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2005/01/08

過去100年間で2度目:米上院・下院合同議会でブッシュ大統領再選に異議申し立て

2004年1月6日に開催されたアメリカ合衆国米上下両院合同会議について、毎日新聞は2004/01/07付け記事で以下のようにシンプルに報じている:

「米大統領選で、米上下両院は合同本会議を開き、昨年12月13日に実施した大統領選挙人(総数538人)による投票結果を公式に開票した。・・・(中略)・・・これでブッシュ氏の当選が正式に承認された。」
しかし、当の議会の討議内容はそれほど単純ではなかったのである。ブッシュ大統領再選を決定付けたオハイオ州選挙の結果について、上院・下院議員が異議申し立てを行い、議会は騒然としていたのだ。
人種差別による選挙不正を糾弾する下院議員の面々

オハイオ州の人種差別による選挙不正を糾弾する下院議員の面々。議会においても人種間の格差は根強い


大統領選挙の選挙人認定をめぐる異議申し立ては過去100年に僅か1度だけ行われたとされる。1969年:ニクソン再選認定の年

議会では、多くの下院議員(大多数が有色人種)が、オハイオ州での選挙不正について声を荒げた。2000年のフロリダ州における選挙不正---ゴア支持層であるアフリカ系アメリカ人の公民権が州知事であるブッシュ実弟によって剥奪された事件---に揺れた議会の風景がまるきり再現されたかのようである。

下院での申し立てを上院で討議するためには少なくとも1人の上院議員の署名を必要とする。映画「華氏911」冒頭シーンで観られたように、2000年度のフロリダ州における公民権剥奪事件について、当時の下院議員に同意する上院議員は登場しなかったのである。

しかし今回は違っていた。上院で唯一人、カリフォルニア州選出のバーバラ・ボクサー議員が、ステファニー・タブズ下院議員と共に、正式に異議申し立てを行ったのである。当日の議長役を務めたチェイニー副大統領は冷静に振舞っていたが、体内のペースメーカーは暴走寸前だったに違いない。(議会のハイライト場面はエイミー・グッドマンのデモクラシー・ナウで視聴できる

アメリカ合衆国の選挙システムに異論を唱えることは、国家の根幹を揺るがす行為であり、激烈な勇気を必要とされる。国民の分裂を恐れたジョン・ケリーは、アル・ゴア同様、疑問を呈しながらも声を上げる気骨を持たなかった。異議申し立てをした議員達の勇気に対して、マイケル・ムーアの賞賛だけではとても足りないと感じられる。

そこで、手始めにバーバラ・ボクサー上院議員の異議申し立て声明文を公式ウェブサイトから翻訳し以下に掲載した。ボクサー上院議員の申し立ては、上院74対1、下院267対31で却下され、その結果ブッシュ大統領再選が議会により公式に認定された。異議申し立てに賛同した他の下院議員達の発言内容についても、後日翻訳掲載する予定である。)

バーバラ・ボクサー上院議員の異議申し立て声明文(公式サイトより

上院、下院の議員として、私達は自らの信念のために・・・常により良い国家を創出するべく闘いながら生きているものと思います。

私達は社会正義のために闘ってきました。経済の公正化のためにも闘ってきました。環境正義のために闘ってきました。司法の正義のために闘ってきました。

今、私達はもうひとつの闘いを加えるべきです。選挙の公正化のための闘いです。

この国では、選挙登録した全ての市民は、自らの投票が重要であり、全ての票が数えられることが保証されるべきなのです。そして、投票ブースの中では、あらゆる市民の投票は、上院議員、下院議員、大統領、閣僚、あるいはフォーチュン誌500ランクに入る企業のCEOの投票と等しい価値を持つのです。

私は、同僚である民主党員、共和党員、そして独立派の方々が、この主張に同意していただけると確信しています。投票ブースの中では、皆が平等なのです。

そこで、合衆国憲法の名の下に投票の権利が保証されているものとして、私達は以下の如く問い直すべきです。

なぜオハイオ州の有権者は、雨の降る中、何時間も待たねばならなかったのでしょうか?例えば、なぜケニオン大学に投票に来た有権者は、1,300人の投票者に対して2台しか投票機が設置されず、投票日の深夜、午前4時まで行列に並ばされたのでしょうか?

なぜ貧困なアフリカ系アメリカ人が多く居住する地区だけが、長く待たねばならなかったのでしょうか?

なぜフランクリン郡の選挙管理委員達は、5,000台の投票機が必要であると知りながら僅か2,798台しか設置しなかったのでしょう?なぜ委員達は68台の投票機を倉庫に引っ込めたのですか?その内42台の機械が、アフリカ系アメリカ人が多数を占める地区から排除されていたのはなぜですか?

なぜ、コロンバス地区だけで、およそ5,000から10,000人の有権者が、投票ができないまま、投票所から去らねばならなかったのでしょう?この知らせを聞いてから、何人が投票することもなく去ったのでしょうか?訳注1

フランクリン郡の一つの地区では638人が投票しただけなのに、投票集計機は4,258票をブッシュ票として加算したのはなぜですか?幸いにもその間違いは修正されましたが、それ以外にどれほどの票が間違えて加算されたのでしょうか?

なぜフランクリン郡の選挙委員達は、下町(ダウンタウン)では電子投票機械の設置を削減し、郊外では設置件数を増やしたのでしょう?それが長い行列の原因だったのです。

クリーブランドでは、選挙委員が有権者に間違った説明をした結果、何千票もの暫定投票が無効にされてしまったのはなぜでしょう?

お聞きのように、あまりにも多くの地域で投票の不具合が発覚しておりますので、私はステファニー・タブス・ジョーンズ下院議員と共に、今すぐ修正すべき欠陥システムの実情に光明をあてるべく行動しているのです。

民主主義は、私達の国家全体の最重要項目です。それこそ、私達が一番大切にしてきた望みであり、世界の隅々まで伝えるために尽力していることなのです。

そうした努力のために、我が国の兵士が血を流し続けているという時に、私達自身の選挙システムが非常に多くの改善を必要としており、その信頼性を失いつつあるという事実を自覚すべきなのです。

しかしながら、過去何年もの間、議会は国民の投票の重要性を確信させるための努力を怠っています。

選挙改革法(Help America Vote Act)施行後も、改善点は見られません。訳注2

1年前、グラハム上院議員とクリントン上院議員、そして私は、電子投票機における投票記録を紙で出力させる法案を提出しました。紙の記録があれば、より安全な投票と再集計の不具合を防ぐことができるのです。

上院は理由もなくその法案を却下しています。少なくとも、公聴会が開催されるべきでした。しかしその公聴会すらも未だ行われていないのです。

涙を拭うバーバラ・ボクサー上院議員

異議申し立てが却下され、涙を拭うバーバラ・ボクサー上院議員(民主党:カリフォルニア州)


最後に、下院の同僚、ステファニー・タブス・ジョーンズ議員に感謝を述べたいと思います。

彼女の署名依頼の手紙は、適切で切実なものでした。

彼女への返信に記したとおり、今回の不具合を含め、選挙システムの全体的改革を議会に検討させることは事実上不可能であるという彼女の指摘が、殊更に私を(異議申し立てへ)突き動かしたのです。

ジョーンズ議員は、自分の故郷であるオハイオ州に、並々ならぬ敬意を表しています。そして、そのオハイオ州こそが今回の争点となっているのです。

ステファニー・タブス・ジョーンズ議員は、判事として10年間活躍されました。検事としても8年間を務めた方です。2002年には、全米女性栄誉の殿堂入りを果たしています。

彼女と共にこの異議申し立てを行うことを誇りに思います。(以上)


訳注1:アフリカ系アメリカ人有権者を狙い打ちする投票妨害行為を指していると思われる)

訳注2グレッグ・パラスト記者の記事を参照の事)

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