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2004/09/03

アメリカの選挙と人種差別:フロリダだけではない

他国に押し売りするほどに民主主義を誇るアメリカで、今、現実に何が起こっているのか?

2000年大統領選挙時に、フロリダ州で共和党による大規模な不正行為があったこと---知事であるブッシュ弟の指示により黒人住民の投票権が不当に剥奪され、大量の少数民族票がカウントされなかった---については、イギリスを始めヨーロッパ、アジアでも広く報道されており、政治に関心のある人であれば大抵が知っている事実だ。
(もちろん例外もある。日本の大手メディアは2000年大統領選挙について未だに正確な報道を行っていない)

2004年8月25日、合衆国の二つの有力市民団体、NAACP(全米有色人種向上協会)とPFAW(People for the American Way)が、「ジム・クロウ(黒人差別法)の長い影:今日のアメリカにおける有権者への脅迫と弾圧The Long Shadow of Jim Crow: Voter Intimidation and Suppression in America Today)」というレポートを共同リリースした。NAACPのジュリアン・ボンド委員長によれば、「投票者への脅迫と弾圧は、民主党が黒人票をより多く獲得している状況に対抗するために、共和党が用いる常套手段になりつつある」という。

共和党全国委員会広報担当のクリスティン・イバーソンはこのレポートに激怒して「これら二つの市民団体は単なる出来事を陰謀論に仕立て上げて、民主党のジョン・ケリーがブッシュ大統領を打ち負かせるように手助けしようとしている」とワシントンポスト紙の取材に回答している。しかし彼女は、共和党が行っている選挙における有色人種差別活動については否定できていない。

CNN、フォックス他大手メディアが必死で無視するアメリカの恥部は、地方メディアでは頻繁に報道されている。以下に、最近のアメリカ国内選挙における人種差別の実例を挙げてみよう。(source:The Long Shadow of Jim Crow: Voter Intimidation and Suppression in America Today、他地方ニュースサイト)

  • 20年ほど前から、共和党は「投票保安」「投票者の質的向上」という名目で、有色人種への組織的な攻撃活動を開始している。少なくとも過去に3度、共和党による選挙妨害活動は法廷闘争へと持ち込まれている。

    最初の事例:1981年、ニュージャージー州で、武装警備員によるヒスパニック系、アフリカ系アメリカ人有権者への妨害事件が発生、同時に郵便による投票権侵害行為が明らかになった。

    第二の事例:ニュージャージーの事件から6年後、同じタイプの「投票保安」活動がルイジアナ州、ジョージア州、ミズーリ州、ペンシルバニア州、ミシガン州、インディアナ州で行われていたことが発覚。暴露された共和党全国委員会の記録によれば、ルイジアナ州だけで6〜8万人の有色人種が投票から排除されたとされている。(1986年、ルイジアナ州知事選では、選挙管理事務所の共和党員が1万人の黒人の投票権を剥奪した事件が発覚している。)

    第三の事例:それからさらに3年後の1990年、ノースカロライナ州の上院議員選挙では、共和党候補ジェシー・ヘルムズの選挙チームが、「投票時に住民登録証を表示しないと逮捕される」という嘘が書かれたニセ選挙連絡ハガキを、125,000世帯(アフリカ系アメリカ人が97%を占める)に配布、アフリカ系アメリカ人有権者を投票所から遠ざけた。
  • 1988年の大統領選挙では、カリフォルニア州オレンジ郡の投票所に制服を着たガードマンが現れ、ヒスパニック系住民の投票を妨害したガードマン達は共和党が雇い入れていた
  • 1998年、サウスカロライナ州の黒人居住区で、州議会議員が、「警察当局は選挙日に捜査活動を行う」と書かれたパンフレットを3,000枚ほど配布し「刑務所に行く犠牲を払ってまで投票する必要はない」と有権者を脅迫した。
  • 2000年の大統領選挙時、フロリダ警察は異例の交通警備を実施して、黒人有権者が投票所に行けないように威圧した。フロリダ警察は貧困層の多く住むレオン、ベイ、エスカンビア郡の道路を封鎖し、免許証、住民登録証を検査、レオン郡に至っては無許可の道路封鎖を実施し、投票所から2マイル離れた場所に150台以上の車を停車させた。
  • 現在、フロリダ州オーランド地区では、武装した州捜査当局の私服捜査員が、2003年度市長選挙の不正捜査の調査と称して、黒人のお年寄りが住む住民宅へ個別訪問を繰り返している。地元住民はこの行為を、黒人住民の2004年度大統領選挙参加を諦めさせるためのフロリダ州当局による威圧行為と批判し、司法長官に人権侵害を訴えている(司法に訴えるのは無意味だ。フロリダ州知事はブッシュ弟、司法長官は・・・)
  • サウスダコタ州では、共和党員が運営する選挙管理事務所によるアメリカ先住民への差別が継続している。2004年には、法律の裏づけがないにも関わらずアメリカ先住民、黒人他有色人種に写真つき身分証明書の提示を要求している。(当然ながら白人には要求されていない)

    サウスダコタのアメリカ先住民は約16,000人で、大半が民主党支持者。先住民は免許を持っていないことが多く、写真付き身分証明書を提示できない

    2003年に地元の選挙管理事務所を共和党員が占めてから、写真つき身分証明書の提示を求める条例が制定されたが、写真つき身分証明書を持っていない場合は宣誓供述書に署名すれば投票できるという適用除外がある。それにも関わらず、ほとんどのアメリカ先住民は投票所の職員から威圧され、証明書の携帯と提示を強制されている。しかも公共の広報システムが整備されていない田舎では、この身分証明書提示の件は投票日の当日に初めて有権者に知らされるという。(source

    現在、フロリダ州、ミシシッピ州、ミズーリ州でも、同じように有色人種住民に対して投票時に写真付き身分証明書の提示を求めているという。(ブッシュ政権により新しく制定された投票支援法(The Help America Vote Act)は全州に写真付き身分証明書の提示を求めているが、多くの州が反発している。)
  • 2002年、ルイジアナ州の黒人居住区で、「上院議員選挙の投票日は12月10日火曜日です」というチラシが配布された。実際の投票日は12月7日だった。
  • 2002年のアーカンソー州上院選挙では、共和党選挙調査委員が、投票にやってきた黒人有権者の投票シーンを写真撮影して、嫌がらせをした。
  • 2003年、フィラデルフィアでは、法執行機関を偽装した記章付きの黒塗りセダン300台ほどが、黒人居住区で投票行為を妨害した。
  • 2004年初頭、テキサス州ウォーラー郡で、地元の地方検事が、黒人が多数を占める地元大学に在籍する学生は投票資格がないと説明した。26年前に、この土地では連邦裁判所が学生への人種差別を禁止している。
  • 2004年7月、ケンタッキー州の黒人共和党員が、同州の共和党委員会委員長に、アフリカ系アメリカ人居住区での投票妨害計画を見直すよう申し入れている
  • 2004年夏、ミシガン州の共和党議員ジョン・パパジョージ氏の発言:「デトロイト住民の投票を弾圧しておかないと、今年の選挙は我々にとって苦しくなるぞ」(デトロイト住民の83%はアフリカ系アメリカ人が占めている)
  • 現在、テネシー州ナッシュビルの下院議員に立候補している共和党のジェイムズ・L・ハート氏の公約は、アメリカ全土に優生学(eugenics)浸透させることであるという

    同氏は、政府が移民流入を禁止し、福利厚生を停止しなければ、アメリカ合衆国は「巨大なデトロイトになってしまう」と警告している。他にもハート候補は「全ての白人家庭はその児童も含め防弾チョッキと銃を携行すべき」と主張している。(この危険な共和党候補は、既に予備選挙で勝利している

国内選挙にこれだけの差別問題を抱えながら、ブッシュ大統領は何をしているかというと・・・
  • 2004年、アリゾナ州に遊説に来たブッシュ・チェイニー選挙キャンペーンの選挙事務所に、地元新聞の記者が取材を申し込んだ際、「取材に来る記者の人種を教えてくれ」と言われ話題になっているアリゾナにはアメリカ先住民が多く居住し、記者も先住民系であった

    ブッシュ選挙チームの広報担当者によれば、取材者の人種を記録することは「シークレットサービスが報道関係者を識別するために必要」だとしているが、取材を申し込んだ企業によって対応を変えていることが明らかになっている。(ブッシュ・チェイニー遊説の際に取材申込をする記者は、人種情報の他、事前に名前、生年月日、社会保険番号を申告する義務があるという)

・・・どうやら、ブッシュ政権は中東地域での民主主義販売に忙しく、合衆国や自身の選挙チームの人種差別問題にまで手がまわらないらしい。

今年の大統領選挙の投票日、マイケル・ムーアや欧州安保協力機構(OSCE)の選挙監視団はフロリダ州の投票状況を監視するというが、選挙不正はフロリダだけではないので、間に合わない可能性が高い。だいいち、たいていのアメリカ人は「監視」などという消極的な手段よりも、積極的に「民主化」するほうを好むだろう。(他国にもそれを勧めているのだ)

一方で偶然にも、米国の最友好国を自称する(イスラエルを考慮に入れていない)日本政府内では、防衛庁が自衛隊の海外活動を本来任務にしようと躍起になっているらしいから、自衛隊の実績を積む意味でも、日本政府には、ぜひともアメリカ合衆国全土に自衛隊による選挙民主化部隊を派遣してもらいたい。そうすれば似たもの同士で退屈な今年の大統領選挙をよりエキサイティングに演出できて、大手メディアは視聴率急上昇に大喜びだろう。

ついでながら、派遣される部隊の先頭は、見栄えのしない石破長官よりも、よりエキゾチックなお遍路さんスタイルの菅氏に任せたい。四国霊場八十八カ所巡りの次は、合衆国50州投票所巡りこそがふさわしい。(日テレの24時間テレビ放送チームも同行させれば、菅氏の名誉回復イベントにピッタリだ。)

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