのだ。

吉野家、松屋他企業はただちに牛丼復興連合を組織して自民党にロビー活動をしてほしい。

2004/02/27

グリーンスパン、社会保障予算の削減を提言

USAトゥデイ2004/02/26の記事より。

グリーンスパン米連邦準備制度理事会(FRB)議長が、またしてもズレた提言をしている。曰く、「社会保障予算、医療保障予算を削減しなければ米国は深刻な財政危機に陥る」とのこと。すでに米国は歴史上最大の財政危機状態なので、責任の一端を自覚する能力があるならば、この人物は(ハワード・ディーンの指摘どおり)すぐに引退すべきなのだが、ブッシュ政権の太鼓持ちという役割を維持するために、世論のミスリードを始めたようだ。

グリーンスパン氏が言及しない分野で、米国の財政を回復させる方法はいくらでもある。まずはハリバートン他フォーチュン500に名を連ねる企業のタックスヘイブン(ケイマン諸島、バミューダ諸島)登記による税金逃れを違法として、これら米国発多国籍企業から、きちんと支払われるべき法人税、事業税を徴収する。ブッシュ減税を全面廃止して、資産家に対する課税をきちんと行う。イラク復興事業を仲介企業を通さずに直接地元イラク企業に発注して、KBR、べクテルへの注文を取り消す。もちろん駐留軍は大幅縮小するか、撤退する。

盗聴のための世界一高価な機材を有するにもかかわらず、電子メールで英国に盗聴依頼するというマヌケな諜報機関、NSA(国家安全保障局)の予算を大幅縮小する。(必要機材は秋葉原で調達させれば充分賄える)

誤認逮捕を意図的に増加させるような馬鹿げたテロ対策事業を縮小する。(9/11テロ調査への妨害行為を見れば、ホワイトハウスが(テロリスト養成には熱心なのに)テロリスト追跡に関心がないのは明らかだ。むしろ、米国内テロ対策には日本の交番・駐在所システムを導入したほうが、はるかにマシではないかと思う。地元の雇用増加にも貢献できるし、日本の警官は米国市民よりも銃の扱いに慎重だ

大統領選挙の票カウントのコストが問題なら、よりコスト高で危険の大きい電子投票システムを止めて、インドと中国にアウトソーシングすればいい。きちんと手作業でカウントしてくれるし、アメリカ最高裁が大統領を選ぶよりもはるかに公正だどのみち国民の半分は選挙に参加していないのだから、外国が米国大統領を決定しても問題なかろう。

ちょっと考えただけでもこれだけの財政回復案があるのに、なぜグリーンスパンは社会保障削減を真っ先に口にするのだろう?戦争へ税金を注ぎ込むかわりに牛肉のBSE検査コストをシブって一般人の死ぬ機会を増加させ、大統領の身内が決めた投票システムで選挙権まで奪われて、その上社会保障まで削減されたら、この先、アメリカ市民にとって国家というものにどれほどの価値があるというのだ?

2004/02/26

キャサリン・ガン、無罪確定で自由の身に

英ガーディアン2004/02/25の記事より。他にも英BBCが大々的に報じている。(BBCとガーディアンはブレア政権に本気でケンカを売っている。これぞイギリス人気質(Who dares win)といえよう)

米英情報部による国連審議盗聴事件で、英政府に訴えられていた元GCHQ職員のキャサリン・ガンの無罪が確定し、晴れて自由の身になった。英政府側がキャサリンに対して有罪の論拠を主張しなかったのである。事実上、訴えは取り下げられたわけだ。

なぜ私を訴えておいて、4ヶ月で告訴取り下げになったのか、理由を知りたいわ

無罪が確定した背景は、英国情報部が裁判の継続により事件そのものに世界の注目が集まることを避けたためと見られている。

キャサリン・ガンは刑務所行きを免れたが、裁判が終了し、事件が隠蔽されることで、彼女の身辺はこれまで以上に危険になるかもしれない。それでも強気の発言を忘れないとは、なんとタフな女性

2004/02/25

ジョン・ケリー快進撃の秘密(3)ブッシュ、ハインツ、ケリーの奇妙な絆

WingTVの示唆的なコラムより。

ジョン・ケリーの選挙用PRでは、ジョン・ケリーとテレサ・ハインツは1990年代の環境保護活動を通じて知り合いになったとされている。環境保護!?地球サミット!?この民主党支持者向けのロマンチックな宣伝文句がお好きな方は、この先の文章を読んではいけない
(ハインツ家は環境運動にご熱心のようだが、テレサ・ハインツが委員を務める「環境防衛基金the Heinz Environmental Defense Fund」は奇妙な団体だ。ブッシュ家の親友でエンロンCEOのケン・レイも、かつてこの基金の委員であり、偶然にもエンロンのメインバンク、シティグループはジョン・ケリー支援企業でもある。世界中の天然資源を米政権の外交政策を使って買いまくり、高額に転売することで急成長したエンロンのビジネスモデルは、ハインツの目には「環境保護活動」に映ったのだろうか?)

さて、ケリー公式サイトに掲載されなかった記録によると、テレサの前夫でハインツ財閥の直系相続者、故ジョン・ハインツ三世(共和党・ペンシルバニア州議員)とジョン・ケリーは少なくとも2つの活動を通じて顔見知りである可能性が高い。

ジョン・ケリーとジョン・ハインツ三世の二人は、共にイエール大学出身のスカル&ボーンズ会員で、共に80年代のイラン・コントラ事件の調査に関わっている。そして偶然にも、イラン・コントラ事件の疑惑の渦中にいたのがジョージ・H・W・ブッシュ(ブッシュ父)で、ブッシュ家は三代にわたるイエール大学+スカル&ボーンズの家系である。

ジョン・ハインツ三世は妻のことをケリーに内緒にしていたのだろうか?だとすれば、彼は共和党内の長年の知人であるブッシュ父のことも内緒にしていたに違いない。ブッシュ父とジョン・ハインツ三世の関係が最初にスポットを浴びたのは、80年代の「オクトーバーサプライズ疑惑」の時だ。


オクトーバーサプライズ疑惑とは何か?

1979年11月4日、在イラン(テヘラン)の米国大使館が武装したイラン人学生に占拠され、米国人大使館スタッフ70人が人質となった。1980年4月、米デルタ・フォースによる人質救出作戦は失敗し、2期続投を目指すカーター政権への打撃となる。結局カーターはその年の大統領選挙で新人の共和党大統領候補ロナルド・レーガンに破れた。1981年1月20日(レーガン大統領就任直後)、アルジェリア政府の仲介により、米大使館の人質は444日ぶりに開放された。

この在イラン米大使館人質事件当時に、CIA長官退任後、ロナルド・レーガン政権の副大統領へ転身を企むジョージ・H・W・ブッシュ(父ブッシュ)とレーガンの選挙チーム責任者ウイリアム・ケイシー(後のCIA長官)は、1980年10月18/19日にパリで密かにイラン政府関係者と会談し、ホメイニ氏他イラン政府関係者に賄賂と武器供給を約束し、人質解放時期をレーガン大統領就任時まで延長するように交渉したという疑惑がある。この交渉の目的は、カーター大統領の在任中(1977〜1981)に人質事件を解決させないことで彼の人気を落とし、レーガン大統領就任時に人質解放を実現することで「強いレーガン大統領」を演出することであった。

その極秘交渉のためにパリに赴くブッシュ父が搭乗する特別機に同乗したメンバーに、ジョン・ハインツ三世が含まれており、後のイラン・コントラ事件調査の重要人物、ジョン・タワー(共和党・テキサス州議員)も同乗していたといわれている。

そしてレーガン政権最大の未解決スキャンダル、イラン・コントラ事件において、ジョン・ケリー、ハインツ、タワー議員は重要な役割を果たしている。以下の年表で何が起きたか想像してみてほしい。

1986年4月ジョン・ケリー「テロリズム,麻薬,国際作戦に関する上院小委員会」(ケリー委員会)を主催。後にイラン・コントラ事件、BCCIスキャンダルの調査に発展する。
1986年11月ジョン・ハインツ三世、レーガン大統領の命により,三人の議員からなる大統領審議委員会を主催。イラン・コントラ事件を正式に米国政府内スキャンダルと認定する。
1986年12月ジョン・タワー議員、イラン・コントラ事件を含めたCIAの違法活動の調査のため、大統領特別検討委員会(President's Special Review Board.通称タワー委員会)の委員長に指名される。
1987年1月29日イラン・コントラ事件の重要証人、元CIA長官ウイリアム・ケイシーが証言直前に脳腫瘍で病死
1989年1月20日ジョージ・H・W・ブッシュ、第41代大統領に就任。
1991年4月4日ジョン・ハインツ三世が小型飛行機の事故で死亡
1991年4月5日ジョン・タワー議員、小型飛行機の事故で死亡。ジョン・タワーはタワー委員会主催時に入手した極秘資料を元に、イラン・コントラ事件とオクトーバーサプライズ疑惑の暴露本を執筆中といわれていた。

イラン・コントラ事件をめぐるこれら調査委員会(JFK暗殺で有名なウォーレン委員会メンバーの一部も参加している)は、実行犯達を白日に晒しつつも、レーガン政権内部の黒幕まで到達することなく、むしろ事件の詳細については隠蔽する役割を果たしている。

特にタワー議員の調査報告(タワーレポート)では、疑惑の中心人物、ブッシュ父を賞賛する表現が加えられており、事件調査は明らかに歪曲されていた。(その後タワー議員はブッシュ父の口利きで国防長官のポストを約束されるが、実際にブッシュ父の政権で国防長官に任命されたのはディック・チェイニーだった)

そして2004年。イラン・コントラ事件で疑惑の追及を見事に逃れた人物---ジョージ・H・W・ブッシュ---の息子、ジョージ・W・ブッシュのライバルが、自らイラン・コントラ事件を調査し、共和党を壊滅に追い込むことなく手を引いたジョン・ケリーであり、レーガン政権成立の秘密とイラン・コントラ事件の秘密を握ったまま死んだ人物の未亡人と結婚している。

しかも、これら三人の政治家が揃って同じ秘密結社の会員であるとは、なんとも奇妙な絆ではないか。

2004/02/24

全米商工会議所、反エドワーズに動く

THE HILL紙2004/02/18付け記事より。全米商工会議所CEO、トーマス・ドナヒューが、以下のような爆弾発言をしているようだ。

もしジョン・エドワーズ氏が民主党の大統領候補に推薦されるなら、全米商工会議所はブッシュ大統領の再選を支持する
全米商工会議所が大統領選挙で支持活動を表明するのは今回が初めてとのことだが、この企業支援団体は大統領、副大統領のどちらにもエドワーズが推薦されることを全力で阻止しようとしている。

全米商工会議所がエドワーズ候補を嫌う理由は、エドワーズ自身が弁護士として「大企業叩き」の急先鋒であり、彼の支持母体である弁護士団体の「大企業を訴えろ!」戦略が気に入らないからだ。

ジョン・エドワーズは、法学生時代に知り合った妻のエリザベス・アナニア(弁護士)と共に、ノース・カロライナ州で、主に医療事故を扱う弁護士として辣腕をふるってきた。
(アメリカの医療事故の増加は深刻である。1999年の調査によると、毎年約9万8千人のアメリカ人が病院内の医療ミスで死亡しているという

エドワーズの名を世の法曹界に知らしめた裁判、5歳の女児、ヴァレリー・レイキー事件の賠償金2,500万ドルの他にも、90年代に彼の担当した医療事故関係の裁判は63件以上、依頼人に渡った賠償金は1億5千200万ドル以上といわれている。

エドワーズの専門は医療事故だが、彼の支持母体の弁護士事務所や団体には「タバコ産業裁判」や「アスベスト被害裁判」などで名を馳せる弁護士達が強力にバックアップしている。(ジュリア・ロバーツが映画で演じたエリン・ブロコビッチ所属の弁護士事務所、ジラルディ&キースもエドワーズを支援している

さて、ハワード・ディーンの活動停止宣言の影響で、ディーンサポーターの行方が注目されるが、その一部はエドワーズ支持に移行し始めている

また、緑の党を率いていたラルフ・ネーダー氏が、無党派として大統領選出馬を宣言したことで、再び民主党の候補者選びは混乱の様相を呈している。緑の党内部でも、ネーダー支持層とクシニッチ支持層で分裂があるようだ

ブッシュ陣営からのスキャンダル暴露攻撃に怯えるジョン・ケリー陣営(民主党保守派)は、こうした民主党支持者達の分裂を抑える政策的魅力に欠けている。かくして、民主党支持者の苦悩は続くのである。

2004/02/23

ブレアがブッシュのプードルならば

ロスアンゼルスタイムズ2004/02/18の記事(commondreamsの転載ページ)より。

もしブレアがブッシュのプードルというなら、小泉首相はブッシュのコッカー・スパニエルだ

このような比喩は犬たちに失礼である。

2004/02/20

ジョン・ケリー快進撃の秘密(2)Money talks.(金がモノをいう)

ジョン・フォーブス・ケリーの母ローズマリーの父親(ジョンの祖父)は、マサチューセッツ州でもっとも古いWASP(プロテスタント系白人アングロサクソン)家系で東部有数の名門財閥、フォーブス家のジェームス・グラント・フォーブス氏であり、したがってジョン・ケリーはフォーブス家資産継承者のひとりである。ジョンの父親、リチャード・ケリーはユダヤ教から後にカソリックに改宗した人物で、第二次大戦ではアメリカ陸軍航空隊のパイロットであったが、戦後はフォーブス家の事業、ヨーロッパとの貿易ビジネスに加わっている。

ジョン・ケリーの妻、テレサ・ハインツ・ケリーは、ケチャップで有名な食品財閥ハインツ家の子孫ジョン・ハインツ議員(共和党、1991年に飛行機事故で死亡)の未亡人であり、ハインツ家の遺産相続人である。ハインツ未亡人が相続した資産額は5億ドル程度と噂されている。ハインツ家の伝統にならい、テレサも熱心な共和党員だったが、夫の立候補に合わせて2003年1月に民主党支持に切り替えている

以下の大統領候補達の申告資産ランキングをみれば、ジョン・ケリーがいかに恵まれているかが理解できるだろう。

大統領候補の資産ランキング(自己申告分)
source:The Buying of President2004
候補者名所有資産額
(最大額概算)
ジョン・ケリー 885億1,683万円
ジョン・エドワード38億5,067万円
ジョージ・W・ブッシュ 23億1,420万円
ハワード・ディーン 5億3,392万円
デニス・クシニッチ337万円
ジョン・ケリー夫妻の申告した933件の資産のうち、ジョン個人の所有は87件、約680万ドル分(約7億円)である。つまりジョン・ケリーの豊かな生活はもっぱら妻の資産と投資活動によって支えられている

米国の選挙法では、妻個人名義の資産を直接選挙活動に使うことはできない決まりなので、妻の豊富な資産を選挙用に持ち出すには法律の抜け道(たくさんある)を探す必要がある。ケリー自身、金持ち候補と言われることを嫌い、自費の選挙資金分は自宅を担保に借金をして捻出している。そのケリー夫妻の自宅の評価額は700万ドルといわれている。

ジョン・ケリー夫妻は共同名義の自宅のほかにも、妻のハインツ名義で4つの私邸を所有している。ジョージタウン(ワシントン)に大邸宅、ピッツパーグにハインツ家代々の屋敷、ナンタケット島とアイダホに別荘があるという。

また、ケリーが選挙に利用する自家用ジェット機(ガルフストリーム2)はハインツ家の航空ベンチャー企業の所有である。

ケリー夫妻のレジャーは誰でも真似できるものではない。冬はコロラド州アスペンの、テレサ・ハインツ個人が所有する保養地でスキーを楽しむ。夏はナンタケット島の別荘で、マーサ・スチュワートも同じタイプを所有するという、ヒンクリー製パワーボートに乗るという。(ボートの販売価格は最低でも695,000ドル。ジョンはもちろん現金で購入している)

ジェイ・レノのトゥナイト・ショーに出演した際に、ジョン・ケリーは自慢のバイク、ハーレーダビッドソンに乗って登場している。しかし、ジェイ・レノのショーに出演する以前には、ジョン・ケリーはイタリアの高級バイク、Ducati Paso 907 IE(8,600ドル相当)に乗っていたとのことである。

テレサ・ハインツ・ケリーは実業家として忙しい日々と送っているが、派手な投資活動(と強面な発言)でも知られている。以下の表はテレサ個人の投資活動の状況(一部)である。

テレサ・ハインツ・ケリー個人が運用する有価証券資産の推定評価額(概算/最大値)souce:The Buying of President 2004/print edition
国債、地方債420億円
通信系企業株48億円
金融サービス企業株20億円
医療サービス企業株6億円
製薬企業系株6億円
保険企業株8億円
メディア企業株8億円

これらの投資内容が、夫であるケリー自身の議員活動と密接に関係することはいうまでもない。前回投稿で紹介したケリーとFCC(連邦通信委員会)の関係は、テレサの4,700万ドルに及ぶ通信企業株への投資に貢献していることは否定できない

ケリーは他にも銀行取引委員会(住宅ローン監査業務)財務委員会(医療保険調査業務)に席をおいている。妻のテレサは不動産業界と医療業界に700万ドルから3,500万ドルを投資している。あらゆる業界にまんべんなく投資しているので、ケリー議員が法案を通す度に、彼の妻の資産は増えてしまうのである。まさに財閥流錬金術だ。ジョージ・W・ブッシュやチェイニー等ネオコン連中の軍産企業との露骨で下品な取引に比較しても、はるかに洗練されているではないか

ハワード・ディーンが苦悩しながらも選挙活動をストップしたのは、活動資金の枯渇が原因といわれる。大量に残された未払いの費用を個人で負担することになるので、ディーンはおそらくこの先しばらく借金に苦しむだろう。ジョン・ケリーの選挙活動には、(テレサ・ハインツが夫のスキャンダルに腹を立てないかぎり)そんな心配は無用である。

日本の平均的サラリーマンと同程度の資産しかもたないクシニッチ候補は、まともに広報活動も実施できないばかりか、テレビ討論会でも発言シーンがカットされるというヒドイ扱いである。無理もない。資本主義社会では金がモノをいうのである。

2004/02/19

ジョン・ケリー快進撃の真相(1)大手メディアとの協力関係

民主党大統領候補、ジョン・フォーブス・ケリーの快進撃は、マット・ドラッジの慌てすぎたスキャンダル記事にも今のところ影響を受けていないように見える。このあたりで、そろそろこの「次期大統領候補」の快進撃の理由を考えてみたい。

ケリー人気の理由その1:メディアはケリーを支援している

2003年6月2日、FCC(Federal Communications Commission:連邦通信委員会)は通信業界の規制を大幅緩和した。この規制緩和により、クリアチャンネル、ニューズコーポレーション、ヴァイアコム、ディズニーなどの巨大メディア連合による地方メディアの買収が一気に加速され、アメリカ国内メディアの横並び報道に拍車をかけることになる。

ジョン・ケリーはFCCの監督局、Commerce Subcommittee on Communication(通信商工小委員会)の委員であり、その規制緩和の立役者である。ジョン・ケリーの最大支援企業、ミンツ・レビン法律事務所は通信業界・メディア企業のロビー活動が主事業であり、同事務所の設立者の一人、チャールズ・D・フェリスはカーター大統領時代にFCC委員長を務めた人物。彼は在任中にケーブル通信、衛星通信、電話、ラジオの規制緩和に努めている。さらに、ジョン・ケリーの実弟であるキャメロン・ケリー氏(弁護士)はミンツ・レビン法律事務所のお抱えロビイストで、FCCの規制緩和に貢献した人物の一人である。

ミンツ・レビンだけではない。下記に記した「ジョン・ケリーのスポンサー企業」を見てみれば、メディア企業向けロビー活動を行う企業が並んでいることがおわかりになると思う。

ジョン・ケリーのスポンサー企業上位10社
The Buying of President 2004より抜粋
企業名業務内容
ミンツ・レビン・コーン・フェリス・グロフスキー、ポペオPC(ボストン)AT&T他通信、メディア企業のロビー活動(ケリーの実弟キャメロンも勤務)
フリートボストンファイナンシャル(ボストン)ニューイングランドで最大の総合銀行サービス
AOLタイムワーナー(ニューヨーク)総合メディア企業
ヘイルアンドドールLLP(ボストン)通信、バイオ企業のロビー活動
ヒル・ホリデイ・コナーズコスモプロス(ボストン)総合マーケ企業
ハーバード大学教育機関
スケイドン・アープス・スレイト・メガー・フロムLLP(ニューヨーク)米最大の法律事務所、ニューズコーポレーション、AOLタイムワーナー他のロビー企業
バーナー・リップフェルト・バーンハード・マクファーソン&ハンド・パイパールドニック通信、ハイテク企業のロビー活動
シティグループ総合金融サービス
ゴールドマンサックス総合金融サービス

表の他にも、AOLタイムワーナーが134,960ドル、ディズニー(ABC)ヴァイアコム(CBS)ニューズコーポレーション(FOX)が300,000ドルを、ケリーに献金している

メディアから見れば、ジョン・ケリーは、ハワード・ディーンとは正反対のポジションにいたわけだ。メディアが積極的にケリーの弱点を報道する心配は(民主党候補者選びの段階では)あまりないといえよう。(もちろん、これら巨大メディア企業はブッシュ政権にも献金しているので、ブッシュVSケリーの際には、各候補からの見返りの有無によって報道内容は影響されるだろう)

加えて、ケリー陣営の隠れた味方が、メディアを利用してハワード・ディーンを攻撃していたことが判明している。元ニュージャージー州民主党議員のボブ・トリチェリとディーン自身の支援団体であるはずの労働組合のいくつかがハワード・ディーン個人を攻撃するテレビCM(アイオワ、ニューハンプシャーとサウスカロライナで放送されていた)に投資しているのだ。(このCMにはゲッパート議員も出資している)

ハワード・ディーン陣営が弱体化すると、彼らはさっさとジョン・ケリー陣営に加わっている。つまりディーン陣営は最初からケリー陣営のスリーパーによって監視され、罠をかけられていたわけだ。

これがジョン・ケリー陣営のメディア戦略である。ビル・クリントン率いる民主党保守派(リーバマン、ゲッパート、ヒラリー・クリントン)は最初からジョン・ケリーを候補者に推していたようなものだ。

この抵抗を肌で感じ取っていたハワード・ディーンは、自身の選挙活動を「民主党を民主化する運動」と表現している。しかしそれは叶わぬ夢だった。立候補当時から、ハワード・ディーンは民主党内部において「リベラルすぎる」と敬遠されていた。ディーンはそうした批判に以下のように答えている。

「私の政策はちっともリベラルではない。もし私をリベラルと感じるとしたら、それはアメリカという国がいかに保守化してしまったかを示している」

ハワード・ディーンやデニス・クシニッチなどのアウトサイダー(民主党進歩派)が、深く保守化した現状の民主党から大統領候補推薦を受けることは、あまりにも困難だったのだ。(続く)

2004/02/17

ウェズリー・クラークは大統領選撤退で本業に復帰するか?

マイケル・ムーアの(はた迷惑な)支持にもかかわらず、あっさり大統領選から撤退したウェズリー・クラークは、早々とジョン・ケリー支持を表明して周囲を驚かせた。何しろクラークはケリーについて「私は司令官、彼は中尉」と失言し、自らの支持層である退役軍人達からも顰蹙をかったことがある。

はじめから選挙活動に馴染めなかった「司令官」は本業に戻る道を選んだに違いない。ウェズリー・クラーク氏は、大統領選への出馬宣言をした直後の2003年10月まで、地元アーカンソー州のデータベース企業、Acxiom Corporation (アクシオム社)の役員を務めている

1969年設立のアクシオム社の業務はダイレクトマーケティング用の顧客データベースの構築と管理(Customer Data Integration:CDI)である。(正確に言えば、管理に失敗したこともある

アクシオム社は商業データベース企業として成功しているが、近年では政府向けサービス「CAPPS2」の提供により脚光を浴びている。CAPPS2(Computer Assisted Passenger Pre-Screening System:旅客事前調査システム)とは、米国内の空港で搭乗客がチェックインした際に、テロリスト容疑者かどうかを判別する際に利用される、悪名高き個人情報管理システムであり、この航空テロ対策システムが、米国人の自由を大幅に制限していることは以前書いたとおりである。(同社の日本オフィスの事業展開は今後注目を集めるだろう)

ウェズリー・クラークは、このシステム導入のためにブッシュ政権の各部署に積極的に働きかけた張本人であり(チェイニー副大統領にも個人的に面談している)このロビー活動に対してAcxiom社からクラーク氏に、83万ドル(約8,700万円)以上が支払われている。これはどう考えても、反ブッシュムードと相反するビジネスである。

ウェズリー・クラークが立候補を表明し、マイケル・ムーアが支持宣言をした時、リベラル系ジャーナリスト達は一斉に首をかしげた。「なぜ戦争屋なんかにムーアが入れ込むんだ?

彼らが懸念したのも無理はない。ウェズリー・クラークはNATO時代に旧ユーゴスラビア紛争で、意図的に一般市民の居住エリアに対してクラスター爆弾、劣化ウラン弾を打ち込み、地元の放送局を破壊して従業員のジャーナリスト16人を殺害した作戦を指揮している。ムーアは許しても、一般ジャーナリストはこれを許容するわけにはいかないだろう。

大統領選を続ければ、必ずこれらのネガティブ情報がアメリカ国内に知れ渡ることになる。有名になってしまうと、本業であるロビー活動に戻れなくなるのだ。選挙からの早期撤退は悪評を防ぐためであり、ケリー支持は次のロビー活動のポジションを確保するための準備である。ジョン・ケリー自身も大企業スポンサーのために政策上の便宜を図ることには慣れっこなので、すぐに「友好的関係」が築けると踏んだに違いない。ケリー政権の閣僚になれば恩の字。仮にポストがなくても、ロビー活動はずっとやりやすくなるのだ。

軍事作戦を遂行する上で大切なのは、人的資源、適切な装備、脱出ルートの確保であるという。ウェズリー・クラークがいかに優秀な軍人であるか、今回の大統領「作戦」で充分アピールされているではないか。

2004/02/16

黙殺されたキャサリン・ガン事件:米英情報部はイラク戦争開始前に国連を盗聴していた

私はただ、良心に従って行動しただけのことです」裁判に際して、その女性は自らの嫌疑に答えた。

キャサリン・ガン、29歳。職業:イギリス政府通信本部(GCHQ)中国語(北京語)通訳スペシャリスト。英国情報部員として、母国イギリスの安全を脅かす危険をいち早く察知することが自身の使命であると信じている誇り高き女性である。

イラクへの武力行使をめぐる国連での討議を世界が見守っていた2003年3月。彼女は、多くの英国情報部員がそうであるように、ブレア政権が進める米国追随政策と、偽りの情報に基づくイラクへの武力行使を危険視していた。戦争が開始されれば、英国軍兵士や無実のイラク市民が犠牲になることは明らかだったからだ。

そこで、キャサリン・ガンは、自分の仕事先で入手した極秘電子メールを英新聞記者に暴露し、米英政府の汚いやり口を告発したのである英オブザーバー紙(ガーディアン姉妹紙)2003年3月2日付け記事が第一報で伝えたその告発内容は、国連に参加する全ての国を驚愕させるに充分なものだった。以下はその記事の概要である。

米国の諜報機関NSA(National Security Agency 国家安全保障局)の地方対象局担当チーフ、フランク・コーザは、イギリス情報部(MI6)に、国連安全保障理事会でイラクへの武力行使決議に関わる各国代表オフィスの盗聴を依頼していたことが判明した。

国連イラク査察団代表ハンズ・ブリクスがイラクの兵器査察について暫定報告をした直後、NSAのフランク・コーザが英国情報部に宛てた2003年1月31日付け電子メールによると、特に盗聴のターゲットとして指定されていたのはアンゴラ、カメルーン、チリ、メキシコ、ギニア、パキスタンの国連代表団の通信内容。この6カ国は米英(イラク攻撃派)と独仏露(査察継続派)の間で態度を決めかねている「中間派」であり、米国政府はその動向をリアルタイムに知りたがっていたのだ。(盗聴は国家安全保障問題担当のコンドリーザ・ライス大統領補佐官の指示によるものと見られている


オブザーバー紙の告発記事は、世紀のスクープであるにも関わらず、米国マスメディアでは一切無視され、広範に伝えられることも議論されることもなかった。(日本では日経が告発記事に触れるにとどまった)結局イラク戦争は開始され、1万人を超えるイラク市民が米英軍の攻撃の犠牲になり、現在も混乱と被害は続いている。

情報漏えい容疑で逮捕されたキャサリン・ガンは、英国政府の訴えにより2年間の獄中生活を迎えようとしているが、彼女の無罪放免を求める活動英国本国でも活性化しつつある。「キャサリン・ガンを憂慮するアメリカ人の会」の活動には、民主党大統領候補デニス・クシニッチの他、ハリウッドからもダニー・グローバー、ショーン・ペン、ボニー・レイット、マーティン・シーンが参加するなど、話題性も豊富だ。しかし、「大量破壊兵器」が誇張された脅威であると判明した現在に至っても、日米の新聞・TVは(映画欄も含めて)キャサリン・ガン事件をほとんど報道していない

ニクソン大統領が辞任した時代を考えると、米マスメディアは政府に対して随分寛容になったものである。不思議なことに、彼等は自分の首を絞めることに関しては熱心なのだ

日本のマスメディアが、(一部の例外を除いて)キャサリン・ガン事件についてほとんど報道していない理由は謎である。石破防衛庁長官の「報道規制宣言」に対し、イラクでの自衛隊撮影イベントに殺到、行列を作るなど「報道の自由」について特殊なセンスを披露している人たちなので、「小泉首相のお友達による国連盗聴」ネタで福田官房長官の独演会の邪魔をすると、記者クラブの雰囲気が険悪になることを恐れているのだろうが、「国民の知る権利」を代弁したがる機関にしては、知らせる内容そのものについて割く時間とスペースが少ないように見える。気のせいだろうか?

2004/02/13

マイケルジャクソン、負債7000万ドルで破産確実

英インディペンデント紙2004/02/13の記事より。

マイケル・ジャクソンはバンク・オブ・アメリカから借り入れている7,000万ドルの借金の返済期限が来週火曜日に迫っており、破産確実と見られている。こんな状態にもかかわらず、マイケル本人は今も、ネバーランドを家出したまま、ビバリーヒルズの家賃7万ドルの貸家に住んで、負債を増やし続けているという。

マイケル・ジャクソン裁判は、児童虐待容疑に加えて黒人分離主義グループ「Nation of Islam」がマイケルの活動に関係しているという新疑惑が浮上し、投資家はマイケル救済から撤退を始めているとのこと。

マイケルの財産管理担当者は返済期日を2005年12月まで延長してもらうよう、交渉を継続している。しかしいずれにしろ、借金の担保である(マイケル所有の)ビートルズの250曲分のオリジナル音源の版権が市場に放出される日は近い

メディアと政治にトコトン利用され、捨てられるマイケル。彼のネバーランドは結局ブラウン管の中にしかなかったのだ。愚かな眠りから醒めて、もっとカッコ悪くて味のある現実の人生を見つけて欲しいと思う。

2004/02/12

「反戦運動家は搭乗拒否」アメリカのテロ対策(?)事情

日本で反戦デモに参加したことのあるアメリカ人へ警告。故郷へ帰ってはいけない

CBSニュース2004/02/05のレポートから一部を以下に(少し長くなるが)引用する。


これはレベッカ・ゴードンとジャネット・アダムズの話。ボストンに住むゴードンの80歳の父親に会うためにサンフランシスコ国際空港で搭乗チェックインしたところ、係員は警察を呼んだ

「係員は私たちがFBIの“搭乗不可リスト”に載っているといったわ。サンフランシスコ警察に連れて行かれたの。本当にショックだった」アダムは語った。

「警察は私たちを拘留した。完全に拘束状態。水も飲ませてもらえなかったわ」ゴードンは回想する。

なぜ50代の二人の女性---アメリカ市民で、サンフランシスコに家を持ち、長年の平和活動家で犯歴もない人たちが、「テロリスト容疑リスト」に掲載されていたのか?

米国自由人権協会の弁護士は、政府がテロリスト容疑リストに二人が掲載されているかどうかさえ教えてくれないと話している。昨年4月、北カリフォルニアの米国自由人権協会は、運輸保安局とFBIに対して訴訟を起こしている。訴訟内容は簡単な質問への回答を求めるものである。つまり、「テロリスト容疑リスト」には何人が掲載されているのか?誰が掲載されているのか?どうすればそのリストから除外されるのか?

「政府はどのような条件でテロリスト容疑を受けるかについて説明を拒否しました。どうやってリストに掲載されるのか想像もつきません。もし政府がリストを保持しつづけるなら、それが市民生活をどれくらい安全にしているのかどうか定かではありません。わかっているのは、何百人、もしかしたら何千人もの無実の市民が、“テロリスト容疑”で搭乗拒否されることになるかもしれないということです」米国自由人権協会の弁護士、ジャヤシリ・スリカンティア氏は説明した。

市民権活動家は政府が警戒リストを保持することには反対していないが、誰が、何の容疑でリストに掲載されるのかを心配している。

「政府がそんなリストを持っているなんて恐ろしいことだわ。本当に怖い」アダムは話す。

恐ろしいが、現実である。政府は極秘の「搭乗拒否リスト」を保有していることを公式に認めている。さらに、誰を尋問し、拘束すべきかを決定する極秘リストも保有しているという。

両リストとも、搭乗客データベースにインプットされており、チェックイン時に確認される。リストには数千人の情報が含まれており、掲載されている人物は搭乗前に足止めされるのだ。

リスト自体は新しいものではない。1990年からメンテナンスされているが、9/11同時多発テロ以降、大幅に拡張されたのだ。

今では、リストは単にテロリスト容疑というだけでなく、政治的志向によっても掲載されるという。リストには緑の党の会員、イエズス会の平和活動家、市民権擁護弁護士も含まれているといわれている。

ゴードンとアダムの場合、戦争反対とブッシュ政権批判のフリー新聞「War Times」への参加がテロリスト容疑の原因だと見られている。


FBIが反戦活動家の情報集めを実行していることは、2003年11月にニューヨークタイムズ紙上ですでに報道されている。FBIの地道な(間違った)努力は報われているわけである。

米国の捜査機関は、テロリストの捜査よりも反ブッシュ団体の拘束に情熱と税金を注いでいるのだろうか?

現実の事件を見てみよう。アイオワ州で反戦運動をしていた4人の若者は「連邦法違反の恐れ」があるとしてFBIから召喚された。その際、同時に反戦運動を主催したニューヨークの団体「全国法曹組合」の記録を、場所を提供したドレイク大学に対して提出を命じていた。
(この事件は世評の猛烈な反発を招き、結局FBI側は召還を取り下げている。)

2003年11月にフロリダ州マイアミで開催された米州自由貿易(FTAA)反対デモでは、ブッシュの実弟ジェブ・ブッシュ州知事が指揮する反対運動鎮圧作戦で大量の反戦活動家が拘束され、暴行されている。2万から10万人が参加した大規模デモにも関わらず、マスメディアはこのマイアミの惨劇について一切報道していない

そして、イラク駐留軍向けの予算8.5億ドルの一部がこの反戦運動の鎮圧に使われている事実は、ブッシュ政権の「テロとの戦い」が何を目指しているのかをよく表している。

ところで、日本人が新たに米国に渡航する場合、究極の個人情報である生体情報の提出が求められることになる予定だ。(外務省の奇妙に親切な解説ページを参照してほしい)これは思い切った学歴詐称を計画中の方々にとって都合が悪いというでだけなく、土地を貸している日本人としても気分のいいものではないと思うが、いかがだろう。

2004/02/11

イラクで働く息子へ:プレゼントは防弾チョッキ

ABCニュース2004/02/7のTVニュースより。以下レポート内容を要約。

ペーン・パリフカは誇り高く思慮深い母親だ。彼女は州兵としてイラクに派遣されている息子のビリーのことが気がかりでならない。息子からの手紙は毎日欠かさず読んでいる。

「帰還の日が楽しみだわ。お祝いしなきゃ」

息子の身を案じて、パリフカは最近、自分の財布から1,100ドルを捻出して、息子とその同僚を銃撃から守るために、防弾チョッキを購入している。

「息子に何か買ってやりたかったし、それが戦場でちゃんと誰かの装備として役立てばありがたいわ」母親は話す。

最近の兵士とその家族の間では、そうしたやりとりは日常的な光景になりつつあるのだ。

米国防総省(ペンタゴン)の説明では、生産努力にもかかわらず防弾チョッキは在庫不足で、特に後から派遣された州兵や予備兵向けには配布が間に合わない状態なのだ。

現在のところ、イラク駐留米軍の兵役交代に際して、防護装備一式を次の交代兵がすぐ使えるように、現地に置いてくるのがルールになっている。

実戦配備されている兵士でさえも、装備を自前で購入しているという。

海兵隊のある部隊では、イラク派遣前にゴーグル、バックパック、マガジンポーチに手袋を自費購入していた。

「ある程度の装備は支給されたけど、もっと必要だからね」海兵隊軍曹のニック・メディナはインタビューにこう答えた。「だから前もって買い込んだんだ」

上院議員(民主党/コネチカット)で下院軍事委員会のメンバー、ジョン・ラーソンは、兵士の家族が購入した装備代金を政府が後で支払うよう、法案を提出している。

「我々の兵士と、戦場の子供達を支えるためになけなしのお金を支出する個人のために、一歩踏み出して、補償をすべき時だ」

補償の可能性はともかく、支払ったお金の分、心の平安を得て報われているとペーン・パリフカは話した。

おわかりですかな?福田官房長官殿。
自衛隊派遣を急ぐ前に、自衛隊の高級装備をFedexでバグダッドに送れば、アメリカ株式会社(あなたの勤務先のことですぞ)の役員たちも大喜び。マスコミ取材を解禁して「イラク電撃訪問」すればブッシュ以上にウケるかもしませんな。(劣化ウランの残り香はお嫌い?)イラク駐留米軍が装備不足に苦しんでいることぐらい、自衛隊派遣予備調査でちゃんとわかってますよね?ナニ?レポート読んでない?それじゃサラリーマン失格!

2004/02/10

米マスメディアがハワード・ディーン候補を排除したい理由

アイオワ州民主党大会で3位に終わったハワード・ディーン民主党大統領候補は3,500人の熱狂するサポーターの前で叫んだ

「アイオワ州で3位に終わると1年前に予告されたとしても、私はけっして諦めないだろう!」

この「怒れる反ブッシュ大統領候補」の人気を抑えるために、米テレビ局各社は一斉に「絶叫スピーチ」ビデオをトーク番組やニュースで流しまくり、記者、コメンテイターやトークショーホストは「怒りっぽい田舎者」「民主党のアイスホッケーコーチ」「大統領にふさわしくない」としてディーン候補を徹底的に笑いものにしてみせた。スピーチ後の4日間に、主要テレビ局だけで633回もこの「絶叫」を取り上げたのである。

そして、その繰り返し放映されたビデオは巧みに選択・編集された作品だった。ハワード・ディーンの叫びだけが増幅されたビデオを、各テレビ局は意図的に使用していたのである。実際のスピーチ現場では、サポーターの声援でディーンの叫びなど聞こえなくなるほどだったのだ。もしこの「本物バージョン」が放送されたなら、ディーン人気に視聴者は心動かされ、その後の民主党候補者選びに大きな影響を与えたかもしれないのである。(それこそ米マスメディアが最も恐れていることだ)

ディーン夫妻のインタビュー番組を主催したABC放送のダイアン・ソウヤーは、インタビュー中にこのカラクリを発見し、「ディーン“叫び”の真相:テレビで放送されなかった現実」として新たに放送し、各テレビ局に事実関係を糾すとともに、(少々遅すぎたのだが)ハワード・ディーン氏の名誉回復に努めたのである。

ここまでの例を見るまでもなく、米マスメディアはディーン候補を必死につぶそうとしている。2003年度においてディーン候補を取り上げたテレビ番組の内、好意的に扱ったものはわずか49%。つまりディーン氏はテレビに出る度に2回に1回づつ番組内で批判されているわけだ。こうしたメディア側の努力がアイオワ州でのディーン人気下落を決定づけたのはいうまでもない。

ディーン候補はスピーチの度に、巨大メディアの放送網独占、横並び報道を痛烈に批判している。実際、5大メディア企業(ヴァイアコム、ディズニー、AOLタイムワーナー、ニューズコーポレーション、NBC/GE)は米国内プライムタイム放送の70%を独占し、ケーブル放送、ラジオ、出版、映画、音楽、インターネットにまで支配の手を伸ばしている。この「メディア独占問題」はメディア企業がアメリカ国民に最も気づいて欲しくない事実であり、ディーン候補の意見に耳を傾ける視聴者が増えるのは困るわけである。(ついでに、日本国内でもディーン候補に関する報道が消えたことに注目してほしい)

もっとも、2004年選挙---ブッシュ政権、イラク占領体制、歴史的財政赤字の是非が問われる重要な選挙---では、マスメディアは候補者に関する報道を控えたいようだ。2003年度における選挙関連報道は、2000年選挙前の同時期に比較して32%減少している。選挙報道を減少させて、代わりにテレビで流れている情報は?新生ジャクソンズ(兄妹)を利用したゴミ報道である。

イギリスではBBC放送が政府と闘っていて、国民の半数以上が首相よりもBBCの報道を支持している。同じ時にアメリカでは、およそ9,200万人が、フットボールとジャネット・ジャクソンの粋な演出に熱狂している。(史上最大の視聴者数らしい

しかもブッシュ政権は、9/11同時多発テロの調査を放り出して、ダンサーの「衣装の不具合」について調査するという。これにはハワード・ディーン候補も怒りを通り越して呆れている

米国が高らかに謳う「(借り物の)自由」のうち、少なくとも「報道(表現)の自由」に関しては、レンタル期間を過ぎたに違いない。母国のイギリスに返却すべき時期だろう。

2004/02/08

「外交官の妻はCIA」リーク元は副大統領オフィス?

米INSIGHT誌2004/02/05付け記事(2月17日号)より。

保守系コラムニストのロバート・ノヴァクが元米外交官ジョセフ・ウィルソンの妻ヴァレリーがCIA工作員であることを暴露した事件で、米捜査当局は、チェイニー副大統領の2名の部下、ジョン・ハンナとルイス・リビーが事件に関与していることをほぼ確信しているという。特に重要な役割を果たしたと思われるのはハンナで、彼との司法取引交渉により、政府上層部の関与まで捜査を拡大する予定であるとのこと。

フランス司法当局からも追われているチェイニー副大統領にとっては、いよいよ国内にも逃げ場がなくなったわけだ。ところで、上記事件が発生した時期にチェイニー副大統領のナンバー2補佐官(内政・経済担当)を務めていた日本人殿は、同僚の件について何かご存知だろうか。興味深いところである。

2004/02/07

シュワルツネガー知事の悪趣味ジョークに失望するシリコンバレー住民

KPIXテレビニュース2004/02/05より。

2月5日木曜日、カリフォルニア州サンノゼで、IT業界団体の経済会議が開催された。そこに招かれたシュワルツネガー州知事は、彼らの直面している経済問題について以下のコメントをしている。

カリフォルニア州の住民は本当に貧乏になったので、服を買うことも難しくなっている。最近のジャネット・ジャクソンもその例だ

カリフォルニア州で6,500億ドルの売り上げを作る業界団体を前に、この新知事は財政赤字削減のための具体的方策を何一つ示さないまま、会場を後にしたという。

KPIXテレビニュース2004/02/06では、ハリウッド式挨拶に怒るカリフォルニア州市民の声を以下のように伝えている。

「ああ、全く!」サニーベルのアパートで知事のジョークを伝えるテレビ放送を観ていたカレン・ブラウンは、息子のジェイクと嘆いた。ジェイクは脳性麻痺に苦しむ児童であり、音声コンピューターによって意志伝達をしている。カリフォルニア州は現在、ジェイクのような児童の在宅看護のために1時間あたり10ドル50セントを補助している。しかしシュワルツネガー知事は、この助成金の全面廃止を主張しているのだ。在宅看護助成金が廃止されたら、息子のジェイクは公共施設に入院しなければならない。その結果として、州の公共施設管理コストは跳ね上がり、在宅看護助成金以上に州の財政を圧迫することになる。「貧乏になりたくない」ジェイクはコンピューター越しに語った。

知事のジョークに、会場の何人かは笑ったが、不満のざわめきもあがっていた。出席者の一人はこう言い残し会場を去った。「シュワルツネガーは何にもわかっちゃいない

ジェイクの母親も同じ思いにちがいない。ハリウッドスター知事の提案が認められることになれば、この4月1日から彼女の息子の在宅看護助成金は完全廃止されることになる。

以前もお伝えしたように、カリフォルニア州住民の生活がどうなろうと、ガバネイター(THE GOVERNATOR)にとっては問題ではない。彼が知事になれたのはエンロンCEOロスチャイルド家の巧みな根回しのお陰なのだ。シュワルツネガー知事はこれら大資本家へのお礼の件でアタマが一杯なのである。

2004/02/04

民主党大統領候補アル・シャープトンは共和党の操り人形?

ビレッジボイス誌の記事より。

民主党の異色大統領候補、アル・シャープトンの選挙キャンペーンを影で支配する人物がいる。「ブッシュの代理人」共和党系政治コンサルタントのロジャー・ストーンである。ロジャー・ストーンは2000年大統領選でフロリダ州の手作業による投票集計作業を停止させることに貢献した共和党の「工作員」と呼ばれる人物だ。

アイオワ党員集会に先駆けて、ブッシュ選挙チームが、その時期にフロントランナーだった民主党大統領候補ハワード・ディーンを攻撃するテレビCMの放送を始めている時に、民主党のディベート大会でアル・シャープトンは、ディーンが知事を務めたバーモント州の閣僚に黒人がいないことをとりあげて、ディーン候補を批判。このリサーチをしたのもロジャー・ストーンが採用したキャンペーンマネージャーであり、ロジャーはディベートでディーン攻撃のスタイルをアルに指導したと告白している。

アル・シャープトンは知っていたのか、嵌められたのか。どちらにしろ彼は、もはや共和党にとっても民主党にとっても用なしだ。もちろん、ブラザー達の信頼も失くしてしまったことは間違いない

MATRIXは実在する(1)

米政府間調査協会のMATRIXプロジェクト公式サイトより抜粋。

MATRIX = Multistate Anti-TeRrorism Information EXchange
(全州対テロリズム情報交換)


「概要」

合衆国司法省司法犯罪抑制計画局は、全州対テロリズム情報交換(MATRIX)と呼ばれる構想検証計画の試験導入を開始した。MATRIXプロジェクトは急増するテロ関連情報の政府機関内での迅速交換の必要性に対応して立ち上げられた計画である。

  • MATRIX試験導入プロジェクトは、地域、州、国家組織間における、重要なテロリズム他犯罪情報の迅速な交換を可能にするシステム構築活動を表す。
  • このプロジェクトは、既存の検証済み技術を最大活用することにより、法執行機関がテロリストや他犯罪行動の察知、早期発見と解析を可能にし、その成果を全国の各捜査機関に対して極秘裏に、迅速に、タイムリーに提供するものである。

以下の州がすでに試験導入プロジェクトへの参加に合意している。

コネチカット、フロリダ、ジョージア、ミシガン、ニューヨーク、ペンシルバニア、オハイオ、ユタ


(続く)

2004/02/03

ジョージア州は最新教育カリキュラムで19世紀に逆戻り

CNNの2004/01/30の記事より。米国南部、ジョージア州では今後、「進化(evolution)」という言葉は通じないかもしれない。

ジョージア州教育長キャッシー・コックスは、同州のK12(小学校から高校まで)教育カリキュラム改訂案において、科学分野での「進化(evolution)」という言葉を「長期に渡る生物学的変化(biological changes over time)」に置き換えるよう提案している。彼女の考えでは、「進化」という言葉は単なる流行語(buzzword)に過ぎず、ジョージア州の学校教育現場では適切ではないとのことである。(同州は聖書原理主義/キリスト教原理主義が主流の土地柄らしい)

加えて、新教育カリキュラムでは、地球が誕生した時期について、45億年前に誕生したとする従来の説を撤回し、聖書の教えに沿って(?)「推定6,000年から1万年」として教えることにするという。

また、新教育カリキュラムでは、米国の歴史について1876年以前の史実(南北戦争など)については省略し、西暦1500年より以前の世界史についても教えないらしい。
地元紙に登場した教育長の得意げな微笑みに注目して欲しい)

同州の下院議員ボビー・フランクリン(共和党)はジョージア州の新しい教育カリキュラム案に呆れている。
「馬鹿げた事だ。例えば、“引力”という言葉を使わずに引力について教えられるか?」


参照:ジョージア州教育省ウェブサイト

2004/02/02

アメリカ大統領選挙とベトナム戦争

民主党大統領候補ウェズリー・クラークの支持者集会で、応援演説に登場したマイケル・ムーアは「司令官VS脱走兵のディベートが見たい!」とまくしたてた。言うまでもなく、脱走兵とはブッシュ現大統領のことである。

この発言に(愚かにも)噛み付いたのはABCネットワークのピーター・ジェニングスだ。ニューハンプシャーの民主党ディベート大会後、彼は以下のようなインタビューをして、クラーク候補を困惑させている。

「クラーク司令官、問題の多い映像作家のマイケル・ムーア氏があなたを前にして、司令官であるあなたと、彼言うところの“脱走兵”ブッシュ大統領のディベートが見たいと発言しました。この、大統領に対する、事実に基づいていない誹謗中傷に関して、あなたが反論しない理由をお聞かせください。反論されるかどうかはともかくこれは倫理的に憂慮すべき事だと思いますよ」

このインタビューのオンエアを観てムーアは激怒し、早々に自分のウェブサイトで大々的に抗議した
「ピーター・ジェニングスの質問は、メディアが本来の問題から国民の目を逸らすべく、いいかげんな仕事をしていることの象徴だ

図らずも、ジェニングス氏はジャーナリストとして致命的な無知をさらけ出しただけでなく、この時期最も触れて欲しくない話題にブッシュ大統領を巻き込むことになったのである。

ベトナム戦争の時、現大統領とライバル達は何をしていたか?

幼い頃に父親を亡くし、貧しい家庭に育ったウェズリー・クラーク氏は苦学の末に奨学金を手に入れ、英オクスフォード大に進学した途中で陸軍に入隊し、歩兵隊としてベトナムのジャングル戦で4度撃たれて銀星章他勲章を授与され、ベトナム戦争後も軍に残り軍人としてキャリアを重ねている。

民主党大統領候補として首位を独走中のジョン・ケリー氏は、財閥家系にも関わらず海軍に入隊し、ベトナム戦争では最も危険な戦闘地域のひとつ、メコンデルタ地帯でCIA、グリーンベレー隊員と共に、小型高速艇を操縦して危険な任務に就き、激戦を生き抜いた。青銅星章、銀星章、3つのパープル・ハート勲章を授与され、英雄と讃えられたが、多くの戦友の死に心を痛めたケリー氏はやがて反戦運動に傾倒し、戦後は退役軍人の権利保障に大きく貢献している。

民主党の反ブッシュ第一人者ハワード・ディーン氏ベトナム徴兵検査で脊椎損傷の為、従軍不適格とされた。従ってディーン自身はベトナムを知らないが、実弟の死をきっかけに、反戦志向、民主党支持へと方向付けられたと語っている。ディーン氏の2歳年下の実弟チャーリー・ディーンは、ノースカロライナ大学を卒業後、ヒッピー時代にふさわしく日本を始めアジア各国を旅していた。1974年、ラオス・メコン川沿岸のバンガローに友人と滞在していたチャーリーはパテト・ラオ(ラオス愛国戦線)の部隊に拉致され、行方不明になる。一般旅行者であったにも関わらず、POW-MIA(戦争捕虜/行方不明兵)に認定されたチャーリー・ディーンは、CIAと米軍の捜索の結果、処刑され、埋められていたことが判明した。2003年、ラオスで発見された遺骸は棺に納められ、遺族が静かに迎える中、米国に帰還した。(ディーン氏自ら語るように、滞在地と捜索の過程から、チャーリー・ディーンはCIA工作員であったことが伺える)

さて、ジョージ・W・ブッシュにスポットをあてよう。イエール大学を卒業したばかりのジョージは、テキサス州兵航空隊に入隊を果たしたので、ベトナム行きを免除された。州兵航空隊の入隊試験におけるジョージ君の得点は100点満点中25点。ベトナム行きを避けるため、入隊待ちの志願者が何百人もいた州兵航空隊に、こんな落第点にも関わらず特急入隊できた(そしてベトナムに行かずに済んだ)理由は、父ブッシュである。当時、下院議員であった父ブッシュは、友人でテキサスの有力石油商シドニー・エドガーに、息子がベトナム徴兵を避けられるよう依頼した。エドガー氏は当時の友人でテキサス州副知事だったベン・バーンズ氏にブッシュ息子の件を依頼し、バーンズ氏はテキサス州兵隊のローズ准将に入隊を依頼したのである。しかもジョージは、テキサス州兵航空隊の訓練が嫌で途中で抜け出し1年ほど勤務をサボっていたことが明らかになっている(だから脱走兵)。

ブッシュ現大統領が父親の権力を使ってベトナム徴兵を逃れた件はともかく、州兵勤務をサボっていた件は米国内ですでに何度も報道されている。米軍の退役軍人達は、「イラク戦闘終結宣言」の際の派手な「トップガン大統領」演出に激怒しているはずである。ピーター・ジェニングスはなぜ、わざわざ問題をむしかえしたりしたのだろう?

さて、メディアの怠惰を批判するマイケル・ムーアの主張は立派かもしれない。しかし一方で、「司令官」「ベトナムの英雄」が大統領選の目玉になり、一貫して反戦を訴えるクシニッチ候補が変人扱いされる米国の現状を見ると、何か釈然としないのである。

戦争に参加したことをリーダーシップの基準にする社会は、何かが狂っているのではないか。普通の人々や社会にとっては、戦争をしないと決めるリーダーシップのほうが、はるかに価値あることだと思われるのだ。

例えば「ロード・オブ・ザ・リング(指輪物語)」を観て欲しい。この長大な物語においても、武器を持たない非力な小人族が、世界を滅ぼす兵器となる「指輪」を捨てるために闘う勇気を讃えているではないか。

2004/02/01

アメリカで375,000人の失業手当を打ち切り

ワシントンポスト紙2004/01/30の速報記事より。

アメリカ国内の失業者375,000人の失業手当の支払いがこの1月で打ち切られた。1月の記録としては過去30年で最悪の記録となったらしい。さらに悪いことに、米政府の見込みでは、今後6ヶ月間以内に200万人の失業者が同様の苦境に陥る予定であるという。2003年12月の時点で失業率は5.7%と、6月の6.3%からいくぶん持ち直しているように見えるが、2004年1月の新規雇用はわずか1,000件程度にすぎない。

米国ではすでに3,000万人以上が貧困・飢餓状態だが、手当てを打ち切られた失業者がこれに加わる可能性はきわめて高い。

ブッシュ大統領によると、「税の軽減で経済に刺激を与えたため、米国経済は強く、さらに強くなっている」らしい。しかしその言葉は「戦闘終結宣言」や「大量破壊兵器」と同じく、ブッシュファミリーお得意の悪意に満ちた嘘であることにアメリカ人は気づき始めている。

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