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2004/08/23

共和党全国大会の影で・・・(1)復活したCOINTELPRO(敵対情報活動計画)

スプリングスティーンを攻撃するテレビ広告画面キャプチャ

「ブルース・スプリングスティーンはレーガンを批判し、ニューヨーク警察を非難し、ブッシュ大統領を弾劾しています。彼は歌で何百万ドルも稼いで、選挙への参加を呼びかけています。だから私も投票させてもらうわ。ボスをボイコットしましょう私はマリリン・オグレディ。保守派の上院議員候補です。私はブッシュを支持します。」(・・・つまり彼女は市民に選挙参加されては困るというわけだ)

8月30日からニューヨークで始まる共和党全国大会は、正式に共和党大統領候補として党から推薦される予定のブッシュ再選チームにとって大事なイベントだ。しかし党大会の警備という重責を担うブルームバーグ・ニューヨーク市長(共和党)をはじめ、共和党関係者が現在もっとも懸念している問題は、国土安全保障省が発するテロ警告ではなくて、「反ブッシュ」というキーワードらしい。

もっとも、共和党大会と同じ期間に近所で開催され、ブルース“ザ・ボス”スプリングスティーンが出演予定という「反ブッシュ」コンサートについては、すでに共和党の上院議員候補であるマリリン・オグレディスプリングスティーンを攻撃するテレビ広告に投資しているので、ブッシュ政権にとっては「対策済みの脅威」だ。

ブッシュ陣営が反ブッシュコンサート以上に警戒しているのは、共和党大会会場周辺での、反戦団体、環境保護団体、中絶権利擁護団体等による反戦デモ行進の勃発だ。ニューヨーク市長率いる警備当局は、先手を打ってセントラル・パークでの市民団体による反戦デモを禁止しているが、「合衆国憲法違反だ」と市長を訴える市民達に、共和党関係者は安心できないのである。(過去に触れたとおり、ブッシュ政権率いる共和党員とその支持者にとって、市民団体による反戦活動は「テロリズム」と定義されている)

そうした状況にあって、「民主主義との闘い」を得意とするアッシュクロフト司法長官は、共和党大会に市民団体が押し寄せることを防止するために、司法組織を総動員して、効果的な「対テロ活動」を開始することにしたらしい。

現在、FBIは反戦運動に参加経験のあるアメリカ市民の自宅へ片っ端から突撃訪問を実施している。FBI捜査官は訪問先の市民に夕飯のメニューを尋ねる代わりに、共和党大会に向けて反対運動を行う予定があるかどうか尋問し、活動を止めるよう威圧しているというのだ。この件をいち早く伝えたニューヨークタイムズ紙の2004/08/16付け記事を以下に引用しておこう:

「FBI、政治的に問題ある市民の住居へ個別に訪問を実施」

ニューヨークタイムズ紙2004/08/16付け記事より抜粋)

現在、FBIは、共和党大会での暴力的なデモ活動の発生を未然に防ぐための積極策として、合衆国全土にわたり、政治活動に参加する市民へ職務質問をするだけでなく、まれにそうした市民を当局へ召喚する活動を展開している。

FBI幹部は、捜査員たちを各地域住民宅へ個別訪問させて、共和党大会の開催地での騒乱を招く行為を計画に関する情報を捕捉し、騒動を引き起こす可能性のある市民のリストを作成していると話している。民主党大会にあわせて先月から開始されているこの捜査活動では、政治的意向の相違ではなく犯罪の可能性がある事例のみに注目して活動していると当局は説明している。

しかしFBIによって訪問された市民によれば、捜査当局の意図は明らかにされず、政治的活動に対して質問されたのは嫌がらせではないかと感じている。

21歳のサラ・バードウェルは、デンバーの反戦団体に所属し、2週間前に6人の捜査官から訪問されている。「(FBIの訪問で)感じたのは・・・当局はデモに参加しないよう私たちを脅して、こう言いたいのよ。“監視されてるんだぞ”ってね。」

サラ・バードウェルと仲間達

FBIから訪問を受けたサラ・バードウェルと仲間達。仲間と歩く姿はいかにも危険なテロリストに見える・・・と司法省は考えているらしい



司法省に率いられた、この異例ともいえる捜査活動では、インターネットを通じて資金集めや参加者募集をしている市民団体の情報等も、捜査資料として当局に蓄積されているという将来トラブルを起こす可能性がある(といっても反戦デモだ)というだけで犯罪者扱いなんて、スピルバーグの「マイノリティ・レポート」みたいじゃないかという批判もあるが、アッシュクロフト司法長官が「テロ対策」のためと言い張れば、合衆国愛国法の下、国民に逃げ道はない

強大な権力を託されたアッシュクロフト長官は、政敵への攻撃方法も一味違う。米航空業界のテロ容疑者リストである「搭乗拒否リスト('No Fly' List)」には、議会でのブッシュ批判の急先鋒として知られる民主党の重鎮、エドワード・ケネディ上院議員の名前も掲載されているのだ。おかげでケネディ議員は、地元ボストンからワシントンへ飛行機で往復するたびに「あなたには搭乗券を販売できません。理由は言えません」と空港職員に止められたという

もちろん、アッシュクロフトに「商用航空機に乗るな」と言われても、自家用機に切り替えるほどケネディ議員は馬鹿ではない。ケネディ議員は知っているのだ。ミズーリ州の上院議員選挙で、アッシュクロフトと席を争った民主党候補メル・カナハン氏は、投票日が間近に迫る2000年10月16日に、息子の操縦する小型飛行機に搭乗して選挙キャンペーンに向かった。しかしカナハン親子を乗せたセスナ335モデルは、離陸直後に操縦不能に陥り墜落カナハン親子と同乗者の三人は死亡したのである
(それから2年後の同じ時期、ミネソタ州上院議員選挙でも同じような事故が発生しているが、いずれもブッシュの周辺で起こる偶然の一部であろう)

後日ミズーリ州で実施された選挙で、死亡したカナハン氏に得票数で負けたアッシュクロフトは、2001年に誕生したブッシュ政権によって拾われたわけで、史上最悪の不人気閣僚といってもいい。

映画「華氏911」で、「鷹よ舞い上がれ(Let the Eagle Soar)」という自作の歌を聞かせてくれたアッシュクロフト長官。曲のタイトルからしてすでに充分狂っているが、この曲の歌詞カードは司法省内部で配布されていて、司法省職員は長官と共に職場で合唱する栄誉を与えられているそうだ。司法省の或る女性職員は、英ガーディアン紙の取材にこう語った。「あの歌を聞いたでしょ?本当に最悪よ

しかしアッシュクロフト長官は国民を感動させるために歌ったのではなく、国民に警告してくれていたのだ。今、彼の愛する鷹は、空高く舞い上がり、アメリカ国民を民主主義という敵から守るために、上空からジッと監視している

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