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2004/07/28

「クリントンのせいにしろ!」軍団とクリントン・ノスタルジー

CBS放送の最新調査によれば、米国民の65%が「現在の合衆国は間違った方向に進んでいる」と感じているという。まあ、そうだろう。トリプル赤字の経済政策、嘘に基づいて始まったイラク戦争の泥沼、司法長官の奇妙なテロ対策等々、現在の米国政治にいいところは一つも見つからない。もちろん問題の責任は現ブッシュ政権にある。

Catastrophe:Clinton’s Role in America’s Worst Disaster

「クリントンのせいにしろ!」の典型

しかし、そうした悲惨な現状に関して、ブッシュ政権陣営や保守系コメンテイター(政治家、テレビタレント、ジャーナリスト、フォックスニュースチャンネルのキャスター・・・)達は、機会あるごとに「クリントンが悪い!」というヤケクソな説明をしている。

こうした人々をアル・フランケンは「クリントンのせいにしろ!」軍団(The Blame-America's-Ex President-First Crowd)と呼んでいるが、これら軍団の姿勢を象徴する事例として、例えば保守系ニュースサイトNewsmax社の記者が刊行している書籍「Catastrophe:Clinton’s Role in America’s Worst Disaster(大惨事:米国史上最悪の事件とクリントンの役割)」がある。同書の説明文はこんな感じだ:

「1993年1月20日、ウイリアム・ジェファーソン・クリントンが42代大統領としてオフィスにやってきたとき、大災難は始まった。(中略)それからの8年間、ビル・クリントンは米国史上最も堕落した政権を仕切ることになる・・・」

クリントン政権がテロ対策に熱心だったという事実は、すでにリチャード・クラークの暴露本「爆弾証言:すべての敵に向かって」でも明らかになっているだけでなく、911テロ調査委員会の最終報告書でも記されている。ワシントンポスト紙の要約によれば、クリントン大統領は情報部から提出された詳細なメモを熟読し、ノートとコメントを追加してさらに追加の報告を求めるというのが好みだった。一方で、書類を読むのがキライなブッシュ大統領は、早朝にCIA長官のジョージ・テネットから口頭で説明を受けるのみだった。クリントンはビン・ラディン暗殺計画まで考えたが、ブッシュはアルカイダと無関係のフセインに夢中だったことは誰でも知っている。
ブッシュ大統領のブリーフィング風景

ブッシュ政権の「ブリーフィング」風景


ブッシュ政権は単に怠惰というだけではなく、ビン・ラディンの資金ネットワーク(パキスタン軍事情報部-サウジアラビア王家-国内イスラム過激派組織に及ぶ)の捜査を封じていたことも知られている。ビン・ラディン資金網の捜査を担当していたFBIのジョン・オニール捜査官は、ブッシュ政権の怠惰な姿勢に腹を立てて辞職し、WTCビルのセキュリティ担当者となって、同時多発テロで一度は退避しながら、ビル内の人間を避難させるために再びオフィスに戻り、帰らぬ人となったのである。ブッシュ政権とクリントン政権、どちらがテロ対策に真剣に取り組んでいたのか?知らないのはNewsmax社だけだろう。(Newsmax社といえば、「華氏911」上映妨害キャンペーンを支援する企業としても有名だ)

民主党保守派(極右派?)のクリントンは、民主党リベラル派から見れば共和党員のような存在かもしれないが、経済政策面で華々しい成果を出したクリントン時代の繁栄を懐かしむ「クリントン・ノスタルジー」に陥る米国民は急増している。

ビル・クリントン政権と、ジョージ・W・ブッシュ政権の経済面での成果の違いをまとめた記事The Center for American Progressから以下に引用したのでご覧いただきたい。経済政策だけを見ても、ブッシュ政権こそが「大災難(Disaster)」なのだ。

貧困
クリントン大統領時代、貧困率は1992年のブッシュ父政権時代に比較して、25.2%減少した。しかし、現ブッシュ政権になってから貧困率は逆に7.1%上昇している。2000年から2002年の間、貧困率は13年ぶりに2年連続して上昇し(11.3%から12.1%)2002年度の米国内の貧困人口は3,460万人に増加した。(その内1,210万人は子供が占める)

税制
ワシントンポストの記事:「多くのアメリカ国民は2001年から生活状況が後退したと感じており、約71%の国民は減税の恩恵を全く受けていないと回答している。CBSニュースとニューヨークタイムズが3月に実施した調査によれば、ブッシュ政権の減税政策により税金が下がったと信じる国民は僅か22%であり、25%の国民は実際には税金が上昇したと回答している」

失業率
4年前に比較して、仕事を見つけられない人の数は増加している。現在の米国全体の失業率は5.6%。4年前は4%だった。クリントン政権時代、2,270万人の雇用が新たに創出された。現ブッシュ政権においては、新たに110万人の雇用が消失したままである。

賃金
ここ4年間で賃金上昇率は劇的に降下している。2000年の時点では、中流層の賃金は4.9%上昇していたが、2003年の時点では2%にとどまっている。インフレ率を考慮すると、2003年度の賃金は実質的に低下している(1996年以降初めての賃金低下)。就業中の一般労働者にとって、企業の収益率が向上しているにも関わらず、一般家庭の住宅費用、教育費用、医療費用が急速に(2桁の率で)上昇している「さかさま経済」の状況では、経済再生という価値観そのものが疑問となりつつある。

財政
2000年の会計では、アメリカ合衆国の財政の余剰金は230億ドルで、総予算よりも1,760億ドルも多い数字だった。2000年度の合衆国の財政黒字は230億ドルであり,クリントン時代の累積黒字は1,760億ドルであった。一方、2004年1月の時点で、米連邦議会予算事務局の見積によれば、本年度の合衆国の財政は4,770億ドルの赤字となる予定である。

破産
現在、自己破産率は過去最高を記録している。AP通信によれば、「3月末までの12ヶ月で自己破産は2.8%増加」、その期間中の自己破産件数は161万8,062件。

ボストンで行われている民主党大会に登場したビル・クリントン元大統領は、最近人気が急上昇しているというアル・ゴア元副大統領と同じく、根強い人気をアピールしていた。手書きのメモ用紙を切り貼りしながら自作のスピーチ原稿を用意しているという少々暢気なジョン・ケリー大統領候補は、クリントン・ノスタルジーに酔う米国民を救えるだろうか?

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