「無視してはいけない問題」byハワード・ディーン
政治風刺漫画サイトCagle Cartoonsの2004/06/07付連載コラムより。草の根市民団体「Democracy for America」を率いる大統領候補ハワード・ディーンの人気コラム6月7日掲載分を以下に全文翻訳して掲載。
「無視してはいけない問題」(A Problem We Must Not Ignore)
by ハワード・ディーン
現在、4,300万人以上のアメリカ人が医療保険未加入状態だが、状況はさらに悪化しつつある。表現を変えてみよう。もし医療保険未加入のアメリカ国民だけにヤンキースタジアムのシングル席を販売したなら、この先5シーズンもの間、スタジアムの席は医療保険未加入者で埋ることになる。
世界一の金持ち先進国なのだから、アメリカはもっと良い状況にできるはずだ。両親がお金を払えないからという理由で、病気の子供を医者に診せることができないというのは、間違っている。乳房撮影の費用が払えないからという理由で、女性が乳癌の末期を迎えてしまうという状況は、間違っている。お年寄りが、必要としている処方箋と、毎日の食事のどちらかを選択しなければいけない状況は、間違っている。つまり、先進工業国としては世界で唯一、適切な医療保障を受けられない国民の存在を許しているアメリカ合衆国は、全く間違っているのだ。
これは単に社会的問題というだけでなく、経済的な問題でもある。米国医学研究所によれば、合衆国が毎年350億ドルを保険未加入のアメリカ人のために費やしている間、650億ドルから1,300億ドルの生産力が失われているのである。
労働者の医療保障費用は過去3年間で50%上昇している。実際、医療保障費用の上昇率は物価上昇率の4倍に跳ね上がっているのだ。中流家庭にとっては耐えられないほどの負担が強いられている。
過去6年間もの間、この問題を解決するために何の努力も払われていない。実際、悪い状況はさらに酷く悪い状況になり、新たに400万人近いアメリカ国民が、その6年の間に医療保障資格を失っている。加えて、全国消費者団体「Families USA 」の報告によれば、現大統領の最新の予算案における低所得者向け医療扶助制度(Medicaid)予算は、2005年度で10億ドル削減、今後10年間で160億ドル削減予定となっている。州ごとの低所得者向け医療保障プログラムが、劇的に削減されることを強いられているにも関わらずである。(低所得者医療保障プログラムから締め出される)150万人のアメリカ人は、現実に医療サービスを受けている。彼等は救急医療室へ行き、支払えない分の費用が病院側に計上され、病院側は医療保険会社にコスト負担を依存することになる。そしてその負担は、実際に医療保険に加入している人々への保険料上昇となって跳ね返ってくるのだ。
さらにアメリカ国民は、高齢者向け医療保険制度向け(Medicare)処方箋費用として、5,400億ドルもの金額を国民の税金から支払っており、そのお金の大部分は、老人たちにではなく、保健維持機構や、製薬会社、保険会社へ移動していくだけなのである。サービスの削減と税負担を地方財源に頼ることで、急増する合衆国政府の財政赤字を補填している間に、50万人の子供と100万人の大人が、低所得者向け医療扶助制度(Medicaid)から締め出されてしまっている。
もっとうまくやれるはずだ。この問題が存在していないかのように振舞うのはもう止めにしよう。医者として、州知事経験者として、問題解決が簡単でないことは分かっている。しかしながら、今のまま事態が進行すれば、医療保障制度は完全に崩壊するのを待っているだけだ。イギリス、フランス、ドイツ、カナダ、スペイン、ギリシャ、日本、アイルランド、イタリア、イスラエル、オランダ、スウェーデン、ノルウェー、フィンランド、さらにいえばコスタリカですら全国民に医療保障を提供できているのだ。アメリカだってやるべきだろう。
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