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2005/01/27

「狂牛病とアメリカ人」byジョン・ストーバー

In These Times誌2005/01/18付けコラムより。全文を翻訳して以下に掲載。(文中リンクは訳者による)このコラムを書いたジョン・ストーバー氏は全米ベストセラー本「Mad Cow U.S.A.: Could the Nightmare Happen Here?(邦訳は道出版:隠されている狂牛病)」の共著者である。

米国牛肉輸入再開問題について、これまでのところ米国側は、日本への輸出対象を生後約14カ月齢以下とみられる牛に絞り込む「妥協案」を提示してきたが、以下のコラムに書かれているとおり、米国産の子牛が安全などという主張は全く信用できない。

さらに悪いことに、ベネマンから業務を引き継いだ米農務省の新長官、マイク・ジョハンズ氏(元ネブラスカ州知事)は「米国のグッド・サイエンスを下に判断すべき」とひたすら米国牛の安全性を主張しており、日本に対しては前述の妥協案を撤回して、全ての輸入規制を撤廃させると豪語している(もっとも、採用時に大風呂敷を広げるのはアメリカ人ビジネスパーソンの典型的行動パターンである)

反戦家の活動監視を主要な業務としている奇妙な国内テロ対策を見ればわかるように、米国の役人に安全確保について理解させることはとてつもなく難しい。一方で、日本の政府関係者にイエスと言わせるほど簡単なことはないと、米国政府当局者は堅く信じているのである。

日本側の実務者はどう対応すべきか?「前向きに検討します」と頭を下げて、事態を一切進展させないという日本人特有の高度な交渉術を崩さないのもひとつのやり方かもしれない。


狂牛病とアメリカ人(Mad Cows and Americans)


北米牛の手薄な検査基準は感染の拡大を隠蔽している

by John Stauber:In These Times誌2005/01/18付けコラム

1月2日、カナダ政府当局者は、アルバータ州の乳牛が狂牛病検査に陽性反応を示したと公表した。北米大陸の牛で神経系疾患と確認された事例としては3例目である。

大部分のカナダ国民とアメリカ国民は、BSE(牛海綿状脳症)---の感染を防ぐために自国の政府が必要な措置をとっていると信じている。過去10年間、両国の政府当局関係者と食肉企業、畜産業界は、牛のタンパク質を飼料として牛に与えることを禁止して脳疾患の感染を防ぐとされる“1997飼料禁止措置”のような広範囲な防御措置により、カナダと米国では狂牛病の発生はないと主張してきた。

しかしながら、1997年度に米国とカナダで導入された規制は、あまりにも非力で、いささか遅すぎたのである。例えば、牛の血液をタンパク源とした調整乳を子牛に与えることは、両国において今でも合法である。

なぜ今日までにたった3例しか狂牛病感染が確認されていないのか?カナダと米国の両国では、政府当局による検査件数を増加させているが、その検査基準はEUや日本で行われているものに比較して、悲惨なほど不適切なのだ。

2004年度に食肉加工され、一般食品や飼料向けに供給された3,600万頭の牛の内、検査されたのは17万6,468頭に過ぎない。少なくとも、都会的な“クイック検査”により狂牛病感染の可能性があると診断された3頭に関しても、米国農務省は、詳細検査の結果感染を否定している。しかし、政府による検査は非公開で行われているため、疑わしいものである。独立した科学者や研究所による検査は全て拒否されている。農務省が狂牛病感染の可能性について警告するたびに食肉市場は大混乱に陥るので、業界団体は政府に感染疑惑について一切発表しないよう圧力をかけている。

ドイツで狂牛病感染牛の存在が確認されたきっかけは、企業独自の検査によるものだった。したがって、カンサスを拠点とするクリークストーン・ファームズ・プレミアム・ビーフ社が、日本への輸出用牛に対する独自検査の協定を日本側と締結した際、米農務省が1913年の法を持ち出して、企業による独自検査を違法として警告した件も何ら驚くに値しない。

危機に関する広報活動の基本ルールは、“怒りを管理する”ことである。2003年12月23日、米国内での狂牛病感染確認の発表の際にメディアは色めき立ったが、周到に用意された農務省とPR企業との連携活動により、騒ぎは数週間で沈静化された。それ以来、メディアは主に農務省長官と、業界に支援されたさまざまな第三者団体---例えば、ハーバード危機分析センターのような素敵な名の団体による事態の沈静化を企図した主張を反復するのみである。その結果、ほとんどのアメリカ国民は、狂牛病感染防止のために必要な防護手段が行われていると思い込み、ヨーロッパで発生した、米国政府に対してヨーロッパの基準を遵守させ、家畜を家畜に飼料として与えることを全面禁止し、検査の拡大を求めるような大々的な抗議活動が起こることもない。

狂牛病とその人間版といわれる謎めいた致死病、クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)の問題解決のために必要な手順は、単純且つわかりやすいものである。この病気は スタンリー・プルシナー博士の命名した異名である“プリオン”というタンパク質により感染拡大する。感染した家畜が人間や他の家畜に与えられると、狂牛病感染が起こる可能性がある。家畜を飼料として家畜に与えることを禁止すれば解決するが、そうなると畜産業界は、廃棄物---食肉処理後の臓物を、動物性タンパク質と脂肪補助食品という価値資源に転換する手段を奪われることになる。

合衆国が専門家の意見を聞き入れ、1996年に人間の死亡が確認された際に英国が行ったような家畜飼料化規制を導入したとすれば、米国内の狂牛病危機は回避されたことだろう。その代わりに、現在の北米には狂牛病が実在し、合衆国とカナダの子牛は牛の血液入りミルクを飲み、米疾病対策予防センター(CJD)は、突発性のクロイツフェルト・ヤコブ病によるアメリカ人の若者の謎めいた死亡原因が、狂牛病に感染した米国製の牛肉を食べたことによるものなのか、密かに調査しているのである。

米疾病対策予防センターによれば、突発性のクロイツフェルト・ヤコブ病は、100万人に1人の割合で発生する珍しい致死性感染病であるという。予防センターの報告で言及される20代、30代、40代の死亡患者は、過去5年間にカリフォルニア州、ユタ州、オクラハマ州、ミネソタ州、ウィスコンシン州、ミシガン州、ニュージャージー州、テキサス州その他の州で表面化している。アメリカ国内の鹿にみられる狂牛病タイプの感染病は慢性消耗病と名づけられ、また米国内の羊はスクレーピー病(狂牛病の羊版)に感染することが知られており、これら感染病が人間にも発生する恐れが拡大しつつある。しかしながら、痴呆症による死者は解剖検査されることもなく、クロイツフェルト・ヤコブ病による死亡例の報告とその調査が全国的に義務付けられているわけでもない。

1985年以前には、狂牛病は確認されていなかった。1996年までは、その感染による人間の死亡が確認されていなかった。2003年まで、血液感染により狂牛病が拡大するという報告は記録されていなかったが、同年には北米で最初の感染例が2例確認されることになった。

こうした感染例における最大の謎のひとつは、変種の実在と、研究所での試験で起こるような、特定の種が新たな宿主に感染した際に変種が出現する過程、そして、感染した飼料と感染家畜から、いわゆる種の壁を乗り越えた感染がいつ発生するのかというものである。

最悪の事態も予想されるので、政府の対応を求めていくべきである。例えば、動物同士の感染による狂牛病の拡大は確認されていない。しかし北米の鹿やヘラジカにおける同系の感染症である慢性消耗病は、同種での感染がみられる。一匹の鹿の唾液や糞から、他の鹿も感染するのである。悪夢のシナリオはこうだ:致命的な痴呆症が、キスで感染することになる。

2005/01/26

「ザルカウィはファルージャで拘束されたが、解放された」

2005/01/24付けVOICE OF AMERICAで報道された未確認情報を以下に要約して掲載:

サウジアラビア人の自爆テロ容疑者、ザルカウィ容疑者が拘束後に解放されたと主張(Saudi Suicide Bomber Claims Zarqawi was Captured, Then Released)

by アリッシャ・リュー:バグダッド:2005/01/24付けVOICE OF AMERICA報道

昨年12月、イラクのバクダッドで、ヨルダン人派遣団に自爆テロを仕掛けようとして拘束されたサウジアラビア人が申し立てたところによると、イラク警察は、イラクで活動する最重要テロリストのアブ・ムサブ・アル・ザルカウィを2ヶ月前に一端拘束したが、直後に解放したという。この申し立ての真偽について、米軍とイラク政府高官からの確認は得られていない。

イラク内務省から提供されたビデオディスクに記録されていた映像によれば、重度の火傷を負った自爆テロ容疑者アーマド・アブダラ・アル・シャイヤが尋問官に、昨年10月から12月の間に、自爆テロ作戦の志願者としてサウジアラビアからバグダッドに渡った道程について説明していた。

容疑者の話によると、彼はシリア経由でイラクに入国し、国境沿いで密輸業者と出会い、緊張が続くアンバー県の街ラマディまで案内され、武装集団から訓練を受けたという。ラマディはファルージャに近く、10月から11月初旬まではヨルダン出身のテロリスト、アブ・ムサブ・アル・ザルカウィの集団と他のスンニ派集団が支配していた。

シャイヤ容疑者が言うには、彼は11月の米軍によるファルージャ攻撃の際にラマディに居たとのこと。その後2週間の戦闘で、米軍とイラク政府軍は反乱軍側を制圧したが、ザルカウィは拘束を免れた。

イラク人尋問官がシャイヤ容疑者に、ザルカウィの行方について尋ねたところ、驚くべき答えが返ってきた。

「ザルカウィの状況と、行方について知っているか?」尋問官はシャイヤ容疑者に聞いた。

「知らない。だが仲間のムジャヒディンから聞いた話では、イラク警察はザルカウィをファルージャで拘束したそうだ」その後、イラク警察は拘束した人物がザルカウィであることに気づかぬまま解放したと聞いた、とシャイヤ容疑者は語っている。(以下略)


この自爆テロ容疑者の話が事実であるとすれば、米軍の指揮下にあるはずのイラク警察はなんとも大きな失態をしたものである。

ところで、この記事を読んで訳者の頭に浮かんだのは、映画「フレンチ・コネクション2」の冒頭、マルセイユ警察が麻薬シンジケートのアジトを急襲する場面だ。米国人オブザーバーとして現場に立ち会ったポパイ刑事(ジーン・ハックマン)は、逮捕劇の混乱に紛れてこっそり逃げていく黒人容疑者を見つけ、拘束しようとする。しかしマルセイユ警察の刑事部長はポパイ刑事を遮り、その男を解放させ、こう説明する: 「あの男はこっちのスパイなんだ。だから逃がしたんだよ」

2005/01/25

「地上管制センターからブッシュに告ぐ」byバーニー・サンダース

In These Times誌2005/01/20付コラムより。以下に全文を翻訳掲載。


「地上管制センターからブッシュに告ぐ(Ground Control to Mr. Bush)」

海外移転推進企業家、それを支援する政府連中と仲良く付き合う時期は終わった

by バーニー・サンダース:In These Times誌2005/01/20付コラム


「貿易赤字については、解決は簡単です。貿易赤字が心配な人達はもっとアメリカ製品を買えばいいんです」

----ジョージ・W・ブッシュ、2004年12月15日の演説より

通説によればマリー・アントワネットがギロチン台に向かう際に言ったとされる「(パンがなければ)ケーキを食べたらいい」という冷淡な言葉すら連想させる大統領の発言は、アメリカ国民が直面している経済問題にブッシュ大統領がいかに無関心であるかをよく表している。どうやら、大統領は最近のショッピングモールやウォルマートに行った事がないらしい。ホリディシーズンに玩具や、自転車、コンピューター、スニーカー、衣服、電話、カウボーイブーツ(そうさ、大統領殿!カウボーイブーツだ!)あるいは人工のクリスマスツリーと飾りを買いに殺到した何百万ものアメリカ国民のように、大統領もショッピングに出かけたなら、商品の大半が海外製、特に中国製であることに間違いなく気づくはずだ。

大統領殿、ホリディシーズンには、10代の親戚用にXboxを買いに出かけましたか?もしも米国製のXboxをお探しでしたら、お生憎さま。Flextronics社CEOマイケル・マーク氏の弁によれば、「マイクロソフトのXbox製品は全てメキシコから中国での製造に切り替えました」ということですぞ。

クリスマスに、奥様からアリアットのカウボーイ・ブーツを贈られた?大統領殿、それは全部中国製なんですよ。

昨年夏の事故で誰でも知ることになりましたが、大統領殿は自転車が大好きだそうで。クリスマスには丈夫なマウンテンバイクでもどうです?おおっと、アメリカ国内にある自転車の85%は中国製でしたね。

最高司令官たるもの、自国の軍隊が使う高性能爆弾とクルーズ・ミサイルには希土類磁石がもっと必要だとお考えでしょう。ところで、その磁石の80%は中国製だとお気づきでしたか?

星条旗はどうです?911同時多発テロ以来、1000万以上の星条旗が中国で製造されましたよ。

リーバイスのジーンズ?残念ながら、これまたすでに米国製じゃありません。クリスマスに、ホワイトハウスでは飾り付け用品を買いましたか?その装飾用品のおよそ80%は中国製ですよ。(ところで、友人とキリストの誕生を祝おうとした、いわゆるクリスチャンの“反体制活動家”が中国で逮捕された記事は読みました?)

大統領殿、来年のホリディシーズンのお買物は、ゼネラル・モーターズ社前CEOジャック・スミスとお買物に出かけるのもいいでしょう。少なくとも、最近のスミス氏は現実世界に目覚めたらしいですからね。「ウォルマートを見回してみると」スミス氏は言いました。「まるで中国製品しか置いてないみたいだ」スミス氏は中国からの輸入についてよく知ってるはずです。なにしろ、ゼネラル・モーターズは、昨年は2億ドルだった中国からの部品購入費を、2009年までに40億ドルに増加させることで、米国の自動車産業を海外移転させる準備をしているんですから。

アメリカの産業が海外に移動しつつあるという過酷な現実から、大統領やその経済担当補佐官たちが目を逸らしている間に、大統領自身の貿易政策による悲惨な効果が、地元の製造業に波及しつつあることを直視する議員は増える一方だ。そろそろ議会は大統領を現実に引き戻して、現状のアメリカにおける節操のない自由貿易政策が、国内の労働者家庭をいかに悲惨な目に遭わせているかを大統領に理解させて、根本から政策見直しを求める時期に来ている。

今日では、我が国の中産階級は減少し、貧困率は増加し、富裕層と貧困層の差は拡大するばかり。今年には、合衆国は6000億ドルという史上最大の貿易赤字を記録する予定だが、中でも中国相手の貿易赤字は1400億ドルと見積もられている。我が国では過去4年間、まともな給与を払う製造業分野で270万人分の雇用が失われたが、それは業界全体の16%以上を占めている。失われた雇用の多くは中国に移転されたが、そこでは、労働者は時間あたり1ペニーの稼ぎに最小限の権利しか認められない。一方で、国内で新規に創出された雇用のほとんどは低賃金、最低手当ての仕事ばかりだ。

驚いたことに、米国内で中産階級が減少しているというときに、アメリカは中国が21世紀の超大国となるよう支援している。中国は急速に世界の製造工場と化しているだけでなく、情報産業分野でも最大拠点となりつつあるのだ。昨年、インテル創業者アンディ・グローブ氏は、米国は今後10年間で国内情報産業分野における雇用の大半を中国とインドに奪われるであろうと予言している。それらは現状でもっとも良い収入が得られる職業分野である。

シスコ社CEOのジョン・チャンバース氏もまた、典型的な企業リーダーとしてこう発言している。「中国は世界のIT中心地となるだろうが、その成立が2020年なのか、あるいは2040年になるかについては、多くの議論が沸き起こるだろう。わが社では、中国企業となるための全社的方針を固めているところだ」

海外移転推進企業家、それを支援する政府連中と仲良く付き合う時期は終わった。議会は中国との恒久通常貿易関係を撤回して、アメリカ国内における収入の良い働き口の保護と創出を目指すべきなのだ。大統領が耳を貸すまで、我々は声を荒げるべきなのである。

(訳注:本コラム著者のバーニー・サンダース氏は、無所属の政治家として過去40年間、7回再選という米下院史上最多再選記録を保持するバーモント州選出の下院議員。)

2005/01/24

数字で考える大統領就任式

大統領就任式に臨むブッシュ犯罪家族

就任式でのブッシュと娘達。明らかに二日酔いの欠伸をするジェンナ・ブッシュは大学を卒業後ワシントン地区の公立小学校で教員の仕事に就くと報道されたが、当の小学校校長は、人件費抑制のため大統領の娘の採用を拒否したとのこと。ブッシュ自身の教育政策「落ちこぼれゼロ法案」により公立学校の予算が大幅削減され、全米の公立学校で教員が大量解雇され始めているわけで、ジェンナもその1人となったわけだ。(source)昨年の共和党大会に参加したブッシュ娘達は、シークレットサービス他付き人を20人ほど引き連れて夜のニューヨークで飲み歩き、一つの店で4,500ドル(約46万2,194円)分のウォッカを仲間と飲み干したという酒豪ぶりが地元紙に暴露された。

Center for American Progress2005/01/20付けレポート「Inauguration: Lifestyles of the Rich and Heartless(大統領就任式:冷酷な金持ち達の生活スタイル)」より。大統領就任式の費用にまつわる数字を以下に抜粋:

4,000万ドル
ブッシュの大統領就任イベント費用(セキュリティ費用は除く)

2,000ドル
1945年当時のルーズベルト大統領就任式の際に連邦政府から支出された費用。現在の価値に換算すると約2万ドル。(訳注:第二次大戦時のため、大統領自ら質素な式典を申し出た)

2万ドル:
今回の大統領就任式のためにワシントンDCのホテル・リッツカールトンが購入した黄色いバラの費用。

200台
今回の大統領就任式に寄せられた企業献金で、イラクに駐留する米兵が乗車するための、装甲を施した高機動多目的装輪車が200台購入できたかもしれない。

1万ドル
フェアモント・ホテル(ワシントンの高級ホテル)の大統領就任式観客向けの宿泊パック料金。料金にはベルーガ・キャビアとドンペリニヨンの費用、運転手付きロールスロイスに、黒サングラスと無線機を装着した、シークレットサービスのフリをした俳優を二人同乗させるサービスを含む。(訳注:このホテルには愛国者宿泊パッケージなんてのもある!)

400ポンド
マンダリン・オリエンタル・ホテル貸切の大統領就任式記念パーティのために用意されたロブスターの重量

3000個
マンダリン・ホテルで用意された「ローラ・ブッシュ・カウボーイ・クッキー」の個数

1ドル
カーター大統領就任パーティに必要だった、ゲスト1人あたりの食事料金。支出を抑えるために、カーター大統領が用意したのはプレッツェル、ピーナッツ、クラッカー、チーズ、それに現金払いの飲食カウンターだった。

2,200万人
ブッシュ大統領就任イベントに必要なお金が災害支援に転用されたとしたら、スマトラ沖大地震の津波被害を受けた地域の児童2,200万人分のワクチンと医療サービスを賄うことが可能だった

116万人
ブッシュ大統領就任イベントに必要なお金が難民支援に転用されたとしたら、アフガニスタンに住む少女116万人分の学費(1年分)を賄うことが可能だった

1万5,000ドル
自分の持ち物を空港まで持ってくるのが面倒な客が、ホテルリッツでパーティに出席するために毛皮のコート貸し出しサービスを利用する際に支払う料金

20万500ドル
ワシントンDCにあるマンダリン・ホテルの提供する大統領就任式期間特別スイート宿泊パッケージ料金。メルセデス・リムジン送迎とニーマン・マーカス(高級デパート)提供の正装付き。

2,500人
ブッシュ大統領の宣誓式で警護のために立たされた米軍兵士の人数。

2万6,000人分
大統領就任式費用の4,000万ドルで、イラクとアフガニスタンに駐留する米兵2万6,000人分の防弾チョッキを購入することも可能だった。

290ドル
大統領就任式のために集まった献金で、イラクに駐留する米兵全員に290ドルのボーナスを支給することも可能だった。

630万ドル
金融・投資業界から大統領就任式に贈られた献金総額。全献金額の25%を占めた。

1,700万ドル
ホワイトハウスがワシントンDC側の費用として請求した大統領就任式のセキュリティ費用。

9パーセント
ワシントンDC住民の内、2004年度選挙でブッシュに投票した比率。

66パーセント
今回の「過剰な」大統領就任式イベントの規模を縮小すべきと回答したアメリカ国民の比率

2005/01/20

コンドリーザ・ライス:「津波災害は米国にとって素晴らしい機会」

Common Dreams 2005/01/18付け記事より。

第二期を迎えるブッシュ政権は「道徳的価値観(moral values)」を重視しているという。ブッシュが選択した閣僚達は、わかりやすい形でその価値基準を世界に示そうと努力しているようだ。

アメリカ合衆国の新国務長官となるコンドリーザ・ライスが、18日に行われた上院外交委員会の公聴会で自信タップリに語って見せた言葉を以下に引用する:

「(スマトラ沖大地震の)津波は米国政府だけでなく、アメリカ国民のハートを示すための素晴らしい機会となったことはまちがいありません。私達にとって大きな見返りをもたらすことでしょう。」

("I do agree that the tsunami was a wonderful opportunity to show not just the US government, but the heart of the American people, and I think it has paid great dividends for us")


この言葉に激怒したのが、ブッシュ大統領の二期目承認に上院でただ独り反対するなど、現在米上院で最も気骨のある女性、バーバラ・ボクサー上院議員(民主党・カリフォルニア選出)である。ボクサー議員の批判を引用する:

「今回の津波は私達が経験する中で最悪の悲劇のひとつです。しかも被災した地域の復興には10年も費やすかもしれない被害をもたらしたのですよ。あなたの声明には失望させられました。あなたは機会を台無しにしたのだと思います

("The tsunami was one of the worst tragedies of our lifetime, And it's going to have a 10-year impact on rebuilding that area. I was very disappointed in your statement. I think you blew the opportunity.")


パートナーのブッシュ大統領と同じく、コンドリーザ・ライスもまた、自分がとんでもない失言をしているという事実にまったく気づかない人格の持ち主であることは今更言うまでもない。それにしても、退任間際のパウエル国務長官の大嘘にも呆れたが、新任の国務長官はそれを上回る間抜けさと傲慢さを感じさせる大物だ。

国家安全保障担当官時代のライスは、911テロ計画が進行中だった2001年8月、「ビン・ラディンが航空機による米国内テロを計画中」という情報部の重大警告を無視し、国民を保護するために何の施策も行わなかった。(しかし身内だけには“飛行機に乗るな”と忠告した。)

911同時多発テロの計画を知りながら、それを放置した理由は、今となっては明らかである。コンドリーザ・ライスは、米国本土へのテロ攻撃が、ブッシュ政権に「素晴らしい機会」を提供すると考えたのだ。

2005/01/19

「医療保障?キューバに頼んでくれ」byニコラス・クリストフ

ニューヨークタイムズ紙2005/01/12付けコラム記事より。以下に全文を翻訳して掲載。



医療保障?キューバに頼んでくれ。(Health Care? Ask Cuba)


by ニコラス・D・クリストフ:The New York Times, Published: January 12, 2005

悲しい事実を伝えよう:もしもアメリカ合衆国の乳幼児死亡率がキューバ並であったなら、我が国は一年で2,212人の子供を救うことが出来ただろう。

そう、キューバと同じならば、である。国民は我が国の医療システムは世界一と思っているが、アメリカで新生児が生き残る確率は、貧困な独裁国家とされるキューバ以下である。CIAの最新世界調査レポートによれば、キューバはアメリカよりも乳幼児死亡率が低い41カ国のひとつなのである。

さらに悪いことに、アメリカの乳幼児死亡率は近年悪化している。

1958年以来毎年、アメリカの乳幼児死亡率は改善されてきたか、少なくとも前年同率を保っていた。しかし2002年、死亡率は悪化した。現在、アメリカでは1000人に7人の割合で乳幼児が死亡しているが、その前年では6.8人だった。

そうした数字は、疾病対策予防センターの報告書に埋もれてしまってあまり注目を集めることもない。しかし、連邦政府から転がり出てくるそうした統計パターンが示すのは、アメリカの底辺に暮らす人々にとっては、新たな繁栄を享受するはずの現代は、悲惨な事態になりつつあるということである。

「アメリカの子供達は、過去10年間に比較してより多くの危険に直面しています」コロンビア大学メイルマン校舎環境衛生学部副学部長で児童保険基金主宰者のアーウィン・レッドレナー博士は言う。「乳幼児死亡率の増加は我が国が間違った方向に向かっていることへの警告であり、改善のめどは立っていないのです」

2002年度のアメリカにおける乳幼児死亡率を上昇させた要因については明らかになっていない。2003年から2004年度の正確なデータはまだ発表されていない。疾病対策予防センターのサンディ・スミス氏によれば、統計担当者は2003年度の統計について悪化することはないと確信しているが、高い死亡率が改善されているかどうかを判別するには時期尚早とのことである。

シンガポールは世界で最も乳幼児死亡率が低い国で、1歳前に死亡する幼児は1,000人につき2.3人とのことだ。スウェーデン、日本、アイスランドの乳幼児死亡率はアメリカの半分以下である。

もしも我が国の乳幼児死亡率がシンガポール並であれば、毎年18,900人の幼児を救うことが出来る。別の数値を考えるなら、我が国のイラク統治の失策により、毎年およそ800人のアメリカ人が殺されることになるだろうが、母国の医療保障の失策により、比較にならないほど多くの幼児が死ぬことになっているのである。そして母親もまた同じ運命だ・・・アメリカ合衆国で母親が出産時に死亡する確率は、ヨーロッパよりも70%も多い。

もちろん、出産病棟での死は1人づつなので、国家全体の注目を集めることもなく、ファルージャでの爆発やスリランカでの津波による悲嘆や騒ぎをもたらすこともない。しかしそれははるかに頻繁に起きている:毎日、平均して77人の乳幼児が死亡し、1人の妊婦が出産時に死亡しているのだ。

公衆衛生に注力することは、3億ドルでF/A-22戦闘機を一機購入することに比較してそれほどドラマチックではないが、アメリカ国民を守るとすればはるかに効果的である。

例えば、第二次大戦中の雇用ブームにより、多くの貧しいアメリカ人が、初めて普通の医療保障を体験することができた。40万5000人のアメリカ人が戦死したが、アメリカ国民の平均寿命は1940年から1945年の間に伸びており、白人は3年、黒人は5年寿命が長くなったのである。

実際、乳幼児死亡率と他のアメリカ国民の健康に関わる問題は、大部分が貧困と密接に結びついており、経験から言えば右派も左派も、貧困問題には解決策を提示できていない。しかし政府が計画し議論しはじめているいくつかの手順---資格取得を縮小するとか、特に児童の医療保険適用を削減するなどは、事態を悪化させることになるだろう。昨年、全米科学アカデミーの一部門である医学研究所が行った研究試算によると、医療保険の取得不足により、毎年1万8000人が無駄に死亡しているということである。

読者の皆さんはご存知だろうが、私は常日頃、反対派やクリスチャン、最近ではニューヨークタイムズ紙北京支局同僚のザオ・ヤンを投獄した中国政府の無慈悲について文句を書いている。しかし、その無慈悲さにも関わらず、中国の独裁者達は、北京の乳幼児死亡率を1000人あたり4.6人という低い率に抑えている。反対に、ニューヨークの乳幼児死亡率は1000人あたり6.5人である。

国民はアメリカという国の自由を祝福すべきだろう・・・貧困や医療保障制度の欠陥について文句をいって働きかけながら、である。北京やハバナよりも幼児が生き残り難いというアメリカは、とても容認できない。

2005/01/16

米国が津波災害支援を「下方修正」救援活動部隊は「できるだけ早く撤退」

ウォルフォウィッツ国防副長官、地震援助活動からの早期撤退を示唆「米軍には他に仕事がたくさんある」

アル・ジャジーラ2005/01/15付け記事によると、スマトラ沖大地震による津波災害視察のためバンコクからタイに向かう途中のポール・ウォルフォウィッツ米国防副長官は、記者の取材に対し「できるだけ早くこの援助活動から撤退したい」と話し、「米軍は他にやるべき仕事がたくさんある」と付け加えたという。

おそらく、津波災害援助活動に1万3000人以上の米軍部隊を派遣している米国防総省は、「援助活動にやりがいを感じている」という兵士達の心の変化に危機感を感じ、出来るだけ早く元の殺戮活動に戻したいのであろう。

ところでウォルフォウィッツは、被災地で行方不明になっている米国市民についてはどうするつもりなのだろう?


パウエル国務長官、公約を早々に撤回「米国が約束できる支援額は6000万ドル程度」


1月1日に3億5,000万ドルの支援額を表明し、アメリカが超リッチな国家であると世界中に充分知れ渡ったと判断したパウエル米国務長官は、1月10日に約束をあっさり撤回したパウエル氏の説明によれば、「米国が約束できる支援額は6000万ドル程度」であり、先だって約束したはずの3億5000万ドルの支援額については単に「意思表示」ということだ。

ほとんど報道されていないパウエルの約束撤回ニュースに怒った国連は、いち早くアメリカの「カラ手形」行為を批判するべく、各国の支援額の実施内容をWebで公開すると宣言している2億5000万ドルを即金で支払ったという日本政府対応はある意味報われたわけである。(もちろん、災害支援の真価はお金だけでは測れない)

ニューヨークタイムズ紙は社説で自国の政府について「実際に拠出する額よりも大きな金額をしばしば公約として発表している」と書いたが、まさしくその通りとなったわけだ。もはやアメリカは単なる「ケチ」ではなく「どケチ」あるいは「ウソつき」と呼ばれることになるだろう。ブッシュ陣営がケリー陣営を評した言葉を借りれば、ブッシュ政権こそ「flip-flop(態度をコロコロ変える)」ではないか

2005/01/15

ワシントンポスト紙:危機を捏造する大統領

ワシントン・ポスト紙2005/01/12付けコラム記事より。以下に全文を翻訳掲載。


危機を捏造する大統領(President of Fabricated Crises)


by ハロルド・メイヤーソン:ワシントン・ポスト紙2005/01/12付

大統領の中には、危機を乗り切ることで歴史に名を残す者も居る。リンカーンはサムター要塞を、ルーズベルトは大恐慌と真珠湾攻撃を、ケネディはキューバ危機を乗り越えた。ジョージ・W・ブッシュは、もちろん、911同時多発テロとそれに続く危機---タリバン政権転覆を通して、歴史にページを割いている。

しかし、歴史家がブッシュ大統領時代を振り返る時、他の大統領に比較してより注目することになるのは、危機を乗り越えるということではなく、危機を捏造した部分であろう。危機の捏造はブッシュ政権のお家芸なのだ。ホワイトハウスにやってくる前に自身で設定した目標---サダム・フセイン体制の転覆や社会保障の民営化---を達成するために、ブッシュ大統領は危機をでっちあげたのである。

さて、イラクがアメリカ国内の家庭にとって今そこにある危機となったのは、大量破壊兵器で満たされ、核攻撃も辞さないとされたからである。そして今週、大統領はさっそく二番目の大恐怖キャンペーンに乗り出している。今回のキャンペーンでは、アメリカ国民に対して、社会保証制度が破綻すると脅し、唯一の救済策は給付額を削減してシステムを個人会計に転換する(民営化する)ことであると説得している。

実際には、社会保障制度は過去70年間でより強固な地盤を固めている。何か特殊な事態が発生しないかぎり、管理者の説明では、2042年まで満額で給付をおこなうことができる。今後の75年間を見ても、見込まれる不足金額は、管理者の説明では国民所得のわずか0.7%、連邦議会予算事務局の試算では0.4%である。それでも大金となるだろうが、同時進行するブッシュ政権のメディケア(高齢者用医療制度)処方薬費用給付制度の費用負担はその2倍であり、あるいはブッシュ大統領の目論む減税延長による費用負担が社会保障制度費用負担の4倍であることを考えれば、たいした額ではないのである。

端的に言って、社会保障制度は財政上の危機に瀕してはいない。今後10数年のうちに、歳入を増加させ給付を減少させる若干の明確な調整が必要とされているのである。

しかしながら政治的には、社会保障制度は前代未聞の危機に直面している。大統領とおそらくは下院の過半数を占める議員達---イデオロギー上の動機で制度に反対し、ニューディール政策を撤回可能な米国歴史上の逸脱とみなし、1935年の議会において制度化に反対票を投じたであろう人々によって、社会保障制度は史上初の脅威にさらされているのだ。しかし、イデオロギー上の理由をもって社会保障制度の撤回を求めることが成功しそうにないことは、カール・ローブに相談せずともブッシュは知っているのである。

そこで、またしても危機の捏造開始である。ブッシュの統治下にあっては、危機の捏造は毎度のことなのだ。合衆国は医療ミス費用の危機に直面しているというが、連邦議会予算事務局の説明によれば、医療ミスによる費用負担は医療保険全体のわずか2%を占めるに過ぎない。(実際には、訴訟弁護士の経済的、及び政治的影響力を排除したいという大統領の目論見なのである)大統領は合衆国が判事不足の危機に直面しているというが、実際には上院の民主党議員が議事進行妨害によって阻止した判事の数は、ブッシュ政権第一期に指名された229人のうち、わずか10人に過ぎない。

危機の捏造が政府の主要な課題とされる時---政権閣僚の何人がサダム・フセインの脅威の恐ろしさ、あるいは今度の、社会保障制度の破綻を口にしているか考えてみて欲しい---ブッシュ政権ほど古風なプロパガンダ手法に依存している政権はないだろう。全くもって、フォックスニュースネットワークや右派トークラジオ抜きのブッシュ政権など、想像できないのである。

事実とフィクションをごちゃまぜにすることはブッシュ政権の主要な業務なので、保健社会福祉省から全米麻薬撲滅対策室に至る政府機関が、ニセのニュース番組とニセ記者をでっち上げて広報フィルムを制作し、地方のテレビ放送網に提供していたとしても驚くにはあたらない。訳注1

教育省が、保守派評論家のアームストロング・ウイリアムズに24万1000ドル支払って、ブッシュ政権の「おちこぼれゼロ」政策を賞賛させた件も驚くにはあたらない。ブッシュ政権においては、あらゆる手段を用いてブッシュ支持を推進するのは、政府機関の役割なのである。アフリカ系アメリカ人のコミュニティにおいて、フォックスニュースの視聴者が占める割合はそれほど多くはないので、ウィリアアムズの登場となったわけである。彼は、クラレンス・トーマス最高裁判事の下で事務員を経験した間に、贈り物を断るのは失礼であると学んだらしい。訳注2

我が国は多くの大統領を抱えてきたが、最も悪名高いのは、メディアを敵と見方に分割したリチャード・ニクソンであった。しかしながら、偽情報の拡大にこれほどまでに執心し、プロパガンダが民主主義を腐敗させることに全く無関心である大統領は、ブッシュ以外には思いつかない。それこそ、歴史書の中でブッシュ大統領が占めるべき内容であろう。


(訳注1)2004年に、ブッシュ政権と保健社会福祉省が、民間PR企業であるHome Front Communications社を雇ってニセのニュースフィルムを捏造し、オクラハマ州、ルイジアナ州など非都会地区の地域テレビ放送網のニュース番組中に放映させた事件を指す。(参照source:英ガーディアン紙の報道

Karen Ryan

カレン・ライアン


放送されたフィルムは2種類あり、そのひとつはPR企業役員(カレン・ライアン)が報道記者を装って、ブッシュ大統領が新たに議会通過させた医療保障改革法案を絶賛するもの、もうひとつはヒスパニック系市民向けのもので、アルベルト・ガルシアと名乗る報道記者(正体は俳優)がブッシュの新法案を絶賛するインタビューシーンをニュースとして収めたものである。

問題となったブッシュの医療保障改革案は、高齢者の処方箋薬価格を下げるという宣伝に反し、実際には受益者が縮小し、国民負担が増加する最悪の法案であった。しかもブッシュは法案提出の際、費用計算を偽って過小報告していたのである。(参照source:"Bush's Medicare Plan Seeks to Move Seniors into Private Plans, Doesn't Decrease Prescription Drug Costs", "Bush Supports Medicare Bill Despite Its Failure to Rein in Drug Costs")


(訳注2)USAtoday紙2004/01/07付けのスクープによって明らかになった事件。保守派評論家アームストロング・ウィリアムズは、大手PR企業であるケッチャム社の仲介により、教育省から報酬を受け取り、ブッシュ大統領の政策「おちこぼれゼロ法(No Child Left Behind)」を自身のテレビ番組その他メディアで絶賛するよう依頼されていた。アフリカ系アメリカ人であるウィリアムズの宣伝により、黒人市民のブッシュ政権支持拡大を狙ったものである。

Armstrong Williams

米保守派の唱える「ゲイは皆罪人である」に同意のフリをした保守派評論家アームストロング・ウィリアムズも、男性からセクハラで訴えられた経験を持つゲイである


間抜けなことに、政府によって買収される以前のウィリアムズは、ブッシュの「おちこぼれゼロ法案」を自身のコラムで批判しており、より一層立場を悪くしている。刑事罰の可能性も出てきてヤケクソになったウィリアムズは「買収されてるのは俺1人だけじゃない」と右派評論家業界の内幕暴露を匂わせている。

教育改革を装うブッシュの「おちこぼれゼロ法」は、実際には政府の教育予算大幅削減を目指したもので、公立学校を競争させて成績向上した学校だけに補助金を与えるというもの。さらにこの法案の下では、生徒の名簿を軍部に提出するよう学校側に義務付けており貧困地区の学校に通う生徒宛てに、米軍からダイレクトメールを送付し、あるいは直接訪問して入隊を促進させることが可能となっている。これはブッシュ政権の推進するバックドア・ドラフト(Backdoor Draft:裏口徴兵)政策の一例として批判されている。

アームストロング・ウィリアムズが師事した最高裁判事クラレンス・トーマスは、ブッシュ父時代に任命された人物で、最高裁判事としてもっとも大量の賄賂を受け取っていることでずっと批判されている。(米国では、最高裁判事が裁判と直接関係のない相手から贈り物を受け取ることに対しては法的制限がない)

ちなみに、クラレンス・トーマス最高裁判事は、悪名高きボヘミアン・クラブ---陰謀論筋から世界支配者会議と揶揄されている金持ち秘密クラブ---の招待客の1人。


2005/01/14

国防総省の報道規制にルイジアナ州兵部隊が反発、イラクから帰還した戦死兵の棺をテレビで放送

アル・ジャジーラ2005/01/13付け記事より。以下に要約を掲載:

州兵部隊が、テレビ取材を拒否せよという国防総省の命令に背くことになった。

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ペンタゴンが国民に見せたくない帰還兵の棺

今のところ米国防総省は、デラウェア州ドーバー空軍基地に到着する、戦死した米軍兵士の棺を国内メディアが取材することを全面禁止している。

しかし、今週水曜日、ルイジアナ州兵部隊は、ルイジアナ州ニューオリンズ近郊のベル・チェイシーにある海軍航空基地に到着した6人の兵士の棺の報道を、取材に来たCBSニュース記者達に許可した。

ペンタゴンの取材規制要求に反し、ルイジアナ州兵部隊広報担当官を務めるピート・シュナイダー中佐はCBSの取材に口を開いた:「我々の考えたことは、遺族が望むことを行おうということでした」

peteshneider

国防総省の命令に反対するピート・シュナイダー中佐(動画

CBSによって行われた報道では、州兵達が星条旗に包まれた棺を航空機から運び出す様子と、遺族の嘆きを伝えている。

ルイジアナ州兵部隊から出征した6人は、先週木曜日にバグダッドで、道路脇に仕掛けられた爆弾により、乗っていた装甲兵員輸送車が爆破され死亡した。

2005/01/10

1万ドル!

「1人の人間ができる最も重要な貢献は、現金を出すことなのです」

(The most important contribution a person can make is cash.)

---ジョージ・W・ブッシュ大統領、スマトラ沖大地震に個人的寄付をするとの決断に寄せた言葉(source

それはまたご英断でしたね、大統領殿。しかしながら・・・・

1万ドルの寄付を発表した際にブッシュの頭に浮かんだと思われる金額
スマトラ沖大地震に対するブッシュ大統領の個人寄付額source)1万ドル
(約104万6,102円)
ブッシュ大統領の減税措置によって2003年度にブッシュ自身が得をした税額source3万1,000ドル
(約324万2,959円)
ブッシュ大統領任命式の祝賀ディナーパーティでブッシュ大統領夫妻と挨拶を交わす資格を得るために必要な献金額source1人当たり最低10万ドル
(約1,046万1,646円))
2004年12月24日までに共和党がブッシュ大統領任命イベント(1月18-21日)のために集めた大企業からの寄付金の総額source800万ドル以上
(約8億3,770万円以上)
ブッシュ大統領任命イベントの総費用見積(セキュリティ費用は除く:source4,000万ドル
(約41億8,826万8,900円)
イラクとアフガニスタンでの戦争にかかった費用(2004年まで:source1,300億ドル
(約13兆6,012億8,400万円)
2005年度から新たにブッシュ政権が要求している追加の戦争費用source1,000億ドル
(約10兆4,645億5,000万円)
(おまけ:ブッシュ大統領任命イベントのためにローラ夫人が特注した衣装のブランド)
  • Carolina Herrera(キャロライナ・ヘレラ):イベント中に着るガウン
  • Oscar de la Renta(オスカー・デ・ラ・レンタ):任命式で着るガウンとスーツ
  • Peggy Jennings(ペギー・ジェニングス):祝賀ディナーで着るガウン(以上source

2005/01/08

過去100年間で2度目:米上院・下院合同議会でブッシュ大統領再選に異議申し立て

2004年1月6日に開催されたアメリカ合衆国米上下両院合同会議について、毎日新聞は2004/01/07付け記事で以下のようにシンプルに報じている:

「米大統領選で、米上下両院は合同本会議を開き、昨年12月13日に実施した大統領選挙人(総数538人)による投票結果を公式に開票した。・・・(中略)・・・これでブッシュ氏の当選が正式に承認された。」
しかし、当の議会の討議内容はそれほど単純ではなかったのである。ブッシュ大統領再選を決定付けたオハイオ州選挙の結果について、上院・下院議員が異議申し立てを行い、議会は騒然としていたのだ。
人種差別による選挙不正を糾弾する下院議員の面々

オハイオ州の人種差別による選挙不正を糾弾する下院議員の面々。議会においても人種間の格差は根強い


大統領選挙の選挙人認定をめぐる異議申し立ては過去100年に僅か1度だけ行われたとされる。1969年:ニクソン再選認定の年

議会では、多くの下院議員(大多数が有色人種)が、オハイオ州での選挙不正について声を荒げた。2000年のフロリダ州における選挙不正---ゴア支持層であるアフリカ系アメリカ人の公民権が州知事であるブッシュ実弟によって剥奪された事件---に揺れた議会の風景がまるきり再現されたかのようである。

下院での申し立てを上院で討議するためには少なくとも1人の上院議員の署名を必要とする。映画「華氏911」冒頭シーンで観られたように、2000年度のフロリダ州における公民権剥奪事件について、当時の下院議員に同意する上院議員は登場しなかったのである。

しかし今回は違っていた。上院で唯一人、カリフォルニア州選出のバーバラ・ボクサー議員が、ステファニー・タブズ下院議員と共に、正式に異議申し立てを行ったのである。当日の議長役を務めたチェイニー副大統領は冷静に振舞っていたが、体内のペースメーカーは暴走寸前だったに違いない。(議会のハイライト場面はエイミー・グッドマンのデモクラシー・ナウで視聴できる

アメリカ合衆国の選挙システムに異論を唱えることは、国家の根幹を揺るがす行為であり、激烈な勇気を必要とされる。国民の分裂を恐れたジョン・ケリーは、アル・ゴア同様、疑問を呈しながらも声を上げる気骨を持たなかった。異議申し立てをした議員達の勇気に対して、マイケル・ムーアの賞賛だけではとても足りないと感じられる。

そこで、手始めにバーバラ・ボクサー上院議員の異議申し立て声明文を公式ウェブサイトから翻訳し以下に掲載した。ボクサー上院議員の申し立ては、上院74対1、下院267対31で却下され、その結果ブッシュ大統領再選が議会により公式に認定された。異議申し立てに賛同した他の下院議員達の発言内容についても、後日翻訳掲載する予定である。)

バーバラ・ボクサー上院議員の異議申し立て声明文(公式サイトより

上院、下院の議員として、私達は自らの信念のために・・・常により良い国家を創出するべく闘いながら生きているものと思います。

私達は社会正義のために闘ってきました。経済の公正化のためにも闘ってきました。環境正義のために闘ってきました。司法の正義のために闘ってきました。

今、私達はもうひとつの闘いを加えるべきです。選挙の公正化のための闘いです。

この国では、選挙登録した全ての市民は、自らの投票が重要であり、全ての票が数えられることが保証されるべきなのです。そして、投票ブースの中では、あらゆる市民の投票は、上院議員、下院議員、大統領、閣僚、あるいはフォーチュン誌500ランクに入る企業のCEOの投票と等しい価値を持つのです。

私は、同僚である民主党員、共和党員、そして独立派の方々が、この主張に同意していただけると確信しています。投票ブースの中では、皆が平等なのです。

そこで、合衆国憲法の名の下に投票の権利が保証されているものとして、私達は以下の如く問い直すべきです。

なぜオハイオ州の有権者は、雨の降る中、何時間も待たねばならなかったのでしょうか?例えば、なぜケニオン大学に投票に来た有権者は、1,300人の投票者に対して2台しか投票機が設置されず、投票日の深夜、午前4時まで行列に並ばされたのでしょうか?

なぜ貧困なアフリカ系アメリカ人が多く居住する地区だけが、長く待たねばならなかったのでしょうか?

なぜフランクリン郡の選挙管理委員達は、5,000台の投票機が必要であると知りながら僅か2,798台しか設置しなかったのでしょう?なぜ委員達は68台の投票機を倉庫に引っ込めたのですか?その内42台の機械が、アフリカ系アメリカ人が多数を占める地区から排除されていたのはなぜですか?

なぜ、コロンバス地区だけで、およそ5,000から10,000人の有権者が、投票ができないまま、投票所から去らねばならなかったのでしょう?この知らせを聞いてから、何人が投票することもなく去ったのでしょうか?訳注1

フランクリン郡の一つの地区では638人が投票しただけなのに、投票集計機は4,258票をブッシュ票として加算したのはなぜですか?幸いにもその間違いは修正されましたが、それ以外にどれほどの票が間違えて加算されたのでしょうか?

なぜフランクリン郡の選挙委員達は、下町(ダウンタウン)では電子投票機械の設置を削減し、郊外では設置件数を増やしたのでしょう?それが長い行列の原因だったのです。

クリーブランドでは、選挙委員が有権者に間違った説明をした結果、何千票もの暫定投票が無効にされてしまったのはなぜでしょう?

お聞きのように、あまりにも多くの地域で投票の不具合が発覚しておりますので、私はステファニー・タブス・ジョーンズ下院議員と共に、今すぐ修正すべき欠陥システムの実情に光明をあてるべく行動しているのです。

民主主義は、私達の国家全体の最重要項目です。それこそ、私達が一番大切にしてきた望みであり、世界の隅々まで伝えるために尽力していることなのです。

そうした努力のために、我が国の兵士が血を流し続けているという時に、私達自身の選挙システムが非常に多くの改善を必要としており、その信頼性を失いつつあるという事実を自覚すべきなのです。

しかしながら、過去何年もの間、議会は国民の投票の重要性を確信させるための努力を怠っています。

選挙改革法(Help America Vote Act)施行後も、改善点は見られません。訳注2

1年前、グラハム上院議員とクリントン上院議員、そして私は、電子投票機における投票記録を紙で出力させる法案を提出しました。紙の記録があれば、より安全な投票と再集計の不具合を防ぐことができるのです。

上院は理由もなくその法案を却下しています。少なくとも、公聴会が開催されるべきでした。しかしその公聴会すらも未だ行われていないのです。

涙を拭うバーバラ・ボクサー上院議員

異議申し立てが却下され、涙を拭うバーバラ・ボクサー上院議員(民主党:カリフォルニア州)


最後に、下院の同僚、ステファニー・タブス・ジョーンズ議員に感謝を述べたいと思います。

彼女の署名依頼の手紙は、適切で切実なものでした。

彼女への返信に記したとおり、今回の不具合を含め、選挙システムの全体的改革を議会に検討させることは事実上不可能であるという彼女の指摘が、殊更に私を(異議申し立てへ)突き動かしたのです。

ジョーンズ議員は、自分の故郷であるオハイオ州に、並々ならぬ敬意を表しています。そして、そのオハイオ州こそが今回の争点となっているのです。

ステファニー・タブス・ジョーンズ議員は、判事として10年間活躍されました。検事としても8年間を務めた方です。2002年には、全米女性栄誉の殿堂入りを果たしています。

彼女と共にこの異議申し立てを行うことを誇りに思います。(以上)


訳注1:アフリカ系アメリカ人有権者を狙い打ちする投票妨害行為を指していると思われる)

訳注2グレッグ・パラスト記者の記事を参照の事)

2005/01/04

スマトラ沖大地震:大災害の裏側

スマトラ沖大地震と二つの市民戦争

英ガーディアン紙2004/12/28付記事より、市民戦争を抱えている二つの国家の状況を抜粋:

インドネシア:
インドネシア・スマトラ島北部に位置するアチェ州では、1976年以来、武装勢力と政府間で独立をめぐる戦争が継続している。この戦争により、これまでに市民1万3,000人が死亡しており、昨年だけで少なくとも2,000人の市民が犠牲となっている。
しかし大災害の発生により、反政府組織の自由アチェ運動は、物資補給の円滑化のために一時休戦を申し出た。
政府側も、何年間も続けてきた同地区への援助団体やジャーナリストの立ち入り禁止措置を緩和させた。

スリランカ:
1983年以来、少数民族であるタミル人側の独立国家宣言により対立しているスリランカ政府軍と反政府タミル人組織「タミル・イーラム解放の虎」は、過去最大の人道的危機にも関わらず、共同での救援活動を拒否している。
「解放の虎」側はタミル人が多数を占めるスリランカ北部の大半を支配し、事実上独立国家として独自の政府・警察・司法を保持しており、スリランカ政府は残りの地区を支配している。

津波警報:知っていても連絡できない


アル・ジャジーラ2004/12/28付け記事より引用:

国際的な海洋監視団体は津波の発生について予測していたが、誰に知らせるべきか知らなかった。

「地震発生から20分以内に広報を出したよ。技術的にせいいっぱいの対応だ」米国海洋大気庁の担当官ジェフ・ラデューセ氏は語る。ラデューセ氏の説明によると、津波の発生可能性についてインドネシア政府関係者に電子メールで連絡したが、その後どうなるかは注意を払っていなかったとのこと。

ハワイを拠点にした太平洋津波警告センターは太平洋を監視して沿岸各国に知らせる役割を担っているが、インド洋にはそうした監視体制が確立されていない。

比較的地震が少ないとされる大西洋もまた、監視体制が確立されていない。


一方で、スコットランド・サンデー紙2005/01/02付け記事によれば、ジャワ島海岸で地震を経験してきたインドネシア政府とオーストラリア政府は、太平洋で行われているような津波監視システムの必要性を考えてきたという。オーストラリア地学局のフィル・カミンズ博士は、太平洋津波監視システムの国家間調整を監督するユネスコ(U.N. Educational, Scientific and Cultural Organization:国連教育科学文化機関)に対し、インド洋での監視システム設置の承認を2年前から求め続けてきたが、官僚的な組織運営により対応が遅れてしまったとのこと。

タイ政府担当者:「津波が来なかったら観光商売は大打撃だから警報は出せなかった」

The RAW STORY2004/12/28付け記事より。タイの地元紙「ザ・ネイション」はタイ政府の地震対応について以下のように伝えている:
日曜日の7時58分にスマトラ北部で地震が発生してから数分後、タイのチャアムでセミナー中だった気象局担当官達は、スハラク・タンスリット・タナワン局長の先導により緊急会議を開催した。(中略)会議に出席した担当官の1人が語る:
「(津波警告を出すかどうか)決定を行う際、重要な要素だったのは、観光シーズン真っ盛りで地元ホテルはどこも宿泊客で一杯だったということだ。もし我々が警報を出せば、観光客を避難させなければいけなくなる。(津波が来ない場合)どうなると思う?観光商売を直撃するだろう。もはや気象局だけでは手に負えない問題になってしまう。(津波が来なかったら)我々は身を隠さなきゃならない
結局のところ大津波は発生し、タイ気象局担当者達はどちらにしろ身を隠す羽目に陥っている。

「180万人に食糧支援が必要」

国連はじめ国内からも「ケチ」呼ばわりされて、怒りのあまり気のふれたパウエル米国務長官は、お得意のドンブリ勘定で、スマトラ沖大地震被災地への支援額を10倍の3億5,000万ドルにすると宣言した(日本は援助額を5億ドルに引き上げると発表している:しかし公式な発表資料は外務省にも官邸サイトにも未だ掲載されていない。まあ、「たいしたことではない」のだろう)

休暇中に地震発生の知らせを受けて動転し、自宅牧場で3日間自転車に乗って遊んでいた無邪気なブッシュ大統領は、武力による市民団体弾圧有色人種の選挙権剥奪を得意とするジェブ・ブッシュ(フロリダ州知事で大統領実弟)を、アジア人で一杯の被災地に派遣することにした

1月2日に国連は「食料支援が必要な被災者はインドネシアを中心に約180万人いる」と発表しているが、被災地を訪れていたジェブ・ブッシュがその知らせに驚いたとは思えない。2004年の米農務省の発表によればアメリカ国内で食糧支援を必要とする市民の数は3,600万人以上(内1,300万人は子供)である。(被災しているわけではなく、低収入で食費を稼ぐことが困難なのだが・・・)

2005/01/02

反米感情で下降する米国ブランドの海外評価

OneWorld.net2004/12/29記事より(Common Dreams転載)。以下に記事全文を翻訳して掲載。(記事内リンク、及び図版は訳者が入れた。図版はGMI社サイトより引用



反米感情で下降する米国ブランドの海外評価(US Businesses Overseas Threatened by Rising Anti-Americanism)

by ジム・ローブ:OneWorld.net2004/12/29記事(Common Dreams転載

米国を象徴する類の企業ブランド・・・例えばマルボロ、アメリカ・オンライン(AOL)、マクドナルド、アメリカ・エアライン、エクソン・モービル等・・・が脅威にさらされている。独立系マーケットリサーチ企業であるGMI社は、12月10−12日にインターネットを使って8ヶ国の消費者を対象に調査を行った。調査報告source

カナダ、中国、フランス、ドイツ、日本、ロシア、英国の消費者の1/3は、米国の外交政策、特に「テロとの戦い」とイラク占領が、最も強力に米国の印象を構成していると回答している。

11月にブッシュ再選が決定した後3週間後にGMI社によって同様に行われた調査によると、ヨーロッパ、カナダの回答者の内20%は、米国の外交政策に反対する意思表示として、米国製品の購入を意識的に避けているという。

「不幸なことに、かつては肯定的に見られていた米国の外交政策は、現在では世界の消費者達からきわめて否定的に受け止めている」GMI社のCOO(最高執行責任者)兼調査責任者であるミッチェル・エジャーズ博士は説明している。

「アメリカン・ブランドの多くは、それが誕生した国と極めて近い関係にあり、とてもアメリカ的なのです」博士は言う。「それらはアメリカ的ライフスタイル、革新性、パワー、先進性、そして外交政策を代弁しているのです」

ブッシュ政権下の外交政策が、米国製品の売れ行きにどのような影響を与えるかという課題は、広告・PR業界内で、あるいは企業内部でも議論が沸騰している。先月には、巨大広告企業Saatchi & Saatchi社のケビン・ロバートCEOが、ファイナンシャル・タイムズ紙上で、ヨーロッパやアジアの消費者達が「アメリカン・ブランドの息の根を止めるために」次第に抵抗力を増していると語っている。

Brand America: The Mother Of All Brands」の著者サイモン・アンホルト氏も、米国の外交政策に対する消費者の反発を予測している。同氏は、英国貿易雑誌「マーケティング・ウィーク」誌上で、ブッシュ政権の次の4年間の外交政策は、「(世界市場における)米国企業の墓穴を掘ることになる」と語っている。

メッカ・コーラのような、政治性を主目的にしたカジュアルな対抗ブランドが、すでに存在している」アンホルト氏は言う。「しかし、これからはもっとすごいことなる。例えば、ドイツのレストランではアメリカン・エクスプレスカードの利用を拒否し始めている。これは新しい兆候だよ」

他のアナリストはこうした予測に懐疑的で、近年のフランスやドイツにおけるマクドナルドや、コカコーラ、マルボロなどの売り上げ低下は、両国の経済的衰退や、各社が消費者需要への迅速な対応を怠っている等、他の要因を主張している。

しかし新たに行われた調査では、先月GMI社によって実施されたものと同様、少なくとも米国と強く同一視される企業や米国の外交政策と同様の性質を持つと認知される企業においては、米国の外交政策の悪評が重要な役割を果たしていることを示している。

「アメリカ企業はその積極性と傲慢な態度が批判されていますが、それは彼等が世界市場でアメリカ流のやり方を強引に推し進めるからなのです:彼等は柔軟性に欠けているのです」2002年のビジネス書ベストセラー「Working With Americans: How to Build Profitable Business Relationships」の共著者アリソン・スチュワート・アレン氏は語る。

彼女の主張によれば、米国企業が合衆国のイメージから距離を置くほど、世界市場で生き残りやすくなるという。「今後、海外の米国企業は、世界村での活発化する企業競争の中で、さらなる付加価値と、消費者の認知するブランドポジションを変えていくことに集中する必要があります」

「消費者の要求に沿っていけば、・・・米国製というDNAを持っていたとしても・・・勝利できるでしょう。米国企業は世界市場に合わせることに集中し、米国市場との違いと特性を受け入れねばなりません」

調査では40の米国出身企業を引用し、米国製品の購入を避けていると回答した消費者に、各企業がどれくらいアメリカ的であるか、そしてその企業の製品をどれくらい避けているかを評価させている。

そして消費者の評価を元に、各企業のポジションを「安全」と「無関係」を下辺に、「危険な状態」「問題だらけ」を上辺とした四分形に配している。(以下の図を参照:source

GMI World Poll

アメリカ企業の“アメリカ度数”“嫌われ度”は?・・・(図をクリックすると拡大します:source

「安全」「無関係」に位置した企業は、一般的に特別アメリカ的と見なされていない企業(Visa、コダック、クリネックス、ジレット等)あるいは他に競合企業がほとんど存在しないもの(マイクロソフト、ハインツ、ディズニー)となっている。

Visaは単独トップの企業である。米国企業ブランドを意図的に避けると回答した消費者の内17%が同社を「非常にアメリカ的」と回答し、15%が同社をボイコットすると回答。44%の消費者は前の月に少なくとも1回はVisaを利用していると回答している。

一方で「問題だらけ」企業とは、ボイコット宣言をしている消費者の内1/3が避けており、消費者の40%以上が「非常にアメリカ的」と認知している企業である。

そうした基準によれば、マルボロ社は最も問題の多き企業である。回答者の60%が同社製品を拒否すると回答し、2/3が同社を「非常にアメリカ的」と認知している。マクドナルドは「アメリカ的」の評価では単独トップ(73%)だが、同社を拒否すると回答したのは42%だけである。

Visaの評価と対照的に、ボイコット宣言をしている回答者の内48%は、アメリカン・エキスプレスカードを完全に拒否すると回答、64%が同社を「非常にアメリカ的」と認知し、前の月に同社カードを使用した回答者は僅か2%だった。

他の問題企業基準には、エクソン・モービル、AOL、シェブロン・テキサコ、ユナイテッド・エアライン、バドワイザー、クライスラー、バービー人形、スターバックス、ゼネラル・モーターズが含まれている。

最新の調査によれば、ヨーロッパとカナダの消費者の内2/3以上が、過去3年間の米国外交政策によりアメリカに対する見方を否定的に変化させている。その半数近くは、イラク戦争の動機が石油資源の支配にあるとし、テロとの戦いと認めている回答者は僅か15%に過ぎない。

また、ヨーロッパとカナダの消費者の内2/3近くが、米国の外交政策は自己利益追求と帝国主義に率いられていると回答、自由と民主主義を守るためと信じる回答者は僅か17%にとどまった。

回答者全体の半数は、少なくとも米国の外交政策を理由の一部に、米国企業へ不信を抱いていると回答している。79%の回答者は、同様の理由により米国政府を信頼しないと回答し、39%の回答者がアメリカ国民に不信を抱いていると答えている。


訳者注:上記記事にあるGMI社調査結果によれば、ドイツ人消費者の87%、フランス人消費者の84%、英国人消費者の71%がブッシュ大統領に否定的な感情を持っている。

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