ABC News2005/05/15付け記事より。以下に全文を翻訳して掲載。
現在でも、アメリカ国内で白人至上主義や優生学を推進する人の数は少なくない。そして、アメリカ居住の黒人層の寿命が白人に比較して短いのは、人種差別が原因ではないかと言われている。
(関連エントリ:アメリカの選挙と人種差別)
州の秘密:多くの住民が秘密裏に断種された
ノースカロライナ州の女性:20世紀、政府により本人への告知なしに断種手術された6万5,000人の1人

エレイン・リディックは政府によって秘密裏に断種された。(ABC News)
青々と生い茂る緑と曲がりくねった川岸にある南部の街の風景の裏側に、ほとんど忘れ去られていた遺産---苦痛、秘密、人類への侮辱が横たわっている。
「今でも心が痛みます。私の身に起こった事件は、永遠に痛みとなって残るのでしょう」地元住民のエレイン・リディックは話した。
リディックは、1929年から1974年の間、同州で秘密裏に断種された多くの住民の1人である。
1900年代初頭から70年代にかけて、アメリカ国内でおよそ6万5,000人もの男女が、ほとんど本人の承諾なしに断種手術を施されたが、それは州政府の推進していたいわゆる『繁殖に好ましくない』人々から生殖能力を奪う優生政策の一貫だった。
「そうした施術は貧困層の住民に対して行われたものです」メリーランド大学のスティーブン・セルダン教授は言う。「貧困は、悪い遺伝子もしくは悪い遺伝形質が原因と考えられていたのです。そんなわけで、貧困層の住民は断種の標的となったのです」
告知なしの手術
リディックは、13歳のときにレイプされ、妊娠していた。ソーシャル・ワーカーは彼女を、ふしだらで知能が低く、親として不適格という烙印を押した。そして、1968年に出産して後、リディックは告知されることなく断種手術を受けさせられた。数年後に結婚し、もっと子供を作ろうとしていたリディックは、真実を知ることになる。
「彼等は私からあまりにも多くを奪ったのです」リディックは言う。「心も魂も奪われてしまった」
ノースカロライナ州では、およそ8,000人の女性が、病院で断種手術を施された。
優生政策は30年以上前に終了したが、多くの人々が償いを求めるべき時期と言っている。ノースカロライナ州は、断種を行ってきた33州のうち、最も早い時期から謝罪を表明していた州である。現在、同州議員のラリー・ワンブルは、賠償金支払い法案をまとめている最中とのこと。
だが、賠償金をどうやって捻出するか疑問視する人も多い。「“払えるわけがない”と連中は言ってます」民主党下院議員のワンブルは言う。「でも、“払えない”では済まされないのです」
リディックは大学の学位取得と、14歳で生んだ息子のためにがんばった。現在、息子は技術コンサルタントとして働いている。
「子供を授けていただいて、主に感謝しています」彼女は言った。(以上)
