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2004/10/13

「ディベート前に事実を確認する」byクルーグマン

ニューヨーク・タイムズ紙2004/10/12付けコラムより。

今やタイムズ紙名物となった、経済学者ポール・クルーグマン教授の最新コラムを以下に全文翻訳して掲載。



「ディベート前に事実を確認する(Checking the Facts, in Advance)」

by ポール・クルーグマン

明日、ブッシュ大統領が---すっかり自暴自棄になっているように見えるが---ディベートで何を言うかを予測することは難しくない。以下にあなたが耳にすることになる歪曲された嘘と事実を、8つ挙げてみよう。

雇用の創出
ブッシュ氏は、2003年夏から170万人分の雇用が創出され、景気は「強く、さらに強くなっている」と言うことだろう。それは中間試験で単位を落として、科目を終了するために少なくともCクラスを獲得する必要があるときに、最終試験でDクラスに陥ることを自慢するようなものだ。

ハーバート・フーバー以来、雇用を減少させたのはブッシュ氏が初めてである。これは言葉以上に重大な問題だ。なぜなら、人口増加率に間に合わせるには、毎年およそ160万人分の雇用創出が必要だからである。これまでに創出された雇用は、初期の雇用消失よりは良いニュースだとしても、とても人口増加に追いついていない。しかも、この国が必要とする仕事数と実際に募集している仕事数の非常に大きいギャップは、埋るようにも見えない。

失業率
ブッシュ氏は、2003年のピーク時から失業率が低下していることを自慢するだろう。しかし就労人口数は全く上昇していないのだ。失業率が低下しているのは、失業した人々の多くが、仕事を探すことを諦めてしまっているからであり、そうした人たちが失業率の統計から省かれているだけのことである。就労率---仕事に就いているか、もしくは仕事を探している人口の割合---は、ブッシュ政権下で急激に降下している。2001年1月の統計から考えるとすれば、公式な失業率は7.4%ほどになるだろう。
赤字
ブッシュ氏は、不景気と911テロが財政赤字の原因と言うだろう。しかしながら、米連邦議会予算事務局の試算によれば、2004年度の財政赤字のおよそ2/3は、大規模な減税が原因ということである。
減税
ブッシュ氏は、ジョン・ケリー議員が「中産階級」向け減税に反対していると言うことだろう。しかし米連邦議会予算事務局の数字によれば、ブュシュ氏の減税政策のほとんどは、米国内の上位10%の裕福な家庭向けであり、しかも減税額の1/3以上は上位1%の、年収が100万ドルを超える人々に恩恵をもたらすことが判明している。
ケリー氏の減税計画
再度、ブッシュ氏は、ケリー氏の計画では多くの中小企業の税金が上昇すると言うだろう。実際には、かなり少ない影響に過ぎないのである。また、ケリー氏が先週ディベートで指摘したように、ブッシュ政権の中小企業経営者という定義はあまりにも誇大なので、2001年には、実際に材木業者に出資しているブッシュ氏自身も、中小企業経営者に含まれてしまっていたが、当人はあまりにも無頓着なので、忘れていたようだ。
財政責任
ブッシュ氏は、ケリー氏が2兆ドルの支出を提案していると言うだろう。これは党派色の強い主張で、独立した見積よりもはるかに誇張されている。ところで、共和党大会後にワシントン・ポスト紙が指摘したように、ブッシュ政権自身の提示する数値によれば、ブッシュ氏の掲げる計画では「支出は3兆ドルを超える見込み」で、「ケリー氏の計画をはるかに上回る」金額である。
支出
先週金曜日に、ブッシュ氏は防衛費以外の自由裁量分の支出を僅か年率1%に抑えたと言った。しかし実際の数字はインフレ調整後でも8%である。ブッシュ氏は自身の予算公約---ずっと裏切り続けている---と現実を混同しているようだ。
医療政策
ブッシュ氏は、ケリー氏が医療に関する裁量を個人から奪おうとしていると言うだろう。ケリー氏の計画では、メディケイド(低所得者向け医療扶助制度)を(メディケア:高齢者向け医療扶助制度も同様に)拡大し、特に、児童が医療保険を受けられるようにすることを目指している。この計画は国民を悲惨な医療費から守ることになり、特に慢性的な病状の人々を助けることになるだろう。患者の裁量を狭めるということには全くならない。

ブッシュ氏の嘘と不当表示を並べ立てて、ケリー氏はミスを犯していないと私が言うとお考えだろうか?それは違う。

ケリー氏は時々、言葉足らずのことがあり、あら捜しする連中を喜ばせることになる。彼は160万人の雇用が失われたと言っている。それは民間企業の雇用についてであり、公務員の雇用上昇分を差し引けばいくらか少ない数値になるだろう。しかし、雇用状況が本当に酷い状況であることに変わりはない。ケリー氏はイラク戦争の費用を2,000億ドルと話しているが、実際に使われた費用は今のところ1,200億ドルである。しかし、この先800億ドル以上の戦費が必要になることは疑いようもない。要点を言えば、ケリー氏は、せいぜい、おおざっぱな言い方について批判される余地があるだけのことなのである。彼の主張の要旨は全く正しい。

一方で、ブッシュ氏の主張は、基本的に不正直なのである。大統領は黒を白と言い、失敗を成功と言い張っているのだ。報道関係者たちは、自身の安全のために、ブッシュ氏の嘘を暴くのと同じだけの時間を、ケリー氏の言葉の選択への攻撃に割り当てているが、それは読者を裏切っているのではないか。

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