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2004/08/25

共和党全国大会の影で・・・(2)ブッシュの成果自慢は逆効果?

「全ての児童に優れた教育を施すために学校の改革に取り組むとなれば、成果が大切だ。 家族がより多くの手段と選択肢を得られるよう医療保障改革に取り組むとなれば、成果が大切だ。 わが国の経済状況の改善と雇用の促進に取り組むとなれば、成果が大切だ。 私たちの国をより安全にしてテロの脅威と闘うならば、成果が大切だつまり大統領を選ぶとなれば、成果が大切なのだ。」

---ジョージ・W・ブッシュ(2004年7月30日、ミズーリ州スプリングフィールドでの遊説にて)

現在、ブッシュ選挙チームは「成果が大切(results matter)」というキャッチフレーズを前面に、キャンペーンを続けている。ブッシュがホワイトハウスを乗っ取ってから、良い成果が出ているかのように大衆をミスリードすることを意図して作られた見事な標語だが、「成果」を数字で評価する米国社会にあって、これほど反論を導きやすい戦略はないだろう。ブッシュ政権の「成果」について、ブッシュ自身のスピーチに沿って以下に記してみた。(source:The Progressive TrailThe Center for American Progress Claims vs. Facts Database

教育:
  • ブッシュ政権が誕生してから、4年制公立大学の学費は35%上昇した(平均年額1,207ドルの増加)。
  • ブッシュの「落ちこぼれゼロ法」の施行により、合衆国内の学校予算は2004年度だけで94億ドル(約1兆316億円)も減額された
  • 2004年度予算で、ブッシュは3万人分の教師訓練プログラムを削除し、自身の提案した「落ちこぼれゼロ法」で要求されている9万2,000人分の教師の訓練プログラムも予算不足で実施されていない
  • ブッシュの2004年度予算では、若者向け職業訓練プログラム(Youth Opportunities Grants)予算は全額(4,800万ドル)削除されている。
  • 全米州議会議員連盟によれば、ブッシュの「落ちこぼれゼロ法」の内容に23の州が異議を申し出、連邦政府の補助を全面的に拒否してでも同法に従わないと決定する州もあるという。
  • ブッシュは、自身が法制化した「落ちこぼれゼロ法」の予算を、署名時に比べ270億ドルも減額している。
  • ブッシュ政権の2004年度予算によれば、児童の課外プログラム予算は40%減額されている。
  • ブッシュの2005年度予算によれば、パーキンズローン(大学生向け連邦学資貸付制度)の支出は4億2千700万ドル減額される予定である。
  • 「私の提案により最も予算が増額された省庁は教育省だ」とブッシュは語っているが、実際に最も予算が増額された省庁は国防総省であった。(142億ドル増加)

医療保障:
  • ブッシュ政権誕生後、医療関連の個人負担額は、平均25%上昇した。
  • 現在米国では4,400万人以上(ブッシュ政権誕生後に400万人増加)が医療保障を受けられない状態であるが、ブッシュの提案する2005年度予算では、低所得者向け医療扶助制度(Medicaid)予算は10年間でおよそ160億ドル減額される予定である。

景気と雇用対策:
  • 2001年から2002年の僅か1年間で、貧困家庭に属する18歳以下の児童の割合は、15.8%から16.3%に上昇した。
  • ブッシュ政権誕生から現在まで、新たに210万人以上が失業したままである。2004年の任期満了までに、ブッシュ大統領はフーバー大統領(第31代:1929-1933:共和党)以来最悪の失業率を記録する見込みである。
  • 一般教書演説で、ブッシュ大統領は5億ドルの雇用計画予算を宣言したが、その後同じ計画予算から7億ドルを削減した。
  • ブッシュは演説の度に米国の失業率を5.6%と主張し、「悪くない数字」と自画自賛して国民をミスリードしている。実のところ、現在米国では870万人が積極的に雇用先を探す失業者で、正社員になりたいがパートの仕事しか見つけられない労働者は490万人(過去10年で最大数)。仕事をしたいが「個人的に経済状態が悪すぎて」積極的に雇用先を探す余裕がない失業者は150万人。これら3つの層を合わせると、現在の合衆国の実質失業率はおよそ9.7%。ホワイトハウスの発表する「5.9%から5.6%に失業率が低下した」という内実は、積極的に雇用先を探していない失業者数を省いている。

国土防衛・テロ対策:
  • イラク戦争に触発された結果、アルカイダの組織力は以前より強大になり、現在では世界60カ国に18,000人のアルカイダ構成員が潜伏していると見られている。(国際戦略問題研究所の2004/05/25付けレポート)
  • 国防総省予算増額のために、合衆国内322地区の都市警備予算は25%以上減額されている。
  • 911テロ発生時に活躍した消防員達は英雄と呼ばれたが、ブッシュ政権の提案により合衆国内の消防署の予算はテロ後に1/3ほど減額された。約2億5千万ドルの地域消防署向け予算が削除された結果、アメリカ国内の防災体制はきわめて脆弱になっている。合衆国全土の消防署員はブッシュ政権の施策に猛烈に反発している。

まさしく、「大統領を選ぶとなれば、成果が大切」という言葉どおり、ブッシュ政権の4年間の成果を有権者が正確に知ることになれば、そして正常で民主的な選挙が実施されるとすれば、ブッシュは絶対に再選されないだろう。

そうした「無残な成果」に関する正確な事実が有権者の間に知れ渡ることを防止するために、ブッシュ陣営と共和党は様々な趣向を凝らしてマスコミを煙に巻こうとしている。

例えば、ブッシュとチェイニーの地方選挙遊説イベントの際に、マイケル・ムーアやその他「政治的に立場の偏った(by小泉首相)」ジャーナリストが取材に来ることを恐れたブッシュ選挙チームは、一風変わった入場制限をしている。演説チケットを入手するには、ブッシュ政権を支持するという誓約書にサインしなければならないのだ

しかし、共和党全国大会でそんな報道制限を設けたらすぐ話題になってしまうので、この方策はうまくいかないだろう。

そこで、ブッシュ政権の「無残な成果」を攻撃するヒマをケリー陣営に与えないように、ブッシュ陣営と共和党は「ケリーの軍歴は嘘」という虚偽情報に基づく無謀なPRキャンペーンを開始して、政策論議から国民の目を遠ざけようとしている。

なぜこのキャンペーンが無謀なのかといえば、お金で引っ張りだしてきたベトナム退役軍人の中には、ケリーと同じ時期にベトナム戦争に従軍していたことを「ケリーと共に闘った」と誇張する者がいたり、「嘘をついた」と謝罪する者もいたり、また実際にケリーと一緒にベトナムで高速艇チームに居た退役軍人もケリーの証言を裏付けているなど、ケリーを攻撃する当事者たちの嘘があまりにも簡単に暴かれてしまっているからだ。

しかも、このケリー攻撃キャンペーンの出資者であるボブ・ペリーという人物はテキサス州で最大の共和党献金者で、「ブッシュの頭脳」カール・ローブ大統領上級顧問の個人的な友人であることが暴露されている。さらに、ケリー攻撃騒動により再びブッシュ大統領自身の脱走兵騒動が再燃し始めている。(しかもブッシュの脱走兵騒動は事実に基づいている)まさしくブッシュ再選キャンペーンにとって逆効果なのだ。

このような失敗を繰り返している中、共和党全国大会後にブッシュ陣営が活動方針をどう変えていくかが、おおいに注目されている。やはり政府内で検討されているとおり「テロによる選挙の延期」を目指すのだろうか?

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