先週末から公開されている「華氏911」が、米国内で大ヒットしているのは誰でもすでにご存知のことだろう。ボックスオフィスの売り上げランキングによれば、週末(金・土・日)の売り上げは上映館(868館)の合計で2,180万ドル(約23億4,561万6,549円)2,390万ドル(約25億9,073万2,300円)で、もちろん1位。2位の「White Chicks」の同時期の売り上げ合計(2,726館で上映)が1,960万ドルなので、いかに「華氏911」の上映館が混雑しているかが想像できる。作品の買取金額が約600万ドルで、配給費用がプリント・広告費含めて1,000万ドル以下(通常のハリウッド映画の1/3のコスト)というから、ビジネスとしても良い結果になりそうだ。
ドキュメント映画史上最大のヒット記録というだけでなく、普通のハリウッド映画以上に売り上げを伸ばす可能性は充分にある。1000館以下の上映館でスタートした映画としては史上最大の売り上げとなったそうで、来週から上映館を増やすことがすでに決定され、さらに7月9日から上映館を大幅拡大する予定とのこと。作品買取に奔走したワインスタイン兄弟の勇気ある判断に拍手を送りたい。(ボックスオフィスの特集ページ)
さて、「華氏911」の大ヒットによって企業PR費用を大幅節約できたのが、作品中に登場したカーライルグループである。映画の前評判に気を良くしたのか、さっそく映画界に投資を開始しているのだ。映画公開に先立つ6月21日には、世界で三番目に大きいシネマコンプレックス企業Loews社を14億6,000万ドルで買収している。
同シネマコンプレックスチェーンは世界で200のシネマコンプレックス施設、 2,200以上のスクリーンを所有しており、米国では同チェーンに属する59館が、「華氏911」を上映中である。今回の買収で、カーライルグループは、系列に属するアメリカとカナダのシネコンに加えて、韓国で最大の映画館と、スペイン国内の21の映画館の運営を握ることになる。もちろん、買収したシネコンチェーンとイラク戦争派兵国が一致しているのは、単なる偶然であろう。
「華氏911」ではブッシュ家とカーライルグループの関係が取り沙汰されているが、現在のカーライルグループCEOは、IBMのCEOとして辣腕(?)を振るったルイス・ガースナー氏である。ガースナー氏が映画ファンであるとは知らなかったが、ひょっとしたら他の「ドキュメンタリー作品」の上映にご興味をお持ちなのかもしれない。
(同氏の有名な著作「巨象も踊る」というタイトルは、肥大した企業のことかと思っていたが、別の象のことだったのか?)
まあとにかく、外資系企業ではCEOの嗜好は無視できない。東京・大手町のカーライルジャパンの日本人役員の方々が、恵比寿方面に契約書を持ってご来場されることもあるかもしれない。なんともロマンチックで暑い夏になりそうだ。
(注:「華氏911」初日3日間の売り上げ第一報は映画会社の推定値でしたので訂正しました。)
