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2004/12/09

バーナード・ケリック国土安全省新長官の経歴と背後

「とにかく、奴(オサマ・ビン・ラディン)が何処にいるかは知らないんだ。正直言って、奴のために多くの時間を割くわけにはいかないんだよ」

(So I don't know where he is. You know, I just don't spend that much time on him, Kelly, to be honest with you. )

----2002年3月13日、公式記者会見で、記者にオサマ・ビン・ラディン捜査について問われた際の、ブッシュ大統領の発言(source

2004年12月3日、ブッシュ大統領は、トム・リッジ国土安全省長官の辞任を受けて、後任に元ニューヨーク市警本部長バーナード・ケリック氏を任命すると発表した

共同通信の記事では、ケリック氏は「米中枢同時テロで救出・復旧作業の陣頭指揮に立った」と爽やかに紹介されている。しかし、同氏の経歴のあまり注目されたくない部分を見れば、リッジ前長官ならただちに国内テロ警戒レベルを「赤」に引き上げるにちがいない。(例えば911テロ調査委員会のジョン・リーマン氏はケリックを評して「ボーイスカウトほどの能力もない」と批判しているらしい)

以下にバーナード・B・ケリック国土安全省新長官の略歴を並べてみよう:

1974年-76年(ケリック氏19歳-21歳):
米軍憲兵として韓国に赴任。まもなく韓国人女性との間に女の子が生まれ、その娘をリサと命名。その後1年で娘と母親を韓国に残してアメリカに帰国。(2002年、26年ぶりに再会を果たす)

1982年-84年(ケリック氏27歳-29歳):
サウジアラビア・リヤドのファイサル王特別病院でセキュリティ責任者に就任。主な任務は病院スタッフの生活監視。元病院関係者ジョン・ジョーンズ氏の証言:「(ケリック氏について)ならず者でした。まるでゲシュタポのように、私の生活をだいなしにした」

1985年-1987年(ケリック氏30歳-32歳):
ニュージャージー州パセーイク郡刑務所長を経験後、ニューヨーク市警の警官としてグリニッチ・ヴィレッジに暮らすが、クレジットカードの使いすぎで自己破産。破産時の負債額は12,000ドル。

1994年-2000年(ケリック氏39歳-45歳):
ニューヨーク市警の麻薬捜査チームで潜入捜査官として活躍。コロンビアの麻薬組織カリ・カルテル撲滅に尽力。ジュリアーニ市長(当時)が組織した賭博監査委員会の委員長に任命される。後に、ニューヨーク市警矯正サービス局局長代理に就任。この時、ケリック氏自身の経営する会社を経由し、タバコ企業から100万ドルの賄賂を受け取る。そのお返しにケリックは、自身が管轄する刑務所内で販売されるタバコの価格を高額に設定し、タバコ会社の売り上げ増加に貢献した。そうした功績が認められ、2000年にはジュリアーニ市長(当時)の推薦により第40代ニューヨーク市警本部長に抜擢される。

2001年-2003年(46歳-48歳):
NY市警退職後、ジュリアーニ元NY市長の設立したジュリアーニ・パートナーズ社(セキュリティコンサルティング・投資企業)上級副社長になる。2003年5月には、イラク内務省上級補佐官に任命されたが、2003年9月に退任し、帰国。(この期間にイラク暫定政府内で石油売上金の大量紛失事件が発生している)

ケリックとブッシュ

ブッシュ再選キャンペーンで応援演説するケリック氏。ジョージは自分の会社をいくつも破綻させたが、ケリックは警官時代に自ら自己破産した人物。


以上のように、ケリック氏の2000年以降の経歴を見れば、ブッシュ大統領による国土安全省長官任命劇の背後には、ジュリアーニ元NY市長の口利きがあったことは容易に想像できる(実際、本人も否定していない)。

ジュリアーニ氏が自らのビジネスパートナーをテロ対策省長官に推薦した理由は言うまでもない。2003年度に、国土安全省が外部セキュリティ企業と行った年間取引総額は67億3,000万ドル(約7,000億円)。新長官ケリック氏の最初の仕事はこれら取引の監査と見直しである。国土安全省が新たに契約する企業の出資元にジュリアーニ・パートナーズ社の名前が輝いているとしたら、それは決して偶然ではないということだ。

実際、ケリック氏の国土安全省長官任命の発表があってから、ジュリアーニ・パートナーズ社には顧客が殺到しているという。つまり今後は、国土安全省がテロ警戒宣言を発表するたびにセキュリティ関連企業の売り上げは急上昇し、国土安全省長官を部下に抱えるジュリアーニ元NY市長は、2008年度大統領選挙出馬のための資金を、存分に集めることができるわけである。

対テロ政策という名目で、ブッシュとその友人たちが国民の恐怖を扇動しながら金を稼ぎ出す方法について優れた才能を発揮していることは理解できた。しかし、肝心のテロリスト追跡はどうなっているのだろう?ホワイトハウス、CIA、FBI、NSA、DIA、DHSその他捜査当局者にあらためて尋ねてみたい。オサマ・ビン・ラディンは今何処に?

はっきりしていることは、大統領選挙が終了した現在、オサマ・ビン・ラディンはもはやホワイトハウスの関心を惹かないということである。ホワイトハウスは、カメラの前ではパキスタン政府と協力してオサマ拘束に尽力しているように見せているが、実のところアメリカ政府当局者もパキスタン軍事情報部も、オサマ・ビン・ラディン拘束について「優先事項ではない」と捜索を諦めている状態なのだ

パキスタンのムシャラフ大統領に至っては、「オサマが何処に居るのか全く知らない」と堂々宣言している。この不真面目な説明に対し、なぜかアメリカ政府は10億ドル分の武器供与でムシャラフ大統領の功績を讃えている。ここでもまた、ビジネスがテロ対策に優先したというわけだ

オサマも側近のザワヒリも、あれだけプロモーションビデオで華々しくアピールしたのに、このアメリカ側の冷たい対応は・・・オサマは怒っているに違いない。3,000人ものアメリカ人を殺して見せたのに、ブッシュはもう振り返ってはくれない・・・一体どれだけアメリカ本土を攻撃すれば、ビン・ラディンはブッシュのハートを捉えることができるのだろう?

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