オーストラリアでも拡大する貧富の差
オーストラリア野党第一党である労働党が実施した最新の調査レポートによると、オーストラリア国内の貧困問題はかつてないほど悪化しており、国民の5人に1人が自分の子供に食事と服を与えるにも困窮している状態であるという。(英BBCの関連記事では、オーストラリア人の20%は自分の子供に薬も教科書も買うことが出来ないと表現されている)
今回の調査は、ここ30年間で初めて実施されたもので、470ページに及ぶその調査報告書によると、オーストラリア国内の21%の家庭(360万人程度)の収入は週平均400オーストラリアドル以下(298米ドル、約31,757円)であり、オーストラリア国内の最低週賃金431.40オーストラリアドル(321.40米ドル、約34,293円)を下回っていると説明されている。
週給3万円程度なら生活に充分と思われるかもしれない。しかし、オーストラリア最大の都市、シドニーの平均家賃は週260オーストラリアドル(194米ドル、約20,673円)というから、収入の大半は家賃に消えてしまうわけだ。
オーストラリア上院委員会の報告によると、オーストラリア国内人口(2,000万人弱)のうち、実質的な貧困人数は100万人から410万人程度(人口の5%から22.6%)と推定されている。貧困層を構成するのは先住民アボリジニ、無職者、障害者、母子家庭の親と子供、お年寄り、移民と難民であり、貧困の主原因は失業である。
オーストラリア議会上院委員長で、労働党に所属するスティーブ・ハッチンス議員は語る。
「我々の国家は富裕で偉大だが、子供が腹をすかして学校に通うのは容認できない」
「恵まれないオーストラリア国民に救いの手を差し伸べ、貧困問題で次世代まで苦しむことがないような方針を打ち出し、迅速かつ効果的に行動すべきだ。こうして話している間にも大勢のオーストラリア人が困っているのだから」
調査報告書では、貧困問題を克服するため、学校で恵まれない学童向けに朝食を支給し、最低賃金基準を上昇させるなど、95件の提案が書かれている。
しかし、オーストラリアのジョン・ハワード首相は、国内の貧困状況に関する今回の調査結果を否定し、以下のように語っている。
「(野党・労働党は)いつもこの世が終末を迎えているかのように話すのだ」
「金持ちがより裕福になったことは確かだが、貧困層がより貧困になったわけではない。貧困問題を解決するために官僚主義に陥るよりも、継続的な減税を推し進めることが大切だ」
首相の楽観的な見解に対し、オーストラリア・カソリック団体の委員長、ジョー・キャディー師は「経済的条件の向上が貧困の克服につながるというのは単なる神話に過ぎない」と話している。キャディー師は教会のプレスリリースでこう結んでいる。
「せっかくの調査報告が、オーストラリアの貧しい人々に生活の改善をもたらす事ができないとしたら、とても悲しい事だ」
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