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2005/06/27

アメリカ農務省の狂牛病対策(未対策)最新事情

2005/06/26付報道で、ニューヨークタイムズ紙が米国の狂牛病対策の懸念材料をいくつか挙げている。以下に同記事の要点を列挙しておこう。

  • 米農務省は7ヶ月前(昨年11月)BSE感染の疑いがある牛の検査を内密に行い感染を確認したが、検査結果のネガティブ面を米国内で公表していなかった。
  • 新たに発覚した感染牛は米国生まれとされ、感染経路については前回と異なった飼料源と推定されているが、ジョハンズ長官の回答は曖昧なままである。
  • 狂牛病感染の検査基準について、日本では全頭検査をしているが、ヨーロッパではおよそ4頭に1頭の割合で検査している。一方の米国では、現在90頭につき1頭の割合で感染検査をしている。2003年に米国で最初の狂牛病感染が確認された際は、1,700頭につき1頭の割合だった。
  • 2004年度に米国では38万8,000頭について狂牛病感染検査を行ったが、最近までジョハンズ長官は検査頭数を4万頭に削減するよう検討させていた。
  • 現在のところ、日本、韓国、香港、台湾、ロシア、中国が米国産牛肉の輸入を禁止している。
  • ジョハンズ長官の代理を務めるチャールズ・ランバート氏とデイル・ムーア氏はいずれも全米肉牛生産者・牛肉協会出身者(業界団体の人間が官僚になるのは米農務省の通例のようになっている。)
  • 日本から派遣された衆院農林水産委員会の調査団を恫喝したとされる米農務省海外農務担当次官J・B・ペン氏は牛肉業界ロビイスト出身。米農務省広報官エド・ロイド氏の説明によると、ペン氏は恫喝などしておらず、日本側との会見は「和やか」であったという。
  • 日本のPR業界には朗報:米農務省はアメリカ食肉輸出連合向けに、1205万5,587ドル(約13億1,757万円)の販促費拠出を決定した。(source

イラク戦争開始前の極秘空爆、米空軍司令官が認めていた

「だからつまり・・・私達は軍隊を使いたくはなかったんですよ。誰だって、軍隊を戦闘に派遣したくありませんよ。それは最後の選択肢ですからね
And so it's -- look, both us of didn't want to use our military. Nobody wants to commit military into combat. It's the last option. (テキストは公式記録そのまま)

---ブッシュ大統領、ブレア首相との共同記者会見で、ダウニングストリートメモ疑惑について聞かれて発言(2005年6月7日


ブッシュ・ブレア両政権を追い込みつつある英サンデータイムズ紙の6月26日付け最新スクープを、以下に全文翻訳して掲載。(記事中リンクは訳者による)

今回のスクープ記事は在米ブロガーで、極小ニュース企業Raw Storyのラリーザ・アレクサンドロウナ(Larisa Alexandrovna)記者の投稿がきっかけであったらしい。(ところで、米空軍司令官が開戦前のイラク飛行禁止区域での極秘空爆を説明しているという件は、 World Socialist Web Site2003年7月24日付けの報道でリークされており、すでに違法性が指摘されていた)

日米大手メディアではほとんど報道されていないが、ダウニングストリートメモを基点に、英米世論はブッシュ・ブレア弾劾に動きつつある。

ブッシュに勝るとも劣らない怠け者ライバル、ジョン・ケリー議員は、上院情報調査委員会に対し、ダウニングストリートメモに関する調査を求める手紙を書いたが、それにはケネディ議員をはじめ民主党の著名議員達も署名している。今後、イラク開戦をめぐる独立調査委員会の設置をめぐり、ワシントン周辺は大いに揉めることになるだろう。

メモ内容の真偽についても、例えばブレア首相はテレビのインタビューで、「ブッシュ政権はイラク戦争に向けて情報操作をしている」とMI6長官が発言した会議があったことをウッカリ認めてしまったし、米ワシントンポスト紙もメモに書かれた内容が事実であるとすでに確認している。

ところで、日本政府は米国の違法行為---大量破壊兵器情報の捏造、国連決議前の大量爆撃など---についてどこまで知っていたのだろうか?日本の報道関係者にも、そろそろ官房長官に簡単な質問をするべきではないか。


空軍司令官、極秘空爆を認める(General admits to secret air war)

マイケル・スミス記者:英サンデータイムズ紙2005年6月26日付記事

イラク侵攻が開始される9ヶ月前の2002年中旬から、イラクに対して英米両空軍が極秘の空爆を行っていた事実について、イラク戦争で空軍を指揮した人物が、米英両国の政府関係者への報告会の際に認めていたらしいことが明らかになった。

イラク戦争での教訓を説明する場で、マイケル・モーズリー中将が話した内容によれば、公式に戦争が開始される以前の2002年から2003年初頭に、英米両空軍は2万1,736回出撃し、『注意深く選択された標的』391箇所に対して600以上の爆弾を投下していたという。

連合軍による9ヶ月間の爆撃について、連合軍側が勝利する「基盤作りのため」とモーズリー中将は言った。イラク側による長期にわたる砲撃の中で連合軍が戦争を開始することがないようにということである。

もしこれらの爆撃が、イラク北部・南部の飛行禁止区域における保安維持上の必要限度を超えていた場合、ブッシュ大統領とブレア首相の両者は、違法行為を行っていたという批判にさらされることになる。

モーズリー中将の発言は、サンデータイムズ紙により暴露された戦時内閣の会議記録が記す「(フセイン政権への)圧力行為を急増」という記述から、連合軍によるイラク南部への爆撃を増加させているという報道の後で表面化した。

2003年7月17日、ネブラスカ州ネリーズ空軍基地における説明会においてモーズリー中将が話したところでは、爆撃はイラク南部の飛行禁止区域のパトロールを装って実行されたという。表面上の目的は、少数民族を保護するためであったとのことである。

サンデータイムズ紙によって暴露されたメモには、ブレア首相とジャック・ストロー外相、ジェフ・フーン(当時の英国防長官)、参謀総長マイケル・ボイス卿が同席した会議内容を記した記録には、米軍が爆撃を実行している事実が記されていた。

しかし、モーズリーの発言と、2002年度にイラク南部に投下された爆弾の量は、英国空軍も米空軍同様に、爆撃に際して多大な役割を担っていた事実を示している。

モーズリーの説明内容は、戦時下にある米国でさらなる懸念材料となる。最新調査によると、今では米国民の60%がイラク戦争を誤りと思っている。

2005/06/26

速報:チェイニー副大統領、心疾患で体調異変か?

(未確認情報)エンタープライズ研究所の主催する定例講演会のため、コロラド州に滞在中のチェイニー副大統領が、極秘裏に地元のベイル・バレー病院の心臓病課を訪れているという。

AP通信の報道によると、チェイニー副大統領は、昔のフットボール試合で受けた古傷の検査のために、コロラドで著名な整形外科医を訪問したと公式に発表されているが、偶然にも同地で別の講演会に呼ばれていて副大統領の護衛付き車列と移動を共にした政治活動家アリアナ・ハフィントンの伝えるところでは、チェイニー副大統領はベイルバレー病院(Vail Valley Medical Center)の心臓疾患課に居て、現在当地は緘口令と厳戒態勢が敷かれているという。

2005/06/22

イラク・アフガン戦費3,500億ドル、朝鮮戦争と同程度の出費に

「防衛庁が米国政府から兵器などを直接購入する有償軍事援助(FMS)契約で、代金を支払ったのに書類上の手続きが完了しないままになっている未精算額が03年度末で2206億円にのぼっている。このうち286億円分は、現物が届いていない未納状態。」(朝日新聞2005年6月14日付け記事

「日米両政府が2006年度から共同開発に移行する見通しのミサイル防衛(MD)の迎撃ミサイルについて、米側が2011年度までに総額5億4500万ドル(約583億円)の開発予算を見込み、日本側にも同等の資金負担を求めている」(読売新聞2005年6月20日付け記事


6月21日、米議会は米軍のイラク・アフガン駐留費用として、特別追加予算案450億ドル(約4兆8,936億円)を可決した。先月に米政府は、イラク・アフガニスタン駐留費用として特別追加予算案820億ドル(約8兆9,178億円)を承認したばかりである。カナダCBC放送の記事によれば、911以降のアフガニスタンとイラクにおける米軍の戦費は3,500億ドル(約38兆624億円)に膨れ上がっているとのこと。同記事は以下のように続けている(強調は訳者による)

先月承認された追加予算の820億ドルを含めた(イラクとアフガニスタンでの)米軍総費用は、1950年から53年の間に戦われた朝鮮戦争の戦費を現在のドル価値に換算した額とほぼ同じとなる。

北朝鮮の韓国侵攻を食い止めるために行われた米国主導の当該紛争は、米軍側に5万4,000人以上の戦死者と10万3000人以上の負傷者を出した。

月曜日に上院議会が承認する予算では、開始月を10月に設定された2006年度分米国防総省の総費用として、前年比3%増加の3,640億ドル(約39兆4,685億円)が設定されている。

当該予算には、新兵の獲得を促進させるために追加された兵士の給与上昇分(3.1%)が含まれている。

戦費予算追加は、米国内で戦争支持率が低下し続ける中で承認された。最新のギャラップ世論調査によれば、米国民の60%がイラク駐留米軍の部分撤退を望んでいる。

AP通信とイプソス・レイド社の最新共同世論調査によれば、イラク問題におけるジョージ・W・ブッシュ大統領の支持率は41%で、最低記録を更新している。

イラク戦争では、すでに米軍兵士1,720人が戦死、1万2,000人以上が負傷している。

月曜に行われたホワイトハウス記者会見で、イラクで活動する若い兵士のことが気がかりであるとブッシュは語った。

「毎日イラクのことを考えています。毎日ですよ・・・我が国の子供達は危険な状態におかれているのですから」大統領は語った。

家族の一員を海外で亡くした遺族に対して、大統領は言った。「まず第一に、彼等を見捨てるようなことはしない・・・彼等の使命を無駄にするつもりはないんです。第二に、我々が任務を完了することにより、世界はより良くなるのです」


一方、イラク新政府では、議会の最大派閥である統一イラク連合(UIA)のファラ・ハッサン・サンサル氏が、イラクからの外国部隊撤退を求める声明を6月19日付けで発表し、多数の支持を獲得している。

2005/06/20

「戦時大統領」の欺瞞が暴かれる時

ブッシュ政権も認めるイラクの惨状

先日行われた英BBC放送のインタビューで、イラクの治安状況は改善されたのかと問われたラムズフェルド米国防長官は、「統計上では、改善されてませんな」とあっさり治安の悪化を認めたが、楽観的にこう付け加えた:
「発生する可能性のあった酷い出来事の多くは、発生してませんよ。(A lot of bad things that could have happened have not happened.)
ラムズフェルド流のひねくれた言い回しに比較すると、ブッシュ大統領はイラクの治安状況をずっとわかりやすく説明してくれている。最新の演説で、彼はこう言っている:
「サダム・フセイン体制を倒すという私の決断に同意しない人たちも居るだろうが、今や世界中のテロリストがイラクをテロとの戦いの中心地にしているということは、誰でも同意できるだろう
"Some may disagree with my decision to remove Saddam Hussein from power, but all of us can agree that the world's terrorists have now made Iraq a central front in the war on terror"
イラクがテロリスト天国になった事実を大統領は誇らしげに語っているが、国防長官も認めるとおり、イラクは侵攻時よりずっと危険になっている。例えば、バスラの治安を担当するイラク治安警察は武装勢力の台頭に手がつけられないと言っているし、6月17日付英ガーディアン紙の報道によれば、バグダッド西の街、ラマディは完全に武装勢力が制圧しているという。また、北部のキルクークでは、米軍に支援されたクルド人部隊が、地元のアラブ人やトルコ人を密かに拘束してクルド人自治区の刑務所に送り込み虐待しているという。また、国外に疎開していたイラク国民は、帰国しても自分の住む場所がなく、住環境も悪化していることを知り、さらに怒りを募らせている。


アフガニスタン:もうひとつのテロリスト天国


イラクでの米軍のやり方が気に入らないイギリス軍は、イラク駐留兵を削減して、アフガニスタンでの任務に兵士を振り替え始めた。アメリカ国内で滅多に報道されなくなったアフガニスタンでは、装備のお粗末な政府軍から兵士の脱走が続いているが、一方でタリバンアル・カイダと共に勢力を拡大させている。イギリス軍は新たな特殊作戦を計画中と伝えられているが、地元で大量生産されているヘロインの対策をめぐり、ここでも米軍と対立している


新聞に掲載されない戦死


ニューヨークタイムズ紙の報道によれば、2005年初頭の時点で、イラクには米兵士が15万人駐留していたが、現在では13万9,000人ということだ。つまり1万人以上が母国に帰還したか、戦傷で戦線離脱したか、戦死したことになる・・・ところで、米国防総省の公式発表しているイラク戦争の戦死者数には、負傷してドイツの病院に運び込まれ、後に死亡した人数は含まれておらず、実際の戦死者数は9,000人に達しているという情報もある。ちなみに、イラク侵攻開始時に米軍では化学兵器対策として炭素菌ワクチンを兵士に接種させていたが、その副作用で兵士1,200人が全身の痛みや下痢、記憶喪失などの障害に罹ってしまっている

mission accomplished

慌てすぎた「任務完了」宣言


大規模な戦闘、再び


遡ること約2年前の2003年5月1日、ブッシュ大統領は華々しく「大規模な戦闘は終了した(major combat operations in Iraq have ended)」と宣言しているが、フォックスニュースによれば、米軍はイラクのアンバー州で『Operation Spear(槍作戦)』という大規模な戦闘(major combat operation)を開始したというから、大統領とメディアのどちらかが発表を訂正しなければならない。

最前線の米指揮官の間では「武装勢力を武力で制圧することは不可能」という考えが拡大している。無駄と理解しながら、米軍はナパーム弾化学兵器を使って、掃討作戦の名の下に、罪のないイラク市民を再び虐殺するのだろう。

そのような危険な状況においても、毎月100人ほどのフィリピン人労働者がイラクに密入国して、米軍キャンプで働いているというから驚きだ。近い将来、そうしたアジアからの出稼ぎ労働者が、バグダッド空港から脱出する米軍機の警備業務を請負うことになるのかもしれない。


ダウニングストリートメモ:ブッシュの嘘を知った兵士達は・・・


英サンデータイムズ紙のマイケル・スミス記者にリークされたブレア政権の極秘書類から、新たに6件の英政府書類が公開され、ブッシュのみならずコンドリーザ・ライスの犯罪も暴かれ始めている。

ブッシュ大統領弾劾に向けてジョン・コンヤーズ下院議員が16日に開催した公開ヒアリングの中で、戦死した米兵の遺族の1人は、メモ疑惑について「ブッシュのウォーターゲート事件」と評した。残念ながら、ウォーターゲート事件当時と違い、今ではワシントンポスト紙もタイムズ紙も、疑惑を追及する代わりに国民を黙らせようと努力しており、「メモの内容はたいした事ありませんよ」と言わんばかりの態度で、他の話題を必死で探している。

しかし、そうした大手メディアのサボタージュも虚しく、6月17日付で、国防総省公認の新聞、Stars and Stripes紙に、ダウニングストリートメモ疑惑と、その公開ヒアリングの話題が掲載された。

「大統領のウソで、私の息子は死んだ」という遺族の言葉が掲載された新聞を、イラク、クウェート、ドイツ、イタリア、日本、韓国に駐留する米軍兵士達が手にすることになったのである。

米国の狂牛病感染防止策は充分でないと批判の声

AP通信2005年6月18日付記事を以下に全文翻訳掲載。(記事中リンクは訳者による)

米国の狂牛病感染防止策は充分でないと批判の声(Critics: US Doing Too Little to Prevent 'Mad Cow')

リビー・クエイド記者:AP通信2005年6月18日付記事(commondream転載

ワシントン:アメリカの蓄牛は鶏の廃物、牛の血液、外食産業の残飯を摂取しており、狂牛病感染を促進させている---米国の感染防止体制は、ブッシュ政権が18ヶ月前に約束した内容とは食い違っている。

「カメラがオフになってメディア報道が沈静化したら、またいつものビジネスに逆戻りで、実際には何の改善もなし。相変わらず食肉加工所の廃物を食べさせているんです。」アクティビストで『Mad Cow USA: Could the Nightmare Happen Here』(邦訳は道出版 『隠されている狂牛病』)の著者、ジョン・ストーバーは言う。

彼は主張する:「米国の政策は、畜産業界が加工所の廃物を安価な飼料として使う態勢を保持させているんです」

現在、米国政府は合衆国内で発見された狂牛病感染の疑いがある牛を調査している。当該の食用牛は昨年11月に検査され、一端は感染なしと発表されたが、新たな検査により感染ありと鑑定され、現在英国の研究所でさらなる検査を受けている。

米食品医薬品局(FDA)は、2003年12月にワシントン州で最初の狂牛病感染牛が発見された直後から、飼料の基準を厳しくすると約束していた。

「現在、国民を保護するために我が国のBSE防護壁を強化しているところです」2004年1月26日に、当時の米食品医薬品局検査官マーク・マクリーラン氏は言った。米食品医薬品局の話では、血液や鶏の廃物、牛の血液、外食業界の残飯を食肉牛の飼料として与えることを禁止するとし、飼料工場に牛の飼料製造機を別に用意させるとしていた。

しかしながら、昨年7月に、米食品医薬品局はそうした規制案を廃案にしていた。マクリーラン氏の後任、レスター・クロフォード氏の話では、農務省により組織された国際専門家チームがさらに強力な規制を要求しており、米食品医薬品局はその勧告案に従い新たな規制案を施行することになるだろうとのことだった。

今日に至るも、米食品医薬品局は未だにその約束を果たしていない。同局はインタビューを拒否し、新たな規制案のスケジュールは未定であると声明文を出している。

「議論しただけということでしょう」農業問題を専門とするローザ・デラーロ下院議員(民主党・コネチカット)は話した。「たくさん議論して、たくさん記者会見して、実行はなし。」

他の感染症と違い、牛海綿状脳症(BSE)いわゆる狂牛病は、空気感染はしない。科学者の知る限り、牛への感染は既に感染した牛の大脳や他の神経節を摂取することにより発生することになっている。

1997年まで、食肉処理の使い残しから作られる肉骨粉は、タンパク源として牛の飼料に転用されていたが、英国で狂牛病が発生すると、合衆国でも飼料業界に飼料への転用を禁止するよう求められた。しかし英国と違い、米国では飼料規制には抜け穴がある。

例えば、牛の肉骨粉を鶏の飼料に使うことは禁止されていない。容器からこぼれた鶏の飼料は、鶏の廃物と一緒にかき集められ、牛の飼料として転用されている。

科学者達は、BSEタンパクが飼料精製課程でも残留し、鶏の内臓を通して摂取されると信じている。

そうしたことにより、結局は牛のタンパクが合法的に牛の飼料として摂取されると、かつて農務省の獣医として狂牛病対策を数年にわたり担当してきたリンダ・デウィラーは言う。

「それほど普通に行われていることではなく、量もごくわずかだとは言えるでしょう」デウィラーは言った。しかしそれでも、システム内に牛のタンパクがあるということは、牛が再摂取することもある、と彼女は言う。

牛のタンパクは鶏の飼料としても、ブタや家庭のペットの飼料としても使われており、飼料工場で突発的に汚染が発生するリスクはある。

議会の調査機関である会計監査院が先月発表したところでは、或る飼料工場では、禁止されているタンパクが偶発的に牛の飼料に混入した事例があったという。その際、監査官は問題を発見し飼料はリコールされたが、汚染された牛の飼料はすでに市場に1年以上出回っていたとのこと。

食肉加工の廃棄物を扱う動物飼料精製業界では、新たな規制はコスト高で、廃物は健康被害を発生させると主張する。業界は、規制の変更は理に適っていないと主張している。

「1年におよそ500億ポンドの飼料を生産しています。わかりやすく言うと、トレーラーの車列が4レーンの道路を、ニューヨークからロスアンゼルスまで1年中埋め尽くせるくらいです。」精肉業界団体である米国食肉協会研究財団の会長、ジム・ホッジスは言う。

新たな規制が膠着する中、カナダ産牛の米国への輸入を許可する前に、規制の抜け穴を塞ぐべきという政権内の専門家のアドバイスも、ブッシュ政権は無視している。

カナダで最初の狂牛病が発覚してから直後の2003年6月15日に、動植物衛生検査部のBSE研究グループの専門家によって書かれた農務省内部のメモによれば、牛の取引は飼料規制の抜け穴が塞がれるまで再開されるべきではないと記されていた。

牧場主の団体であるカリフォルニア家畜飼育協会は、農務省に対する訴訟により、そのメモを入手した。

規制の抜け穴が残されたままで、農務省は、昨年末に国境を解放する許可を出した。モンタナ州の連邦判事だけは、国境を閉ざしたままである。同判事は、ワシントン州で感染例が発見されたことから、感染牛が南下することを恐れるカリフォルニア家畜飼育協会と連帯している。

今日においても、農務省は、メモ発覚後も以前どおりの体制を維持している。同省の上級職員獣医リサ・ファーガソンが言うには、メモに書かれた内容は、政府が飼料規制が不適切と考えていることを示したものではなく、その当時の職員の提案のひとつに過ぎないとしている。

「我が国の飼料規制は完全無欠で全く問題なしといえるかといえば、そんなことを主張する人はいないでしょう。規制の変更は行われるかといえば、行われるでしょうね」彼女は言った。
(以上)

2005/06/16

ロシア大使、イラク・ナジャフでシーア派のサドル氏と初会見:プーチンの真意は?

(以下はAP通信の6月13日14日付け記事の要約である。そういえば、米軍によるイラク侵攻が開始されて後の2003年4月に、当時のイラク駐在ロシア大使ウラジミル・チトレンコ氏を乗せた車列が、戦地脱出のためにロシア国旗を掲げてシリア国境に向かっていた途中、米軍部隊から銃撃されて同乗していたロシア外交官数人が負傷するという事件があったが・・・)

アル・サドル氏を訪問するロシア大使ウラジミール・チャモフ氏

過激で知られるシーア派聖職者ムクタダ・アル・サドル氏(左)のオフィスを訪れたウラジミール・チャモフ露大使。両者の非公開会談が様々な憶測を沸き起こしている(source


今週月曜日(6月13日)、イラク駐在のロシア大使ウラジミール・チャモフ氏が、イラクのナジャフでシーア派の聖職者ムクタダ・アル・サドル氏のオフィスを訪問し、非公開の会談を行った。

シーア派の若手聖職者としてイラク国内で急速に支持層を拡大するサドル氏は、米軍のイラク駐留に猛反対し、私兵部隊を組織して反米武力闘争を行ってきた人物。

ナジャフでサドル氏を補佐するジャリル・アル・ヌーリ族長の説明によれば、サドル氏はロシア大使と会談した後に、アンバー州のスンニ派族長代理人達と会談する予定であるという。「会談はロシアとムクタダ・アル・サドル氏の関係構築のために行われた。サドル氏の活動は非常に影響力があり、イラクでよく知られているのが理由だ」

激しい性格で知られるムクタダ・アル・サドル氏は、現在イラク国内で対立するシーア派とスンニ派の間で交渉役を行っているとのこと。

一方、ロシア外務省は、サドル氏との会談について公式に認め、こう説明している。「(ロシア大使は)イラク国内のあらゆる政治勢力に対して政治儀礼と連絡を拡大している最中である。これらはイラク国内の安定化のために、多くの会談を通じてイラク国内のあらゆる政治・宗教派閥の人々の意見に配慮していくというロシアの方針に合致するものだ。当然ながら、テロに加担している勢力の人々は除外している」

今回のロシアの動きについて、クレムリン事情に詳しいアナリストのセルゲイ・マルコフ氏の説明は以下のとおり。

「ロシアはイラクでの地位確立を狙っており、ロシア企業の進出条件について話し合っているんです。ロシア側は米軍の動向を注視しています・・・皆が不安視しているのは、米軍がイラクから撤退した後に残る混沌状態と治安の不在です」また、マルコフ氏はイラク住民がロシアのより深い介入を歓迎するだろうと言い添えた。「住民はアメリカの対抗勢力を求めています。たった1人のボスというのは誰も望んでいないのです」

ヘリテージ財団のロシア支局長ユフゲニ・ボルク氏も、ロシアの行動について、武力闘争が拡大する最中に影響力を拡大しようと画策する兆候であると説明している。

「ロシアは自身のゲームを始めているんです。それは必ずしもアメリカやEUと足並みを揃える必要もないものです」ボルク氏は言う。「ロシアはソビエト時代から石油と武器取引を通じてイラクと緊密な関係にあり、そうした利権の確保に取り掛かっているのでしょう」

ボルク氏の説明によれば、モスクワはイラクの安定化には興味を持っていないとし、その理由として、イラクの安定化により、ロシアの主要輸出品・現金獲得手段である石油の価格が下がることを懸念しているという。「従って、アメリカ人達とは相反する何かが行われるでしょう」

そうした説明に反論する人たちは、イラク武装勢力の勝利がロシアのお膝元であるチェチェンや中央アジア・コーカサス周辺国のイスラム武装勢力を勢いづかせないように、ロシアは米軍の治安活動に協力してイラクの安定化に努めるとしている。

「ロシアは中東でアメリカに敗北してほしくないのです。コーカサスや中央アジア各国に影響しますから」モスクワを拠点に活躍する中東専門家ユフゲニー・サタノフスキー氏は語っている。

米国務省のショーン・マコーミック広報担当官は、会談に関して合衆国はロシアに何のメッセージも託していないとし、暴力を放棄する全てのイラク人は和平プロセスに加わることを願っていると説明した。

モスクワの中東紛争解析センター所長であるアレクサンダー・シュミリン氏は、ロシアの動きについて、米国の裏をかいたのではなく、サドル氏の意図を確認したかっただけと説明する。

「アル・サドル氏の地位、現状に対する彼の考えと計画を評価したかったのでしょう。」シュミリン氏はAP通信に語った。「ロシアは、シーア派と何のつながりもなく、何かの計略に繋がることもないでしょう。ロシアはイラクの大変動に興味はなく、新たな状況に順応していくらか利益を得ていますから」

2005/06/15

タイムズ紙社説「ほんの少しのアフリカ支援」

ニューヨークタイムズ紙2005/06/08付け社説を、以下に全文翻訳して掲載。(文中リンクは訳者による)

(関連投稿:NYタイムズ紙社説「我が国がケチ?イエス。」


ほんの少しのアフリカ支援(Crumbs for Africa)

ニューヨークタイムズ紙2005/06/08付け社説

昨日(6月7日)、トニー・ブレア英首相の隣でマイクに向かうブッシュ大統領は、驚くほど真面目な表情を保ちながら、アメリカ合衆国が貧困国への緊急支援として、かねてより議会から承認されていた6億7,400万ドルを支出する準備をすると語った。それだけだ。それ以上の金額、例えば、シエラレオネ共和国で、毎年マラリアにより死亡する何千もの子供を救うべく蚊帳を買うためには1ペニーも出せない。ケニヤで11歳の少女が学校に行けるように、教師を育成し給与を出す計画の費用は出せない。ガーナで路上暮らしをする少年達を自立させるための開発計画にも、1セントたりとも余裕はない。

来月定例会議を開催するG8首脳会議の主役として、ブレア首相はアフリカに対する支援額を今後10年で倍増する約束を取り付けようとしていた。新たに追加支援金として毎年250億ドル以上あれば、恐るべき貧困に苦しむ大陸で、前述のようなあらゆる支援が可能である。ワシントン到着前のブレア首相は、EU各国から追加支援の約束を取り付けており、事態はうまく運んでいた。

調査によれば、アメリカ国民のほとんどは、合衆国が国家予算の24%程度を貧困国への支援に支出していると思い込んでいるという。現実には、そうした支援額は国家予算全体の0.25%をはるかに下回っている。米国からアフリカに大量の支援が届いているという観念は、国連ミレニアム・プロジェクトの責任者を務めるコロンビア大学経済学者ジェフリー・サックスが言うように、「我が国のおおいなる俗説のひとつ」に過ぎない。

3年前に、富裕な国は貧困国への支援額を2015年までに国民所得の0.7%まで増額させるという国連宣言に署名したにもかかわらず、現在のアメリカ合衆国は全国民取得額のほぼ0.16%ほどを貧困国支援にあてている。国連宣言以降、イギリス、フランス、ドイツは0.7%の目標達成のために、それぞれ支援増額案を表明してきた。アメリカは何ひとつしていない。ブッシュ大統領が表明した支援額では、0.007%にも届かないのである。

アメリカ経済にとって0.7%はどれくらいの金額になるのか?およそ800億ドルである。その金額は、上院が先ごろ追加承認した米軍のイラク他駐留費用とほぼ同じ金額だ。しかし、昨年企業向けに行われた1,400億ドルの減税額には遠く及ばない。

これは、この問題に取り組むアメリカの行動を示すために、ブッシュ大統領が世界に向けて見せたいイメージとは違うはずである。貧困を過去のものとするために、富裕な国家が高潔な価値ある努力を続けているという時に、ブッシュ政権はこれほどまでに惨めな計画を提示して、世界から立ち遅れてしまった米国を見せてしまっている。ブッシュ氏の提案が、世界中のメディアから軽蔑的な記事見出しで迎えられたとしても驚くべきでない。「ブッシュ、英国のアフリカ債務削減案に反対」ヨハネスブルクを拠点とする全アフリカニュースサービスの記事見出しが踊った。「ブレアが先手:ブッシュ、恥じて支払いへ」オーストラリアのシドニー・モーニング・ヘラルド紙が書きたてている

アメリカ国民は偉大なるハートを持っている。それを隠すような真似を、ブッシュ大統領は止める必要がある。

2005/06/11

イラク駐留米軍、武装勢力と交渉中、初の公式停戦なるか?

「(イラク駐留米軍を)攻撃しやすい状況にあると思う者もいるようだが、私の答えは『かかって来い!』だ。我が国は治安を守るに充分な軍事力を確保している。」

---ブッシュ大統領、2003年7月2日のホワイトハウス会見で、イラク駐留米軍の状況について発言

英ガーディアン紙2005/06/10付け報道によれば、米国外交官と米陸軍各指揮官が、イラクの武装勢力と間接交渉を行っており、2年間に及ぶ戦闘状態から、初めて正式な停戦交渉が図られる模様。

ファルージャで米海兵隊がアメリカ人の民間軍務請負要員を拘束、虐待?

英ガーディアン紙2005/06/09付け報道によれば、米民間企業の従業員達の乗った車輌が、警戒中の米海兵隊に拘束されて、米軍の基地内刑務所に3日間収監され、その際アメリカ人の従業員達は米海兵隊員に虐待されるという事件が、先月発生していたという。

海兵隊に拘束されたのは、ノースカロライナ州に本拠を持つ軍役請負企業ザパタ・エンジニアリング社の従業員19人。その内14人が『警備担当者』で、その内8人は元米海兵隊員だった。同社はイラクのファルージャで爆破物処理作業を担当している。

拘束を実行した米海兵隊員の説明によると、ザパタ社の警備員達は車輌から民間人や海兵隊に向けて銃撃していたというが、従業員側の説明では、海兵隊員達を武装勢力と勘違いし、威嚇のため発砲していたという。

拘束された従業員の1人、元フロリダ州兵のリック・ブランチャード氏は、LAタイムズ紙の取材に電子メールで状況を説明している:「あれほど非人道的な行いを俺は経験したことがない。連中(米海兵隊員)は俺を反乱軍のように扱った。殴られて、写真を撮られ、蔑まれたんだ」

被害に遭った従業員側の弁護士によると、拘束された従業員達の一部は下着一枚にされ、頭に銃を突きつけられ、「大金持ちの契約業者になるってのはどんな気分だ?!(How does it feel to be a big, rich contractor now)」と海兵隊員から罵声を浴びせられたという。(これはまさしくアブグレイブ刑務所の事件を彷彿とさせる状況だ)

ブルッキングズ研究所の研究員で、「戦争請負会社」の著者、ピーター・シンガー氏は今回の事件の背後にある危険性について以下のように説明している。

「(米軍契約企業の従業員が)違法な行為をしていたと海兵隊員達が思ったとしても、対応する手順はないのです。(拘束しても)誰に引き渡せばいいんでしょう?イラクでは2万人以上の民間軍務請負要員が2年以上も活動していますが、何かの行為で告発されたケースは一件もないのです」

(今回の事件について、ザパタ・エンジニアリング社は公式サイトのプレスリリースで詳細を報告している。また、ザパタ・エンジニアリング社が米軍から請け負った契約内容については市民監査団体The Center for Public Integrityのウェブサイトで確認できる)

2005/06/09

『もったいない』ニュースリンク

「いまこそ日本人本来の「心」に根ざした価値あるものを見つめ直し、大切にし、『もったいない』をキーワードに「美しく豊かな心」で彩られた新しい精神文化を創出しなければなりません。」

---自民党・武部幹事長、もったいない運動推進についての発言(2005/06/06の記者会見


うーむ、さすがは武部幹事長。『人生イロイロ』首相なんかとは言葉の重みが違いますなあ。

今回は、「もったいない精神を世界中に広めていきたい」という武部氏に敬意を込めて、友好国アメリカにおける『もったいない』事例を最近のニュースから以下にピックアップしてみた。『もったいない運動本部』の武部幹事長にはぜひとも、米国に節約というものを指導してやってほしい。内政干渉って言われるのが怖い?ニューヨークタイムズ紙が記事で取り上げたように、連中は日本の省エネ政策に興味があるみたいですぞ!)

  • 2002年から2004年の間に米国防総省が購入した軍用備品の内、330億ドル分(約3兆5,269億円)は余剰在庫であり、35億ドル分(約3,741億円)が新品・未使用のまま外部に安価で放出され、一部は廃棄された
  • 2002年度にラムズフェルド国防長官がCBSニュースに語った話によると、これまでに米国防総省が支払った費用のうち、2兆3,000億ドル(約245兆723億円)が使途不明
  • 米国防総省は過去6年間で航空チケット約1億ドル分未使用のまま無駄にしている
  • スウェーデンのストックホルム国際平和研究所の調査によれば、2004年度における世界全体の防衛費はおよそ1兆350億ドル。しかも、アメリカだけで世界軍事費の47%を占めている
  • オハイオ州の公的基金が希少コイン取引に投資され、少なくとも1,200万ドルの大損失を出した事件の中心人物で、詐欺の容疑者トーマス・ノエ氏は利益の大半を共和党の政治活動に投資していたが、ブッシュ大統領は受け取った献金4,000ドルをオハイオ州に返還すると言っている。一方で、カリフォルニア州知事のシュワルツェネガー氏は、ノエ容疑者から受け取った1万ドルの返還を拒んでいる
  • ルイジアナ州とミシシッピ州のカジノ経営者が、各々2万5,000ドルを仲介者のロビイストに支払ってブッシュ大統領との15分間会談を実現し、ギャンブル業界の規制緩和について直接要求することができた
  • テロとの戦いを名目に予算が急上昇した米国土安全省では、2004年10月から2005年3月の内部監査により、1,850万ドル(約19億7,546万円)の不正支出が発覚し、職員146人が公金横領や他の不法行為で逮捕された
  • 米軍のイラク駐留費用は月額で41億ドル(約4,382億円)。ちなみに、現在16ヶ国で行われている国連平和維持活動の年間総費用は38億ドル(約4,061億円)。
  • イラクの石油売り上げ金の内、CPA(連合国暫定当局)が紛失させた金額(2005年度初頭の監査結果)は88億ドル(約9,405億円)(以上2件のsource:米ハーパーズ誌2005/06/02

オマケ:カリフォルニア州サンノゼの『もったいない!』
schwarzenegger_stagedevent

自らの政策である道路補修事業をアピールするために、PR用の撮影をするシュワルツェネガー知事。この撮影のために、正常な道路をわざわざ掘り起こしてヤラセ補修作業を行ったという裏事情が暴露され、さらに支持率は下がることになった。もったいない!

2005/06/06

「アメリカ:何のシンボル?」byボブ・ハーバート

promisesbetrayed

タイムズ紙掲載コラムを集めたボブ・ハーバート氏最新刊「Promises Betrayed: Waking Up from the American Dream

ニューヨークタイムズ紙に連載中の人気コラムニスト、ボブ・ハーバート の2005/05/30付けコラムを以下に全文翻訳して掲載。

アメリカ:何のシンボル?(America, a Symbol of . . .)

by ボブ・ハーバート:ニューヨークタイムズ紙2005/05/30付けコラム

今年の戦没将兵記念日(Memorial Day)は、かつて世界における自由と正義の最も輝かしい希望の灯であったこの国にとって、ふさわしいものではない。

国務省の職員なら、他の誰よりも、合衆国のイメージが世界中でどれほど悪化しているかを知っているだろう。今、米国は、残忍で、威圧的な国家として、拷問を黙認し、キューバのグアンタナモ湾やその他世界各地で恐ろしい捕虜収容所を運営し、そこで囚人をひどく虐待し、陰惨に辱め、殺していると広く認識されているのだ。

先週の、合衆国に対するイスラム教徒の大掛かりで辛辣な抗議活動は、グアンタナモ刑務所での尋問官がコーランを無礼に扱っているという報告に触発されたものだった。しかし、イスラム教徒やその他の人々の怒りと憤りは、長い時間をかけて蓄積されたものであり、アメリカのいわゆるテロとの戦いの名の下に、抑留者やテロ容疑者、負傷した囚人や、全く無実の市民に対する非人道的な対応を示す、疑う余地のない証拠によって増幅されてきたのである。

先週、アムネスティ・インターナショナルは、世界の人権に関する年次報告書の中で、500人以上の抑留者が、容疑も裁判もないままグアンタナモ刑務所に拘束され続けていると指摘した。説明もせずに人々を閉じ込め、無実を証明する機会も与えずにいるとは、世界の自由を推進するにしては奇妙な方法に見える。

今では、グアンタナモ刑務所内や他の何処かに閉じ込められている人の多くが無実であることはよく知られている。抑留者達の有罪を証明できる証拠を保有しているとブッシュ政権は主張しているが、それら証拠のほとんどは秘密事項であり、それ故提示されることがない。

テロとの戦いが、夢の世界を見つけてしまったというわけだ。

ブッシュ大統領の腹心であるカレン・ヒューズは、国務省による国家イメージ向上活動を先導する役割に抜擢された。ブッシュとその仲間は、実質的な政策変更なしには軽減できない破滅的な危険の可能性を否定し、明らかにこの事態を人々の認識上の問題と考えているのだ。

これはイメージ以前の問題なのである。アメリカ人に必須の資質であるべき理念が危機に瀕しているのだ。アメリカ合衆国は、政策方針として(そして、自由の名の下に)拷問技術の発達した国に人々を送致しているのである。

バーモント州のパトリック・リーヒー上院議員は言う。「どうして我が国の国務省は虐待を容認する国家を非難できるというのだろうか?CIAは拘束者を尋問目的で、まさしくそのような国家に秘密裏に送り込んでいるというのに」

3月にヒューズは「ブッシュ大統領の仰る、人間の尊厳という妥協なき要求を支持するために」ベストを尽くすと宣言した。拷問が課せられる場所においては、人間の尊厳はあんまりないと、誰か彼女に教えてやるべきだ。

もしも、テロとの戦いとイラク戦争における尋問と拘束活動の全貌を調査するために、本当に独立した調査委員会が設置されるようなことがあれば、アメリカはその失った尊厳をいくらか取り戻せるかもしれない。その際行われる調査は忘れられぬほど衝撃的なものになるだろう。なにしろ、自分の国が関わって欲しくないと大半のアメリカ人が思っている類の所業が暴露されることになるのだ。しかし長い目で見れば、その調査は大変有意義なものとなる。

アムネスティ・インターナショナルUSA事務局長のウィリアム・シュワルツは、先週のインタビューで、政府上層部で練られた政策が、囚人に対する不当な扱いを導いたことを肝に銘じておくことが大切と語っていた。

「重要な点は、この政策が手の込んだものであるということです」シュワルツは言う。「大統領はゴーサインを出した。国防長官は命令を下した。司法省は理論的根拠を与え、CIAは隠蔽を試みたのです」

911テロ攻撃の直後、道理のかなったテロとの戦いという点で、世界のほとんどの国は米国の味方をする準備ができていた。しかし、ブッシュ政権は、イラク戦争への強い熱情と手続きを無視したがる性向により、抑留者に対する恥ずべき非人道的な行いを通して、その機会を台無しにしてしまった。

世界の至るところで、ブッシュ政権下のアメリカのイメージは、理想的な自由の勝者から、迷彩服を着た重武装の悪党に歪められてしまった。アメリカはますます危険で横暴な軍事大国と見なされており、天罰が下される時期に来ている。そうなれば、カレン・ヒューズに態度を改めさせるよりも、はるかに面倒なことになるだろう。
(以上)

2005/06/01

ダウニングストリートメモ暴露から1ヶ月、米国内の反応は・・・

イラク侵攻の口実を作るため、ブッシュ政権は情報を捏造している・・・MI-6長官の驚くべき報告が書かれた『ダウニングストリートメモ』が英サンデータイムズ紙に掲載されてから1ヶ月が経過した。しかし、今日に至るも米国内メディアはこの話題を真正面から扱うことを避け、「英国選挙前にこんな話題もありました」とばかりに、事実関係の追加取材も報道もしないまま、事態の沈静化を図っている。

ワシントンポスト紙は、第一面スクープ扱いでこの問題を報じる予定だったが、上層部の奇妙な配慮により、日曜版26ページ目という目立たぬ場所でひっそりと報道を終えた。ニューヨークタイムズ紙もその他地方紙も、「英新聞がこんなコト書いてます」程度の軽い扱いしかせず、1700人以上のアメリカ国民と10万人以上のイラク人が死んだ戦争の理由を大統領がでっち上げたという問題について、あまり騒動にしたくない様子である。

しかし、米国市民はじわりじわりと動き始めている。ダウニングストリートメモを元に政府に説明を求めるサイトもすでに2つ開設されている。www.downingstreetmemo.comwww.AfterDowningStreet.org

以下に、英サンデータイムズ紙のスクープ以降の米国ジャーナリズム界と、ワシントン周辺の発言を拾い、時系列で並べてみた。

5月4日
レイ・マクガバン(元CIAアナリスト)
「我々『健全化のための退役諜報専門者会(Veteran Intelligence Professionals for Sanity)』の会員たちは、CIAとMI-6が、必然性なきイラク戦争を正当化するために『事実を捏造』せよと政府上層部から命令されていたと、今までずっと言い続けている。」(source
5月5日
グレッグ・パラスト(英BBCで活躍中の「ホワイトハウスが最も嫌う」ジャーナリスト)
「共和党員たちは葉巻とモニカの感情をネタにビル・クリントンを弾劾した。国内メディアはそれ以外何も報道しなかった。そして今、何千もの国民を死なせることになった情報の歪曲を示す決定的な動かぬ証拠が見つかったというのに、共和党支配下の議会や、物笑いの種になっている合衆国のジャーナリズム関係者は、注目するに値しない問題といわんばかりに振舞っている」(source
5月6日
ホアン・コール(ミシガン大学歴史学教授)
「クロフォードからハーグまでは長い道のりとなる。コネチカット出身の、カウボーイブーツを履いた男はうまく逃げおおせるかもしれない。仲間も皆、うまく逃げおおせるかもしれない。だが、連中が嘘をついてきたことを、人々は知ることになるのだ」(source
5月13日
ヘレン・トーマス(ホワイトハウス会見で最も長いキャリアを持つ名物記者)
「合衆国と英国の有権者達が、このような(指導者による)詐欺を容認していることにビックリしている。私は今までに二人の大統領失脚を見つめてきた---リンドン・B・ジョンソンはベトナム戦争で、リチャード・ニクソンはウォーターゲート事件で、国民の信頼を失った結果、失脚してきた。しかし時代は変わる---国民の価値感も変わってしまったのかもしれない」(source
5月14日
グレッグ・ミッチェル(出版業界紙エディトリアル&パブリッシャー紙編集長)
「米国内メディアはこれまで10日以上も『ダウニングストリートメモ』の話題を無視してきたが、ようやく記事が配信されはじめたようだ。ロスアンゼルスタイムズ紙は木曜日に長い特集記事を配信し、ワシントンポスト紙のウォルター・ピンカス記者も金曜日に記事を配信した。(中略)下院の民主党議員89人が、5月6日に大統領宛ての手紙を出し、メモの内容についてショックを表明している。議員達はホワイトハウスが議会の承認以前にイラク侵攻を決定していたかどうか問いただしている。ブッシュ、ブレアの両氏共に、イラク侵攻が2002年に決定されたという疑惑を否定し、あくまで軍事行動は選択肢のひとつであったと主張している。ブレアの広報担当官は、メモの漏洩はイラク侵攻の準備について何ら重大な嫌疑をもたらすものでないと語った。最新のギャロップ調査によれば、アメリカ国民の50%が、ブッシュ大統領が大量破壊兵器の件で『意図的に国民を誤解させた』と考えている。」(source
5月15日
ジョン・マケイン上院議員(共和党・アリゾナ州、2000年大統領選挙時のブッシュ最大のライバル)
「ブッシュ政権がイラク侵攻を行うためにシナリオをでっち上げたという話は信じない」(source
5月17日
ポール・クレイグ・ロバーツ(レーガン政権時代の財務省補佐官、現在はフーバー研究所上級研究員)
「このメモはまさしく動かぬ証拠だ。なぜブッシュは被告人席に座っていない?アメリカの民主主義は国内では機能しないのか?」(source
5月17日
ホワイトハウス報道官スコット・マクレラン
(ダウニングストリートメモの真偽ついて)「全く間違っている(just flat-out wrong.)」(イラク侵攻決定の是非について)「合衆国大統領は、大変公的な方法で、世界中の代表と語らい、国連に行き、(イラクとの問題を)外交作法に則って解決しようとした」(source
5月22日
ジョン・C・ボニファズ(ボストン在住の憲法訴訟専門弁護士)
(ジョン・コンヤーズ下院議員に宛てた手紙から)「もしメモの内容が事実であれば、合衆国憲法第2条第4節に基づき、重罪の構成要件になる」(source
(訳注:合衆国憲法第2条第4節:「大統領、副大統領ならびに合衆国の全ての公務員は、反逆罪、収賄罪もしくは重罪及び軽犯罪により弾劾され、尚且つ有罪の判決を受けた場合、免職となる」)
5月24日
ジェイムズ・バムフォード(NSA専門のジャーナリスト、最新著作『A Pretext for War』においてブッシュ政権がイラク戦争のために情報操作を行ったと告発」)
「ビル・クリントンが弾劾された理由は合意に基づく異性関係における嘘だったのだから、嘘と歪曲と虚偽を用いて致命的で終わりの見えない戦争を開始したジョージ・W・ブッシュが弾劾されるのは当然だ。これが重罪でないなら、他に何が重罪にあたるというのか?問題は、国民の大部分が無関心で、報道が極端に少ないことだ」(source
5月28日
ジョン・コンヤーズ米下院議員民主党・ミシガン州
「ダウニングストリートメモの件で、ホワイトハウスに説明責任を求めるために10万件の署名を集めるので、国民の皆さんの協力を請う」(訳注:現在、下院議員89人が活動に協力している)source
5月29日
英サンデータイムズ紙(スクープ第2弾
「新たに漏洩した政府情報により、国連安全保障理事会決議1441が発効されるはるか以前、ブレア政権がイラク侵攻の合法性を公的に検討する以前の2002年5月から、英国空軍と米軍が、サダム・フセインを挑発して開戦の機会を作るために、イラク南部の飛行禁止区域において大量の爆撃を行っていた確たる証拠が見つかった」(source
5月30日
ジョン・コンヤーズ下院議員
「(英サンデータイムズ紙の新情報について)国防総省は2002年夏までに極秘裏且つ法に背いて開戦を決定したというだけでなく、議会の承認もなく国連の決議もないまま、すでに軍事行動を行っていたことになる」(source

機密書類の漏洩から1ヶ月経過しても、ブレア政権は『ダウニングストリートメモ』そのものの真偽については言及を避けている。ブレアは7月から行われるG8(先進国首脳会議)より前に、ブッシュ大統領との個人会談に臨むというから、その際に弾劾を避ける術---国民を騙す手法---を話し合うつもりかもしれない。

一方で、イラクに大量破壊兵器があるという偽情報を伝えたペンタゴンの情報アナリストは、上司に仕事ぶりを賞賛され、功労賞を受賞した。極秘メモ以外にも、ブッシュが戦争の口実を捏造した証拠はあちこちに転がっているわけである。

フセインの裁判は年内に開始されるだろうが、ジョージ・W・ブッシュが被告人席に座るのはいつ頃になるのだろう?

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