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2005/06/06

「アメリカ:何のシンボル?」byボブ・ハーバート

promisesbetrayed

タイムズ紙掲載コラムを集めたボブ・ハーバート氏最新刊「Promises Betrayed: Waking Up from the American Dream

ニューヨークタイムズ紙に連載中の人気コラムニスト、ボブ・ハーバート の2005/05/30付けコラムを以下に全文翻訳して掲載。

アメリカ:何のシンボル?(America, a Symbol of . . .)

by ボブ・ハーバート:ニューヨークタイムズ紙2005/05/30付けコラム

今年の戦没将兵記念日(Memorial Day)は、かつて世界における自由と正義の最も輝かしい希望の灯であったこの国にとって、ふさわしいものではない。

国務省の職員なら、他の誰よりも、合衆国のイメージが世界中でどれほど悪化しているかを知っているだろう。今、米国は、残忍で、威圧的な国家として、拷問を黙認し、キューバのグアンタナモ湾やその他世界各地で恐ろしい捕虜収容所を運営し、そこで囚人をひどく虐待し、陰惨に辱め、殺していると広く認識されているのだ。

先週の、合衆国に対するイスラム教徒の大掛かりで辛辣な抗議活動は、グアンタナモ刑務所での尋問官がコーランを無礼に扱っているという報告に触発されたものだった。しかし、イスラム教徒やその他の人々の怒りと憤りは、長い時間をかけて蓄積されたものであり、アメリカのいわゆるテロとの戦いの名の下に、抑留者やテロ容疑者、負傷した囚人や、全く無実の市民に対する非人道的な対応を示す、疑う余地のない証拠によって増幅されてきたのである。

先週、アムネスティ・インターナショナルは、世界の人権に関する年次報告書の中で、500人以上の抑留者が、容疑も裁判もないままグアンタナモ刑務所に拘束され続けていると指摘した。説明もせずに人々を閉じ込め、無実を証明する機会も与えずにいるとは、世界の自由を推進するにしては奇妙な方法に見える。

今では、グアンタナモ刑務所内や他の何処かに閉じ込められている人の多くが無実であることはよく知られている。抑留者達の有罪を証明できる証拠を保有しているとブッシュ政権は主張しているが、それら証拠のほとんどは秘密事項であり、それ故提示されることがない。

テロとの戦いが、夢の世界を見つけてしまったというわけだ。

ブッシュ大統領の腹心であるカレン・ヒューズは、国務省による国家イメージ向上活動を先導する役割に抜擢された。ブッシュとその仲間は、実質的な政策変更なしには軽減できない破滅的な危険の可能性を否定し、明らかにこの事態を人々の認識上の問題と考えているのだ。

これはイメージ以前の問題なのである。アメリカ人に必須の資質であるべき理念が危機に瀕しているのだ。アメリカ合衆国は、政策方針として(そして、自由の名の下に)拷問技術の発達した国に人々を送致しているのである。

バーモント州のパトリック・リーヒー上院議員は言う。「どうして我が国の国務省は虐待を容認する国家を非難できるというのだろうか?CIAは拘束者を尋問目的で、まさしくそのような国家に秘密裏に送り込んでいるというのに」

3月にヒューズは「ブッシュ大統領の仰る、人間の尊厳という妥協なき要求を支持するために」ベストを尽くすと宣言した。拷問が課せられる場所においては、人間の尊厳はあんまりないと、誰か彼女に教えてやるべきだ。

もしも、テロとの戦いとイラク戦争における尋問と拘束活動の全貌を調査するために、本当に独立した調査委員会が設置されるようなことがあれば、アメリカはその失った尊厳をいくらか取り戻せるかもしれない。その際行われる調査は忘れられぬほど衝撃的なものになるだろう。なにしろ、自分の国が関わって欲しくないと大半のアメリカ人が思っている類の所業が暴露されることになるのだ。しかし長い目で見れば、その調査は大変有意義なものとなる。

アムネスティ・インターナショナルUSA事務局長のウィリアム・シュワルツは、先週のインタビューで、政府上層部で練られた政策が、囚人に対する不当な扱いを導いたことを肝に銘じておくことが大切と語っていた。

「重要な点は、この政策が手の込んだものであるということです」シュワルツは言う。「大統領はゴーサインを出した。国防長官は命令を下した。司法省は理論的根拠を与え、CIAは隠蔽を試みたのです」

911テロ攻撃の直後、道理のかなったテロとの戦いという点で、世界のほとんどの国は米国の味方をする準備ができていた。しかし、ブッシュ政権は、イラク戦争への強い熱情と手続きを無視したがる性向により、抑留者に対する恥ずべき非人道的な行いを通して、その機会を台無しにしてしまった。

世界の至るところで、ブッシュ政権下のアメリカのイメージは、理想的な自由の勝者から、迷彩服を着た重武装の悪党に歪められてしまった。アメリカはますます危険で横暴な軍事大国と見なされており、天罰が下される時期に来ている。そうなれば、カレン・ヒューズに態度を改めさせるよりも、はるかに面倒なことになるだろう。
(以上)

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