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2004/06/24

「スパイ貸し出し中」byジェームズ・バムフォード

ニューヨークタイムズ2004/06/14付けコラムより。(ABC-CBSNEWS.com転載

諜報機関の専門家、ジェームズ・バムフォード氏の最新コラムを以下に全文翻訳して掲載。(文中リンクは訳者による)

バムフォード氏は、最新著作「A Pretext for War: 9/11, Iraq, and the Abuse of America's Intelligence Agencies」の中で、911テロ事件直後に、チェイニー副大統領が隠れていた場所「サイトR(メリーランド州とペンシルバニア州境にある極秘の地下軍事拠点)」の場所と施設概要を暴露、話題となっている。当然ながら、ホワイトハウスはこの暴露に激怒しているようだ



「スパイ貸し出し中」(This spy for rent)

by ジェームズ・バンフォード


米中央情報局(CIA)にとって、スパイ人材の査定、育成、採用は重要な業務である。しかし今、CIA職員自身が---時には、情報局の食堂で---査定され、育成され、採用される対象となりつつある。政府との契約をとりつけるために、いくつかの私企業が、政府の情報局から高度に訓練された職員を積極的に採用しており、それが国家の諜報機関で高度な訓練を受けた情報部員の流出を引き起こし始めているのだ。

今週、ジョージ・テネットのCIA長官辞任に加えて、911超党派調査委員会の最後の公聴会により、この10年間で最初の、情報組織大改革の条件は整えられた。組織の移動や「情報専門家」の創出が議論される中、スパイの民営化問題は大部分がずっと忘れられたままである。

911テロ後の予算増加によって、CIAにはお金が有り余っている。しかし組織の将来が不確実であることから、新世代スパイとアナリストの採用、教育、人材開発は大幅な遅れに直面している。そこで、情報部員の確保を「情報複合企業」に依存する状況が発生している。

これら企業は、フォーチュン500企業のブーズ・アレン・ハミルトンノースロップ・グラマンのような巨大企業から、元CIA職員で構成された、バージニア州マクリーンのアブラクサス社のような小さな企業までさまざまだ。例えば、アブラクサス社のエキスパート、メアリー・ナヤックは、元々は南アジア圏の情報活動を指揮していた人物だ。現在、彼女はコンサルタントとして、CIAの911テロ再調査グループで働いているという。

私企業は、かつては高度に訓練された組織従業員のしていた仕事を引き継いでいる。世界中で秘密工作を管理していた局地事務職員、危機管理センターで24時間職員を監視していた者、大量の諜報データを精査していたアナリスト、対諜報活動工作員で、海外の工作員と現地スパイのやりとりを監督していた人物、局地ではエージェント間の連絡員として振る舞い、本部ではアナリストとして勤務していた報告担当者等々。

情報組織と緊密に活動する私企業との間には本質的な間違いはないものの、監視がないかぎりトラブルが起こる可能性は常にある。業務内容はCIAの秘密の下に隠されているので、議会ですら費用や人員について正確な情報を知ることは困難である。しかし組織の内外の専門家たちは、何億ドルもの金と何千もの取引先が絡んでいると察知しているようだ。

アブグレイブ刑務所のスキャンダルによって、慎重を要する情報活動に私企業が絡むことが災難を生む可能性があることが明白になった。現地の情報部員だけの時ではなく、彼らの上司と監督者が私企業の勤務者である場合には、災難の可能性はより高くなる。

もうひとつの問題は、納税者に対する費用負担の増加である。儲けに走る企業は、しばしば連邦政府職員の倍以上の給与を(ヘッドハンティングのために)提示することがある。スカウト担当者はセキュリティ上の許可を取得しているので、時にはラングレーにあるCIA本部の施設内部で採用活動をすることもある。そして採用された多くの職員は、結局はかつて働いていたオフィスに戻ることになるのだ---ただし、今度は私企業の社員として。このように、情報部職員になるために何百万ドルもの金が訓練につぎ込まれた結果、納税者は2倍の金を、今度はスパイをレンタルするために支払うことになるのである。

「金というのは不思議なもんだ」海外でスパイを管理していたという、ある情報部の元職員が話してくれた。「組織の職員を辞めてから、(企業に採用され)また元どおり同じ仕事をしているのに、給与は倍になったんだ」しかし、元職員の何人かは、自分たちの才能が洗練されていない業務のために無駄になっていると警告している。「やりっぱなし」状態の仕事が急増するにつれ、情報組織の仕事の質は疑わしいものになっているのだ。「問題は、こうしたやりかたは分別に欠けるということだ」中東で経験を積んで職員から私企業社員になった人物が吐露した。「私たちはただそこに座って、お互いを見つめているだけで、呆れるくらいの大金を稼ぐことになるんだからな」

別の元情報部員が言うには、彼はイラク、アフガニスタン他の国で入手したコンピューターのハードディスクに残った電子メールの解読チームの要員として雇われていたという。「ほとんどのメールはアラビア語だったけど、チームにアラビア語を話す者はいなかった。問題だろ?」彼は言った。「私たちの誰も、自分がやっていることを理解できなかったが、上司連中だって自分が何をしているかわかってなかったんだ」

合衆国がテロとの闘いやイラク戦争に深く関わることになって、ますます私企業のスパイは増加するだろう。悪いことばかりでもない。よく訓練された連邦職員と、役割に拘束されない革新的な企業が一緒になれば、古い問題に取り組むためのより効果的な方法を見つけることができるだろう。

しかし、過失が増えることは深刻な問題である。議会がCIAの契約している企業を知らないというなら、その企業が何をしているか(そしてどれだけの費用が支払われているか)を、一体だれが精査できるというのか?情報活動を立て直すことに決めたのだから、「外套と短剣」を作る者と、それを使う者との間の最適なバランスというものを、我々は見つけなければならないのである。


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