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2005/06/20

「戦時大統領」の欺瞞が暴かれる時

ブッシュ政権も認めるイラクの惨状

先日行われた英BBC放送のインタビューで、イラクの治安状況は改善されたのかと問われたラムズフェルド米国防長官は、「統計上では、改善されてませんな」とあっさり治安の悪化を認めたが、楽観的にこう付け加えた:
「発生する可能性のあった酷い出来事の多くは、発生してませんよ。(A lot of bad things that could have happened have not happened.)
ラムズフェルド流のひねくれた言い回しに比較すると、ブッシュ大統領はイラクの治安状況をずっとわかりやすく説明してくれている。最新の演説で、彼はこう言っている:
「サダム・フセイン体制を倒すという私の決断に同意しない人たちも居るだろうが、今や世界中のテロリストがイラクをテロとの戦いの中心地にしているということは、誰でも同意できるだろう
"Some may disagree with my decision to remove Saddam Hussein from power, but all of us can agree that the world's terrorists have now made Iraq a central front in the war on terror"
イラクがテロリスト天国になった事実を大統領は誇らしげに語っているが、国防長官も認めるとおり、イラクは侵攻時よりずっと危険になっている。例えば、バスラの治安を担当するイラク治安警察は武装勢力の台頭に手がつけられないと言っているし、6月17日付英ガーディアン紙の報道によれば、バグダッド西の街、ラマディは完全に武装勢力が制圧しているという。また、北部のキルクークでは、米軍に支援されたクルド人部隊が、地元のアラブ人やトルコ人を密かに拘束してクルド人自治区の刑務所に送り込み虐待しているという。また、国外に疎開していたイラク国民は、帰国しても自分の住む場所がなく、住環境も悪化していることを知り、さらに怒りを募らせている。


アフガニスタン:もうひとつのテロリスト天国


イラクでの米軍のやり方が気に入らないイギリス軍は、イラク駐留兵を削減して、アフガニスタンでの任務に兵士を振り替え始めた。アメリカ国内で滅多に報道されなくなったアフガニスタンでは、装備のお粗末な政府軍から兵士の脱走が続いているが、一方でタリバンアル・カイダと共に勢力を拡大させている。イギリス軍は新たな特殊作戦を計画中と伝えられているが、地元で大量生産されているヘロインの対策をめぐり、ここでも米軍と対立している


新聞に掲載されない戦死


ニューヨークタイムズ紙の報道によれば、2005年初頭の時点で、イラクには米兵士が15万人駐留していたが、現在では13万9,000人ということだ。つまり1万人以上が母国に帰還したか、戦傷で戦線離脱したか、戦死したことになる・・・ところで、米国防総省の公式発表しているイラク戦争の戦死者数には、負傷してドイツの病院に運び込まれ、後に死亡した人数は含まれておらず、実際の戦死者数は9,000人に達しているという情報もある。ちなみに、イラク侵攻開始時に米軍では化学兵器対策として炭素菌ワクチンを兵士に接種させていたが、その副作用で兵士1,200人が全身の痛みや下痢、記憶喪失などの障害に罹ってしまっている

mission accomplished

慌てすぎた「任務完了」宣言


大規模な戦闘、再び


遡ること約2年前の2003年5月1日、ブッシュ大統領は華々しく「大規模な戦闘は終了した(major combat operations in Iraq have ended)」と宣言しているが、フォックスニュースによれば、米軍はイラクのアンバー州で『Operation Spear(槍作戦)』という大規模な戦闘(major combat operation)を開始したというから、大統領とメディアのどちらかが発表を訂正しなければならない。

最前線の米指揮官の間では「武装勢力を武力で制圧することは不可能」という考えが拡大している。無駄と理解しながら、米軍はナパーム弾化学兵器を使って、掃討作戦の名の下に、罪のないイラク市民を再び虐殺するのだろう。

そのような危険な状況においても、毎月100人ほどのフィリピン人労働者がイラクに密入国して、米軍キャンプで働いているというから驚きだ。近い将来、そうしたアジアからの出稼ぎ労働者が、バグダッド空港から脱出する米軍機の警備業務を請負うことになるのかもしれない。


ダウニングストリートメモ:ブッシュの嘘を知った兵士達は・・・


英サンデータイムズ紙のマイケル・スミス記者にリークされたブレア政権の極秘書類から、新たに6件の英政府書類が公開され、ブッシュのみならずコンドリーザ・ライスの犯罪も暴かれ始めている。

ブッシュ大統領弾劾に向けてジョン・コンヤーズ下院議員が16日に開催した公開ヒアリングの中で、戦死した米兵の遺族の1人は、メモ疑惑について「ブッシュのウォーターゲート事件」と評した。残念ながら、ウォーターゲート事件当時と違い、今ではワシントンポスト紙もタイムズ紙も、疑惑を追及する代わりに国民を黙らせようと努力しており、「メモの内容はたいした事ありませんよ」と言わんばかりの態度で、他の話題を必死で探している。

しかし、そうした大手メディアのサボタージュも虚しく、6月17日付で、国防総省公認の新聞、Stars and Stripes紙に、ダウニングストリートメモ疑惑と、その公開ヒアリングの話題が掲載された。

「大統領のウソで、私の息子は死んだ」という遺族の言葉が掲載された新聞を、イラク、クウェート、ドイツ、イタリア、日本、韓国に駐留する米軍兵士達が手にすることになったのである。

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