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2005/05/10

脚本どおりコメディを演じたローラ・ブッシュ

Online Journal2005/05/10付け記事を以下に全文翻訳して掲載。(記事中リンクは訳者による)

ホワイトハウス夕食会におけるローラ・ブッシュのジョークは日本を含め世界中のニュースのヘッドラインを飾った。しかし、ローラがジョークを飛ばした同じ日に、イラクのサマワで、虐殺されたクルド人の遺体が1,500体ほど発見されたというニュースは、あまり目立たなかったようだ。発見されたクルド人の遺体は、フセインにより80年代に化学兵器で虐殺された件の証拠と見られている。その化学兵器はメイド・イン・USA・・・当時のレーガン大統領特使、ラムズフェルドからの贈り物だった。

ローラ・ブッシュ:夫への忠誠はコメディを超えた(The dutiful wife: more than just a comedy)

By ウォルター・ブラッシュ:Online Journal2005/05/10付け記事

ローラ・ブッシュは、スタンダップ・コメディを演じるのは夫だけの特権ではないことを示してくれた。彼女の演目は、入念な計画の下、ホワイトハウス記者協会主催の夕食会で披露された。

100年ほどの伝統を誇るホワイトハウス記者協会夕食会では、記者や政治家に加え、多くの芸能人が着飾って出席し雑談をするが、スーツとドレス着用の一般向けパーティと違い、タキシードに3,000ドルの夜会服が溢れるパーティである。もうひとつの伝統として、合衆国大統領が夕食会に出席したら、コメディアンに徹して、自身や記者達を笑いものにしなければならない。夕食会の前後には、各ニュース企業は挙ってオスカー式独占パーティを開催し、自己申告型の重要人物(we-think-we're-important)を一同に集める。かつては、夕食会は非公開だった。しかし現在の夕食会は、建国の父達から政府の監視役に任命されながら役割を果たそうとしない記者達にとって、当たり障りのないニュースを提供する格好の機会となっている。

20年以上前、デザイナー仕立ての衣装で着飾るのを常としていたナンシー・レーガンは、自虐的なパロディを込めて『Second Hand Rose』の替え歌を披露した。しかし今回の夕食会では、ローラ・ブッシュは、計画通り大統領の古臭いジョークに割って入り、恒例となったコメディを始めている。大統領は妻の行動を熟知していた。妻の登場は大統領自身のアイデアだからだ。しかし、妻が何を言うかは知らされていなかった。でも、ランドン・パービン氏は知っていた。レーガン大統領、ブッシュ父、現ブッシュ大統領のスピーチライターを歴任したパービン氏は、今回のローラ・ブッシュのジョークを書いた張本人である。(訳注:パービン氏はシュワルツェネガー加州知事のジョークも担当している。ブッシュ大統領の悪名高いジョーク『大量破壊兵器はドコにある』ネタを書いたのもパービン氏であった。)

観客を喜ばすために、ローラ・ブッシュは最近夫にこう話したと言う:「ジョージ、本当に世界の圧政を解決したいのなら、遅くまで起きてなきゃ駄目よ・・・いつも夜9時になると、この情熱家(訳注:ジョージの事)は眠ってしまうので、私はテレビの『やけっぱちの妻たち(Desperate Housewives)』を観るんです。私こそやけっぱちの妻ですよね、皆さん」(訳注:その後、ホワイトハウス広報官は、ローラが『やけっぱちの妻たち』を未だかつて観た事がないと口を滑らせた)さらに夫の口下手をからかって:「ジョージと私は全く正反対。私は物静かで夫は話好き。私は内向的だけど、夫は外向的。そして私は『核(nuclear)』と正しく発音できます。」さらにローラは、夫のマッチョぶりをからかって言った:「牧場に居るときのジョージは、何でもチェーンソーで切り倒そうとします。チェイニーとラムズフェルドが夫と仲良くできる理由がわかった気がしますね。」さらに夫人は、バーバラ・ブッシュ(元ファーストレディで現大統領の母)と、メーン州ケネンバンクポートの大統領静養所についても言及。脚本通り見事にこなしたローラは、スターに夢中の出席者達から惜しみないスタンディング・オベーションで迎えられた。

ジョージ・W・ブッシュの第1期大統領選挙キャンペーン中、ローラ・ブッシュは滅多に人前で話さなかった。話す際には、脚本とメッセージが入念に準備された。人前で話さない理由のひとつは、元図書館司書で内気なローラが、演台に立つことを嫌がったからだ。妻は内気であれと信ずるアメリカ人向けの選挙キャンペーン方針に従い、夫に寄り添って、夫の施策を繰り返すだけの、相対的に従順な女性は、8年もの間ヒラリー・クリントンがアメリカ国民に見せたイメージとは好対照であった。

ブッシュ大統領の最初の4年間、従順な妻はまさしく従順に振舞った。ローラが行わなかったことの一つは、合衆国愛国法(USA PATRIOT Act)が図書館と市民に与える脅威に対して、反対の声を上げる同僚の図書館員たちの輪に加わらなかったことだ。彼女だけではない。ワシントンを根城に活躍するジャーナリスト達は、国民が問題視するようになるまで、愛国法の危険性についてほとんど何も書かずにいた。

反対意見を封殺し情報公開法を弱体化させる事例を確立させて憲法を軽視するブッシュ政権に対して、ローラ・ブッシュは反対を唱えることもできた。しかし彼女はそうしなかった。

イラク、アフガニスタン、グンタナモでの囚人虐待について、ローラ・ブッシュは批判することもできた。しかし彼女はそうしなかった。囚人虐待を黙認する覚書を書き、囚人にジュネーブ条約を適用しないというアルベルト・ゴンザレスが、大統領により司法長官に指名された際、ローラ・ブッシュは異論を唱えることもできた。しかし彼女はそうしなかった。判事の任命には、宗教上、政策上の理由ではなく判事としての適正が検討されるべきと主張することもできた。ジョン・ボルトンの国連大使指名が、世界の人々にとって『顔面に』平手打ちをされるほど不名誉であると言うこともできた。テキサス生まれの上院院内総務トム・ディレイ議員の欠落した政治倫理性を批判することもできた。しかし、それら全てにおいて、ローラ・ブッシュは声を上げなかった。

政治的動機によるイラク侵攻が大統領側近達による一連の嘘を元にしたもので、大統領もその嘘を国民に繰り返していたことがわかった際、ファーストレディは声を上げることもできた。しかし彼女はそうしなかった。

夫が世界のあちこちを気取って歩き、テロが減少したのは自分のおかげと宣言しながら、実際には2003年から2004年の間に世界中でテロが急増していることが判明した際、ローラ・ブッシュは夫の宣言を非現実と言うこともできた。しかし彼女はそうしなかった。

何億ドルもの国土防衛基金を政治資金に転用し、無能故に無実のアメリカ国民に嫌がらせを繰り返す運輸保安局のような政府機関に対して、ファーストレディは批判することもできた。しかし彼女はそうしなかった。

教育にもっと予算を割いたり、全国民に医療保険を提供したり、労働者の権利や環境破壊について声を上げることも、ファーストレディには可能だった。わずか1%の金持ちのために、国民に対して今後10年間で1兆ドルもの負担を強いることになった減税政策に、ローラは反対することもできた。しかし、彼女は何もしなかった。

キリスト教的慈善精神は信者以外に対しても適用されるべきで、あるいは信心こそ唯一の道徳的方法とばかりにブッシュ政権を支配する少数の狂信者によって骨抜きにされるべきではないと声を上げることもできた。しかし彼女はそうしなかった。

これまでの5年間、国民の注目を集める場所で、ローラ・ブッシュができることはたくさんあった。しかし、従順な妻が選択したのは、ジョークを暗唱することのみである。ゴマすり上手なワシントンの記者たちは、タキシードとガウンの下に下心を潜めながら、暖かく微笑み、ジョークを漏らさず記録し、お気軽な記事を書き、国内のほとんどのメディアは、その記事を繰り返し配信することになった。(以上)

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