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2004/08/17

他人に戦争を奨励する人々

ジョージア州の民主党上院議員マックス・クリーランドは、25歳の時にベトナム戦争に従軍し、戦友が足元に落とした手榴弾によって両足と右腕を失った。ベトナムで手足を失って帰還した兵士は6,878人、そのうち52人は三肢を失っている。クリーランド議員もその1人として、青銅星章と銀星章を叙勲している人物だ。

そして、クリーランド議員はブッシュ大統領をストレートに批判する数少ない議員でもある。

さて、アメリカにはビル・オライリー、ラッシュ・リンボーに代表される、極右評論家(Ultra right-wing pundit)という奇妙な職業がある。フォックスニュースチャンネルや保守系ラジオ局を根城にする彼等は、メディアに登場するたびに「イラクを爆撃しろ!」「反戦を唱える奴はテロリストか共産主義者だ」「大統領を批判する奴は恥を知れ!」「民主党員はアルカイダの味方」などと繰り返す。そして、驚くほどの視聴者を抱え、彼等の書く本は飛ぶように売れる。

彼等は報道済みの情報を歪曲し、他人を攻撃する際には実在しない発言を捏造する。また、「イラクとアルカイダは911テロの主犯」という誤解をアメリカ国民に信じこませる際に、彼等はブッシュ政権と共に重要な役割を果たしている。(このあたりは米メディア操作監視サイトMedia Matters for Americaに詳しい:わかりやすい動画もある

アン・カルター

アメリカの極右アイドル:アン・カルター

極右アイドルのアン・カルターもそうした扇動家の1人だ。従軍経験がない彼女は、ブッシュのベトナム逃れを批判するクリーランド議員を攻撃するために、自らのコラムで以下のように書いた。(2004/02/12付けTownhall.com(ヘリテージ財団の広報サイト)掲載コラムより抜粋)

「クリーランド議員が手足を失ったのは、日常業務である非戦闘任務中、戦友とビールを飲もうとしたときに発生した事故のせい。クリーランドは地面にあった手榴弾を見つけ、拾い上げただけ。フォート・ディックス(米陸軍訓練基地)でも起こりそうなことよ。実際、クリーランドは州兵(彼は“週末兵”と馬鹿にするけど)の時に手榴弾を落としたかもしれないわね。クリーランド自身の経歴とブッシュ大統領への尊大な態度は、ラッキーなことに、ベトナムに居る間にそうした出来事に遭遇したおかげよ。」

(Cleland lost three limbs in an accident during a routine noncombat mission where he was about to drink beer with friends. He saw a grenade on the ground and picked it up. He could have done that at Fort Dix. In fact, Cleland could have dropped a grenade on his foot as a National Guardsman ・or what Cleland sneeringly calls "weekend warriors." Luckily for Cleland's political career and current pomposity about Bush, he happened to do it while in Vietnam. )


もちろん、カルターが言うクリーランド議員の事故内容は全くの嘘である。実際には、クリーランドは敵が包囲するベトナムの戦闘地域にヘリで降り立った際、他の兵士が落とした手榴弾を発見し、自軍の被害を防ぐために自ら拾い上げたのだ

アメリカの保守派論客や、いわゆるネオコン陣営はメディア上で盛んに戦争を賞賛し、反論するものには暴言を吐き、戦争に反対するものを「裏切り者」と呼ぶ(アン・カルターの得意技)。「兵士を助けろ(Support our troops)」と人に言いながら、実際に戦争に従軍した兵士が反戦を主張した途端、平気で(嘘に基づく)人格攻撃を行う。そして、戦傷を負った兵士を中傷する。

現在も、ブッシュ陣営はベトナム戦争の退役軍人をお金で集めて、ジョン・ケリーの軍歴を侮辱させる選挙活動を行っている。(第三者団体をでっちあげてケリーを攻撃する周到さは、まさしく“ブッシュの頭脳”カール・ローブのやり方だ)それに沿う形で、ラッシュ・リンボーやオライリー、アン・カルターはケリーへの人格攻撃を同じセリフで毎日実施している。

なぜこれら「米国右派」の人々は、自国の兵士を平気で人格攻撃し、人が死ぬ戦争を賞賛できるのか?答えは簡単。彼等にとって戦場は他人事でしかないからだ。

米国では、戦争を賞賛・扇動しながら自らは従軍・戦場経験がない人々を「Chickenhawks」と呼ぶ。

以下に、米国の政治舞台に登場する共和党有名人達の軍歴を「ブッシュ脱走兵サイト」から引用しておこう。誰がChickenhawksに該当するかよく覚えておいて欲しい。

名前・肩書き軍歴と発言
ジョージ・W・ブッシュ大統領ベトナム逃れのためテキサス航空隊に親のコネで裏口入隊、成績が悪いために特別に個人講習を受けるが、コカイン所持がバレるのを恐れ脱走、給与のみ受け取る。「私は戦時大統領だ!
リチャード“ディック”チェイニー副大統領ベトナム徴兵拒否。「他に優先事項があった」と本人談。「もしイラク戦争に反対票を入れたりしたら・・・」
ドナルド・ラムズフェルド国防長官海軍飛行教官として三年勤務。戦場経験なし。「アフガニスタンはいい標的がないからイラクに爆弾を落とせ」
ポール・ウォルフォウィッツ国防副長官軍隊経験なし。「イラク国民は囚人虐待事件をあまり気にしていない
ジョン・アッシュクロフト司法長官軍隊経験なし
フロリダ州知事ジェブ・ブッシュ軍隊経験なし
カール・ローブ大統領上級顧問ベトナム徴兵拒否
ロナルド・レーガン元大統領(故人)第二次大戦中、入隊するも視力障害のため兵役免除。代わりに陸軍のプロパガンダ映画に出演。「爆撃隊に居た」と嘘をついたり、キューブリックの映画「博士の異常な愛情(Dr. Strangelove)」に憧れて大統領就任時に「WAR ROOMへ案内してくれ」と言うなど、現実と映画の区別がつかなかった。(source
コリン・パウエル国務長官ジャマイカ移民でブロンクス育ち。軍隊経験30年以上、ベトナム、朝鮮戦争に従軍。「金持ちの子息がベトナムを逃れるのは許せない」と自伝で告白。
下院・院内総務トム・ディレイ議員ベトナム徴兵拒否。「貧乏な少数民族の若者が金を稼ぐために軍隊を溢れさせたので、私のような愛国者が入隊することはできなかった」と語る。(source
ラッシュ・リンボー(極右タレント)軍隊経験なし。(アブグレイブ刑務所虐待事件について)「俺は連中がお楽しみしただけだといってるんだ。息抜きしただけさ
ビル・オライリー(極右タレント)軍隊経験なし。「もうイスラム世界に我々が干渉するのは止めにしよう。我々に出来ることは、連中を爆撃して徹底的に痛めつけることだ
ショーン・ハニティ(極右タレント)軍隊経験なし。「ジョージ・ブッシュの再選を神に祈りましょう
マイケル・サベージ(極右タレント)軍隊経験なし。「アメリカ国民の大部分はブッシュ大統領にアラブ世界に核爆弾を落として欲しいと願ってる。(中略)イラク戦争を、日本との戦争と同じようにして終わらせてやりたいんだ
ジョン・マケイン上院議員海軍戦闘機パイロットとしてベトナム戦争に従軍。母艦から離陸時に友軍の誤射で負傷。帰国する代わりに再度出撃し、撃墜されて5年間を捕虜として拘束された。銀星章、青銅星章、パープル・ハート勲章を叙勲。民主党大統領候補ジョン・ケリーは盟友。
アーノルド・シュワルツェネガー加州知事1965年にオーストリア陸軍入隊、脱走してボディビルディング大会に出場。優勝トロフィーを持って陸軍に戻りそのまま刑務所へ。軍事訓練を免除されボディビルダーの道に進む。戦場経験なし。(source)「どこかの国で独裁者となるか、イエスのような救世主になることを夢見ていた

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