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2004/10/11

米教育省、チェイニー妻の圧力により合衆国の歴史教育ガイドを大量廃棄

Los Angeles Times2004/10/08付記事より。

今夏、米教育省は、副大統領のの批判を受けて、小学生が合衆国の歴史を学習する際の保護者向け教育小冊子の内、在庫分の30万冊以上を廃棄していたことが判明した。

今年6月から、教育省は、小学生の児童を養育する保護者の歴史教育の手引きとして10年来配布している73ページの小冊子「Helping Your Child Learn History」の、通常の改訂作業を終えた最新版の配布を開始していた。

その小冊子は、連邦政府の助成によりUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)で策定された国家歴史基準(National Standards for History)へ何度も言及していたが、この基準に反対する極右層の代弁者である副大統領の妻リン・チェイニーが組織的に教育省に抗議し、慌てた教育省担当者が、同冊子の在庫廃棄と改訂を渋々ながら決定したという。(UCLAの策定した国家歴史基準は、あくまで推奨基準であり、導入するかどうかは教育現場の判断に依存しているが、すでに多数の州で導入されてきた実績がある)

リン・チェイニーの主張では、UCLAの策定した合衆国の歴史に関する記述は「アメリカの達成した偉業について充分にポジティブとはいえない」として、特にクー・クラックス・クラン(Ku Klux Klan)やマッカーシー議員50年代の反共産主義扇動時代についての記述、特に地下鉄組織(南部の黒人奴隷を北部に逃がす活動をした地下組織)と、自ら奴隷として逃亡し、組織運営に貢献した黒人女性ハリエット・タブマンに関する記述について、「多すぎる」と批判を展開している。

チェイニー妻の抗議により、教育省は、在庫を一掃した後で、改訂版歴史教育ガイドを発刊することになったが、それにはUCLAの歴史基準に関する部分が全て削除されているという


リン・チェイニー:軍事ビジネスの旨みを究める夫以上のウルトラ右翼女性


「エドワーズ候補はラッキーだ。ディベートの相手が、リンではなくて夫のディック・チェイニーなんだからね」

---ビル・プラス(テレビ司会者)


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リン・チェイニーの歴史小説「シスターズ」現在入手困難でプレミア付きの初版本表紙。心無いリベラル派からは「完全なレズビアン・ポルノ小説」と笑いのネタにされるが、異性同士、同性同士の性描写が満載されているからといってそれは失礼だろう。ましてや敬虔な宗教右派である女性がポルノを書くはずがない・・・かどうかは読めばわかる(本文抜粋はオンラインで読める


「夫よりもずっと保守的」と自ら語るリン・チェイニーの経歴は、元々決して保守派向きではなかった。夫と同じくワイオミング出身で、80年代に女性解放運動に傾倒していた彼女は、女流作家として81年にヒット作「シスターズ:開拓時代、全てのルールを越えた強き美しき女性の物語(Systers:The novel of a strong and beautiful woman who broke all the rules of the American frontier)」をカナダで刊行している。女性同士の愛の交歓を赤裸々な性描写で讃えたこの作品を刊行した直後に、リン・チェイニーは反フェミニズム活動に転向し、夫の政治家としての成功に合わせて急速に右傾化しながら現在に至っている。(当然ながら、この件は公式経歴には一切言及されていない)

今年、目ざとい出版元は「シスターズ」の米国内での刊行を決定したが、著者自身の抗議により書店に置かれるには至らなかった。オンラインでは入手可能

副大統領の妻にとって、小説「シスターズ」は、同性愛者である最愛の娘メアリと共に、現在最も触れて欲しくない話題のひとつとなっている。(メアリ・チェイニーが同性愛者であることが世間に知れ渡ってから、父親のディック・チェイニー副大統領は、ブッシュ政権の反同性愛政策から距離を置くように政治姿勢を変更している。一方、母親のリン・チェイニーは、「娘のメアリが同性愛者であるはずがない」と周知の事実を頑なに否定している。)

1994年から2001年にかけてロッキード・マーティン社の役員を務めたリン・チェイニーは、今ではネオコン陣営のゆりかごといわれる保守派シンクタンク、エンタープライズ公共政策研究所(American Enterprise Institute for Public Policy Research)の上級研究員と、保守系企業リーダーズ・ダイジェスト社の役員を務めている。

また、保守系教育団体ACTA(American Council of Trustees and Alumni)の創始者であるリン・チェイニーは、911テロ発生後に、米国の大学について「愛国心が足りない」と批判を展開し、「マッカーシズムの再来」として全米の教育関係者から危険視されている人物でもある。

ローラ・ブッシュ、リン・チェイニー・・・選挙で選ばれてもいないのに、国家政策に強い影響力を持つ“レディ”と呼ばれる人々。

ホワイトハウスが仲間を集めて石油のための戦争を開始すれば、副大統領の妻は武器販売でぼろ儲け。その夫は戦後復興でさらにぼろ儲け。入金の事実を公表していながら、ディベートで企業との癒着を堂々と否定する副大統領。

これだけでも充分異常な事態なのに、息子を戦場に奪われ、財布をカラッポにされながら、そうした政権を支持する国民が半数を占めるアメリカ合衆国。「希望はきっと来る(hope is on the way)」という弁護士の無邪気な言葉を信じるには、あまりにも世界は狂い過ぎてしまっているが、戦争屋と宗教右派政治家の並べる嘘をこれ以上聞くのはもうウンザリだ。

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