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2004/08/10

「I Love You, Madame Librarian」byカート・ヴォネガット

現代アメリカ文学の代表的作家カート・ヴォネガットの最新コラムを以下に全文翻訳掲載。(文中リンクは訳者による)

同氏の作品の中で、個人的には「スローターハウス5(カート・ヴォネガット・ジュニア名義)がいちばん好きだ。それはともかく、憧れだった作家の言葉をリアルタイムに知ることができるのは嬉しい。残念ながら当のヴォネガット氏は、このところ大変不機嫌なご様子だ。その理由は・・・



「愛しの図書館員さん」
I Love You, Madame Librarian


In These Times誌2004/08/06付けコラム

by カート・ヴォネガット

皆さんの大半がそうしたように、私もマイケル・ムーアの「華氏911」をすでに観ている。作品タイトルはレイ・ブラッドベリの偉大なるSF小説「華氏451」のパロディである。ついでながら、この華氏451という温度は、書籍を作る紙の発火点のことだ。ブラッドベリの小説中のヒーローは、本を焼くのが仕事という公務員である。

本を焼くといえば、図書館員の方々に祝辞を言いたい。肉体的にはそれほど剛健でもなく、政府とのコネもなく、金持ちでもない彼等は、民主主義に反する横暴な連中が、書棚からある種の書籍を取り除こうとするのを断固として阻止し、その書籍を借りた顧客の個人情報を思想警察に受け渡すことを拒否している

私の愛するアメリカは未だ存在しているが、それはホワイトハウスや最高裁や上院や下院、メディアの中にはもはや見当たらない。私の愛するアメリカは、公立図書館の受付デスクに存在しているのだ。

書籍についてもう少し。私たちの毎日の情報源である新聞、テレビなどは昨今あまりにも臆病で、アメリカ人を代表するにしてはあまりにも気が緩んでいて、情報価値もほとんどないので、実際に何が起きているかを知るには書籍に頼るしかない。実例を示そう:クレイグ・アンガーの著作「House of Bush, House of Saud」は、屈辱的な、恥ずべき血塗られた年となる今年度の初頭に出版されている。

まだお気づきでない方のために言っておくと、フロリダの恥ずべき不正な選挙により何千ものアフリカ系アメリカ人の公民権が恣意的に剥奪された結果として、私たちは自らを、高慢で、にやついて顎を突き出した、無慈悲な戦争偏愛者として、ゾッとする兵器と反論を許さぬ姿勢でもって世界中に自己紹介しているのである。

まだお気づきでない方のために言っておくと、私たちはかつてのナチと同じくらい、世界中から恐れられ嫌われるようになっているのだ。

それには充分な理由がある。

まだお気づきでない方のために言っておくと、選挙で選ばれていないわが国の指導者は、ただ単に宗教と人種を理由にして、何百万もの人類から人間性を奪ってしまった。私たちは思いのままに彼等を傷つけ、殺し、拷問し、収監した。

そんなの朝飯前さ。

まだお気づきでない方のために言っておくと、私たちは宗教や人種という理由ではなく、下層階級の出身というだけで、自らの兵士達から人間性を奪ってしまった。

どこにでも兵隊を送り出せ。何でもやらせればいい。

朝飯前さ。

オライリー・ファクターだ。

そんなわけで、私は故郷を持たぬ男になった。ただし図書館員と、あなたが今読んでいるシカゴを拠点とした雑誌「In These Times」は例外だが。

イラク侵攻の前、偉大なるニューヨークタイムズ紙は、大量破壊兵器の存在を保障していた。

アルバート・アインシュタインとマーク・トウェーンは人生の終わりに人類に絶望したが、トウェーンは第一次世界大戦を見ないで済んだ。今や戦争はテレビ娯楽の典型例になった。第一次世界大戦が特に娯楽向きだとしたら、アメリカの二つの発明品、有刺鉄線とマシンガンのおかげだ。 手榴弾はそれを発明したイギリス人(シュラプネル)にちなんで名づけられた。あなたも何かの名前になりたいでしょう?

比類なき先達であるアインシュタインとトウェーンのように、私もまた人類には絶望しはじめている。そして、お気づきの方もあるかもしれないが、私が冷酷な戦争機械に降参したのは、これが初めてではない。

私の臨終の言葉?「人生とは動物一匹、ネズミ一匹にすら役にたたないものである。」

ナパーム弾はハーバード出身だ。Veritas!(ラテン語:本当だ!)

我等が大統領がクリスチャンだって?アドルフ・ヒットラーだってそうさ。

気違いじみた人々が、つまり良心なき連中が、情けや恥の意味もわからず、政府や企業から金を持ち出して、自分たちのものにしてしまうという時に、若い世代の人々に何というべきだろうか?

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