スマトラ沖大地震と二つの市民戦争
英ガーディアン紙2004/12/28付記事より、市民戦争を抱えている二つの国家の状況を抜粋:
- インドネシア:
- インドネシア・スマトラ島北部に位置するアチェ州では、1976年以来、武装勢力と政府間で独立をめぐる戦争が継続している。この戦争により、これまでに市民1万3,000人が死亡しており、昨年だけで少なくとも2,000人の市民が犠牲となっている。
しかし大災害の発生により、反政府組織の自由アチェ運動は、物資補給の円滑化のために一時休戦を申し出た。
政府側も、何年間も続けてきた同地区への援助団体やジャーナリストの立ち入り禁止措置を緩和させた。
- スリランカ:
- 1983年以来、少数民族であるタミル人側の独立国家宣言により対立しているスリランカ政府軍と反政府タミル人組織「タミル・イーラム解放の虎」は、過去最大の人道的危機にも関わらず、共同での救援活動を拒否している。
「解放の虎」側はタミル人が多数を占めるスリランカ北部の大半を支配し、事実上独立国家として独自の政府・警察・司法を保持しており、スリランカ政府は残りの地区を支配している。
津波警報:知っていても連絡できない
アル・ジャジーラ2004/12/28付け記事より引用:
国際的な海洋監視団体は津波の発生について予測していたが、誰に知らせるべきか知らなかった。
「地震発生から20分以内に広報を出したよ。技術的にせいいっぱいの対応だ」米国海洋大気庁の担当官ジェフ・ラデューセ氏は語る。ラデューセ氏の説明によると、津波の発生可能性についてインドネシア政府関係者に電子メールで連絡したが、その後どうなるかは注意を払っていなかったとのこと。
ハワイを拠点にした太平洋津波警告センターは太平洋を監視して沿岸各国に知らせる役割を担っているが、インド洋にはそうした監視体制が確立されていない。
比較的地震が少ないとされる大西洋もまた、監視体制が確立されていない。
一方で、スコットランド・サンデー紙2005/01/02付け記事によれば、ジャワ島海岸で地震を経験してきたインドネシア政府とオーストラリア政府は、太平洋で行われているような津波監視システムの必要性を考えてきたという。オーストラリア地学局のフィル・カミンズ博士は、太平洋津波監視システムの国家間調整を監督するユネスコ(U.N. Educational, Scientific and Cultural Organization:国連教育科学文化機関)に対し、インド洋での監視システム設置の承認を2年前から求め続けてきたが、官僚的な組織運営により対応が遅れてしまったとのこと。
タイ政府担当者:「津波が来なかったら観光商売は大打撃だから警報は出せなかった」
The RAW STORY2004/12/28付け記事より。タイの地元紙「ザ・ネイション」はタイ政府の地震対応について以下のように伝えている:日曜日の7時58分にスマトラ北部で地震が発生してから数分後、タイのチャアムでセミナー中だった気象局担当官達は、スハラク・タンスリット・タナワン局長の先導により緊急会議を開催した。(中略)会議に出席した担当官の1人が語る:結局のところ大津波は発生し、タイ気象局担当者達はどちらにしろ身を隠す羽目に陥っている。
「(津波警告を出すかどうか)決定を行う際、重要な要素だったのは、観光シーズン真っ盛りで地元ホテルはどこも宿泊客で一杯だったということだ。もし我々が警報を出せば、観光客を避難させなければいけなくなる。(津波が来ない場合)どうなると思う?観光商売を直撃するだろう。もはや気象局だけでは手に負えない問題になってしまう。(津波が来なかったら)我々は身を隠さなきゃならない」
「180万人に食糧支援が必要」
国連はじめ国内からも「ケチ」呼ばわりされて、怒りのあまり気のふれたパウエル米国務長官は、お得意のドンブリ勘定で、スマトラ沖大地震被災地への支援額を10倍の3億5,000万ドルにすると宣言した。(日本は援助額を5億ドルに引き上げると発表している:しかし公式な発表資料は外務省にも官邸サイトにも未だ掲載されていない。まあ、「たいしたことではない」のだろう)休暇中に地震発生の知らせを受けて動転し、自宅牧場で3日間自転車に乗って遊んでいた無邪気なブッシュ大統領は、武力による市民団体弾圧と有色人種の選挙権剥奪を得意とするジェブ・ブッシュ(フロリダ州知事で大統領実弟)を、アジア人で一杯の被災地に派遣することにした。
1月2日に国連は「食料支援が必要な被災者はインドネシアを中心に約180万人いる」と発表しているが、被災地を訪れていたジェブ・ブッシュがその知らせに驚いたとは思えない。2004年の米農務省の発表によれば、アメリカ国内で食糧支援を必要とする市民の数は3,600万人以上(内1,300万人は子供)である。(被災しているわけではなく、低収入で食費を稼ぐことが困難なのだが・・・)
