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2005/03/03

「グラウンド・ゼロで大もうけ」byグレッグ・パラスト

英BBC放送のジャーナリスト、グレッグ・パラスト氏の2005年2月23日付けコラムを以下に全文翻訳掲載。(記事中リンクは訳者による。)(このコラムの原文はInTheseTimes誌2004/05/12付けコラム「Fear for Sale」

金で買えるアメリカ民主主義

文庫本で読めるグレッグ・パラスト氏のベストセラー「金で買えるアメリカ民主主義(The Best Democracy Money can buy)」

以下のコラム中に登場するチョイスポイント社は、今年2月になって、保有する顧客の財務・社会保険番号などの個人情報14万5,000人分を、個人情報窃盗組織に販売していた事実が発覚し、一気に知られることになった企業である。

しかも顧客の個人情報横流しが公表される直前、株価暴落を予測した同社の経営幹部達は、自身が所有する自社株を売り抜けていたことも判明し、批判にさらされている。まさしく、ブッシュ大統領の支援企業にふさわしい振舞いである。



グラウンド・ゼロで大もうけ(Ground Zero as Profit Center)

by グレッグ・パラスト:公式サイト2005年2月23日付けコラム


本日(2005年2月23日)、ニューヨーク市は911同時多発テロ被害者の遺骸の特定作業を停止した。類まれなる惨事の結末を飾るこの悲劇的な物語の中には、テロの恐怖から手っ取り早く金を稼ぎ出す方法を見つけた者達についての記述はない。さあ、金の流れを追うとしよう・・・


2001年9月11日、デレク・スミス氏にとってそれはラッキーな日だった。、DM(マンハッタンの惨事:Disaster Manhattan)と記されたチューブには、辺り一面に散らばった人間の欠片が詰まっていた。スミス氏の会社の仕事は、そのチューブの中身からDNAを抽出し、被害者を特定することであり、ニューヨーク市はその業務に1,200万ドルを支払うことになっていた。

他の多くの人々同様、無実の友人や同胞達が惨殺された事実を前に、スミス氏が悲嘆に暮れ、恐怖に怯え、悲痛な面持ちでいたことは疑うべくもない。1,200万ドルの死体確認料金に関しても、ほんの4年前に設立したばかりで40億ドルの資産を誇るスミス氏の会社、ジョージア州アトランタ郊外アルファレッタに本拠を構えるチョイスポイント社(ChoicePoint)から見れば、たいした額でもない。

合衆国内に流通する生死情報150億件以上の記録を扱うチョイスポイント社にとって、グラウンド・ゼロは、まさしく金に縁取られた利益センターとなった。チョイスポイント社がジョージ・W・ブッシュのために、他の有権者が決してやらないことをやってのけたという事実も、テロとの戦争という熱狂から溢れ出す業務契約を損なうことはない。チョイスポイント社は我が国の大統領を選んだのである。

そのやり方はこうだ。2000年の大統領選挙前、チョイスポイント社の子会社であるデータベース・テクノロジー社は、フロリダ州務長官キャサリン・ハリスの監督の下、400万ドルに及ぶ政府との業務契約を競争入札なしで獲得し、選挙登録人リストに違法登録された重罪犯を特定する業務を行った。チョイスポイント社は総計で94,000人のフロリダ住民を選び出した。後に判明したところでは、その住民リストの中で、実際に重罪犯歴があったのは3,000人以下であり、リスト中の住民のほとんどは投票する権利を保持していたわけだ。権利を剥奪された数万もの市民には、無実である他にも共通項があった:そのリストに掲載された大半の人が、アフリカ系アメリカ人と南米系アメリカ人であり、民主党支持者が圧倒的多数を占めていたのだ。このリストは大統領選挙の勝敗を決定付け、キャサリン・ハリスは、僅か537票差でブッシュを選挙の勝者と宣言したのである。

2億7,000万人の容疑者
しかし、チョイスポイント社の保有するアメリカ市民情報が戦時の武器になる為には、合衆国が過激な変化を遂げる必要があった。その変化はブッシュ大統領により宣言された。9月11日、アメリカ国民は皆、過酷な攻撃の犠牲者となったのである。

しかし9月12日には、国民全員が容疑者になった。

航空機をハイジャックした米国民は1人もいなかったが、ブッシュ大統領とアッシュクロフト司法長官は、米国愛国法(USA PATRIOT Act)に条文化された権力により、米国市民2億7,000万人全てを監視、調査、追跡、観察の対象にしたのである。

チョイスポイント社を単なる“データ”企業として扱ってしまえば、同社のマーケットコンセプトを完全に誤解することになる。彼等は恐怖産業の住人なのだ。秘められた危機があらゆる場所で潜行している。アル・カイダなんて氷山の一角だ。ピザの配達人は怪しくないか?---チョイスポイント社はただちに調査を行い、ピザ配達人の25%が刑務所帰りであると発表した。「あなたの好きなピザは?」スミスCEOは問いかけた。「ピザのお値段は?皆さんはリスクを背負う覚悟がありますかな・・・?」

戦争の熱狂は、恐怖産業に新たな市場をもたらしたのだ。

ハリウッドでは、ジャック・ニコルソンが時代精神を体現してみせた:「もし私がアラブ系アメリカ人なら、自分で当局に申し出るよ。市民権なんて主張してる時じゃないんだ(If I were an Arab American I would insist on being profiled. This is not the time for civil rights.)」I imagined hardened pillboxes on Malibu beach.(訳注:ジョークがうまく訳せないので原文ママ)

ひょっとしたらジャックは正しいのかもしれない:人権なんて放棄しろ、国民は安全が欲しいんだ。

待てよ、ジャック、我々はキューバ危機を経験した年寄りの愚か者じゃないか。1962年、ロシア人たちは我が国に対して“でかい奴”で攻撃するつもりでいた。しかし、我々は心配する必要もなかった。ゴードン先生が教えたとおり、机の下にもぐって、首を隠せばいい。先生が警告したとおり、“閃光を見つめない”限り、全て問題ないということだった。

チョイスポイント社のDNA情報にFBIの“CODIS”ファイル、データ収集に“テロ情報認知システム(Terrorist Information Awareness)”・・・新たな“伏せて隠れろ(Duck and Cover)”作戦というわけである。これで本当にアメリカは安全になっているのだろうか?

チョイスポイント社のスミス氏が忠告するとおり、9月11日、空港に彼のデータベースが導入されていたなら、実名を使っていたハイジャック犯達は、搭乗を拒否されたことだろう。しかしながら、専門家の話によれば、オサマ・ビン・ラディンは、マイレージサービスが無駄になったとしても、もはやチェックイン時に“ビン・ラディン”とは名乗りそうもないということだ。

それでもなお、我等が大統領が言うには、全アメリカ国民とベネズエラ国民の精子サンプルを収集し、空港で靴を脱いで、誰が拘束されて収監されているかという質問をせず、あるいは契約金額についても決して疑問を持たずにいれば、サウジ人ハイジャック犯からも、赤ん坊泥棒からも、他の連中・・・それが誰であろうと、我々は安全に暮らせるらしい。

憶えておこう。閃光を見つめてはいけない!(以上)

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