アル・フランケンの困難な挑戦
新たに開設されたリベラル系トークラジオ局、エアー・アメリカ・ラジオ局の看板番組のひとつ、コメディアンのアル・フランケンの番組「O'Franken Factor」が面白い。(番組タイトルは、保守派タレント・ビル・オライリーの人気番組「O'Reilly Factor」のパロディ)
番組スタート時には、アルが意外に喋りが下手で(テレビとは勝手が違うみたい)ゲストが豪華なのに今ひとつホンネを話してくれない(ヒラリー・クリントンの表面的なトークには呆れた)など、リベラル系サイトでも酷評されていたが、最近はだんだん調子が出てきたようである。
当のラジオ局自体は開設2週間で早くも資金難の噂があるが、メディアが続々と保守化・横並び化した結果、言論統制が一段とすすんだアメリカにおいて、トークラジオ局は希望をつなぐメディアのひとつである。なんとか続いて欲しいものだが・・・
ところでアル・フランケンといえば、なんといってもベストセラーになった著作「LIES: And the Lying Liars Who Tell Them : A Fair and Balanced Look at the Right」が面白い。アルが保守系コメンテイターの巧みなウソを批判し、ホワイトハウスのパーティに紛れ込んでネオコン連中の素顔を暴いたりして、現在の米国の政治とメディアの現場が面白おかしく(時に重く)書かれている。(特にイントロダクションの書き出しには爆笑してしまった)
その「LIES: And the Lying...」から、特に傑作なページを以下に引用する。もちろんジョークなのだが、日本人にも思い当たる内容だと思う。
第17章:
テロリズムに関するアメリカ国民的な問答
「なぜ連中は俺たちを嫌うんだ?」
「奴等は凶悪だからだ。」
「それだけ!?それが全ての理由だというのか?」
「そうだ。奴等は凶悪で、奴等が我々を嫌うのは我々が自由だからだ。」
「俺たちが自由だから、連中は俺たちを嫌うというのか?」
「だって、奴等は本当に凶悪だぞ」
「奴等が凶悪なのはわかってるよ。俺はただ、何かその引き金になっているものがあるんじゃないかと考えてるんだが・・・」
「なぜお前はテロリストのために弁解しているんだ?」
「違うよ!奴等は悪党さ。そこに異論はないよ。でも俺たちにも理解しなきゃいけないことがあるんじゃないかと・・・」
「なぜテロリストの味方をするんだ?」
「違うっての!俺だってテロリストは嫌いだよ。ただ俺は、次の事件を防ぐために・・・」
「3000人のアメリカ人が死んだんだぞ!なぜお前はアルカイダを擁護するんだ?」
「信じてくれ、彼等を擁護してるわけじゃないんだよ。連中のやったことは酷いことで、許せないことだ。奴等は悪党だ。俺はただ・・・」
「では、なぜテロリストのために弁解する?」
「してないよ!俺が言おうとしてることは、何か俺たちが学ぶべきことがあるんじゃないかと・・・」
「おまえはなぜアメリカを嫌うんだ?」
(第17章終わり)
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