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2004/08/20

「ウォルマート星人、地球を侵略」byバーバラ・エーレンライク

Nickel and Dimed

「Nickel and Dimed:On (Not) Getting By In America」(公式サイト

ニューヨークタイムズに掲載され、おおいに話題となったバーバラ・エーレンライクのコラム記事を以下に翻訳掲載。こんなコラムがメジャーな新聞に掲載されるあたり、米社会も少しは流れが変わりつつあるかもしれない。

バーバラ・エーレンライクは、著者自らウォルマート他米国の一般的なサービス業に体験取材した著作「Nickel and Dimed:On (Not) Getting By In America」がベストセラーになり、一躍有名になったジャーナリスト。今回のコラムでメタメタに批判されているウォルマート星人は、出資相手である西友の経営スピードが気に入らないのか、ダイエー支援を足がかりに日本国内での本格展開を目指しているようだ。しかし同社の自慢する「低コスト経営」は人類に馴染まない・・・



「ウォルマート星人、地球を侵略」


by バーバラ・エーレンライク(ニューヨークタイムズ紙2004/07/25付けコラム

カリフォルニア州イングルウッドからシカゴまで都市を引き裂き、バーモント全州は飲み込まれてしまった。衝突は全国家レベルになり、大統領選挙の争点となっている。ジョン・ケリーが、その超大型小売り業の底抜けに安い賃金について激しく攻撃すれば、ディック・チェイニーは「計画性、公正さと完全主義の象徴」として彼等を賞賛。これは21世紀における紛争の中心的存在になるかもしれない。「地球人対ウォルマート星人」の闘いのことである。

その船団がいつの間に地球に降り立ったか、正確には誰も知らない。しかし、初期の頃は紳士的な拡大戦略により、普通の生物と見られていた。考えてみれば、その笑顔と赤、白、ブルーの旗のせいで、人類の皮をかぶっているときの彼等は、50年代のSF映画に出てくる宇宙からの侵略者のようにあまりにも普通すぎたのだ。

その後成長は始まり、2000年までに、ウォルマート星人は見たこともないサイズに拡大していった・・・その規模はゼネラルモータースよりも大きく、スイスよりも金持ちだ。大きさに関する話はそれで充分。現在注目すべきはその成長速度だ。毎週2つのメガストアが開店するたびに、10億ドル相当の米国の土地が買い上げられている。およそ60万人のアメリカ人従業員が1年でごっそり入れ替わる(従業員の離職率は44%に及ぶ)。簡単な計算をすると、西暦4004年には、合衆国の全ての土地はウォルマートのスーパーセンターで埋め尽くされ、新規開店は既存店の上階に作らなければならなくなる。(訳注:2003年度のウォルマート全店の総従業員数は140万人)

もちろん、そんな事態になる以前に、ウォルマートはトラブルの的となるだろう。なぜなら、同社の店舗で働く地球人のうち、ほとんどの者は自分の店で買物することもできなくなるからだ。ウォルマートは大衆に消費者主義をもたらしたが、同社の抱える「仲間」---従業員という意味の遠まわしな表現だ---その半数以上の人々は、企業が提供すべき医療保障もなく、「色落ちジーンズ( Faded Glory jeans)」ほどの気遣いすら受けられない。

経済状況に沿って時給が下がるにつれ、地球上で最大の雇用数を誇るウォルマートの売り上げ成長率はすでに鈍化している。

私自身、2000年度の同社での勤務の際、着用が義務付けられる7ドルのポロシャツに身を包む女性と一緒に働いたが、それもまた適わぬ夢だった。従業員がその制服を買うとしたら、1時間分の勤務に匹敵する値段だ。

ウォルマートの各店舗では従業員にフードスタンプ(食糧配給制度)と生活保護を申請するように指導している。多くの従業員は他にも仕事を掛け持ちしている。ウォルマートに批判的な人々は、同社が公共の助成金を10億ドル浪費しているというが、それは従業員の生活のために申請されているわけではない。どうやらウォルマート星人は、地球に降り立つ前に、人類が生存に必要とする生理的条件を調査し忘れたらしい。

しかし、飢えたハイエナのような欲求にあがく生物は、物事に配慮する余裕もない。ウォルマートは、性差別と残業代未払い(全く給与を払わないという意味)の件で集団代表訴訟を起こされているが、深夜シフトの従業員は店に閉じ込められ、救急車も呼べないという件でも、同じくらいの批判が湧き上がっている。そういった状況は、私たちが提携する第三世界の搾取工場にもみられる労働環境だが、実際にウォルマートは、大学のロゴ入り衣料を製造する企業を監視している労働者権利コンソーシアムの提示する、10の条件のうち少なくとも5つの条件を満たしていない。ウォルマートが世界最大の搾取工場といわれる所以だ。

企業の犯罪性が指摘されていても、、アーカンソー州ベントビルの本部は「会社があまりにも大きくなったので・・・」(つまり管理不能となったということだ)と説明し、泣き言をいいながら助けを求める始末。しかし誰が一歩前に出て、ウォルマート星人に人類との共存の方法を教えてやれるだろう?推進派であるジョージ・ウィルやナショナル・レビュー誌のジェイ・ノードリンジャーには期待できない。彼等はウォルマートへの批判を、「リベラルなインテリ」はウィリアム・ソノマ(米国の高級生活用品店)をお好みなのだ、と一蹴している。(白状すると、私はコストコのほうが好みだ。コストコは従業員にきちんとした給与を払うし、従業員の90%は健康保険で守られているし、通説によれば、きちんとした人類によって経営されている)

ウォルマートの望みは天敵に委ねるしかない。カリフォルニア州イングルウッド市でのウォルマート出店に反対し、成功を収めたマデリン・ジャニス・アパルシオのように。

「店を崩壊させるのが目的ではないの」彼女は言う。「説明責任を果たさせるのよ」

世界サービス業従業員組合の会長アンディ・スターンは、「ウォルマートに人類の生活基準を遵守させる」ための全国的な運動をもうすぐ開始する予定だ。彼は、すでにウォルマートの猛烈な拡大と戦い続けている組合、教会、地域コミュニティや環境団体と共同で、全国的な潮流を起こすつもりでいる。

どこから来たのか知らないが、ウォルマート星人に告ぐ:人類と共存する道を選ぶか、さもなくば母船に戻りたまえ。


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