ケリーVSエドワーズ、鍵を握るディーンサポーター
民主党の大統領候補推薦をめぐり、ケリーを追撃するエドワーズ候補は、12の予備選挙州で勢力を温存するディーンサポーターとのミーティングを実施し、民主党系としては最大の草の根組織の支持を取り付ける構えのようだ。
エドワーズはハワード・ディーン本人とも頻繁に会談し、協力関係を築こうとしている。「ディーン氏はまだ決断していないようだ」。しかしエドワーズの選挙スタッフはディーン氏の支持を期待していないと語っている。
一方のケリーもディーン氏と頻繁に会談しているという。ケリー曰く、「ディーン氏は素晴らしい働きをしているし、ジョージ・ブッシュを倒すことの切迫性や、民主党が一致団結する必要性を説いた際に抜群のリーダーシップを発揮している」。
さて、ハワード・ディーン陣営は、どう動くのか?ディーンのインターネット草の根活動を指揮した元キャンペーンマネージャーのジョー・トリッピは、ディーンのウェブサイトとは別に、草の根活動サイト「Change for America」を立ち上げた。「ディーン陣営、分裂か?!」とさっそくボストングローブ紙が叩いたが、LAタイムズ紙の記事によると、どうやらディーンとトリッピは完全に分裂したわけではなさそうである。
もっとも、ディーンはトリッピの散財のおかげで、予想どおり借金を抱えてしまい、公式サイトでも借金返済のための寄付を募っている有様なので、ネガティブな憶測は今後も頻出するだろう。トリッピも責任を感じて、自身のサイトで借金返済寄付を募っているが、Balance budget(健全な財政)をスローガンのひとつにしているだけに、格好の良いものではない。
ディーン氏は知事時代にも同じようなヘマをやらかしている。ディーン自身が自慢するように、バーモント州は医療保障面でずば抜けた良い環境だが、高額な保険料が企業と州の財政を圧迫しているのも事実だ。おまけに州最大の病院は経営者のずさんな管理がきっかけで経営危機に陥り、州民の税金で賄う融資も焦げ付き寸前だったようだ。(彼が知事時代の執務記録を封印している理由はここにある)
怒りっぽさと頑固さと、数々の失言(決して間違った内容ではないがストレートすぎる)により、メディアの格好の餌食になったドクター・ディーンだが、専門ライターの下書きを使わない即興スピーチのウマさとその強いメッセージ性、政治家らしからぬ率直な人柄とトレードマークの安物スーツ(87年にJCペニーで購入した125ドルのスーツを着まわしている)により、選挙戦を離脱しても支持者の人気は揺らいでいない。それどころか、ディーン氏と仲間たちの興した草の根民主主義ムーブメントは、Deaniacsという新語を生んだだけでなく、今後も確実に米国の政治システムに影響を与えていくだろう。
大学生や若年層を多く抱えるDeaniacsは、若くエネルギーに富み、情報能力に長けていて将来性がある。例えば、ディーン支持者の一人、ユージーン・ヘッドランドの立ち上げたディーン支持組織「Truthandhope.org」は、10の州で45,000ドルのラジオ広告を配信し、次の予備選でもディーン候補へ投票するよう呼びかけている。リベラル系メディアにおいてもディーンの影響は大きい。(関連コラムはここにも、ここにも)
メインストリームからドロップアウトした大統領候補は、この先何を可能にするだろうか?それは誰にもわからない。
ひょっとしたら、現在の米国大統領選挙システム(実質はホワイトハウスのオークションである)は、アメリカが掲げる民主主義から大きくズレているという事実に、米国市民は目覚めつつあるのかもしれない。
