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2005/06/15

タイムズ紙社説「ほんの少しのアフリカ支援」

ニューヨークタイムズ紙2005/06/08付け社説を、以下に全文翻訳して掲載。(文中リンクは訳者による)

(関連投稿:NYタイムズ紙社説「我が国がケチ?イエス。」


ほんの少しのアフリカ支援(Crumbs for Africa)

ニューヨークタイムズ紙2005/06/08付け社説

昨日(6月7日)、トニー・ブレア英首相の隣でマイクに向かうブッシュ大統領は、驚くほど真面目な表情を保ちながら、アメリカ合衆国が貧困国への緊急支援として、かねてより議会から承認されていた6億7,400万ドルを支出する準備をすると語った。それだけだ。それ以上の金額、例えば、シエラレオネ共和国で、毎年マラリアにより死亡する何千もの子供を救うべく蚊帳を買うためには1ペニーも出せない。ケニヤで11歳の少女が学校に行けるように、教師を育成し給与を出す計画の費用は出せない。ガーナで路上暮らしをする少年達を自立させるための開発計画にも、1セントたりとも余裕はない。

来月定例会議を開催するG8首脳会議の主役として、ブレア首相はアフリカに対する支援額を今後10年で倍増する約束を取り付けようとしていた。新たに追加支援金として毎年250億ドル以上あれば、恐るべき貧困に苦しむ大陸で、前述のようなあらゆる支援が可能である。ワシントン到着前のブレア首相は、EU各国から追加支援の約束を取り付けており、事態はうまく運んでいた。

調査によれば、アメリカ国民のほとんどは、合衆国が国家予算の24%程度を貧困国への支援に支出していると思い込んでいるという。現実には、そうした支援額は国家予算全体の0.25%をはるかに下回っている。米国からアフリカに大量の支援が届いているという観念は、国連ミレニアム・プロジェクトの責任者を務めるコロンビア大学経済学者ジェフリー・サックスが言うように、「我が国のおおいなる俗説のひとつ」に過ぎない。

3年前に、富裕な国は貧困国への支援額を2015年までに国民所得の0.7%まで増額させるという国連宣言に署名したにもかかわらず、現在のアメリカ合衆国は全国民取得額のほぼ0.16%ほどを貧困国支援にあてている。国連宣言以降、イギリス、フランス、ドイツは0.7%の目標達成のために、それぞれ支援増額案を表明してきた。アメリカは何ひとつしていない。ブッシュ大統領が表明した支援額では、0.007%にも届かないのである。

アメリカ経済にとって0.7%はどれくらいの金額になるのか?およそ800億ドルである。その金額は、上院が先ごろ追加承認した米軍のイラク他駐留費用とほぼ同じ金額だ。しかし、昨年企業向けに行われた1,400億ドルの減税額には遠く及ばない。

これは、この問題に取り組むアメリカの行動を示すために、ブッシュ大統領が世界に向けて見せたいイメージとは違うはずである。貧困を過去のものとするために、富裕な国家が高潔な価値ある努力を続けているという時に、ブッシュ政権はこれほどまでに惨めな計画を提示して、世界から立ち遅れてしまった米国を見せてしまっている。ブッシュ氏の提案が、世界中のメディアから軽蔑的な記事見出しで迎えられたとしても驚くべきでない。「ブッシュ、英国のアフリカ債務削減案に反対」ヨハネスブルクを拠点とする全アフリカニュースサービスの記事見出しが踊った。「ブレアが先手:ブッシュ、恥じて支払いへ」オーストラリアのシドニー・モーニング・ヘラルド紙が書きたてている

アメリカ国民は偉大なるハートを持っている。それを隠すような真似を、ブッシュ大統領は止める必要がある。

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