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2004/05/14

米国内で名物風刺漫画「Doonesbury」に議論沸騰

カナダのトロントスター紙2004/05/11付け記事より。

日本では、風刺漫画は国会で評価されることもあるが、アメリカでは神経をとがらせる人が大勢いるらしい。

アメリカで36年間続いている有名な風刺漫画「The Doonesbury」で、イラクでの戦闘で深刻に負傷した登場人物のエピソードが掲載された。その内容を巡って、米国内で論議と反発が沸き起こり、いくつかの新聞は登場人物が治療の痛みに耐えて言うセリフ「Son of a Bitch!」に問題があるとして連載を中止したという。(CBSの記事Newsdayの記事MSNBCの記事英ガーディアンの記事

現代アメリカ社会の日常風景を描いている同作品は、合衆国内の多くの新聞に掲載されているが、問題のあったエピソードは以下のようなストーリー展開である。(掲載日のリンク先で実際の漫画が参照できます)

  • フットボールのコーチから兵士になった登場人物B.D.(ブライアン・ダウリング)が、イラクでの戦闘で負傷した結果、左足を失う。(2004/04/26掲載
  • B.D.が怪我の報告のために故郷に電話すると、最初に電話で事情を聞いた友人が一言:
    ワオ!B.D.がパープルハート勲章を貰ったぞ!
    (パープル・ハート勲章は戦傷した米国軍人に授与される)(2004/04/28掲載
  • 電話に出た妻に事情を説明するB.D.:
    「何があったかよく憶えてないんだ。ファルージャでRPGにやられたらしい・・・ひどい怪我をしちまった・・・(中略)いいニュースもあるぞ。ようやく目標まで体重を減らせたよ」
    2004/04/29掲載
  • 夫から負傷を伝えられた妻は、ベッドに寝そべる息子サムにそれを伝える。以下はその会話シーン。

    妻:
    「サム、パパについて知らせることがあるの・・・パパは戦争で怪我をして、足を失くしたのよ。でも大丈夫だから心配しないで。もうすぐ帰ってくるはずよ」

    サム:
    「ママ、冗談言ってるの?」

    妻:
    「いいえ・・」

    サム:
    「やったあ!パパが帰ってくる!」

    妻:
    「・・・」

    2004/05/01掲載

漫画の作者ギャリー・トルデュー(Garry Trudeau)氏はこの連載漫画の功績により、1975年度には漫画家として初めてピューリッツア賞を受賞している。(カナダ元首相ピエール・トルデューはこの漫画家の遠縁にあたるとのこと)
作者自身による今回の騒動へのコメントは以下のとおり:
「このストーリー展開は、犠牲について、人生を完全に変えてしまう深刻な喪失などについて描いています(中略)今月(4月)だけでも、600人以上が戦闘で負傷しています。(中略)イラク駐留に賛成であろうと反対であろうと、忘れてはいけません。我々の名の下に、兵士たちが恐ろしい喪失に苦しんでいることを心に留めておくべきです。」

一方、フォックスニュースチャンネルに出演している保守系名物コメンテイター、ビル・オライリー氏の同作品へのコメントは以下のとおり:
「(作者は)熱心な左翼だ。(中略)過激な反ブッシュ連中だ」
「戦時において反対意見を述べるのは高潔なことかもしれないが、無責任な行為でもある」

(さらに熱のこもったオライリー氏の批判はスタートリビューン紙への寄稿文「Doonesbury作者は一線を越えた」で読むことができる)

ところでこの「the Doonesbury」という漫画は、イエール大学の学生新聞からスタートしたということである。

ここはひとつ、同じイエール大学出身者で、オライリー氏と同じくベトナム戦争を逃れた人物の書いた以下の記事を読んで、オライリー氏に気を静めてもらうとしよう。

私はまとめ役であって、分裂のもとではありません。(I'm a uniter, not a divider.)」

---ジョージ・W・ブッシュがUSAトゥデイ2000/11/07に寄稿したコラム「あなたが私に投票すべき理由」より


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コメント

Trudeau の名前の読みはふつう日本語ではトルドーと表記され、原音ではトゥルドーというフランス語読みだと思うのですが。カナダ元首相ピエール・トルドーもまた然り。

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