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2004/12/27

米ワシントンポスト紙社説:ブッシュ政権は「戦争犯罪」を犯した

ワシントンポスト紙2004年12月23日付け社説より。以下に全文を翻訳掲載。(文中リンクは訳者による)

ワシントンポスト紙がこのような明確なブッシュ政権批判を開始した背景には、少なくとも2つの事情が考えられる。一つは、大手メディアは政府の嘘を知りながら全く調査報道を行っていないという批判が業界内部からも拡大しつつあるということ。(一方で、ACLUCPI等の市民団体は大手メディアをはるかに凌ぐ調査活動能力と信頼性を保持している)もう一つは、ジョン・ケリー陣営がオハイオ州の投票再集計の法廷闘争に本格的に加わると見られており、現ブッシュ政権の正当性が著しく低下するという予測から、いち早くブッシュ批判をして自社の怠惰に対する批判の矛先をかわしたいという意図である。ともあれ、以下の社説が今後のアメリカ新聞業界に与える影響は決して小さくないだろう。



戦争犯罪(War Crimes)

The Washington Post紙2004/12/23付け社説


米国自由人権協会(the American Civil Liberties Union:ACLU)他市民団体の提訴のおかげで何千ページにも及ぶ政府文書が今月公開されたことにより、米軍とCIAによって行われた外国人拘留者への虐待の忌まわしい事実が確認されることになった。ブッシュ政権が執念深く隠し続けた事実である。

今春に、イラク・アブグレイブ刑務所での囚人虐待写真が公開されてから、ドナルド・ラムズフェルド国防長官に率いられた政権内の隠蔽担当者達は、そうした犯罪が数人の低階級予備兵によって2003年の数ヶ月間、アブグレイブ混乱時期の夜間シフト時に限って行われ、囚人の尋問とは無関係で、グアンタナモ刑務所においてテロ容疑で収容されている大勢の囚人に対しては虐待が行われていないと主張していた。新たに公開された文書によれば、閣僚によるそうした主張が全くの虚偽であったことはもはや疑いの余地がない。

公開された文書は政府内に詰まれたファイルの一部に過ぎないが、すでに2002年の時点でグアンタナモ刑務所において虐待が行われ、アブグレイブ刑務所の虐待写真が話題になってからもイラクで継続して虐待が行われていた事実を示している。FBI捜査官達は、キューバの基地における軍部の尋問官による組織的な虐待と、殴打、絞首、長期に及ぶ睡眠遮断、イスラエル国旗で包むなどの辱めについて、内部向け電子メールとメモで報告している。「尋問室に入ると、囚人が手足を無理な姿勢のまま床に鎖で固定され、椅子も、食事も水も与えられていなかった」匿名のFBI捜査官が2004年8月2日に記している。「排便、排尿は服を着たまま強要され、18時間から24時間以上放置されていた」6月には、二人の国防情報部員が、バグダッドで囚人が特殊部隊員(6-26部隊)により激しく殴打されていたのを目撃、報告している。抗議した情報部員は、脅迫され、撮影した写真は没収された。

虐待行為の中には、一部の部隊による規律不足から派生したものもあるだろうが、問題の拡大が示唆するのは、軍上層部がそうした悪行を防ぐための努力をほとんどしなかったというものである。しかも、グンタナモ刑務所の尋問官は、ラムズフェルド長官の指示に従っていたつもりであることが、文書により確認されている。或るFBI捜査官が5月10日に報告した内容によると、グアンタナモ刑務所の責任者であるジェフリー・D・ミラー少将と会話した際、違法な尋問テクニックについて、軍部は「国防長官の作業命令を得ている」として虐待行為を擁護していたという。ミラー少将は、グアンタナモ刑務所では犬による囚人脅迫は行われていないと宣誓証言していたが、FBIの記録はそれとは違っている。

裁判によって決定されるまで、市民団体による情報公開法に基づく文書公開請求を、ブッシュ政権は拒否してきた。今、市民団体の発表に対して、ブッシュ政権は、その広報担当者を通じて、全ての不法行為を調査すると新たに約束している。過去数ヶ月間の実績から、ブッシュ政権の上層部は、説明責任を果たすこともなく、恥ずべき行為の後も政策を一切変更するつもりもないであろう。下院議会もまた、共和党の支配の下、責任を逃れ続けている。最新の刑務所虐待事件公聴会が行われてからすでに4ヶ月が経過している。おそらく、裁判所の介入により、結局は、グアンタナモ刑務所やイラク、アフガニスタンで現在も続く人権侵害行為に歯止めがかかることになるだろう。今となっては明確な真実だが、アメリカ政府による外国人囚人の虐待と殺戮について、事態の改善は全く見られないのである。


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