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2004/07/29

戦争アクションゲームで若者の入隊を促進するアメリカ陸軍

America's Army画面

米陸軍公式ゲーム「America's Army」プレー画面

日本ではテレビゲームに夢中になる子供を問題視することが多いが、米国陸軍にとって、子供にゲームをさせることは「愛国的若者」の育成につながると期待されているらしい。

デモクラシー・ナウの2004/07/28付レポートによると、米国陸軍は新兵募集キャンペーンに2億ドルを投入し、8万人の新規兵士獲得を目標に地方イベントを開始しているという。どうやって入隊希望者のリストを集めるかというと、陸軍の公式PCゲーム「America's Army」のプロモーションという形で、地方でゲーム大会アトラクションを開催し、集まったゲーム中毒の若者に「クールな陸軍」をアピールして入隊登録を促す仕組みだ。

このPCゲームトーナメントにはオンラインからも参加できる仕組みで、すでに370万人以上がユーザー登録しているという。ゲーム内容は、単純に中東地域での戦闘を疑似体験できるアクションゲームらしい。米軍の公式サイトに陸軍主催のゲームイベントの模様を捉えた写真が掲載されているのでいくつか以下にピックアップしてみよう。(写真コメントは勝手な創作です)

会場入り口

イベント会場外観

広告ポスター

イベント告知屋外広告「頑張って自由を護るのだ!」

アトラクション写真

広告壁面を降りてくる陸軍特殊部隊の隊員。凝ったアトラクションだ

隊員と客

フレンドリーな隊員に魅了されるパンクな10代

特殊部隊装備

特殊部隊の装備を披露する隊員。「ゲームよりスゴイだろ?」

トーナメント優勝者

ゲームの優勝者(もちろん子供)には賞金。

イベント風景

女性にも優しい突撃銃。エリート軍人との思い出にパチリ。

陸軍宣伝風景

「入隊すればステキな武器があるし奨学金で大学だって行けるし病院もタダだ」

このような米陸軍のイベントでは、悲惨なはずの軍隊生活が、ユニバーサルスタジオのアトラクションのように映る。これに比べると、プラカード持って通りを行進する反戦イベントは、皮肉にも退屈で苦痛に満ちたものに見えることだろう。これじゃあ戦争はなくならないわけだ。

しかし、軍人が集まるイベントには、地味なものもある。例えば、マサチューセッツ州ノーザンプトンで開催されたthe Veterans Education Project (退役軍人教育計画)と the American Friends Service Committee(アメリカの友・奉仕委員会)が主催するイベントでは、ゲームで戦場を疑似体験してもらう代わりに、戦場から帰還した兵士の実際の戦闘体験を聞かせている地元の新聞The Republican紙2004/07/26付けの記事が講演の雰囲気を伝えているので以下に引用してみる:

・・・米海兵隊員としてイラク戦争に赴いたジミー・マッセイ軍曹は、ガムをゆっくりと噛みながら150人の聴衆をじっくり眺めた後、イラクでの体験を話し始めた。

手を揚げていた(降参した)男を撃ったよ。女子供でさえ撃ったんだ

ノースカロライナ出身で、12年の経験を持つベテラン戦闘員のジミーは、イラク戦争前には「殺し殺される準備は完全に整っていた」という。しかし、今のジミーは、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を抑えるために、抗鬱剤と抗不安薬の錠剤を5種類づつ飲んでいる。

住民へ発砲することや、石油採掘地域の保安業務は、入隊時の契約にはなかった、とジミーは言う。

「どういう理由で海兵隊員が石油の油井の閉鎖法を覚えなきゃならないんだ?俺たちは環境保護団体か?(中略)アメリカ国民の税金は戦場で活用されてる。あいにく、皆さんの税金は大勢のイラク市民の体にぶち込まれてるんだ。俺はそこに居た。俺は引き金を引いた1人さ」

「12年間、俺の人生の目的は、戦場で敵とぶつかって殺すことだけだった。イラクに出発したときだって、死んでもかまわないと思っていた。戦闘で死ねれば、名誉だからな」・・・


米陸軍公式の能天気な戦争ゲームには、ジミー軍曹が体験したような、兵士の苦悩というシナリオは含まれそうもない。戦場の苦悩を伝えるために使われるお金よりはるかに多くの金額が、武器や銃弾の購入に費やされるのも残念なことだ。退役軍人の言葉も、地方の小新聞の片隅で、忘れ去られてしまうのだろうか?

・・・ここまで読まれた読者の方は、暗い気分で思考を凍らせる前に、苦悩の先に残された小さなメッセージを受け取るべきだ。ジミー軍曹の記事は、以下のように締めくくられている。

「今日は死ぬには良い日だ」名誉除隊してから、ジミー軍曹にはそう思う日が続くこともあった。しかし講演の日、ホールに人が集まっていくのを見て、午後の日差しを頬に感じた時、ジミー軍曹はさらにもう一度悟ったのだ。「日のあたる場所に出られて嬉しい」

2004/07/28

「クリントンのせいにしろ!」軍団とクリントン・ノスタルジー

CBS放送の最新調査によれば、米国民の65%が「現在の合衆国は間違った方向に進んでいる」と感じているという。まあ、そうだろう。トリプル赤字の経済政策、嘘に基づいて始まったイラク戦争の泥沼、司法長官の奇妙なテロ対策等々、現在の米国政治にいいところは一つも見つからない。もちろん問題の責任は現ブッシュ政権にある。

Catastrophe:Clinton’s Role in America’s Worst Disaster

「クリントンのせいにしろ!」の典型

しかし、そうした悲惨な現状に関して、ブッシュ政権陣営や保守系コメンテイター(政治家、テレビタレント、ジャーナリスト、フォックスニュースチャンネルのキャスター・・・)達は、機会あるごとに「クリントンが悪い!」というヤケクソな説明をしている。

こうした人々をアル・フランケンは「クリントンのせいにしろ!」軍団(The Blame-America's-Ex President-First Crowd)と呼んでいるが、これら軍団の姿勢を象徴する事例として、例えば保守系ニュースサイトNewsmax社の記者が刊行している書籍「Catastrophe:Clinton’s Role in America’s Worst Disaster(大惨事:米国史上最悪の事件とクリントンの役割)」がある。同書の説明文はこんな感じだ:

「1993年1月20日、ウイリアム・ジェファーソン・クリントンが42代大統領としてオフィスにやってきたとき、大災難は始まった。(中略)それからの8年間、ビル・クリントンは米国史上最も堕落した政権を仕切ることになる・・・」

クリントン政権がテロ対策に熱心だったという事実は、すでにリチャード・クラークの暴露本「爆弾証言:すべての敵に向かって」でも明らかになっているだけでなく、911テロ調査委員会の最終報告書でも記されている。ワシントンポスト紙の要約によれば、クリントン大統領は情報部から提出された詳細なメモを熟読し、ノートとコメントを追加してさらに追加の報告を求めるというのが好みだった。一方で、書類を読むのがキライなブッシュ大統領は、早朝にCIA長官のジョージ・テネットから口頭で説明を受けるのみだった。クリントンはビン・ラディン暗殺計画まで考えたが、ブッシュはアルカイダと無関係のフセインに夢中だったことは誰でも知っている。
ブッシュ大統領のブリーフィング風景

ブッシュ政権の「ブリーフィング」風景


ブッシュ政権は単に怠惰というだけではなく、ビン・ラディンの資金ネットワーク(パキスタン軍事情報部-サウジアラビア王家-国内イスラム過激派組織に及ぶ)の捜査を封じていたことも知られている。ビン・ラディン資金網の捜査を担当していたFBIのジョン・オニール捜査官は、ブッシュ政権の怠惰な姿勢に腹を立てて辞職し、WTCビルのセキュリティ担当者となって、同時多発テロで一度は退避しながら、ビル内の人間を避難させるために再びオフィスに戻り、帰らぬ人となったのである。ブッシュ政権とクリントン政権、どちらがテロ対策に真剣に取り組んでいたのか?知らないのはNewsmax社だけだろう。(Newsmax社といえば、「華氏911」上映妨害キャンペーンを支援する企業としても有名だ)

民主党保守派(極右派?)のクリントンは、民主党リベラル派から見れば共和党員のような存在かもしれないが、経済政策面で華々しい成果を出したクリントン時代の繁栄を懐かしむ「クリントン・ノスタルジー」に陥る米国民は急増している。

ビル・クリントン政権と、ジョージ・W・ブッシュ政権の経済面での成果の違いをまとめた記事The Center for American Progressから以下に引用したのでご覧いただきたい。経済政策だけを見ても、ブッシュ政権こそが「大災難(Disaster)」なのだ。

貧困
クリントン大統領時代、貧困率は1992年のブッシュ父政権時代に比較して、25.2%減少した。しかし、現ブッシュ政権になってから貧困率は逆に7.1%上昇している。2000年から2002年の間、貧困率は13年ぶりに2年連続して上昇し(11.3%から12.1%)2002年度の米国内の貧困人口は3,460万人に増加した。(その内1,210万人は子供が占める)

税制
ワシントンポストの記事:「多くのアメリカ国民は2001年から生活状況が後退したと感じており、約71%の国民は減税の恩恵を全く受けていないと回答している。CBSニュースとニューヨークタイムズが3月に実施した調査によれば、ブッシュ政権の減税政策により税金が下がったと信じる国民は僅か22%であり、25%の国民は実際には税金が上昇したと回答している」

失業率
4年前に比較して、仕事を見つけられない人の数は増加している。現在の米国全体の失業率は5.6%。4年前は4%だった。クリントン政権時代、2,270万人の雇用が新たに創出された。現ブッシュ政権においては、新たに110万人の雇用が消失したままである。

賃金
ここ4年間で賃金上昇率は劇的に降下している。2000年の時点では、中流層の賃金は4.9%上昇していたが、2003年の時点では2%にとどまっている。インフレ率を考慮すると、2003年度の賃金は実質的に低下している(1996年以降初めての賃金低下)。就業中の一般労働者にとって、企業の収益率が向上しているにも関わらず、一般家庭の住宅費用、教育費用、医療費用が急速に(2桁の率で)上昇している「さかさま経済」の状況では、経済再生という価値観そのものが疑問となりつつある。

財政
2000年の会計では、アメリカ合衆国の財政の余剰金は230億ドルで、総予算よりも1,760億ドルも多い数字だった。2000年度の合衆国の財政黒字は230億ドルであり,クリントン時代の累積黒字は1,760億ドルであった。一方、2004年1月の時点で、米連邦議会予算事務局の見積によれば、本年度の合衆国の財政は4,770億ドルの赤字となる予定である。

破産
現在、自己破産率は過去最高を記録している。AP通信によれば、「3月末までの12ヶ月で自己破産は2.8%増加」、その期間中の自己破産件数は161万8,062件。

ボストンで行われている民主党大会に登場したビル・クリントン元大統領は、最近人気が急上昇しているというアル・ゴア元副大統領と同じく、根強い人気をアピールしていた。手書きのメモ用紙を切り貼りしながら自作のスピーチ原稿を用意しているという少々暢気なジョン・ケリー大統領候補は、クリントン・ノスタルジーに酔う米国民を救えるだろうか?

2004/07/26

2003年11月、東京・蒲田にボビー・フィッシャーを探して・・・

今月半ばに、「チェス元王者を収容 成田で入管難民法違反容疑」というニュースが配信され、海外でもちょっとした話題になったが、この件の背景となる事情をうまく説明したと思われる記事を昨年読んでいた記憶があったので、探し出して全文翻訳し以下に掲載。

フィッシャー氏の政治的(?)発言には何ら興味を惹かれないが、FBIがフィッシャー氏を告発する理由には全く呆れてしまう。経済制裁の相手国にチェス対局に出かけて賞金を持ち帰るチェス名人は、「悪の枢軸国」からコッソリ大金を受け取る国防長官副大統領よりも罪が重いというのか?

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2004/07/25

国防総省の911テロ犠牲者慰霊碑

The Smoking Gun2004/07/15付記事より。

世界貿易センター再開発現場周りに設置されている、911同時多発テロ犠牲者追悼慰霊碑の内、国防総省での犠牲者を追悼する碑には、こう書かれているという。
2002年9月11日はアメリカ及び世界にとって重要な日となった。」

(慰霊碑の写真)


ペンタゴン慰霊碑

国防総省といえば、長官を讃えるこんなステキなステッカーが登場している↓


ステッカー:Rumsfailed

2004/07/20

「正直な話し合い」byハワード・ディーン

Cagle Cartoons2004/07/05付けコラム記事より。ハワード・ディーンの人気コラムを以下に全文翻訳しました。米国の人種差別がいかに深刻な問題であるかについては、グレッグ・パラストのコラム「消えていく投票」も参照してください。



「正直な話し合い」

by ハワード・ディーン


合衆国建国記念日となるこの週末、私たちがアメリカ人としてどれほど誇ることができるかを考え直してみた。その誇りには確信がある。これまでの228年間、アメリカは世界中で正義と民主主義に力を注いできた。しかし、単に成果を褒め称えるのではなく、未来に向かって考えるのもアメリカ人気質というものだ。そこで、私はアメリカの白人の1人として、7月4日の建国記念日を祝うにあたり、人種問題について正直に話したい。50年間、さらには遥か150年間かけて、私たちは長い道のりを歩いてきた。しかし、まだまだ先は遠いのである。

昨年、ウォールストリートジャーナル紙の伝えたところでは、何らかの資格を持ち、過去に犯歴のないアフリカ系アメリカ人の求職者が二次面接を受ける確率は、同じくらいの資格を持ち、薬物犯罪で有罪判決を受けた経験のある白人求職者よりも、はるかに低いという事実が調査で判明したという。ヒスパニック系アメリカ人の子供が、他のどの層の子供よりも医療保険加入率が低いことはすでに知れ渡っているし、アフリカ系アメリカ人は幼児死亡率が最も高いことも周知の事実である。

白人の全てが人種差別主義であるとは信じたくない。しかし、白人は人種問題に関して無関心であることが多く、それが非白人にとっては人種差別と受け取られていると思う。元来、人類は自民族中心主義的な存在なのだ。誰でも、同じ境遇で育ってきた人々同士で寄り添うことを好むものである。同じ宗教、同じ文化、同じ言語に肌の色も同じ人々同士のことである。

残念ながら、雇用の際にも、以上と同じような理由で、我々は自分と同じ境遇の人材を採用する傾向にある。我々全て---白人、黒人、ヒスパニック、男性、女性、同性愛者、異性愛者---誰もが無意識のうちに、同じ境遇の人材を雇用しがちだ。白人が多数を占める社会では、通常は雇用側でも多数派を占めることから、白人はしばしば優遇されることになる。雇用における人種差別が発生する理由は、意識的に人種差別をしているのではなく、無意識のうちに同じ人種を採用している事実に気づかないことが原因なのだ。

アファーマティブ・アクション(マイノリティー優遇措置)は、反対論者が言っているような、白人に対する差別とはならない。アファーマティブ・アクションは割り当て措置ではないのだ。大企業の人事担当者なら理解しているだろうが、アファーマティブ・アクションとは、無意識のうちに自民族中心主義的バイアスに陥り、それが採用場面で異なるバックグラウンドを持つ求職者への面接に影響を与えていることを雇用者側に対して理解させることに重点を置く措置なのである。

アメリカの有色人種は、制度化された人種差別と批判し、白人は自分達が不当に非難されていると思っている。制度化された人種差別とは、雇用する側が常に人種差別主義者であるという意味ではない。制度化された人種差別とは、私たち自身の、自分達と違う集団に対するバイアスへの無関心によって、人種差別が慣習となってしまう状態を意味する。

まだまだ道のりは遠い。人種に関わる不愉快な事態に、立ち止まってみる必要もある。人種問題に関しておおっぴらに話すことは、難しい上に感情的になりがちである。しかし、そうした話し合いこそ、アメリカが常に目指している変化へと我々を導くのである。課題は解決されていないのだから、この重要な話し合いを、さらに継続していくべきなのである。


全米有権者の11%が「華氏911」を観ている

MoveOn PACのプレスリリースより。

Greenberg Quinlan Rosner Researchの最新調査によると、7月13日までの時点で、全米の有権者のうち11%が、マイケル・ムーアの「華氏911」を観ていると推定されている。さらに、「これから観る」と回答した有権者が33%居て、最終的には全米有権者の44%程度が、「華氏911」を観ると推定されている

また、「華氏911」をすでに観ているか、もしくはこれから観ると回答している有権者の内、約1/3が自身をブッシュ支持者と申告しているという。

ボックスオフィスの報告によれば、「華氏911」は現在2,011館で上映されていて、売り上げ額は米国内だけで100億円(海外分は含まず)を超えている

一方で、ディズニーがマイケル・ムーアに対抗するためにリリースしたと噂されるドキュメンタリー作品「America's Heart and Soul」 の初日から7月15日までの全米売り上げ合計額は307,468ドル(約3,328万8,085円という有様で、上映館は全米で僅か98館だ。

反ムーア団体「Move America Forward」に率いられた「愛国的アメリカ人」たちがディズニー映画に列を作るという筋書きはどうなったんだろう?

2004/07/18

独裁者の後任に独裁者:イラク新首相、主権移譲直前に自ら反政府活動家を撃ち殺す?

シドニー・モーニング・ヘラルド紙2004/07/17付け記事より(Common Dreams転載

イラクの新首相、アヤド・アラウィが、主権移譲直前に、6人の反政府活動家を自ら銃をとって撃ち殺したという目撃情報が報道されている。(時事通信の記事もあり

殺害されたとされる反政府活動家は、バグダッド警察署爆破テロの件で拘束されていた容疑者達で、目隠しされ手錠をかけられた状態でアル・アマリヤ・セキュリティセンターの中庭の壁に立たされ、イラク警察官と4人のアメリカ人ガードマンの目前で、アラウィ首相自ら手にした銃によって射殺されたという。目撃者の証言によれば、アラウィ首相は集まった警官たちに「反政府活動家たちの扱い方について明確なメッセージを警官たちに伝えたかった」と語ったらしい。処刑現場にはイラク内相ファラハ・ナキーブ氏も同席し、アラウィ氏の行動を讃えたという。

この報道について、アラウィ氏・ナキーブ氏の両者とも「単なる噂」と疑惑を否定している。また、米イラク大使のネグロポンテ氏は同紙の取材に対し「噂にいちいち対応していたら他のビジネスを行う時間がなくなってしまう。米大使館の広報にとってみれば、この件は解決済みだ」とメールで回答したという。

他のビジネス」?・・・もしネグロポンテの主張を「ビジネスライク」に解釈するならば、こういうことである:「ホワイトハウス.incの「イラクの自由キャンペーン」は6月末で終了しました。米国政府は「民主主義ブランド」のライセンスを販売しただけで、FC店である新イラク政権が7月から独自に行っている「アラウィの恐怖キャンペーン」については(選挙準備に忙しい)本部としては関知しておりません!」

ところで、イラク新首相アヤド・アラウィとは何者なのか。その経歴について伝える報道はいくらでもあるが、毎日中学生新聞(2004年6月3日)「ニュースの言葉」で、アラウィ氏の経歴を大変わかりやすく説明してくれているので以下に引用する。

(アラウィ氏の経歴)1945年生まれの58歳(さい)。精神科医。イスラム教シーア派で旧イラク王室に近い名家の出身。アラブ社会主義政党「バース党」の党員だったが、同党で勢力を強めていたサダム・フセイン元大統領に反発し70年代半ばに離党(りとう)。英国に亡命した。

 91年には、米中央情報局(CIA)の支援(しえん)で反政府組織「イラク国民合意」を結成。96年、クーデター(武力による政権奪取(だっしゅ))を試(こころ)みたが失敗した。

毎日中学生新聞の記事にサダム・フセインの経歴が併記されていないのは残念だ。そうすれば中学生読者もすぐに「イラク主権移譲」の本質を理解できるだろう。つまり、アラウィ氏とサダム・フセインはライバル関係で、どちらの経歴にもホワイトハウスとCIAが支援者として登場する。二人とも権力を誇示するために虐殺を奨励する。アラウィとフセインの違いといえば、フセインは貧困層出身ということぐらいだろうか。

そこで、フセイン、アメリカ、アラウィの活躍を中心に、イラク戦争の経緯を「暗いニュースリンク」流に以下に要約してみた。(毎日中学生新聞に負けないくらい分かりやすくしたつもりである。)

  1. 米国政府の支援の下でサダム・フセイン政権が確立
  2. フセインがアメリカ製の武器でイラク住民を虐殺し、ホワイトハウス承認の下でクウェートに侵攻
  3. 米軍が(約束どおりクウェート侵攻してくれたお礼に?)イラクを爆撃し、フセインと米国の関係がイラクの経済状況と同じくらい悪化する
  4. アメリカ国内で同時多発テロ勃発、自身の不手際を隠したい米ブッシュ政権は身近な敵を求めてフセイン政権に標的を絞る
  5. 「イラクが大量破壊兵器を自主開発するのはケシカラン!」と妙な言いがかりをつけた米ブッシュ政権は、フセイン政権を(米国製品のコピー商品を開発した)特許違反で訴える代わりに、本物の大量破壊兵器(Made in USA!!)の威力を誇示するためにイラク本土に侵攻(戦費をハリバートンに横流しした米軍は兵士の防弾チョッキが不足しても知らんぷり)
  6. 米国民の税金と世界各国から強請り獲った支援金で、イラク石油油田施設を最優先で復興(イラク住民の生活基盤は崩壊したまま放置するか、戦争下請け国家に一任)
  7. 湾岸戦争を仕込んだ人物の「フセインの作った借金は返せないけど、イラクの石油の売り上げは全部アメリカのものだよ」というムチャクチャな主張に、なぜか日本の首相が大喜び
  8. CIAが仕込んだ刑務所での虐待シーンに世界中が釘付けになっている隙に、ブッシュの友人ブレマー氏は、エンロン社仕込みの不正な会計操作により、イラク産石油の売り上げ200億ドルと、イラク女性のハートを盗み出すことに成功する
  9. 「主権移譲」されたイラク新首相アラウィ氏、CIAとの素敵な思い出を活かすために旧フセインイラク情報部を再開あらためてイラク住民の弾圧を開始、米新任イラク大使ネグロポンテは(前任者に倣い)アラウィ氏の独裁体制を黙認。イラクの大量破壊兵器開発疑惑がアラウィ氏のでっち上げだった事実があまり注目されぬまま、現在に至る・・・

結局のところ、国外に逃げていたアヤド・アラウィは、CIAのセールストークに誘惑されて、イラクの石油資産と引き換えに、独裁権を買い取ったようなものである。これが「イラク主権移譲」の本質といったら、言いすぎだろうか。

2004/07/15

ブッシュ政権破滅の序章?エンロン社元CEO、起訴される

2004年7月7日水曜日、不正会計を積み重ねて経営破綻した米国最大のエネルギー企業、エンロン社の元CEO、ケン・レイがようやく起訴され、手錠をかけられた。2001年12月の破綻から実に2年以上、ノラリクラリと捜査網から逃げ続けたこのテキサスの極悪経営者は、ブッシュ家のごく親しい友人で、ブッシュの2000年大統領選挙時における最大の献金者の1人でもある

テキサス州知事時代から、ジョージ・W・ブッシュはケン・レイを「ケニー・ボーイ」と愛称で呼んで、大口の政治献金に応えるべく、あらゆる便宜を提供してきたが、エンロン社が破綻してからは、このテキサスの友人との蜜月をひたすら隠蔽してきた。

しかし本人がいくら否定しても、ブッシュとケン・レイの間で交わされたラブレター(誕生日祝いから政治的話題まで記述されている)がウェブで公開されてしまっている現在では、トボけ続けるには無理があるのだ。
(大統領会見でエンロン問題を質問されたブッシュは、怒って退席してしまった

ケン・レイ逮捕でもうひとつ注目を集めるのが、チェイニー副大統領と「エネルギー計画書」である。ブッシュ政権が発足してすぐに、チェイニー副大統領は、ケン・レイを筆頭として、支援者である石油・エネルギー企業関係者をホワイトハウスに招集し、合衆国のエネルギー計画策定にとりかかった。副大統領が公開を拒み続ける計画書の中には、イラクの石油資源に関する地図も含まれていたことが、漏洩した極秘書類から判明している。つまり、ケン・レイはイラク戦争開戦の立役者の1人でもあるのだ。

ケン・レイの起訴はブッシュの他にも、トム・ディレイ共和党下院副院内総務に対する違法献金疑惑に波及している。また、アーノルド・シュワルツェネガーが州知事に就任できたのはケン・レイの密かな支援のお陰である。他にも、例えば牛肉問題で来日したロバート・ゼーリック米通商代表は、元エンロン社顧問だ。

ケン・レイの裁判が進行すれば、ブッシュ政権と議会にとって都合の悪い事実が次々に暴露されることだろう。問題は、裁判が無事進行するかどうかである。エンロン社他エネルギー企業各社の不正会計事件の調査では、これまでに以下のような事件で証人が死亡している

クリフォード・バクスター(エンロン社副会長、破綻前に辞職)
2002年1月25日、バクスター氏は自家用車の中で頭を撃ち抜かれた死体として発見された。彼はエンロン内部の不正会計と政治家との各種取引に精通する人物として、議会で証言する予定だった。事件は自殺として処理された。

ジェイムズ・ダニエル・ワトキンス(アンダーセン・コンサルティング社のコンサルタント)
2001年11月13日、ワトキンス氏は仕事から自家用車で帰宅する途中に行方不明になり、2001年12月1日、公園に停車された車の中で頭を撃ちぬかれた死体として発見された。事件は自殺として処理された。(アンダーセン・コンサルティング社はエンロン社に不正会計手法を教えた監査法人

ジェイク・ホートン(電力企業大手サザン・カンパニー社傘下ガルフ・パワー・ユニット社副社長)
1989年4月10日、ホートン氏は自社の不正会計を告発するつもりで、社用の航空機で役員会議へ出かけたが、離陸から10分後に搭乗機は爆破され死亡同社の不正会計を承認していたのは監査法人アンダーセン・コンサルティング社だった。つまりエンロン社の不正会計事件には元モデルがあったというわけだ

2004/07/13

ホワイトハウスからパキスタン政府へ:7月末にビン・ラディンを拘束してくれ!

The New Republic2004/07/09付け記事より。

ホワイトハウスがパキスタン政府に、ビン・ラディン、その代理人といわれるアイマン・アル・ザワヒリ、もしくはタリバンのムラー・モハマド・オマル(この三人は高価値の標的/high-value targets :HVTsとの略号で呼ばれている)の拘束を、せめて11月の大統領選挙までに、可能であれば7月末に実行してほしいと強力な圧力をかけているという情報が、パキスタン軍事情報部(ISI)関係者から暴露されているという。

この情報によると、ホワイトハウスがパキスタン政府に、これら重要テロリストの拘束時期として要請しているのは、7月26日から28日、---ボストンで開催される民主党大会の最初の3日間----とのことである。

この拘束要請に関して、ホワイトハウスがパキスタン政府に報酬として用意しているのは、F-16戦闘機の販売と、カーン博士(パキスタン政府の支援で核兵器を開発し、北朝鮮、イラン、リビアに販売している人物)の黙認であるという。

ところで、パキスタン政府とその軍事情報部は、ムラー・モハマド・オマールの組織を直接支援してきた実績がある。さらに、同時多発テロ直前の2001年9月10日から、ビン・ラディンはパキスタンの軍事病院で腎臓病の治療のため入院していたという情報もある。

果たしてパキスタン政府がホワイトハウスから依頼されたのは、ビン・ラディンの「拘束」だろうか?あるいは「移動」なのか?

2004/07/11

ブッシュが国民に見て欲しくないインタビュー

2004年6月24日、ブッシュ大統領のアイルランド訪問直前に、アイルランドの放送局RTEの女性記者、キャロル・コールマンがワシントンでブッシュ大統領に直撃インタビューを敢行。「ブッシュを怒らせたインタビュー」として世界で話題になっている。アイルランドの女性記者は、どんな質問をしたのだろうか?さっそく、以下にインタビューの冒頭部分を抜粋してみよう。(source/ホワイトハウス公式サイトの記録

キャロル・コールマン:
「大統領、これから24時間後にはアイルランドに到着し、アイルランドの閣僚から歓迎を受けるわけですが、残念ながら、アイルランド国民の大多数はあなたの訪問を歓迎していません。アイルランド国民はイラクの現状に怒っていますし、アブグレイブ刑務所の件でも怒りを感じています。そうしたアイルランド国民の考えに困惑されますか?」

ブッシュ:
「まあ聞いてください。アイルランドの皆さんが偉大なアメリカ合衆国の価値について理解してくれることを願います。もしアイルランドの人々が、一部の兵士の行為によってアメリカ全体を評価しているとしたら、まだ理解が足りないと思います。アイルランドとアメリカには強い絆があり、アメリカには大勢のアイルランド系アメリカ人が居て、母国を誇りにしています。しかし、もしそうした人々がアブグレイブ刑務所の件で怒っているとしたら、もしそれがアメリカの全てだと思われたのなら、それはアメリカを理解していないことになります。アメリカはそんな国ではありません。わが国は思いやりある国家であり、強い国家です。そして我々は自分の国を防衛しているのです。しかし同時に、人助けもします。アイルランドの人々をずっと助けてきたし、これからもそうするでしょう。アイルランドとアメリカの関係は良好なのです」

コールマン:
「(アイルランド国民は)イラクの件にも怒りを感じています。特にイラクで死亡者が増え続けることに対してです

ブッシュ:
「ああ、それはもちろん理解できますよ。誰だって戦争は嫌いですから。しかしアイルランド国民が怒るべきなのは、イラクには残虐な独裁者が居て、住民を攻撃して墓に入れたり、拷問室に入れたりしたという事実に対してでしょう。(中略)ほら、サダム・フセインはイラク国民に対しても、隣国の人にも大量破壊兵器を使っていたんですよ。彼は暴力的な独裁者で、世界の脅威だった・・・国連だって満場一致で、サダム・フセインのことを・・・」

コールマン:
ごもっともです大統領。しかし、大量破壊兵器は見つかっていないんですよ

大統領:
ちょっと待ってくれ。最後まで聞いてくれ。いいかい?・・・国連はこう言ったんだ。武装解除しないと深刻な事態になると。国連はそう言ったんだ。それでどうなった?サダムは武装解除しなかったんだ。彼は武器を公開しなかったから、深刻な事態に直面したんだ。それに我々はサダムが武器を作る能力があったことを発見している。わかるかね?彼は武器を開発できたんだよ。サダムは危険人物だ。サダムが実権を握ったままだったら、誰も世界が良くなるとは言わないだろう」

コールマン:
「しかし大統領、世界は以前よりもずっと危険になりましたよ。現状がお分かりになっているのですか?

大統領:
なんでそんなことを言うんだ?

コールマン:
「毎日テロリストの爆弾騒ぎがあります。毎日のようにです。2年前まではそんなことはありませんでした」

大統領:
「2001年9月11日のことはどうだ?かつては平和だったのに、あんなことに・・・」

コールマン:
今問題になっているのはあなたのイラクに対する対応のことです

大統領:
最後まで聞いてくれ!お願いだから。あなたが質問したら、私が答える・・・いいね?」(以下略)
インタビューは上記のような形で続き、コールマン記者の厳しい批判に直面して、ブッシュ大統領は「最後まで聞いてくれ!(Let me finish.)」を9回繰り返したという。
(参照資料:インタビューを収めたストリーミング動画(要Realplayer):ビデオは1時間ですが、20分40秒過ぎからインタビューシーンが開始されます)

インタビュー終了後には記者と一緒に記念撮影をするなど、穏やかに見えたブッシュ大統領は、内心怒り狂っていたに違いない。このインタビューの後、ホワイトハウスから在米アイルランド大使館に対して抗議声明が送られ、次の日に予定されていたコールマン記者と合衆国ファーストレディ(ローラ・ブッシュ)のテレビ対談は中止されることになったのである

キャロル・コールマン記者が表紙を飾る雑誌
アイルランド魂を世界に示した反骨の女性記者は、アメリカ合衆国大統領を激怒させた結果、キャリアを棒に振ることになっただろうか?いいや。コールマン記者の雇い主は「よくやった!」と彼女の仕事ぶりを賞賛、キャロル・コールマン記者はアイルランドで最大部数を誇る同局のテレビガイド雑誌の表紙を飾った。

ところで、このインタビューが行われる3日前、ホワイトハウスはコールマン記者側に対して、質問内容をあらかじめ提出するよう求めていたという。どうやら、コールマン記者はこのホワイトハウスからの打ち合わせの申し出に、素直に従わなかったようだ。この件に関して、2004年6月30日のホワイトハウス定例会見で、スコット・マクレラン大統領報道官は質問攻めになり、以下のような珍問答が生まれた。(source/ホワイトハウス公式サイトの記録

記者:
「ホワイトハウス内部の誰か、もしくは政権内の人物がアイルランドテレビのキャロル・コールマン記者にあらかじめインタビュー内容を提出するように求めていたというのは事実ですか?」

マクレラン報道官:
「それに関する報告があったとは思うが、インタビュー条件について各企業がどういう議論をしているのかは知らないな。しかし、大統領は、海外からであろうと国内であろうと、ジャーナリストとの会談で政府の優先事項について話すことを快諾している。インタビューの予定がある場合は、スタッフレベルで、インタビュー前に記者との議論はあるだろうと・・・」

記者:
「それは一体何のことか・・・」

マクレラン報道官:
「ええと・・・話す内容についてはいろいろ心積もりもあるだろうが、しかし記者は・・・」

記者:
私が聞いているのはそんなことじゃないんだけど

マクレラン報道官:
最後まで聞いてくれ!最後まで聞いてくれ!(Let me finish. Let me finish. )

2004/07/08

ムーア効果?反ブッシュに動く米国エンターテイメント業界

ブッシュ選挙チームは明らかに「マイケル・ムーア効果」を軽く見積もっていたのだろう。テレビ、ラジオ、新聞の三大政治メディアをコントロールすることに集中しすぎて、映画界を疎かにしていたのだ。

ムーア人気に慌てたテキサスのブッシュ支援団体は、活気づくマイケル・ムーアに対抗するべく「保守派向けカンヌ映画祭」を自負するというイベント「The American Film Renaissance」を開催するという。公式サイトの説明によれば「米国支持を称賛するために捧げられる映画(movies dedicated to celebrating pro-American values)」を集めるイベントらしいが、そんなヒネリのないテーマで創造性が刺激される映像作家が果たしているのだろうか?

「華氏911」以外にもブッシュ陣営を悩ませる映画はある。例えば、地球温暖化による災害を描いた「デイ・アフター・トゥモロウ」のヒットにより、ブッシュ政権の環境非保護政策が世間の注目を集めている。環境関連の訴訟にも詳しいエドワーズが加わったことにより、環境保護団体の票がケリー陣営に集中する可能性は大きい

他にも、ビル・クリントンへの個人攻撃における共和党の謀略を暴露したドキュメンタリー作品「ハンティング・オブ・ザ・プレジデント/The Hunting of the President: The Ten-Year Campaign to Destroy Bill Clinton」が公開され、じわりじわりと人気を集め始めているという。クリントン本人の自伝刊行も重なって、再びモニカ・ルインスキー/ポーラ・ジョーンズ事件が脚光を浴びるかもしれない。そうなれば、ビン・ラディン調査よりも多くの税金をつぎ込んだといわれるスター検察官のクリントン大統領のスキャンダル調査がより一層問題視されることになるだろう。

ところで、ブッシュ陣営の支持母体のひとつ、キリスト教原理主義系団体「Focus on the Family」が、信者向けメーリングリストでマイケル・ムーアの自宅住所と連絡先を公開して嫌がらせを開始している。これにより、ムーア本人と家族への殺人脅迫が続いているようだ。大勢のガードマンに24時間身辺警護されているとはいえ、ムーア監督は標的としてはかなり大きいので警戒が必要だろう。(ところで、ムーアの活動こそ「テロとの闘い」と呼ばれるべきである。日本政府はただちに警察庁警備局の要員をミシガン州フリントに派遣していただきたい。費用は北海道警他各警察本部のヘソクリから出してもらおう)

2億丁以上の銃が一般人の手に握られている国では、もちろん大統領も安心してはいられない。米文学界の異色作家ニコルソン・ベイカー氏8月24日に刊行する最新作「チェックポイント」は、登場人物が「ブッシュ暗殺」について語る物語だ。なるほど、司法長官が図書館・書店の顧客データを欲しがるわけである。

音楽界では、6月11日に開催された「全国ヒップホップ政策会議」を端緒に、これまで選挙に行かなかった若いアフリカ系アメリカ人層が、ラッパー達の民主主義ムーブメントに影響を受けてはじめている。(日本のラッパーはどうした?)彼等が選挙に参加すれば、ブッシュ陣営にとっては脅威のひとつになるだろう。(但し、票が正しくカウントされると仮定しての話である)

さて、米音楽界で最も注目されている話題といえば、9月1日に行われる民主党系コンサート「Concert for Change」だろう。同コンサートには、ひょっとしたら、米ロック界の“ボスブルース・スプリングスティーンが参加し、本格的に反ブッシュの狼煙を揚げるかもしれない。(「Concert for Change」は共和党大会への対抗イベントとして開催され、参加予定アーティストにはボブ・ディランカルロス・サンタナの名もある)

スプリングスティーンは、ベトナム戦争と米国社会への強烈な皮肉を込めたヒット曲「Born in the USA」が、共和党・民主党両陣営から愛国ソングと勘違いされてから、同曲を選挙活動に使用することを禁止し、政治利用されることを警戒しつづけてきた。しかし911テロ直後には、多くのアメリカ市民同様、ブッシュ大統領を熱烈に支持している。真実を知らされていない普通のアメリカ人にとって、それはよく見られる過ちだった。

しかし、ディクシー・チックスの反ブッシュ発言に対して湧き上がったバッシング騒動を目の当たりにして、スプリングスティーンは、再び米国社会に対する深い疑念を持ち始めていた全米巨大ラジオネットワーク・クリアチャンネルからの恫喝に怯えるテキサスの女性グループを擁護すべく、彼は以下のように話している

俺たちはイラクで自由を根付かせるために戦っているはずなのに、同じ自由を故郷で主張する人々に対して、恫喝したり罰したりする連中がいる・・・
(Right now, we are supposedly fighting to create freedom in Iraq, at the same time that some are trying to intimidate and punish people for using that same freedom here at home)」

そして今、スプリングスティーンの公式サイトには、アル・ゴアの強烈な反ブッシュスピーチが掲載され、ブルース自身の推薦文が添えられている。多くのアメリカ市民と同じように、ボスもまた立ち上がり始めたのだ。

2004/07/07

ニューヨークポスト紙の大誤報

ニューヨークポスト紙の大誤報:民主党副大統領候補はゲッパート

7月6日付けニューヨークポスト紙のトップ:「ケリー、副大統領候補にゲッパートを選択」

この「特報」が流通してから数時間後、ジョン・ケリーが副大統領候補にジョン・エドワーズを選択したという報道が始まったとのこと。(source-smokinggun.com


(関連情報:2月24日付け投稿:全米商工会議所、反エドワーズに動く

2004/07/06

FOXニュースライブ:スカル・アンド・ボーンズ

フォックスニュースライブ2004/06/19放送より。(公式サイトにアーカイブなし)

秘密結社スカル・アンド・ボーンズ研究の最新本「Fleshing Out Skull & Bones」の編者、クリス・ミリガン氏が登場して、結社について解説している。面白いので以下にそのインタビュー内容を翻訳して掲載。(ぜひビデオもご覧あれ)インタビューが打ち切られるタイミングが素晴らしい。

ペイジ・ホプキンス(番組ホスト):
「さて、スカル・アンド・ボーンズとは単なるエリートのための友愛会なのでしょうか、あるいはもっと他の目的があるのでしょうか?もうすぐペーパーバック版でも刊行される著作「Fleshing Out Skull & Bones」において、編集者のクリス・ミリガンがこのアメリカの最強の秘密結社について調査しています。今、ミリガン氏がオレゴン州ポートランドから番組に参加してくださっています。クリス、こんにちは。・・・ブッシュ大統領とジョン・ケリーの両者ともに(結社の)会員で、同じ夜に入会したそうですが、この結社はどのように発足したのでしょうか?彼等の二人ともに結社について話そうとしないことに驚きましたか?」

クリス・ミリガン:
「あー、そうですな。結社について話していけないとはよく言われていることです。結社のかつてのルールには、スカル・アンド・ボーンズについて言及された時には、部屋を出るというものもありました。アメリカ国民にとって懸念材料となるのは・・・(ボーンズメンの)忠誠心はどちらを向いているかということです。閉鎖的な秘密結社なのか、それとも我々国民の方が優先されるのか?」

ペイジ:
「まるで小説の世界のようですね、大統領とそのライバルが同じ夜に入会してるなんて。そして結社は秘密のベールに包まれている・・・もう少し教えてください。結社には女性や少数民族も入会できるんですか?」

クリス:
「えーと、そうですね。1991年からは女性も入会できるようになってます。ところで、ブッシュとケリーは別々の夜に入会してますよ。ケリーは1965年の入会、ジョージ・ブッシュは1968年の入会です」

ペイジ:
「ああ、そうだったんですか」

クリス:
「彼等の二人とも、結社に依存しているようです・・・ジョン・ケリーの2回の結婚相手はいずれもボーンズ関係者ですし、ジョージ・ブッシュは仕事で金が必要になったときは何回もボーンズの助けを借りています。しかもブッシュ大統領は、結社から10人を現政権の閣僚に登用して、1人を次回候補に控えさせてます」

ペイジ:
「ところで、結社の会員に共通する特徴は何でしょうか?」

クリス:
「共通点?」

ペイジ:
「お金持ちであるとか?他には何かありますか?」

クリス:
「そうですな、社会学的観点からいえば、秘密結社というものは、玉葱、もしくはピラミッドに非常に似た構造なのです。ピラミッドの下層には大勢の会員が居ますよ。メーソン式のサークルであれば、同胞とか呼ぶでしょう。その上には管理者幹部がいて、その上には核となるグループがいる。核になるグループは近親者のようです。スカル・アンド・ボーンズの場合、ホイットニー家とキャボット家が核になっています」

ペイジ:
「まあ!ところで、著名な会員について取り上げてみましょう。例えば、ヘンリー・ルース。彼は他の会員を勧誘したことで有名です・・・ウィリアム・バックレー・ジュニア、アベリル・ハリマン、ジェイムス・ウィットモア・・・それほど怪しい人々ではないようですね・・・問題は、彼等が、私達のような外部の人間にとって、どんな影響があるかということですね。会員は食事に一緒に行くだけでしょうか?結社はどんな役割を果たすのでしょう?」

クリス:
「そうですね、結社の役割については、人脈作りという見方があります。歴史家としての視点から、彼等の職業を分類して分かったのは、結社会員の大多数は どちらかといえば情報活動に従事しているという事実です。それから、もっとも憂慮すべき問題のひとつは、結社の創始者たちが1800年代初頭から麻薬密売に関わっているという事実です。それはまるで・・・」

ペイジ:
「麻薬密売?!」

クリス:
「そうです。スカル・アンド・ボーンズの創始者はウィリアム・ハンティントン・ラッセルですが、彼の家業はラッセル・アンド・カンパニー社・・・つまり、アメリカで最大の、世界でも第三位の規模になるアヘンの密輸業者です

ペイジ:
「ワオ!クリス・ミリガンさん、あいにく時間となりましたので、お話はここまでにしましょう。興味深い話題でしたね。(以下略)」

(参照リンク)

2004/07/04

「減税という詐欺」byハワード・ディーン

政治風刺漫画サイトCagle Cartoonsの記事コラム2004/06/14より。民主党大統領候補ハワード・ディーンの連載コラムを以下に全文翻訳して掲載。文中でディーン氏が批判しているブッシュ減税については過去記事も参照してください。


「減税という詐欺」(The Tax Cut Scam)

by ハワード・ディーン


過去10年もの間、アメリカ人の多くは減税されていると思い込んでいた。しかし実際には、お金を失っているのだ。

有権者が減税というアイデアを好むのは事実だが、公共サービスが削減されてしまうのは誰でも嫌がるはずだ。しかし今、それが実際に発生している。たいていの労働者家庭にとって、今言われているような減税とは、念入りに仕組まれた会計詐欺でしかない。所得税は下がるが、固定資産税は上がり、児童税控除はあっても、大学授業料は上昇している。婚姻加算税の減免はあっても、医療保険の掛け金は36%も上昇している。

平均的な労働者にとっては、減税によってポケットに1ドル入る度に、他のポケットから2ドルがこぼれ落ちるようなものだ。現在の減税政策は、アメリカの歴史上最大且つ最長規模の連邦政府赤字を作り出す主要な要因であり、毎年およそ5,000億ドルが政府の財政赤字として追加されている。

しかも状況はさらに酷くなっている。

そうした減税政策は、子供たちの世代に負債として重くのしかかることになり、やがては大きな税負担を強いられるだろう。基本的な生活も、教育も受けることができなくなる。現状の減税トリックは、米国の中流家庭に対して成功機会を奪い、毎年追加される赤字額は国家の競争力を著しく減退させている。

総じて、現状の減税政策は、国民の生活に対して以下のような直接的影響を与えている:

  1. 連邦住宅補助プログラムの減少と、「落ちこぼれ防止法(No Child Left Behind)」の実施によって教育予算が地域行政府と教育委員会の負担になったために、個人の地方固定資産税は上昇した。
  2. 84,000人分の大学奨学金が消滅した。州政府は公立大学を支援する予算を減額したため、過去3年間のうちに公立学校の授業料は50%近く上昇した。この傾向により、労働者家庭に生まれた児童にとって大学教育はより困難になり、中流家庭に対しては負債を抱えさせるか、年金積立金の取り崩しを強いている。
  3. 医療保険の掛け金が減税以前よりも上昇した。150万人が低所得者向け医療扶助制度(Medicaid)資格を失い、その医療費用の負担は医者と病院から保険会社へと転嫁され、医療保険加入者の掛け金上昇につながっている。

国土防衛も大切だが、医療保障、教育、職業訓練、住宅補助などの計画も、国家の最優先課題であり、適切な財源が必要であると私は信じる。また、相当数の有権者がその考えに同意してくれていると思う。何と言っても、私たち国民こそが、そうした国家政策への投資によって利益を得る主体のはずだ。個人の生計となれば誰でも予算どおりに生活費をやり繰りしなければならないように、政府の政策も算段されるべきだろう。

政治家達が考えているよりも、アメリカ国民はずっと賢いのである。タダ飯なんて誰も期待していない。政府が国民を大人として扱うつもりなら、減税のような耳障りのいい政策の実施に伴う本当の代償というものを、法案が可決された後ではなく、法案可決の前に国民に知らせるべきなのである。次に合衆国大統領になる者は、最優先課題の一つとして、労働者家庭に対しても公正さを保てるような税制の正常化を目指すべきだろう。中流家庭に暮らすアメリカ国民が、再び希望を持てるように。


2004/07/02

アッシュクロフト司法長官は「スパイだーマン」

「市民の自由が失われるかのように錯覚させ、平和を愛する人々を怖がらせている者に対して、申し上げておきたい。 そのような考えはテロリストを助けるだけだ」 ---2001年12月6日、上院司法委員会におけるアッシュクロフト司法長官の発言---

市民団体「Alliance for Justice」が、アッシュクロフト司法長官の辞任を求める運動の中で、「アッシュクロフトはスパイだーマン」(注:苦しい訳で申し訳ない)という楽しいアニメ広告を掲載している。映画「華氏911」で自慢のノドを披露しているアッシュクロフト氏が嫌われる理由のほんの一部をちょっと解説してみよう。

熱心な聖書原理主義者であり、「史上最悪の司法長官」と評判のジョン・アッシュクロフト氏は、史上最大の権力を許された司法長官でもある。全ては911テロ直後のドサクサに紛れて成立した、米愛国者法のおかげである。(the USA PATRIOT Act:正式な法案名はUniting and Strengthening America by Providing Appropriate Tools Required to Intercept and Obstruct Terrorism)

米上院議会での同法案可決時に、反対票を投じたのはウィスコンシン州のラス・フェインゴールド議員だけだったということで、「議会の誰も法案書類を読まずに賛成した」と映画「華氏911」作品内で揶揄されている米愛国者法。この法律が実際に効果を発揮した事例は限りないが、例えば以下の事件がある:



2003年2月15日、ニューヨーク大学は、同校で開催される「哲学と政治」講演会での記念スピーチのために、ギリシャのアテネ国立工科大学のユージーン・アンゲロプロス教授を招待した

アンゲロプロス教授は、米ケネディ空港に到着するとすぐに、ニューヨーク大学の出迎え挨拶の代わりに、米捜査当局によって手錠をかけられ、身柄を5時間に渡り拘束された。教授と捜査官の間ではこんな会話が交わされたという:

教授:
「私に手錠をかけるとは、何か容疑があるんでしょうな」

捜査官:
「いちおう規則なので、悪く思わないでください。あなたは戦争に反対ですか?

教授:
「それが手錠をかける理由なのかね?」

捜査官:
「質問に答えろ!戦争に反対なのか?」

教授:
「もちろん反対だよ」

捜査官:
あなたは反アメリカ主義ですか?

教授:
「なんだって??何が言いたいんだ?私は戦争には反対だよ、他の人だって反対だろう。それが反アメリカ的かね?」

捜査官:
「(メモを書きながら)“教授はイラク戦争に反対している”・・・」

アンゲロプロス教授が、独立系放送局デモクラシー・ナウ!で、この馬鹿げたやりとりを暴露してから、ニューヨークのホテルに戻ると、FBIから電話メッセージがあった。「“邪魔が入らない環境で”もう一度会見したい」という申し出だった。アンゲロプロス教授はギリシャ大使館に連絡し、大使館はFBIに教授の無実を訴えた。ニューヨークでの講演を終えた教授は、大使館の専用車に守られながら、早々に米国を離れたという。

上記の事件でギリシャ政府を怒らせてから、アメリカ政府は何を学んだだろうか?

2004年6月21日、米最高裁は、路上で捜査官が米国市民に名前を名乗るよう要求した場合、米国市民はこれを拒否してはならないという判断を下した。この決定により、刑事映画でよく見られるような「あなたには黙秘権がある(You have the right to remain silent.)」という逮捕シーンの決まり文句は省略できることになったわけである

ところで、アッシュクロフト司法長官とブッシュ政権の見解では、国家に対する最大の脅威はテロリズムであるが、テロ行為の定義には何が含まれるのだろうか?この質問には、カレン・ヒューズ---ブッシュ選挙チームの広報担当顧問を務める女性で、911テロ直後に、ブッシュ大統領が最初に相談した相手---が丁寧な回答を用意していた。

2004年4月25日、ワシントンで115万人ほどの男女が妊娠中絶の権利を求めてデモを行った際、「ホワイトハウスでのブッシュの母親役」と呼ばれるカレン・ヒューズは、CNNのインタビューで以下のように話している。(注:ブッシュ政権は、母体が危険になる場合を除き、全ての妊娠中絶手術(レイプによる妊娠を含む)を原則禁止する法の制定を目指している)

「911テロ以降、アメリカ国民はより一層生命を重んじるようになり、全ての生命の尊厳を重んじる政策が必要であると悟ることになりました。

ブッシュ大統領が仰るように、分別ある行動を心がけましょう。生命を大切にしましょう。中絶を減らすために努力しましょう。養子縁組を増やしましょう。そうした考えこそ、アメリカ国民が支持すべき政策だと思いますね、特に敵と戦っている時代にあっては・・・

それに、私たちと(敵である)テロリスト組織との基本的な違いは、私たちは全ての生命を重んじるということです。それはわが国の基本信念であり、創造主によって与えられた不可分の権利であり、人生と自由と幸福を追求する権利なのです。

あいにく、我々の敵であるテロリスト組織においては、ニュースでもご覧のとおり、無実の者だけでなく、自分たち自身に対しても生命が重んじられていないのです。」


つまり、カレン・ヒューズはこう言いたいのである:ブッシュ政権は妊娠中絶をテロリズムとして認識している

彼女の発言に女性団体が抗議したのはいうまでもない。しかし、アッシュクロフト長官はこの「テロリズム」の捜査のために、米国内の病院の妊娠中絶患者のリストを入手し、蓄積しようとしている。この目論見は医師側の提訴によって一端は止められたが、愛国者法の下では、FBIは捜査令状なしで監視、盗聴、個人情報へのアクセスが認められ、捜査情報は非公開にできるので、その後の展開は明らかでない

合衆国が世界に誇る情報公開法も、司法省相手には役にたたない。アッシュクロフト氏は、かつて公開されていた政府文書を極秘扱いに変更して「公開したくない」とダダをこねているし、市民団体が司法省に対して情報公開を求めた最新事例では、「データを引き出せばコンピューターが壊れる」という珍妙な言い訳で拒否されているのだ

「アメリカはより安全になった」とブッシュは言う。しかし、スピーチが苦手な大統領の言葉よりも、NBCの人気司会者ジェイ・レノのジョークのほうが、傾聴に値すると感じるアメリカ人は多い。以下にその最高傑作を引用しておこう。

「イラクの憲法策定の話ばかりだけど、わが国の憲法をまるごと譲っちゃえばいいんじゃないか?大勢の賢い連中が書いたんだし、200年もうまく機能してきたんだからね。それに、もう使われてないわけだし。」
"They keep talking about drafting a Constitution for Iraq. Why don't we just give them ours? It was written by a lot of really smart guys, it's worked for over 200 years, and well, we're not using it anymore"
---「トゥナイト・ショー」2004年3月28日放送分でのジェイ・レノのジョーク---

2004/07/01

「無視してはいけない問題」byハワード・ディーン

政治風刺漫画サイトCagle Cartoonsの2004/06/07付連載コラムより。草の根市民団体「Democracy for America」を率いる大統領候補ハワード・ディーンの人気コラム6月7日掲載分を以下に全文翻訳して掲載。



「無視してはいけない問題」(A Problem We Must Not Ignore)

by ハワード・ディーン


現在、4,300万人以上のアメリカ人が医療保険未加入状態だが、状況はさらに悪化しつつある。表現を変えてみよう。もし医療保険未加入のアメリカ国民だけにヤンキースタジアムのシングル席を販売したなら、この先5シーズンもの間、スタジアムの席は医療保険未加入者で埋ることになる。

世界一の金持ち先進国なのだから、アメリカはもっと良い状況にできるはずだ。両親がお金を払えないからという理由で、病気の子供を医者に診せることができないというのは、間違っている。乳房撮影の費用が払えないからという理由で、女性が乳癌の末期を迎えてしまうという状況は、間違っている。お年寄りが、必要としている処方箋と、毎日の食事のどちらかを選択しなければいけない状況は、間違っている。つまり、先進工業国としては世界で唯一、適切な医療保障を受けられない国民の存在を許しているアメリカ合衆国は、全く間違っているのだ。

これは単に社会的問題というだけでなく、経済的な問題でもある。米国医学研究所によれば、合衆国が毎年350億ドルを保険未加入のアメリカ人のために費やしている間、650億ドルから1,300億ドルの生産力が失われているのである。

労働者の医療保障費用は過去3年間で50%上昇している。実際、医療保障費用の上昇率は物価上昇率の4倍に跳ね上がっているのだ。中流家庭にとっては耐えられないほどの負担が強いられている。

過去6年間もの間、この問題を解決するために何の努力も払われていない。実際、悪い状況はさらに酷く悪い状況になり、新たに400万人近いアメリカ国民が、その6年の間に医療保障資格を失っている。加えて、全国消費者団体「Families USA 」の報告によれば、現大統領の最新の予算案における低所得者向け医療扶助制度(Medicaid)予算は、2005年度で10億ドル削減、今後10年間で160億ドル削減予定となっている。州ごとの低所得者向け医療保障プログラムが、劇的に削減されることを強いられているにも関わらずである。(低所得者医療保障プログラムから締め出される)150万人のアメリカ人は、現実に医療サービスを受けている。彼等は救急医療室へ行き、支払えない分の費用が病院側に計上され、病院側は医療保険会社にコスト負担を依存することになる。そしてその負担は、実際に医療保険に加入している人々への保険料上昇となって跳ね返ってくるのだ。

さらにアメリカ国民は、高齢者向け医療保険制度向け(Medicare)処方箋費用として、5,400億ドルもの金額を国民の税金から支払っており、そのお金の大部分は、老人たちにではなく、保健維持機構や、製薬会社、保険会社へ移動していくだけなのである。サービスの削減と税負担を地方財源に頼ることで、急増する合衆国政府の財政赤字を補填している間に、50万人の子供と100万人の大人が、低所得者向け医療扶助制度(Medicaid)から締め出されてしまっている。

もっとうまくやれるはずだ。この問題が存在していないかのように振舞うのはもう止めにしよう。医者として、州知事経験者として、問題解決が簡単でないことは分かっている。しかしながら、今のまま事態が進行すれば、医療保障制度は完全に崩壊するのを待っているだけだ。イギリス、フランス、ドイツ、カナダ、スペイン、ギリシャ、日本、アイルランド、イタリア、イスラエル、オランダ、スウェーデン、ノルウェー、フィンランド、さらにいえばコスタリカですら全国民に医療保障を提供できているのだ。アメリカだってやるべきだろう。


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