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2005/06/01

ダウニングストリートメモ暴露から1ヶ月、米国内の反応は・・・

イラク侵攻の口実を作るため、ブッシュ政権は情報を捏造している・・・MI-6長官の驚くべき報告が書かれた『ダウニングストリートメモ』が英サンデータイムズ紙に掲載されてから1ヶ月が経過した。しかし、今日に至るも米国内メディアはこの話題を真正面から扱うことを避け、「英国選挙前にこんな話題もありました」とばかりに、事実関係の追加取材も報道もしないまま、事態の沈静化を図っている。

ワシントンポスト紙は、第一面スクープ扱いでこの問題を報じる予定だったが、上層部の奇妙な配慮により、日曜版26ページ目という目立たぬ場所でひっそりと報道を終えた。ニューヨークタイムズ紙もその他地方紙も、「英新聞がこんなコト書いてます」程度の軽い扱いしかせず、1700人以上のアメリカ国民と10万人以上のイラク人が死んだ戦争の理由を大統領がでっち上げたという問題について、あまり騒動にしたくない様子である。

しかし、米国市民はじわりじわりと動き始めている。ダウニングストリートメモを元に政府に説明を求めるサイトもすでに2つ開設されている。www.downingstreetmemo.comwww.AfterDowningStreet.org

以下に、英サンデータイムズ紙のスクープ以降の米国ジャーナリズム界と、ワシントン周辺の発言を拾い、時系列で並べてみた。

5月4日
レイ・マクガバン(元CIAアナリスト)
「我々『健全化のための退役諜報専門者会(Veteran Intelligence Professionals for Sanity)』の会員たちは、CIAとMI-6が、必然性なきイラク戦争を正当化するために『事実を捏造』せよと政府上層部から命令されていたと、今までずっと言い続けている。」(source
5月5日
グレッグ・パラスト(英BBCで活躍中の「ホワイトハウスが最も嫌う」ジャーナリスト)
「共和党員たちは葉巻とモニカの感情をネタにビル・クリントンを弾劾した。国内メディアはそれ以外何も報道しなかった。そして今、何千もの国民を死なせることになった情報の歪曲を示す決定的な動かぬ証拠が見つかったというのに、共和党支配下の議会や、物笑いの種になっている合衆国のジャーナリズム関係者は、注目するに値しない問題といわんばかりに振舞っている」(source
5月6日
ホアン・コール(ミシガン大学歴史学教授)
「クロフォードからハーグまでは長い道のりとなる。コネチカット出身の、カウボーイブーツを履いた男はうまく逃げおおせるかもしれない。仲間も皆、うまく逃げおおせるかもしれない。だが、連中が嘘をついてきたことを、人々は知ることになるのだ」(source
5月13日
ヘレン・トーマス(ホワイトハウス会見で最も長いキャリアを持つ名物記者)
「合衆国と英国の有権者達が、このような(指導者による)詐欺を容認していることにビックリしている。私は今までに二人の大統領失脚を見つめてきた---リンドン・B・ジョンソンはベトナム戦争で、リチャード・ニクソンはウォーターゲート事件で、国民の信頼を失った結果、失脚してきた。しかし時代は変わる---国民の価値感も変わってしまったのかもしれない」(source
5月14日
グレッグ・ミッチェル(出版業界紙エディトリアル&パブリッシャー紙編集長)
「米国内メディアはこれまで10日以上も『ダウニングストリートメモ』の話題を無視してきたが、ようやく記事が配信されはじめたようだ。ロスアンゼルスタイムズ紙は木曜日に長い特集記事を配信し、ワシントンポスト紙のウォルター・ピンカス記者も金曜日に記事を配信した。(中略)下院の民主党議員89人が、5月6日に大統領宛ての手紙を出し、メモの内容についてショックを表明している。議員達はホワイトハウスが議会の承認以前にイラク侵攻を決定していたかどうか問いただしている。ブッシュ、ブレアの両氏共に、イラク侵攻が2002年に決定されたという疑惑を否定し、あくまで軍事行動は選択肢のひとつであったと主張している。ブレアの広報担当官は、メモの漏洩はイラク侵攻の準備について何ら重大な嫌疑をもたらすものでないと語った。最新のギャロップ調査によれば、アメリカ国民の50%が、ブッシュ大統領が大量破壊兵器の件で『意図的に国民を誤解させた』と考えている。」(source
5月15日
ジョン・マケイン上院議員(共和党・アリゾナ州、2000年大統領選挙時のブッシュ最大のライバル)
「ブッシュ政権がイラク侵攻を行うためにシナリオをでっち上げたという話は信じない」(source
5月17日
ポール・クレイグ・ロバーツ(レーガン政権時代の財務省補佐官、現在はフーバー研究所上級研究員)
「このメモはまさしく動かぬ証拠だ。なぜブッシュは被告人席に座っていない?アメリカの民主主義は国内では機能しないのか?」(source
5月17日
ホワイトハウス報道官スコット・マクレラン
(ダウニングストリートメモの真偽ついて)「全く間違っている(just flat-out wrong.)」(イラク侵攻決定の是非について)「合衆国大統領は、大変公的な方法で、世界中の代表と語らい、国連に行き、(イラクとの問題を)外交作法に則って解決しようとした」(source
5月22日
ジョン・C・ボニファズ(ボストン在住の憲法訴訟専門弁護士)
(ジョン・コンヤーズ下院議員に宛てた手紙から)「もしメモの内容が事実であれば、合衆国憲法第2条第4節に基づき、重罪の構成要件になる」(source
(訳注:合衆国憲法第2条第4節:「大統領、副大統領ならびに合衆国の全ての公務員は、反逆罪、収賄罪もしくは重罪及び軽犯罪により弾劾され、尚且つ有罪の判決を受けた場合、免職となる」)
5月24日
ジェイムズ・バムフォード(NSA専門のジャーナリスト、最新著作『A Pretext for War』においてブッシュ政権がイラク戦争のために情報操作を行ったと告発」)
「ビル・クリントンが弾劾された理由は合意に基づく異性関係における嘘だったのだから、嘘と歪曲と虚偽を用いて致命的で終わりの見えない戦争を開始したジョージ・W・ブッシュが弾劾されるのは当然だ。これが重罪でないなら、他に何が重罪にあたるというのか?問題は、国民の大部分が無関心で、報道が極端に少ないことだ」(source
5月28日
ジョン・コンヤーズ米下院議員民主党・ミシガン州
「ダウニングストリートメモの件で、ホワイトハウスに説明責任を求めるために10万件の署名を集めるので、国民の皆さんの協力を請う」(訳注:現在、下院議員89人が活動に協力している)source
5月29日
英サンデータイムズ紙(スクープ第2弾
「新たに漏洩した政府情報により、国連安全保障理事会決議1441が発効されるはるか以前、ブレア政権がイラク侵攻の合法性を公的に検討する以前の2002年5月から、英国空軍と米軍が、サダム・フセインを挑発して開戦の機会を作るために、イラク南部の飛行禁止区域において大量の爆撃を行っていた確たる証拠が見つかった」(source
5月30日
ジョン・コンヤーズ下院議員
「(英サンデータイムズ紙の新情報について)国防総省は2002年夏までに極秘裏且つ法に背いて開戦を決定したというだけでなく、議会の承認もなく国連の決議もないまま、すでに軍事行動を行っていたことになる」(source

機密書類の漏洩から1ヶ月経過しても、ブレア政権は『ダウニングストリートメモ』そのものの真偽については言及を避けている。ブレアは7月から行われるG8(先進国首脳会議)より前に、ブッシュ大統領との個人会談に臨むというから、その際に弾劾を避ける術---国民を騙す手法---を話し合うつもりかもしれない。

一方で、イラクに大量破壊兵器があるという偽情報を伝えたペンタゴンの情報アナリストは、上司に仕事ぶりを賞賛され、功労賞を受賞した。極秘メモ以外にも、ブッシュが戦争の口実を捏造した証拠はあちこちに転がっているわけである。

フセインの裁判は年内に開始されるだろうが、ジョージ・W・ブッシュが被告人席に座るのはいつ頃になるのだろう?

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