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2005/06/16

ロシア大使、イラク・ナジャフでシーア派のサドル氏と初会見:プーチンの真意は?

(以下はAP通信の6月13日14日付け記事の要約である。そういえば、米軍によるイラク侵攻が開始されて後の2003年4月に、当時のイラク駐在ロシア大使ウラジミル・チトレンコ氏を乗せた車列が、戦地脱出のためにロシア国旗を掲げてシリア国境に向かっていた途中、米軍部隊から銃撃されて同乗していたロシア外交官数人が負傷するという事件があったが・・・)

アル・サドル氏を訪問するロシア大使ウラジミール・チャモフ氏

過激で知られるシーア派聖職者ムクタダ・アル・サドル氏(左)のオフィスを訪れたウラジミール・チャモフ露大使。両者の非公開会談が様々な憶測を沸き起こしている(source


今週月曜日(6月13日)、イラク駐在のロシア大使ウラジミール・チャモフ氏が、イラクのナジャフでシーア派の聖職者ムクタダ・アル・サドル氏のオフィスを訪問し、非公開の会談を行った。

シーア派の若手聖職者としてイラク国内で急速に支持層を拡大するサドル氏は、米軍のイラク駐留に猛反対し、私兵部隊を組織して反米武力闘争を行ってきた人物。

ナジャフでサドル氏を補佐するジャリル・アル・ヌーリ族長の説明によれば、サドル氏はロシア大使と会談した後に、アンバー州のスンニ派族長代理人達と会談する予定であるという。「会談はロシアとムクタダ・アル・サドル氏の関係構築のために行われた。サドル氏の活動は非常に影響力があり、イラクでよく知られているのが理由だ」

激しい性格で知られるムクタダ・アル・サドル氏は、現在イラク国内で対立するシーア派とスンニ派の間で交渉役を行っているとのこと。

一方、ロシア外務省は、サドル氏との会談について公式に認め、こう説明している。「(ロシア大使は)イラク国内のあらゆる政治勢力に対して政治儀礼と連絡を拡大している最中である。これらはイラク国内の安定化のために、多くの会談を通じてイラク国内のあらゆる政治・宗教派閥の人々の意見に配慮していくというロシアの方針に合致するものだ。当然ながら、テロに加担している勢力の人々は除外している」

今回のロシアの動きについて、クレムリン事情に詳しいアナリストのセルゲイ・マルコフ氏の説明は以下のとおり。

「ロシアはイラクでの地位確立を狙っており、ロシア企業の進出条件について話し合っているんです。ロシア側は米軍の動向を注視しています・・・皆が不安視しているのは、米軍がイラクから撤退した後に残る混沌状態と治安の不在です」また、マルコフ氏はイラク住民がロシアのより深い介入を歓迎するだろうと言い添えた。「住民はアメリカの対抗勢力を求めています。たった1人のボスというのは誰も望んでいないのです」

ヘリテージ財団のロシア支局長ユフゲニ・ボルク氏も、ロシアの行動について、武力闘争が拡大する最中に影響力を拡大しようと画策する兆候であると説明している。

「ロシアは自身のゲームを始めているんです。それは必ずしもアメリカやEUと足並みを揃える必要もないものです」ボルク氏は言う。「ロシアはソビエト時代から石油と武器取引を通じてイラクと緊密な関係にあり、そうした利権の確保に取り掛かっているのでしょう」

ボルク氏の説明によれば、モスクワはイラクの安定化には興味を持っていないとし、その理由として、イラクの安定化により、ロシアの主要輸出品・現金獲得手段である石油の価格が下がることを懸念しているという。「従って、アメリカ人達とは相反する何かが行われるでしょう」

そうした説明に反論する人たちは、イラク武装勢力の勝利がロシアのお膝元であるチェチェンや中央アジア・コーカサス周辺国のイスラム武装勢力を勢いづかせないように、ロシアは米軍の治安活動に協力してイラクの安定化に努めるとしている。

「ロシアは中東でアメリカに敗北してほしくないのです。コーカサスや中央アジア各国に影響しますから」モスクワを拠点に活躍する中東専門家ユフゲニー・サタノフスキー氏は語っている。

米国務省のショーン・マコーミック広報担当官は、会談に関して合衆国はロシアに何のメッセージも託していないとし、暴力を放棄する全てのイラク人は和平プロセスに加わることを願っていると説明した。

モスクワの中東紛争解析センター所長であるアレクサンダー・シュミリン氏は、ロシアの動きについて、米国の裏をかいたのではなく、サドル氏の意図を確認したかっただけと説明する。

「アル・サドル氏の地位、現状に対する彼の考えと計画を評価したかったのでしょう。」シュミリン氏はAP通信に語った。「ロシアは、シーア派と何のつながりもなく、何かの計略に繋がることもないでしょう。ロシアはイラクの大変動に興味はなく、新たな状況に順応していくらか利益を得ていますから」

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