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2004/12/31

NYタイムズ紙社説「我が国がケチ?イエス。」

米ニューヨークタイムズ紙2004/12/30付け社説より。全文を以下に翻訳掲載。(記事中リンクは訳者による)



我が国がケチ?イエス。(Are We Stingy? Yes)

The New York Times紙2004/12/30付社説

昨日、ブッシュ大統領はテキサス州クロフォードでの休日からようやく身を起こして、インド、スリランカ、タイ、インドネシア各国指導者達へお悔やみの電話をして、日曜日にアジアで起こった大災害について会見に臨んだ。そして、アメリカが当初表明していた1,500万ドルという貧弱な援助額の話題から大急ぎで可能な限りの距離を置くと共に、国連緊急援助調整官室のジャン・イゲランド室長がこの金持ち国の援助額を「ケチ」と評した件についてさっそく異論を唱えた。「そうした評価を口にする人はおおきな見当違いと無知に陥っている」大統領は言った。

残念ながら大統領には同意できない。イゲランド室長の評価は的を得ているのだ。世界でも貧しい部類に入る12の国々を襲った悲劇的な大災害により、復旧に何十億ドルも費やすと予測されはじめた2日後、コリン・パウエル国務長官は記者会見で、世界最富裕国であるアメリカ合衆国が支援金として1,500万ドルを拠出することを発表した。長官が内心恥ずかしさを感じていたことを祈りたいものだ。なにしろ、その支援額は、共和党が計画するブッシュ大統領第二期任命イベントに拠出される金額の半分以下である。

現在では、アメリカの支援金は3,500万ドルまで追加されているので、我々はブッシュ大統領の心変わりを賞賛する。しかし、3,500万ドルといってもささやかな額であることに変わりはなく、非軍事支援予算額のほんの一部に過ぎない。調査によれば、アメリカ国民の大部分は、アメリカ政府が国家予算の内24%を貧しい諸外国の経済支援に割いていると信じているという。しかし実際の予算では、せいぜい0.25%未満しか拠出されていないのである。

ブッシュ政権閣僚はそうした誤解を促進している。ケチとの批判に怒り狂ったのか、パウエル長官は災害支援金について言及し、合衆国は「過去4年間で、どの国、国家連合よりも多くの支援金を拠出している」と説明した。しかし、継続中の支援額についていえば、2003年にアメリカ合衆国が拠出した金額は162億ドルであり、EUの拠出額は371億ドルである。2002年度では、アメリカの拠出額は132億ドルで、EUの拠出額は299億ドルであった。

さらに悪いことに、我が国は、実際に拠出する額よりも大きな金額をしばしば公約として発表している。1年前にイランのバムで起きた地震災害では、住民は今でもテント暮らしをしているが、それは約束された支援が、アメリカ合衆国の分も含め、未だ実施されていないからである。さらに、2002年を振り返ってみると、ブッシュ大統領は新世紀の試みとして、アフリカ諸国への開発支援金として年額50億ドルを約束していたが、実際には、1ドルたりとも未だ支払われていないのである。

昨日、ブッシュ大統領は3,500万ドルの支援約束について、アメリカ合衆国が行う支援の「ほんの始まりにすぎない」と宣言している。それが本当であるよう祈りたいし、今度こそ、約束と行動が一致することを期待する。



(訳注)現在までの、スマトラ沖地震災害に関する主要各国の発表した支援額は以下のとおり:
  • イギリス:2,900万ドル
  • スペイン:6,800万ドル
  • カナダ:4,000万ドルに加えて、各州で独立した支援金拠出を表明(以上3カ国source
  • 日本:3,000万ドル程度

2004/12/29

アメリカで急増:中流クラスから食料補助受給者へ

ウェストバージニア州の地域新聞The Dominion Post紙2004/12/27付け記事より。以下に全文を翻訳して掲載。



急増傾向:ミドルクラスからフードスタンプへ(An increasing trend:From middle class to food stamps)

Dominion Post Newspaper on December 27, 2004

アトランタ育ちのリサ・グレイは、フードスタンプ(食糧補助制度)について全く知識がなかった。時折家族で食料配布所に出かけることはあったが、それは寄付をするためであって、食料補助を受けるためではなかった。

彼女も、彼女の母も、父も兄も、航空技術者である父親の給料だけで暮らしていけたのである。

しかしながら、最近では、3人の子を抱える母親として仕事を持つグレイは、過去4年のうちに急増した人々---フードスタンプと食料配布所に依存する何百万人ものアメリカ家庭の一例となっている。

2000年から、グレイ以外にも、新たに600万人以上のアメリカ人が、テーブルに食事を並べることがしばしば困難な生活クラスに加わっている。

アメリカ国内の食料補助受給者は、7年連続の減少の後に続く2000年からの4年間で、約39%も増加していることが、連邦統計局の報告で判明している。ハワイを除くほぼ全ての州で、その影響をみることができる。州別の食糧補助受給の増加数は、アリゾナ州で104%、ネバダ州で97%、オレゴン州は79%、サウスカロライナ州は68%、ミズーリ州は65%と、いずれの州も急増している。訳注

急増した理由の一部には、各州で食糧補助受給資格者への配給促進努力と、福祉制度改革時に資格を喪失していた人々が再び受給を認められたということもある。しかし、社会福祉指導員の話によると、受給者急増の主な理由は、実際に補助制度なしには食事を確保できないアメリカ人が増加していることにあるという。

「需要が急増しているのは明らかです」イリノイ州社会福祉局長のキャロル・アダムズは言う。イリノイ州の食料補助受給者は、2000年から31%増加している。

一方で、国内の食糧貯蔵組織と食料配布所では、飢えた家族達の需要を満たすことが困難になりつつあるという。

「一日のうちにやって来る全ての人に食料を配給するには、時間が足りないのです」デンバーの食料配布組織、メトロ・ケアリングのジョン・ホルマー事務局長は話している。

(訳注)

記事中に登場した各州の月間平均食料補助受給者の実数(人)
州名 2000年度2004年度
アリゾナ259,006529,559
ネバダ60,905120,275
オレゴン234,387419,736
サウスカロライナ295,335497,218
ミズーリ423,320699,616

ちなみに全米でもっとも食料補助受給者の多い州は、ブッシュの地元テキサス州(2,258,951人)となっている。(source:米農務省食品栄養サービス:フードスタンププログラム利用者統計ページ

2004/12/28

イラク戦死兵と911テロ被害者の遺族、ファルージャ難民に人道支援提供

アルジャジーラ2004/12/23付け記事より。以下に記事を翻訳して掲載:

米国の家族達がファルージャ難民を支援(US families to assist Falluja refugees)

ファルージャ攻撃で死亡した米兵の遺族達が、60万ドル相当の支援物資を携え、ファルージャ難民支援のために、来週ヨルダンに向かう。

11月8日に開始されたファルージャ攻撃では、現在でも戦闘が継続しているが、遺族によればこれまでに少なくとも71人の米兵が死亡したとされるが、イラク政府の発表によれば2,000人以上のイラク人が殺害されている。

2,000人のうち一般市民がどれだけ含まれているのかは確認できていない。

「今回の代表団派遣は、私にとっては意見表明であり、イラク市民の支援のためのものです」カリフォルニア州エスコンディードのローザ・スアレズは話す。

「イラク戦争は私の息子の命を奪いましたが、あまりにも多くの罪のないイラク市民の命も奪っています。今こそ殺戮をやめてイラクの子供達を救うときなのです」遺族によって公表された意見書に、彼女はそう付け加えた。

遺族の話では、平和団体や、医師団体、さらに911同時多発テロの被害者遺族団体が協力して、インターネット経由の募金で10万ドルを集めたという。また、中東子供同盟(Middle East Children's Alliance)と市民団体Operation USAが、50万ドル分の医療品の寄付を申し出ていた。

遺族達は、12月26日にアンマンに向け出発し、現地の人道・医療支援活動家に支援物資を手渡す予定である。

支援に向かう遺族の1人であるアデル・ウェルティさんがDemocracy Now!に出演し、エイミー・グッドマンのインタビューに答えている。番組でのやり取りの一部を以下に抜粋しておこう。(アデル・ウェルティさんの息子はニューヨークの消防士で、同時多発テロで死亡している。)

エイミー・グッドマン:
なぜこのような試みをしようと思ったのですか?
アデル・ウェルティ:
そうですね、長い間、失望する出来事が続いていたんです。私達のように平和活動に身をおく人達は、まずイラク侵攻をやめさせようとし、戦争が始まってからは止めさせようと努力してきましたが、何の成果も得られぬまま挫折感をずっと味わっています・・・議員宛てに手紙を書き、街を行進し、平和デモをしながらワシントンにも行きましたが・・・どれも効果はありませんでした。挫折ばかりが増えていくのに苛立ちながら、「私達に何ができる?」と問いました。911同時多発テロ後の喪失感を味わっている人達は、市民の犠牲というものを理解しています。それでも、この番組の始めに登場したゲストの言うように、外国人であれば、どうでもいいということもできるのです。実際、私達もアメリカ人以外には全く関心がなかったのです。しかし、911テロにより親族を亡くしたことで、市民の犠牲に関するニュースにとても敏感になりました。それで、電子メールで支援の知らせを知ったとき、そして医療品配達をする人達の話を聞いて、すぐに返事を書きました・・・何か自分にも前向きなことができるかもしれないと思ったんです。メディア・ベンジャミン(ジャーナリスト・人道活動家)の言うように、イラクの人達にアメリカ人の別の顔を見せたいのです」
エイミー・グッドマン:
「あなたの息子さん、ティムは、あなたがやろうとしていることを知ったらどう感じたでしょうね?」
アデル・ウェルティ:
「息子は消防士だったので、命をとても大切にする子でした。911テロ以来、息子は自分の名の下に人の命が奪われることは決して許さないであろうと感じています。特に罪のない市民については・・・なにしろ、息子は市民を救うために命を捧げたのですから」

2004/12/27

米ワシントンポスト紙社説:ブッシュ政権は「戦争犯罪」を犯した

ワシントンポスト紙2004年12月23日付け社説より。以下に全文を翻訳掲載。(文中リンクは訳者による)

ワシントンポスト紙がこのような明確なブッシュ政権批判を開始した背景には、少なくとも2つの事情が考えられる。一つは、大手メディアは政府の嘘を知りながら全く調査報道を行っていないという批判が業界内部からも拡大しつつあるということ。(一方で、ACLUCPI等の市民団体は大手メディアをはるかに凌ぐ調査活動能力と信頼性を保持している)もう一つは、ジョン・ケリー陣営がオハイオ州の投票再集計の法廷闘争に本格的に加わると見られており、現ブッシュ政権の正当性が著しく低下するという予測から、いち早くブッシュ批判をして自社の怠惰に対する批判の矛先をかわしたいという意図である。ともあれ、以下の社説が今後のアメリカ新聞業界に与える影響は決して小さくないだろう。



戦争犯罪(War Crimes)

The Washington Post紙2004/12/23付け社説


米国自由人権協会(the American Civil Liberties Union:ACLU)他市民団体の提訴のおかげで何千ページにも及ぶ政府文書が今月公開されたことにより、米軍とCIAによって行われた外国人拘留者への虐待の忌まわしい事実が確認されることになった。ブッシュ政権が執念深く隠し続けた事実である。

今春に、イラク・アブグレイブ刑務所での囚人虐待写真が公開されてから、ドナルド・ラムズフェルド国防長官に率いられた政権内の隠蔽担当者達は、そうした犯罪が数人の低階級予備兵によって2003年の数ヶ月間、アブグレイブ混乱時期の夜間シフト時に限って行われ、囚人の尋問とは無関係で、グアンタナモ刑務所においてテロ容疑で収容されている大勢の囚人に対しては虐待が行われていないと主張していた。新たに公開された文書によれば、閣僚によるそうした主張が全くの虚偽であったことはもはや疑いの余地がない。

公開された文書は政府内に詰まれたファイルの一部に過ぎないが、すでに2002年の時点でグアンタナモ刑務所において虐待が行われ、アブグレイブ刑務所の虐待写真が話題になってからもイラクで継続して虐待が行われていた事実を示している。FBI捜査官達は、キューバの基地における軍部の尋問官による組織的な虐待と、殴打、絞首、長期に及ぶ睡眠遮断、イスラエル国旗で包むなどの辱めについて、内部向け電子メールとメモで報告している。「尋問室に入ると、囚人が手足を無理な姿勢のまま床に鎖で固定され、椅子も、食事も水も与えられていなかった」匿名のFBI捜査官が2004年8月2日に記している。「排便、排尿は服を着たまま強要され、18時間から24時間以上放置されていた」6月には、二人の国防情報部員が、バグダッドで囚人が特殊部隊員(6-26部隊)により激しく殴打されていたのを目撃、報告している。抗議した情報部員は、脅迫され、撮影した写真は没収された。

虐待行為の中には、一部の部隊による規律不足から派生したものもあるだろうが、問題の拡大が示唆するのは、軍上層部がそうした悪行を防ぐための努力をほとんどしなかったというものである。しかも、グンタナモ刑務所の尋問官は、ラムズフェルド長官の指示に従っていたつもりであることが、文書により確認されている。或るFBI捜査官が5月10日に報告した内容によると、グアンタナモ刑務所の責任者であるジェフリー・D・ミラー少将と会話した際、違法な尋問テクニックについて、軍部は「国防長官の作業命令を得ている」として虐待行為を擁護していたという。ミラー少将は、グアンタナモ刑務所では犬による囚人脅迫は行われていないと宣誓証言していたが、FBIの記録はそれとは違っている。

裁判によって決定されるまで、市民団体による情報公開法に基づく文書公開請求を、ブッシュ政権は拒否してきた。今、市民団体の発表に対して、ブッシュ政権は、その広報担当者を通じて、全ての不法行為を調査すると新たに約束している。過去数ヶ月間の実績から、ブッシュ政権の上層部は、説明責任を果たすこともなく、恥ずべき行為の後も政策を一切変更するつもりもないであろう。下院議会もまた、共和党の支配の下、責任を逃れ続けている。最新の刑務所虐待事件公聴会が行われてからすでに4ヶ月が経過している。おそらく、裁判所の介入により、結局は、グアンタナモ刑務所やイラク、アフガニスタンで現在も続く人権侵害行為に歯止めがかかることになるだろう。今となっては明確な真実だが、アメリカ政府による外国人囚人の虐待と殺戮について、事態の改善は全く見られないのである。


2004/12/25

USAトゥデイ創業者:「早急にイラクから撤退せよ」

USA TODAY紙2004/12/22付けコラムより。USA TODAY紙の創業者が異例の主張を行い、全米でさまざまな反響を呼んでいる。そのコラムを以下に全文翻訳して掲載。



兵隊は故郷の休日を夢に見るだけ(They can only dream of holidays at home)

by アル・ニューハース(USAtoday創業者):USA TODAY紙2004/12/22付コラム

私達の大半は、クリスマスを家族と過ごしたいと思っているが、それが出来ない人達も居る。今年、それができる人とできない人の数字を挙げてみよう:

  • 6,200万人以上のアメリカ人が、50マイル以上を移動して家族と過ごす。
  • わが国の240万人の兵士達のほとんどは、家に帰れない。
  • 海外に派遣されている50万人以上の兵士達、特にイラクに派遣されている13万8,000人の兵士達は休日を楽しむことができない。
私自身のもっとも悲しいクリスマスの思い出は、19、20、21の時、第二次世界大戦で陸軍に従軍していた頃だ。第86歩兵分隊(ブラックホーク)に所属していた私は、故郷のサウス・ダコタから遥か遠く離れ、最初はテキサスとカリフォルニアで訓練し、その後フランス、ドイツ、フィリピンに派遣された。

ブラックホーク隊の戦友達と私は、1943-44年にビング・クロスビーが歌ったヒット曲の一節を聞いて、しばしば涙目になったものだ。“♪クリスマスは家で過ごそう、夢の中だけでもいい(I'll be home for Christmas if only in my dreams.)”

不幸な休日だったにも関わらず、第二次大戦に従軍した私達の大半は誇り高く、断固とした意思で、充分な武器と装備を手に、ドイツのヒットラー、イタリーのムッソリーニ、日本のヒロヒト等、世界征服を目論む者たちを打ち倒すために闘うことができた。

80歳になった今でも、あの頃のような倫理ある任務があれば喜んで志願するだろう。しかし、イラクに派遣されるような立場だったら、なんとしてでも行かないつもりだ。ベトナム戦争でも、他の多くの人々が避けたように、私もまた行かなかっただろう。

「兵士を応援しろ(Support Our Troops)」とは素敵な愛国的スローガンだ。しかし、無能な司令官によって、ベトナムやイラクの病的な冒険に追いやられている兵士達を応援する最良の方法は、彼等を帰還させることである。それもできるだけ早急に。それこそ、私達の新年の抱負とすべきなのである。



(参考資料)
イラク戦争で戦死した各国兵士の数(12月23日時点での発表:source
国名死亡した兵士の人数(人)
アメリカ1324
イギリス75
ブルガリア7
デンマーク1
オランダ2
エストニア2
ハンガリー1
イタリア19
ラトビア1
ポーランド16
エルサルバドル1
スロバキア3
スペイン11
タイ2
ウクライナ9

そして、同時期のイラク住民死亡者数10万人以上

2004/12/24

マイケル・ムーア、次回作の標的は製薬業界?

ロスアンゼルスタイムズ紙2004/12/22付け記事より。

マイケル・ムーアが、米国の製薬・医療業界をテーマに、次回作に向けて取材を開始しているという。本人曰く、次回ドキュメンタリーの暫定タイトルは「Sicko(病人)」だそうである。ロスアンゼルスタイムズ紙エンターテイメント欄のスクープ記事から、冒頭部分を抜粋して以下に翻訳(強調は訳者による)

具合が悪くなる(Giving them a sick feeling)

---映画監督マイケル・ムーアに戦々恐々とする製薬業界

アメリカの製薬業界は、自らの健康に対する最新の脅威に戦々恐々としている。その脅威とは、マイケル・ムーアのことだ。

ムーア監督は、過去にゼネラル・モーターズ(『ロジャー&ミー』)、銃擁護団体(オスカー受賞作『ボウリング・フォー・コロンバイン』)、そしてブッシュ大統領(『華氏911』)を標的にしてきたが、次回作では医療業界、保険業界、健康管理機関、FDA(食品医薬品局)、製薬業界に狙いを定めているという。

米国内医療業界の内、少なくとも大手6社は、すでに社内で従業員達に注意を促し、待ち伏せ取材に備えている。

「わが社では社内報で、ムーアが次回作のドキュメンタリー制作に着手していることを記事にしていますから、野球帽を被ったむさ苦しい男を見つけた際には、それが誰かすぐに判別できるのです」ファイザー社国際調査開発部門の広報担当者、スティーブン・レドラー氏は語っている。

今年9月と10月に、業界第二位の規模を誇るグラクソスミスクライン社、アストラゼネカ社、ワイエス社は、社内向けにムーア警報を発令し、メディア及び映画制作者から質問を受けた際には広報部に引き継ぐ旨、従業員に通達している。 メルク社、アボット・ラボラトリーズ社、イーライリリー社、ブリストル・マイヤーズスクイブ社、 ノバルティス・ファーマ株式会社、テバ薬品産業社等は、メディア対応について社内で定期連絡を行っているが、ムーアを特別扱いはしていないという。ジョンソン&ジョンソン社からはコメントを得られていない。(以下略)


次回作でも、ムーア監督は相当取材に苦労しそうな雰囲気である。

2004/12/22

「安上がりな戦争」byボブ・ハーバート

ニューヨークタイムズ紙2004/12/20付けコラム記事より。ボブ・ハーバートの人気コラム全文を以下に翻訳掲載。(文中リンクは訳者による)



安上がりな戦争(War on the Cheap)


by ボブ・ハーバート(BOB HERBERT)
The New York Times :Published: December 20, 2004


1999年、コロラド州リトルトンのコロンバイン高校で二人の生徒が銃で先生と生徒達、さらには自らを撃ち殺していた頃、グレッグ・ランドは新入生だった。ランド氏はその脅威を生き抜いたが、イラク戦争では生き残れなかった。21歳の海兵隊下士官は12月11日にファルージャで死亡した。

イラク戦争を開始することに情熱を燃やした人々は、兵士達の支援体制についてはあまり関心がないらしいが、彼等は実際に戦場で戦い、苦しんで死んでいる。ランド下士官がイラクに派遣されたのは2度目だった。兵士不足から、多くの兵士達は複数の戦場を掛け持ちしており、彼等の兵役は本人の意思に関係なく延長されている。

イラクからの帰還が迫っていた兵士達は、帰郷を阻む命令から来る精神的ショックにしばしば耐えねばならない。「あんなに大勢の成人男性が泣いているのを見たのは初めてだよ」元歩兵小隊リーダーで、兵士と退役兵支援団体「Operation Truth(真実作戦)」を設立したポール・リエコフ氏は話している。

「兵士は命令されれば何でもやります」リエコフ氏は言う。「しかし、ここがゴールと言っておいて、そこから常に5メートル後ろに引き戻されたりすれば、誰でも疲れてしまうでしょう。士気にかかわりますよ」

兵士が不足している原因は、安上がりに戦争を行おうとしているからだ。ブッシュ政権は志願兵の事実上の拡大について反対しており、徴兵制度についても国民の支持を得られない。従って、同じ兵士達がイラクを行ったり来たりし、回転ドアのように繰り返す。そして、戦死、戦傷の確率は高くなっていくのだ。

その報いはやってきている。先週木曜日、陸軍州兵局は過去2ヶ月の新兵採用実績が、目標を30%下回ったことを明らかにした。州兵事務局長のH・スティーブン・ブラム中将は言う:「新兵採用はもっと困難になりつつある。以上!州兵が参加する地上戦が長引いていることが新兵採用が困難になった原因だ」

その数日前、陸軍予備軍局長のジェイムズ・ヘルムリー中将がダラス・モーニングニュース紙に語ったところでは、志願兵は「激減」しており、このままでは、徴兵の再開について検討せざるを得ないとのことである。

ブッシュ政権は、軍部に多大な要求をしているが、制服組の男女に対しては不誠実な対応パターンを確立しているようだ。彼等の兵士達に対する無神経さは、もちろん、イラクでの戦闘用装甲装備の不足について兵士が質問した際にドナルド・ラムズフェルドが示した高圧的な対応を見れば明白である。

イラク戦争がますます悲惨さを増すなかで、そこに派遣される男女のみじめさを示す徴候もより明白さを増してきている。1300人以上が戦死した。何千人もの兵士が戦傷で苦しみながら帰還している。タイムズ紙のスコット・シェーン記者が先週報じたとおり、退役軍人支援組織や軍医の話によると、すでに困窮状態にある退役軍人向け医療システムには、「ストレスと虐殺により深刻な精神障害を抱えてイラクから帰還する兵士達が殺到するかもしれない」という。

9月末までに、およそ900人の兵士が精神病を理由にイラク駐留軍から除隊させられているが、中には自殺を企てようとした者も居るようだ。1994年から1997年の間に国防医療長官補佐を務めたスティーブン・C・ジョセフ医師は言っている。「精神衛生上の影響はこの戦争の医療面での重要な問題になると強く感じている。」

イラク戦争と同様に、アフガニスタンでの戦争に関しては、専門家によれば、精神衛生上の手当てが必要な米兵の数は10万人を超えるということだ。

初期の計画段階から現在まで、イラク戦争は役人達の無能さを示す悲劇的な事例となっている。開戦への理論的根拠は間違いだった。情報も誤りだった。必要とされる兵力の見積も間違えていた。イラク国民の反応も、戦争屋達の想像したものとは違っていた。費用見積も間違いで・・・もはや間違いを挙げたらキリがないのだ。

兵士達は果敢に闘ってきたが、その犠牲はあまりにも大きい。政府上層部が現在行っているような、不誠実で見掛け倒しの待遇よりずっと良いものを、全ての兵士達は受け取る資格がある。

2004/12/19

CIAとコカイン密売の関係を暴露したジャーナリストが「自殺」

「いいか、ジョージ。私は捕虜達を捜し続けるが、米国政府が世界中に麻薬を流通させて、違法な武器取引をしているという件をなんとしても暴いてやるぞ。私が捕虜達を助けられないとしたら、わが国の工作員達が堕落しているおかげだ」

("Well George, I go in looking for prisoners, but I spend my time discovering the government has been moving drugs around the world ands is involved in illegal arms deals. I can't get at our prisoners because of the corruption of our own covert people.")

----1987年、当時副大統領のジョージ・H・W・ブッシュが、テキサスの大富豪ロス・ペロー氏に、ベトナム戦争捕虜の調査の進行具合を尋ねた際、ロス・ペロー氏が怒って父ブッシュに言い放った言葉(ペロー氏は私費を投じてベトナム戦争捕虜の救出活動をした異色の大統領候補)


2004年12月10日、ジャーナリストのゲイリー・ウェッブ氏が、カリフォルニア州サクラメント郡の自宅で、頭を銃で撃ちぬかれた死体として発見された。サクラメント警察検視官はウェッブ氏の死亡について、拳銃自殺であると断定している。

事件を最初に警察に通報した引越し業者の証言では、ウェッブ氏の自宅玄関ドアには「どうか中に入らないでください。911へ連絡して救急車を呼んでください」と書かれたメモが貼り付けられていたという

ゲイリー・ウェッブ氏(享年49)をジャーナリストとして最も有名にしたのは、『80年代の米国で、ニカラグアの反政府組織コントラが資金調達のため米国内のドラッグ密売ルートを開拓し、CIAはそうしたコントラの犯罪活動(コカイン密売)を極秘裏に支援していた結果、コカインが米国で大流行することになった』という一連の調査報道であった。この衝撃的なレポートは1996年にサンノゼ・マーキュリーニュース紙上で連載され、米国内は騒然となった。

しかし、NYタイムズ、LAタイムズ、ワシントンポスト他アメリカの大手メディアはウェッブ氏の調査報道を「信頼性に欠ける」として一斉攻撃し、米政府もCIAに対する疑惑を否定した。ついには記事を掲載したサンノゼ・マーキュリーニュース紙自らウェッブ氏の報道の信頼性を否定し、ウェッブ氏を追い出しにかかった。

政府・同業者・同僚からの攻撃に逃げ場を失ったゲイリー・ウェッブ氏は調査を中止してサンノゼ紙を辞職、その後主要メディア上での活躍の場を失った。(後にウェッブ氏は一連の調査を書籍「Dark Alliance: The CIA, the Contras and the Crack Cocaine Explosion(影の同盟:CIA、コントラとクラック・コカイン大流行)にまとめあげた。)

ところが、1998年3月に行われた下院情報調査委員会で、CIA監査官フレッド・P・ヒッツ氏は、米国内でドラッグ密売に関わっているコントラメンバーとCIA工作員の関係を証言し、議員達は仰天することになる。さらに委員会で問題となったのは、1982年から1995年の間、CIAと司法省の間で、「お互いの不正を調査しない」密約が交わされていたという事実であった。FBI、CIA他政府機関は、コントラによるアメリカ国内ドラッグ密売ビジネスを黙認していたわけである。(密約の背景には、1981年の大統領令第12333(レーガン大統領発布):ニカラグア・サンディニエスタ政権転覆を目的としたCIA工作活動の承認があった)

つまり、ゲイリー・ウェッブ氏の調査報道は真相に迫っていたのである

80年代、レーガン政権は「ドラッグとの戦争」を宣言し、ドラッグ密売ルート撲滅運動を推進していた。しかし実際には、アメリカ国内の薬物汚染拡大の一端を、米国政府自身が担っていたというわけだ。そのレーガン政権のドラッグ撲滅運動の責任者を務めたのは、当時の副大統領ジョージ・H・W・ブッシュであった。

レーガンの選挙キャンペーン責任者として、イラン・コントラ事件の発端となる「オクトーバー・サプライズ」を仕掛けた元CIA長官であるブッシュ父は、CIA・コントラ組織のドラッグ密売ルートを承知していた事実も判明している。ブッシュ父が率いた「麻薬対策チーム」は、極端な表現をすれば、政府に承認されていない(ライバルの)ドラッグ密売ルートを撲滅することで、CIA-コントラのコカイン販売網を拡大していたことになる。

米政府の暗部を見事に暴いたゲイリー・ウェッブ氏は、図らずもブッシュ家の芝生を踏んでいたのだ。

サクラメント検視局のロバート・ライアン氏の発表によれば、ゲイリー・ウェッブ氏は顔面に2発の銃弾を浴びて自殺していたとのことである。自分の顔面を2回撃った?---ライアン氏は「2発の銃弾で自殺するのは異例なことだが、過去にも起きているし、実際充分起こりうるものだ」と説明している

そのとおり。全ては過去に前例がある。以下に、ブッシュ家の過去を探っている途中で自殺したジャーナリストの事例を挙げておこう。

  • 1991年8月10日:BCCIスキャンダル、オクトーバー・サプライズ等(どちらもブッシュ父関連事件)、INSLAW社疑惑(クリントン)の調査報道で知られるジャーナリストのダニー・カサラロ氏(Danny Casalaro)が、バージニア州マーティンズバーグのシェラトンホテルの浴槽で、死体として発見された。手首が10回ほど切られていることから、警察当局は自殺と断定。カサラロ氏はブッシュ父にまつわる最新暴露本「The Octopus」を執筆中であったが、自殺時に所有していたはずの調査資料、原稿は全て紛失していた
  • 2000年3月22日:ニューヨーク・ブルックリン在住のアーティスト、マーク・ロンバルディ氏(Mark Lombardi)が、自宅ロフトで首つり死体として発見されたロンバルディ氏(享年48)はブッシュ家とビン・ラディン家、サウジ王家、BCCI他の関わる複雑な資金ルートを詳細に調査し、グラフィックアート作品として発表、展覧会を開催して物議を醸した異色のアーティストであった。(作品は書籍「Mark Lombardi: Global Networks」として販売されている)
  • 2001年7月18日:アーカンソー州スプリングデール郡のホテルの一室で、ジャーナリストのJ.H. ハットフィールド氏(J.H. Hatfield)が死体として発見された。警察当局の検死により、2種類の薬物過剰投与による自殺と断定された。ハットフィールド氏(享年43)は当時大統領候補として注目を集めていたジョージ・W・ブッシュの経歴を綿密に調査し、1972年にブッシュがコカイン使用で逮捕されていた事実をつきとめ、1999年に「Fortunate Son: George W. Bush and the Making of an American President」(初版1999年刊行)(邦訳は「幸運なる二世ジョージ・ブッシュの真実」(青山出版社/2001年4月刊行、現在絶版)として刊行、ベストセラーとなるが、すぐにブッシュ本人の圧力により出版社が同書を回収し大騒動となった。(ブッシュは自らのコカイン使用疑惑について、結局今日まで事実を明確に否定できないまま、ひたすら疑惑への言及を避けており、「Fortunate Son」も出版元を変えて再刊されることになった)死亡直前、ハットフィールド氏はブッシュ家とビン・ラディン家のお金の流れを詳細にわたり調査中であったと見られている。(遺稿となった2001年7月3日の記事もそれを示している)

以上の事例を鑑みると、ゲイリー・ウェッブ氏の自殺は、“充分起こりうるものであった”と理解できる。

2004/12/15

ペンシルベニア州:小学4年の10歳少女、「ハサミを所持していた」容疑で逮捕

フィラデルフィアの新聞phillynews.com2004/12/11付け記事より。

ペンシルベニア州フィラデルフィア北東部にあるホルム小学校の持ち物検査で、かばんの中に8インチ程度(20センチ)のハサミを“隠し持っていた10歳の女の子が、学校長の通報により、手錠をかけられ地元警察署に連行された。

地元警察署の広報担当者の話では、学校への武器持込を禁止する州の法律に従っただけで、逮捕手順に一切問題はないという。

捜査当局は少女を武器持込容疑で5日間ほど調査し、ついに少女がハサミを学校に持ち込んだ動機を解明した。担当刑事の話では、少女は他人をハサミで脅す意図は全くなく、単に新しく購入した音楽CDを開封するためだったという。

警察から逮捕の知らせを聞いて、少女の両親は驚愕した。「娘は泣き続けました。何が悪いことだったのか理解できません。あまりにも厳しすぎます」通報した学校長に対しても、「まず両親に連絡すべきだ」と怒っている。

母親の話によれば、少女は容疑を否定し、こう主張したという:「ハサミなんて学校で誰でも使ってるのに・・・」

2004/12/13

避難所に集まり始めたイラク帰還兵ホームレス

UPI(United Press International)2004/12/07付け記事より。全文を以下に翻訳掲載(記事内リンク、脚注は訳者による)

ところで、12月12日付けAP通信によれば、ブッシュ暫定大統領は健康診断の結果「少々肥満になった」ことが判明したそうだ。本人の説明では、選挙期間中にドーナッツを食べ過ぎたのが原因らしい。この診断結果を受けて、合衆国最高司令官は、新たな方針も打ち出した。本人曰く:

体重計に乗ってから、新年に向けた私の決意はより明確になった。

(My New Year's resolution has become apparent after getting on the scales.)

ああ、それはまた、重大な決意をされましたね、大統領殿。



避難所に集まり始めたイラク帰還兵ホームレス(Homeless Iraq vets showing up at shelters)


by マーク・ベンジャミン


ワシントン、12月7日(UPI)---イラク戦争から帰還した退役軍人達が、国内各地のホームレス避難施設で見かけられるようになり、ベトナム戦争以来の新世代ホームレスが増加する兆候ではないかと懸念されている。

「なんてことでしょう。街にはすでにイラクから帰ってきた路上生活者が居たので・・・」と言うのは、退役軍人ホームレス全国連合の事務局長を務めるリンダ・ブーン氏。「各施設には(イラク帰還兵ホームレスの件を)伝えました。実際に起きていることですが、この国はそうした事態に備えが出来ていません」

「自分のトラックでやって来たよ。荷物はまとまってる。しばらくトラックの中で生活してたんだ」海兵隊工作部隊下士官ルイス・アリラノ(34歳)は、カリフォルニアのマーチ空軍基地から程近い、U.S.VETSが運営するホームレス避難所から、電話インタビューで答えた。U.S.VETSとは、退役軍人ホームレスを支援する米国最大の団体である。

アリラノ氏の話によれば、2003年9月にイラクから帰還してから、彼はトラックで生活しながら各地を転々としていたが、ここ3ヶ月間ほどは避難所暮らしをしているとのこと。「家のある日もあれば、路上に居る日もあるよ」彼は言う。

イラクでは、榴散弾によりアリラノ氏の左親指はほとんど切断寸前だった。現在でも指を動かすのは困難だが、榴散弾の感覚は「今でも時々感じる」という。彼は左利きである。

アリラノ氏が言うには、イラクから帰還した際、手の治療と、後に自覚することになる心の治療を受ける余裕もなく、軍からあまりにも早く追い出されたように感じているという。

「大急ぎという感じだ。連中は俺達(傷病兵)をしばらく倉庫に放り込んだんだ。まるで牛扱いさ」アリラノ氏は、合衆国に帰ってきた時、軍部からどのような扱いを受けたか話した。

「全ては数字次第なんだ。質の良い対応をする代わりに、連中は期限内に全員を復員させようとしている。困ったことがあっても、連中が言うのは“退役軍人局が面倒を見ます”だけだ」

ペンタゴンはすでにイラク帰還兵への支援が遅れている事実を認識しているが、すでに状況は改善されたと説明している。注1

射撃手の補助として16年間を過ごし、アリラノ氏が言うには、彼は最初の湾岸戦争に従軍してからも適応してきたという。しかしイラクから帰還後は、うつ病のために米雇用均等委員会から得た仕事を辞めることになった。その後、彼は離婚もしている。

アリラノ氏によれば、軍から早急に追い出された後、退役軍人局からは対応遅れのため充分な支援を得られていないという。

「他の仲間もそうだろうが、まるで“おまえはもう現役じゃない”と軍に言われたように俺は感じた。俺たちは退役軍人局扱いになるという同意書に署名することになった」アリラノ氏は言う。

「退役軍人局に行くと、すでにそこは人で一杯だった。連中に言われた。“後ほど連絡します”それで、益々鬱になったんだ」

仕事を辞めたアリラノ氏は、3ヶ月ほど放浪し、しばしばトラックで生活することになった。

コミュニティ中心の退役軍人支援組織である退役軍人ホームレス連合によれば、毎晩30万人ほどの退役軍人が、ホームレスとして夜を過ごしており、その半数近くはベトナム従軍兵であるという。戦闘でのトラウマがどのようにホームレス化に影響を与えるのかは専門家も首をかしげるが、同連合の説明では、多くの退役軍人が、長期にわたる心的外傷後ストレス障害と薬物乱用に陥っているという。

退役軍人ホームレス支援者達は、ベトナムとイラクでの似通った戦闘体験により、こうしたイラク帰還兵ホームレスは今後増加するのではないかと心配している。

「これはベトナム従軍兵たちと同じ状況です。私もベトナムに行きました」ロサンゼルスの避難所兼薬物中毒治療施設「ニューディレクションズ」所長、ジョン・キーベニィ氏は説明する。ロサンゼルス市は2万7000人ほどの退役軍人ホームレスを抱えていると推定されており、そうした人数は国内最大数であるとのこと。「まるで歴史が繰り返されるのを目の当たりにしているようです」キーベニィ氏は言った。注2

退役軍人局の統計によると、昨年7月までにおよそ2万8000人のイラク帰還兵が、医療手当を申請している。その5人中1人は精神障害と診断されているとのこと。今年7月のニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディスン誌(医療情報誌)に掲載された陸軍研究によれば、イラクから帰還した兵士のうち17%は、大うつ病、全般性不安障害、心的外傷後ストレス障害の基準に該当したという。

自身が心的外傷後ストレス障害を抱えているかどうかについて、元工作部隊下士官でトラック内で生活するアリラノ氏は言う:「たぶんそうだと思う。悪夢を見るからね。死んでいった人達のことを憶えてるんだ」彼の話では、政府からは手の障害への手当てとして月100ドルが支払われているという。

海兵隊下士官ジェイムズ・クレイボン・ブラウン・ジュニア(23歳)は、U.S.VETSが運営するロサンゼルスの避難所に暮らしている。彼はアルファ部隊、第一大隊、第二海兵隊としてイラクで6ヶ月間闘い、その後別部隊としてアフガニスタンで勤務した。彼が言うには、イラクでの闘いは激烈だったという。

「何処でも酷いものだった」ブラウン氏は言う。「迫撃砲と戦車で支援されたが、本当にすごい銃撃戦だった」

ブラウン氏は、特に海兵隊が不注意で市民を殺した時は、戦争の精神的ストレスを自覚したという。彼の考えでは、神への信心のおかげで、正気を保ったまま帰還できたとのことである。

「何回か遭遇したんだが、民衆は国を脱出しようとしていたんだ。俺たち目掛けて押し寄せて、止まろうともしなかった」ブラウン氏は言う。「俺たちは民衆に銃弾を浴びせた。酷いことをしたよ。兵士の多くは・・・俺もそうだが・・・それで悩んでる」

「それが一番辛い部分だ」ブラウン氏は続けた。「男だけじゃなく、女性や子供・・・本当に小さな子もそこに居たんだ。腕をもぎ取られた赤ん坊も居た。とても耐えられるもんじゃない」

ブラウン氏の話では、彼は海兵隊から7月に勲章と共に名誉除隊し、故郷のオハイオ州デイトンに戻ったという。しかしまもなく彼は放浪に出て、「全てやり直すために」カリフォルニアに流れ着いたとのこと。

ブラウン氏によれば、彼自身は退役軍人局に良い印象を持っているが、仕事を探すのには苦労しており、節約のためにU.S.VETSの避難所に居るのだという。彼は学校に戻るつもりと語っていた。

ホームレス支援者達は、イラク帰還兵ホームレスの発生に警鐘を鳴らしている。退役軍人ホームレス連合によると、アメリカ全土のホームレスの内、およそ4人に1人は退役軍人であり、その75%以上は精神的・肉体的暴力問題を抱えており、多くは心的外傷後ストレス障害(PTSD)に陥っているとのことである。注3

さらに問題なのは、専門家の話では、特にイラク戦争のような、市民と敵の判別ができず、死の恐怖がいつでも四方から迫る状況の下で、新たな精神障害が群発するということである。注4

合衆国各地のホームレス避難所を訪問しインタビューしてきた限りでは、イラクやアフガニスタンから帰還した退役軍人のホームレスの人数は、今のところ限定されている。直近に退役軍人局の支援を受けた7,500人のホームレスの内、50人はイラク帰還兵だった。ロスアンゼルスの支援施設「ニューディレクションズ」の所長キーベニィ氏によれば、彼の施設では、陸軍エリートであるレンジャー部隊出身のホームレスを二人抱えているという。国内最大の退役軍人ホームレス支援団体U.S.VETSが運営する9つの施設で簡易調査したところでは、9人のイラク・アフガニスタン帰還兵ホームレスが居たことが判明している。他に、例えばメリーランド州ボルティモアの退役軍人教育訓練施設では、引越しなどの緊急避難用のベッド利用者(170室)のうち、イラク・アフガニスタン帰還兵は見当たらないとのことである。

退役軍人局で退役軍人ホームレス問題を担当するピーター・ダハティ氏の話では、ホームレスに陥る危険性のある退役軍人への支援体制は、ベトナム戦争以降急速に改善されてきたという。過去30年間、退役軍人局は、精神医療対応を軸に、170の病院、850のクリニック、206件の退役軍人センターまでに拡大させてきた。また、退役軍人局は、300ほどのホームレス支援施設、U.S.VETSのような一部NPOが運営している施設にも支援している。

「30年前に比較すれば、支援施設は10倍ほど行きやすくなったはずです」ダハティ氏は言う。「まず第一に、精神障害を抱えて帰還した兵士を(ホームレスに陥る前に、)保護するようにしています」ダハティ氏の話では、退役軍人局は毎年10万人ほどのホームレスを支援しているとのことである。

しかし、退役軍人ホームレス連合の事務局長、リンダ・ブーン氏によれば、一年のうちでは50万人ほどの退役軍人がホームレス状態になる時期があり、退役軍人局はその20%しか支援できていないという。

メリーランド州ボルティモアの退役軍人センター開発局長ロスリン・ハニバル・ブッカー氏の話では、彼女の局ではすでにイラクから帰還した退役軍人や、その家族からの質問を受け始めているという。ブッカー氏は言う。「イラク帰還兵に向けて準備を進めています」

(記事終わり)




注1):実際には、米国での退役軍人への手当ては酷い状態である。退役軍人局の医療手当て支払い遅れにより、受け取り前に死亡する軍人も多い。また、出身地によって退役軍人手当の金額は大幅に異なる。(source


注2):関連投稿:「米国で深刻化する退役軍人ホームレス問題」(2004/06/13)


注3):米国では男性ホームレスの3人に1人は退役軍人という報告もある(source


注4):男性兵士が戦闘で精神障害になる確率が非常に高いという事実を意識したわけではないだろうが、国防総省は「男女同権社会実現のため、もっと多くの女性兵士を戦闘に参加させるべきだ」と主張している。(source

2004/12/11

ケリック元NY市警本部長、国土安全省長官の座を辞退

ワシントンポスト紙2004/12/11付け記事より。

つい先日ブッシュ大統領から国土安全省長官に使命されたばかりのバーナード・ケリック元NY市警本部長が、なんと長官の座を辞退すると発表した。

本人の弁では、「違法難民を家政婦として雇い入れており、税金を支払っていないため」というのが辞退の理由とのことである。

だが、実のところ、市警時代の賄賂の件や、911テロ事件後、ケリック氏自身が役員を務めるセキュリティ装備企業テイザー・インターナショナル社(Taser International、スタンガンのメーカー)を国土安全省取引企業に推し、同社の株を売り抜け620万ドルの利益を得ていることなどスキャンダルだらけの経歴に米捜査当局が関心を示すことを恐れたとの見方が有力のようだ。

今回の国土安全省長官辞退の件を端緒に、ジュリアーニ元NY市長の数々の悪辣な所業、あるいは911テロで多大な利益を手にしたブッシュ家の面々にもっと注目が集まることを期待するが・・・

2004/12/09

バーナード・ケリック国土安全省新長官の経歴と背後

「とにかく、奴(オサマ・ビン・ラディン)が何処にいるかは知らないんだ。正直言って、奴のために多くの時間を割くわけにはいかないんだよ」

(So I don't know where he is. You know, I just don't spend that much time on him, Kelly, to be honest with you. )

----2002年3月13日、公式記者会見で、記者にオサマ・ビン・ラディン捜査について問われた際の、ブッシュ大統領の発言(source

2004年12月3日、ブッシュ大統領は、トム・リッジ国土安全省長官の辞任を受けて、後任に元ニューヨーク市警本部長バーナード・ケリック氏を任命すると発表した

共同通信の記事では、ケリック氏は「米中枢同時テロで救出・復旧作業の陣頭指揮に立った」と爽やかに紹介されている。しかし、同氏の経歴のあまり注目されたくない部分を見れば、リッジ前長官ならただちに国内テロ警戒レベルを「赤」に引き上げるにちがいない。(例えば911テロ調査委員会のジョン・リーマン氏はケリックを評して「ボーイスカウトほどの能力もない」と批判しているらしい)

以下にバーナード・B・ケリック国土安全省新長官の略歴を並べてみよう:

1974年-76年(ケリック氏19歳-21歳):
米軍憲兵として韓国に赴任。まもなく韓国人女性との間に女の子が生まれ、その娘をリサと命名。その後1年で娘と母親を韓国に残してアメリカに帰国。(2002年、26年ぶりに再会を果たす)

1982年-84年(ケリック氏27歳-29歳):
サウジアラビア・リヤドのファイサル王特別病院でセキュリティ責任者に就任。主な任務は病院スタッフの生活監視。元病院関係者ジョン・ジョーンズ氏の証言:「(ケリック氏について)ならず者でした。まるでゲシュタポのように、私の生活をだいなしにした」

1985年-1987年(ケリック氏30歳-32歳):
ニュージャージー州パセーイク郡刑務所長を経験後、ニューヨーク市警の警官としてグリニッチ・ヴィレッジに暮らすが、クレジットカードの使いすぎで自己破産。破産時の負債額は12,000ドル。

1994年-2000年(ケリック氏39歳-45歳):
ニューヨーク市警の麻薬捜査チームで潜入捜査官として活躍。コロンビアの麻薬組織カリ・カルテル撲滅に尽力。ジュリアーニ市長(当時)が組織した賭博監査委員会の委員長に任命される。後に、ニューヨーク市警矯正サービス局局長代理に就任。この時、ケリック氏自身の経営する会社を経由し、タバコ企業から100万ドルの賄賂を受け取る。そのお返しにケリックは、自身が管轄する刑務所内で販売されるタバコの価格を高額に設定し、タバコ会社の売り上げ増加に貢献した。そうした功績が認められ、2000年にはジュリアーニ市長(当時)の推薦により第40代ニューヨーク市警本部長に抜擢される。

2001年-2003年(46歳-48歳):
NY市警退職後、ジュリアーニ元NY市長の設立したジュリアーニ・パートナーズ社(セキュリティコンサルティング・投資企業)上級副社長になる。2003年5月には、イラク内務省上級補佐官に任命されたが、2003年9月に退任し、帰国。(この期間にイラク暫定政府内で石油売上金の大量紛失事件が発生している)

ケリックとブッシュ

ブッシュ再選キャンペーンで応援演説するケリック氏。ジョージは自分の会社をいくつも破綻させたが、ケリックは警官時代に自ら自己破産した人物。


以上のように、ケリック氏の2000年以降の経歴を見れば、ブッシュ大統領による国土安全省長官任命劇の背後には、ジュリアーニ元NY市長の口利きがあったことは容易に想像できる(実際、本人も否定していない)。

ジュリアーニ氏が自らのビジネスパートナーをテロ対策省長官に推薦した理由は言うまでもない。2003年度に、国土安全省が外部セキュリティ企業と行った年間取引総額は67億3,000万ドル(約7,000億円)。新長官ケリック氏の最初の仕事はこれら取引の監査と見直しである。国土安全省が新たに契約する企業の出資元にジュリアーニ・パートナーズ社の名前が輝いているとしたら、それは決して偶然ではないということだ。

実際、ケリック氏の国土安全省長官任命の発表があってから、ジュリアーニ・パートナーズ社には顧客が殺到しているという。つまり今後は、国土安全省がテロ警戒宣言を発表するたびにセキュリティ関連企業の売り上げは急上昇し、国土安全省長官を部下に抱えるジュリアーニ元NY市長は、2008年度大統領選挙出馬のための資金を、存分に集めることができるわけである。

対テロ政策という名目で、ブッシュとその友人たちが国民の恐怖を扇動しながら金を稼ぎ出す方法について優れた才能を発揮していることは理解できた。しかし、肝心のテロリスト追跡はどうなっているのだろう?ホワイトハウス、CIA、FBI、NSA、DIA、DHSその他捜査当局者にあらためて尋ねてみたい。オサマ・ビン・ラディンは今何処に?

はっきりしていることは、大統領選挙が終了した現在、オサマ・ビン・ラディンはもはやホワイトハウスの関心を惹かないということである。ホワイトハウスは、カメラの前ではパキスタン政府と協力してオサマ拘束に尽力しているように見せているが、実のところアメリカ政府当局者もパキスタン軍事情報部も、オサマ・ビン・ラディン拘束について「優先事項ではない」と捜索を諦めている状態なのだ

パキスタンのムシャラフ大統領に至っては、「オサマが何処に居るのか全く知らない」と堂々宣言している。この不真面目な説明に対し、なぜかアメリカ政府は10億ドル分の武器供与でムシャラフ大統領の功績を讃えている。ここでもまた、ビジネスがテロ対策に優先したというわけだ

オサマも側近のザワヒリも、あれだけプロモーションビデオで華々しくアピールしたのに、このアメリカ側の冷たい対応は・・・オサマは怒っているに違いない。3,000人ものアメリカ人を殺して見せたのに、ブッシュはもう振り返ってはくれない・・・一体どれだけアメリカ本土を攻撃すれば、ビン・ラディンはブッシュのハートを捉えることができるのだろう?

2004/12/05

死者の名前が有権者リストに掲載---他にも6つの激戦州で問題発覚

シカゴ・トリビューン紙2004/12/04付け記事より。以下に記事全文を翻訳掲載。(記事中リンクは訳者による)



死者の名前が有権者リストに掲載、他にも6つの激戦州で問題発覚(Dead voters on rolls, other glitches found in 6 key states)

by トリビューン紙記者ジェフ・ダハティ(ワシントン支局記者サラ・フランクも協力)

マイケル・ピレー氏は2002年に死去したが、彼の名はニューメキシコ大学に残っている。同氏はニューメキシコ大学で建築科卒業プログラムを設立し、何年も指揮してきたからである。

しかし、ピレー氏の名前は他の場所でも残されている。死亡した有権者はリストから削除する取り決めにも関わらず、同氏は現在でもニューメキシコ州の有権者登録リストに掲載されているのだ。

トリビューン紙の投票記録調査によれば、大統領選挙当日のニューメキシコ州では、5000人以上の死亡者が有権者リストに登録されたままであったことが判明している。同州で大統領の勝敗を決めたのは6000票差である。

そして、ニューメキシコ州は例外ではない。本紙(トリビューン紙)の調査によれば、ニューメキシコ州の他、フロリダ、アイオワ、オハイオ、ミシガン、そしてミネソタ州においても、有権者登録の整合性において同様の不具合が発覚している。

これら6つの激戦州には、18万1,000人以上の死亡者が有権者リストに掲載されていた。2000年の選挙以降、投票システムの監査が図られていたにも関わらずである。

また、何千人もの投票者が2箇所で有権者登録されており、そうした有権者は、2票以上を投ずることが可能になる。

さらに、オハイオ州では9万人以上が候補者を正しく選択できなかった。候補者の選択をしなかったにも関わらず、投票機は有権者の投票を記録することに失敗し、あるいは1人以上の候補者を選択したかのように記録されている。

また、フロリダ州で共和党による大規模な投票の改ざんが行われたという疑惑について、FBIは調査を開始している。

2000年選挙以降、問題が改善されたと大方の観測筋が同意していた選挙の後で、こうした展開が待っていたわけである。

11月の選挙の投票データは、いくつかの激戦州では、今に至っても州当局者の集計を待たねばならない。したがって、2箇所以上で有権者登録をした人が、2票以上を実際に投票したかどうかは不明確なままである。同様に、どの投票が死亡者の名義で投票されたかを具体的に指摘することは不可能である。

しかし、登録から削除されるべきなのに掲載されている人数は、特に大統領選挙の勝利者が数千人規模の票差で決定されている激戦州においては、おおいに懸念されるべき材料である。

「水増しされた有権者登録リストはおおいに問題です」投票改革推進組織electionline.orgの編集者ダン・セリソン氏は語る。

2000年大統領選挙以降に発足した条例により、そのような有権者登録問題の修正を州当局者に求めることが可能になった。しかしそうした要求が有効とされるのは2006年以降と決められている。

ニューメキシコ州保険局は、死亡した住民のリストを毎月提供しており、州務長官のレベッカ・ビジル・ジロンはそのリストを元に有権者登録リストを更新している。しかしピレー氏はフランスで死亡しており、ニューメキシコ州で死亡診断書が発行されなかったのは明らかである。


「彼は見過ごされただけ」

「彼は見過ごされただけです」ビジル・ジロン州務長官は答えた。

フランシス・ウォルシュは、以前はシカゴのアメリカン缶詰社の工場作業員をしており、退職してからはアイオワ州に引っ越していた。彼はそこで2002年に死亡したが、有権者登録はシカゴに残されたままだ。

トリビューン紙の調査では、4900人ほどのアイオワ州有権者が死亡しているが、有権者リストには掲載されたままと見られている。

ブッシュがアイオワ州を制した票差は1万票である。

アイオワ州の州務長官オフィス広報担当者フィリー・ピーターズの話では、死亡した住民の名前が有権者登録リストに掲載されている件は予測済みとのことである。

ピーターズ氏によると、彼女のオフィスでは、人口動態統計課から死亡診断書が発行された住民について、毎月有権者リストから削除する作業を行っているが、州外で死亡した住民については、作業が複雑化しているという。

データ入力ミスもまた問題となっている。ウォルシュ氏の有権者登録情報によれば、彼は女性として入力されていた。しかし死亡診断書では彼は男性となっており、それゆえコンピューター上では有権者登録から削除されなかった、とピーターズ氏は語った。

不正確な有権者登録と僅差によるブッシュ勝利という事実にも関わらず、ピーターズ氏は選挙結果に自信を持っているという。彼女の語るところによれば、1万人ほどの選挙管理担当者たちが怪しい有権者登録を監視していたというのがその自信の元となっているという。

「投票区レベルでは整合性が保たれていると信じていますから」彼女は言った。

全州レベルでは、フロリダ州において6万4,889人の有権者が社会保険局の死亡者リストにも掲載されており、最も信頼性が低い。次はミシガン州で、5万51人となっている。

有権者の二重登録の件で、フロリダ州務長官グレンダ・フードと選挙管理責任者は、選挙日前に慌ててFBIの協力を仰ぎ、データの整理に追われることになったという。

「そのような違法行為と有権者登録操作は見過ごされることがないように、連邦レベルで早急な対策を行い強い姿勢で臨むことが大切です」とは、8月26日付けのフード長官の手紙の文言である。

ウィリアム・フィッシャー氏はフロリダからオハイオに引越し、そこで有権者登録を行った。フィッシャー氏はフロリダ州でも投票可能であることを知り、おおいに驚いているという。

「私はすでに退職者だし、フロリダから出ている。だからフロリダ州の有権者リストに載るべきじゃないな」彼は言った。

オハイオ州では、人権活動家のジェシー・ジャクソン氏が選挙の見直しを求めている。同氏によれば、ブッシュの勝利の背景にはあまりにも多くの疑惑が検証されぬまま残されているという。

「勝とうが負けようが問題じゃない。不正を黙認するわけにはいかないのだ」オハイオ州コロンバスのハーモン山バプティスト教会で、ジャクソン氏は話した。

オハイオ州での投票に関する苦情の多くは、時代遅れのパンチカード式投票システムを使ったことに関するものに集中している。4年前にはフロリダ州で、同様の問題が起こっていた。


オハイオ州再集計問題

ところで、オハイオ州では、第三政党の大統領候補者達が---現在ではジョン・ケリー選挙チームも参入しているが---投票の再集計を要求しており、同州での選挙結果が承認された後の月曜日から、再集計が行われる予定である。

先だって金曜日には、コロンバスの連邦裁判所で、再集計に関するヒアリングが実施された。

地区別に行われた投票集計結果がAP通信により金曜に判明したが、それによるとブッシュ勝利を決定付けた得票差はおよそ11万9,000票で、当初宣言されていた非公式の票差である13万6000票よりもいくぶん少ないことがわかった。少なくなった理由は暫定投票の集計によるものであるという。

オハイオ州のいわゆる廃棄票率は、2000年のフロリダ州の廃棄票率よりも低い。しかし廃棄された票の数(9万2000票)は、ブッシュの勝利を決定した票差が11万9000票であることを鑑みると、重大な数値ではある。

オハイオ州の民主党支部は投票の再集計を注意深く見守っている、と広報担当者のダン・トレバス氏は語っている。

「我々の負けかもしれない」トレバス氏は言う。「しかしそれ以上の事実があるとすれば、調べなければいけない。全ては公明正大に行われるべきだ」

フロリダ州では、新型のタッチスクリーン投票機により、パンチ式にみられたような曖昧さはなくなった。しかし、ATM化した投票技術は、新たな疑惑を作り出している。

カリフォルニア大学バークレー校の、マイケル・ホート教授は、フロリダ州で新投票機を使った地域の投票パターンと、従来の複数選択可能な投票システムを使用した地域のそれを比較した。

それらパターンの違いから、マイケル教授は新投票機における機器障害がブッシュ陣営に有利に働いたと結論付けることになった。教授の推測によると、ソフトウェア上の不具合によりケリーへの投票はカウントされず、あるいは誤ってブッシュ票としてカウントされたとしている。

「統計的にみれば、おおいに怪しい状況です」教授は言う。「実際にどうなっているかを明らかにするのはフロリダ州住民次第でしょう」


さらに、フロリダ州では、11月の選挙で敗北した民主党の下院議員候補ジェフ・フィッシャー氏が、共和党陣営による選挙不正計画を記した電子メールを目撃したと語っている。フィッシャー氏によると、その計画は、選挙担当者達を抱き込んでニセの有権者登録を行わせ、担当者達はそうしたニセの有権者登録を使って、電子投票機を操作しブッシュへの票に加算したとのことである。

FBIはフィッシャー氏の申し立てを取り上げ、調査中であることを認めている。

2004/12/02

「進化論には科学的根拠がある」と理解するアメリカ人は僅か35%

Editor & Publisher 2004/11/30付け記事より。これはもはや笑い事ではない。

ギャラップ社の最新米国世論調査によると、進化論に関するアメリカ国民の意識は以下のとおり:

  • 「ダーウィン進化論には科学的根拠がある」---35%
  • 「ダーウィン進化論はひとつの理論に過ぎず、科学的根拠に欠ける」---35%
  • 進化論についてよく知らないので質問に回答できない」---29%
  • 「人類はおよそ1万年前に神によって創造された」---45%

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「神が地球を創造されてから6日間のうちに恐竜も創られた」ジョージア州で教育機関を中心に大量配布されているステッカー(source

また、同調査によると、「聖書に書かれた言葉は神が実際に言われたことで、一言一句そのまま解釈すべき」と回答するアメリカ人はアメリカ全体の1/3を占めるという。

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