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2005/08/31

貧しいアメリカ:約3,700万人が貧困ライン以下、4年連続上昇

米国勢調査局(Census Bureau)が8月30日付けで発表した最新レポートによると、2004年度におけるアメリカ合衆国の貧困率は12.7%で、人数にするとおよそ3,700万人が貧困ライン以下の生活をしている(前年比110万人の増加:AP通信の関連記事

ブッシュ政権成立の年から貧困率は継続して上昇しており、ブッシュ大統領就任から4年間で貧困者の数は約590万人増加したことになる。(以下のグラフを参照)

povertyrate1959-2004

アメリカ合衆国貧困率の変遷(画像クリックで拡大します)(source:US Census Bureau

人種別でみると、アジア系米国人のみ貧困率が減少しており、2003年度の11.8%から2004年度は9.8%となっている。最も貧困率が上昇しているのは白人層で、2003年度の8.2%から2004年度は8.6%に上昇。なお、ヒスパニック系の貧困率は21.9%、黒人の貧困率は24.7%で、前年に比較して大きな変化はみられない。

また、2004年度における米国民の医療保険未加入率は15.7%で、およそ4,580万人が医療保険未加入であり、前年から80万人ほど増加している。

州別データから、貧困率の高い州、低い州をみると、以下リストのとおりになる。ミシシッピ州、ルイジアナ州は、今回のハリケーン(カトリーナ)により壊滅的被害を受けているので、同地区の貧困層住民にとっては今後さらに困難な生活が待ち受けていることになる。(現在、ルイジアナ州ニューオリンズは戒厳令が敷かれている

全米貧困州ワースト10

  1. ミシシッピ
  2. アーカンソー
  3. ニューメキシコ
  4. ルイジアナ
  5. コロンビア特別区
  6. テキサス
  7. ウェストバージニア
  8. アラバマ
  9. ケンタッキー
  10. テネシー

貧困率の低い州ランキング

  1. ニューハンプシャー
  2. ミネソタ
  3. ニュージャージー
  4. デラウェア
  5. メリーランド
  6. バーモント
  7. コネチカット
  8. アラスカ
  9. ワイオミング
  10. ユタ

※米国勢調査局による貧困定義基準のサンプル:
4人家族(夫婦+18歳以下の子供二人)の場合、年間世帯収入19,157ドル(約213万円)以下は貧困家庭とされ、貧困者数4人と算定される。

2005/08/28

「石油成金vs.ヒューゴ・チャベス」byフアン・ゴンザレス

ニューヨークデイリーニュース2005年8月25日付け記事を以下に全文翻訳して掲載。

ベネズエラは世界第5位の石油産出国で、1日あたり130万バレルを米国に輸出しているテレビ伝道師のアドバイスを待つまでもなく、米政府はこれまでもベネズエラで親米政権を誕生させるべく、様々なチャベス排除作戦を実行してきたが(暗殺作戦も含まれる)、圧倒的な国民人気に支えられたこの過激な反米指導者は今でも健在らしい。

石油成金 vs. ヒューゴ・チャベス(Oil Fat Cats vs. Hugo Chavez)

by フアン・ゴンザレス:ニューヨークデイリーニュース2005年8月25日付け記事

昨日、石油企業から毎週恒例の強奪を受ける為に、私はマンハッタンの11番通りにあるモービル・ガソリンスタンドに立ち寄った。

今回の奴等の取り分は、無鉛ハイオクで1ガロンあたり3ドル5セントだ。

「3、4日毎に値上がりしてるよ」ガソリンスタンドの責任者、パテル氏は言った。「お客からは苦情の嵐さ」

誰もが苦情を言っているが、石油企業の重役達はそうでもない。

昨年、世界最大のエネルギー企業であるエクソン・モービル社は、歴史上どの企業も達成したことのない利益をたたき出した−250億ドル(約2兆7,548億7,500万円以上)以上だ。テキサス州アービングに本拠を置くこの巨大石油企業は、今年もその記録を更新する様子である。今や、同社の1日あたりの収入は10億ドル(約1,101億9500万円)に迫る勢いだ。

そこで、パット・ロバートソンとヒューゴ・チャベスのご登場である。

キリスト教右派伝道師でブッシュ家の親友であるロバートソンは、今週公の場で、ベネズエラ大統領ヒューゴ・チャベスを殺すか、少なくとも誘拐するよう、合衆国政府に呼びかけた。

「膨大な量の石油を支配し、米国を脅かしているこの人物(チャベス)は、我々南部の人間にとって危険な敵だ。」ロバートソンは言った。彼のクリスチャン未満の発言は、物議を醸し、本人も謝罪へと追い込まれたが、それでもロバートソンは、「増大する問題について政府の注意を喚起しただけだ」と主張している。

その「問題」というのはとても単純なことだ。過激なポピュリストで、ベネズエラ国民の大多数から何度も選出されているチャベスは、中東以外の地で最大の石油備蓄を管理しているのである。

ロバートソンにとっても、元石油企業重役のジョージ・W・ブッシュ、ディック・チェイニー、コンドリーザ・ライスにとっても、あるいは仲間のエクソン・モービル、シェブロンその他企業重役にとっても、チャベスは有難くない存在なのだ。

石油業界にとってもっと問題なのは、チャベスはベネズエラの儲けで自国の特権階級を潤わせるのではなく、ベネズエラの貧困層や隣国の援助に使っているという事実だ。

昨日、ロバートソンがまだ中途半端な釈明に追われている時に、ジャマイカのモンテゴ湾に赴いたベネズエラ大統領は、ジャマイカ首相P・J・パターソンと、新たな石油取引合意を交わしていた。

その合意内容によれば、ベネズエラは毎日2万2,000バレルの石油を、破格の1バレル40ドルでジャマイカに供給するというものだ。現在の石油流通価格の世界標準である1バレル65ドルに比較すると、これは安すぎる。ジャマイカにおけるガソリン価格はすでに1ガロン3ドル50セント以上なので、チャベスの提案に従えば、ジャマイカは石油輸入において毎日50万ドル以上の節約となるのだ。

さらにチャベスは、ジャマイカ国内の製油施設整備費用として、6,000万ドルをジャマイカへの対外援助金としてベネズエラ政府予算から拠出すると発表している。

今回の合意は、今年6月にカリブ海サミットでチャベスが公表したペトロカリブと呼ばれる壮大な計画の、ほんの一部に過ぎない。

そのサミットにおいて、チャベスは同様の合意案を、ドミニカ共和国のレオネル・フェルナンデス大統領とキューバのフィデル・カストロ首相に提示した。

フェルナンデス大統領は、チャベスの提案に飛びついた。ドミニカ共和国政府は、石油価格高騰により破綻寸前だったからだ。昨年、ドミニカ共和国は石油輸入に12億ドルを費やした。今年、その費用は30億ドルを超えると見られている。ドミニカ共和国首都サント・ドミンゴでは、ガソリン価格が1ガロン4ドルを超えて急騰している。

パット・ロバートソンはチャベスを悪魔のように危険な人物とみなしている。ロバートソンは、「チャベスの排除」を合衆国政府に求めている。ホワイトハウスでは、ブッシュと側近たちが、もう少し控えめな言葉遣いをしているが、両者の目標にたいした違いはない。

しかし、半ダースほどの国々でリベラル且つ大衆向け政府が誕生している中南米においては、事情はかなり異なっている。

そうした地域では、チャベスは石油で奇跡を行う人となっている。他人を犠牲にして記録的な利益に溺れるエクソン・モービルや他の石油成金と違い、チャベスは富を他人に拡散させようとしているのだ。

まさしく、危険人物なのである。
(以上)

2005/08/26

「全米で最も保守的な州」ユタ州ソルトレイク市長の反乱

連日のサイクリングに忙しくて、戦死兵の母親達に面会するヒマがないブッシュ大統領は、イラク戦争の正当性を地方の国民に訴えるために、全米で最も保守的な土地として知られるユタ州で開催される退役軍人大会において遊説を行うことにした。2004年大統領選挙時、住民の71%がブッシュに投票したユタ州では、地元民主党員さえも『共和党穏健派』と揶揄されるほど超保守的な土地柄として知られている。この場所で、しかも退役軍人向けイベントとなれば、勢いを増している反戦運動から、大統領は身を隠すことができるはずだった。

ところが、ブッシュの遊説の知らせを受けてすぐ、ユタ州都ソルトレイク市長のロッキー・アンダーソンは、地元の各市民団体に電子メールで異例の呼びかけを始めた。州都の市長として大統領歓迎の挨拶を述べるはずのアンダーソン市長は、退役軍人と共和党支持者が結集するブッシュ大統領遊説会場の外で、反戦集会を開催しようと市民に持ちかけたのだ。アンダーソン市長は電子メールで説明した。「ブッシュ政権は我が国に災いをもたらしている。全米でもっとも保守的なこの場所で、私達市民が結集して、印象的な態度で大統領に異論を唱えれば、注目を集められるはずだ」

もちろん、ユタ州住民はソルトレイク市長の態度に「顔を真っ赤にして」猛抗議した。「汚い言葉で申し訳ないが、あのクソッタレ市長め!なんという非国民・・・見下げた野郎だ」地元紙の取材で、退役軍人の1人は市長を呪った。「もう奴に二度と投票するもんか」

市長は、ブッシュ支持派の批判に反論した。「政府役人が国民に対して非民主主義的且つ詐欺的に振舞っている時には、堂々とそれを批判するのが愛国心というものです」同州でモルモン教徒として育ち、後に信仰を捨てた『ユタ州の異端児』ロッキー・アンダーソン市長は言う。「ブッシュ政権の詐欺的で残虐なやり方に対して、盲目的に追随する人々が私には理解できない。単に権利があるから異論を述べるのではなく、政府の不正を見つけたらそれを糾すことは国民の義務です。私達にとって最も愛国的な行為とは、政府権力の乱用に立ち向かうことなのです。」

8月22日月曜日、ユタ州ソルトレイク市ソルトパレス・コンベンションセンターの演台に立ったブッシュ大統領は、相変わらず911テロの恐怖を巧みに利用しながら以下のように述べた

「911テロの朝以来、テロとの戦いが多大な犠牲を強いてきたことは我々も理解している。『イラクの自由作戦』では1864人、『限りなき自由作戦』では223人の兵士を失っている。」

この日、就任以来初めて、ブッシュは自身の演説で具体的な戦死者数に言及したことになる。「大統領は兵士の死にあまりにも無頓着」との反戦派からの批判をかわすために、側近達が入れ知恵した結果だった。しかし、ブッシュ大統領が夏休みを開始してから68人の米軍兵士がイラクで戦死している事実については言及されなかった。

アンダーソン市長と反戦集会

ユタ州の『反乱軍』アンダーソン市長と反戦市民たち。

ブッシュの演説が行われたコンベンションセンターには、約6,000人の退役軍人・軍関係者が集まった。大統領演説に先立って行われたアンダーソン市長の演説の際には、大量のブーイングが巻き起こった。ブッシュ遊説前の挨拶を終えた市長は、コンベンションセンターを出ると、すぐ近所で行われている反戦集会の演台に上って宣言した:「このソルトレイクの地において、今日が我が国にとって転機となるのです。」市長直々の呼びかけに集まった2,000人ほどの反戦派市民が、シンディ・シーハンら『平和の母』への連帯を唱えた。

この日、ユタ州のNBC、CBS及びフォックス系列の地元テレビ局は、シンディ・シーハンの「ブッシュはウソつき」CMを配信開始した。しかし、ユタ州のABC系列放送局KTVXは、CM配信を拒否した。また、ブッシュの次の遊説場所であるアイダホ州(2004年大統領選挙で住民の68%がブッシュに投票、8月現在全米でブッシュ支持率が最大を誇る土地でも、CBSとフォックス系列の地元テレビ局が、シーハンのCM配信を拒否している。

アイダホ州の地元テレビ局KBCIの責任者は、反戦広告配信拒否の理由として、「イラクに大量破壊兵器が存在しなかったというシンディ・シーハンの主張を裏付ける証拠はない」と説明している。テキサス州クロフォードにやって来たブッシュ支持者の1人は、「今イラクで米軍が戦っている相手は、(911テロで)国際貿易センターを爆破した奴等なんだぞ」と主張し、イラク戦争継続を訴えている。

アメリカは確かに転機を迎えているが、反戦派とブッシュ支持派の間には依然として深い溝がある。その溝はやがて埋るのだろうか?それまでにあと何人の米兵とイラク市民が死ぬのだろう。

2005/08/22

「崇高な使命」に引き裂かれたアメリカ

「シンディ・シーハンだけの話じゃあない。
この数週間の間に、アメリカ国内で、何かが起きたのだ。
突然、イラクで戦死した米兵達のことを、人々が認識し、話題にさえするようになっている。」

---デイブ・リンドフ:カウンターパンチ2005年8月19日付けコラム

「反戦」は脅威?

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テキサス州クロフォード:シンディ・シーハン支援のために集まった人々の長ーい車列。地平線の先まで続いている。もはやブッシュ牧場は行列のできる店状態。これは確かに国家にとって脅威だ


ブッシュ大統領の牧場へと続く路上でシンディ・シーハンが座り込みを開始してまもなく、シークレットサービスと地元警察は母親達を逮捕すると脅した。「あなたがたの行為は国家の安全を脅かしている」ということだった。確かに、道路上で集会行為をしたり、乗用車の駐車場所が私有地であるということで、母親達は確かに法に抵触していた。シーハンと同僚たちは、活動場所を少し移動して座り込みを続けることにした

8月11日、シーハンはブログに記した。「ジョージ・ブッシュに説明責任を果たさせる時です。そのために私はここに居るんです。大手メディアは大統領に説明させないし、議会も駄目。でも、私は大統領が責任を果たすまでここを離れません

まもなく、テキサス州クロフォードで撮影されたシーハン自身によるテレビCMが、ブッシュの地元放送網でオンエアされ始めた。ビデオの中で彼女はブッシュを直接批判している:「大統領、あなたは国民にウソをついた。そのウソのせいで息子は死んだのです」合衆国大統領を率直に「ウソつき」と呼ぶテレビ広告は、911テロ以降の米国では滅多にみられるものではない。

8月12日、ブッシュ大統領を乗せた黒いバンの車列が、座り込みを続ける母親達の目の前を通り過ぎた。ブッシュとローラ夫人を乗せた車は、駆け寄る母親達から逃れるように、共和党の次期選挙資金集めのため地元で開催されるバーベキューパーティ会場に向けて走り去った。ブッシュの車列が通り過ぎる時、アリゾナ州から取材に来ていたコラムニストのメアリ・デジュリスは、上空を飛ぶ警備用ヘリコプターから身を乗り出して攻撃銃を構える警備兵に気がついた。大統領車輌の前後を走るシークレットサービス用のバンにも、彼女は注意を払った。窓は少し開けられていたが、黒いウインドウからは、警護官の構える狙撃銃が、まっすぐ母親達に向けられていた。「誰も妙な動きをしなかったから助かったわ」メアリは戦慄した。

8月14日、『平和の母』達がテントを張る『キャンプ・ケイシー』のすぐ傍で、ピックアップトラックの中から、初老の男がショットガンを5発、空に向けて撃ち集まった人々を怖がらせた

ショットガンを構えるラリー・マットレージという名の男は、ブッシュ牧場の隣人の1人だった。「俺は人に向けて撃ってないぜ。脅迫してるわけでもない。だいいち、ここはテキサスだぞ」テキサス州では、自分の私有地で銃を発砲することは犯罪ではない。「ハトを撃つ練習だよ。もうすぐシーズンだからな」

ラリー氏によれば、自分の土地の前で大量の人が集まるのは目障りなので、母親達が移動するまでショットガンを撃つということだった。すでに100人以上のサポーターが全米から集まっており、取材陣も含めて路上駐車の列が交通の障害となっていた。ブッシュ支持団体も集まり始め、騒ぎに苛立つ地元住民は、地元裁判所に公用地での集会活動禁止の訴えを出した。或る地元住民の家の玄関には「最高司令官を支持します」と看板が掲げられていた

キャンプケイシー前の墓標

ブッシュ牧場へと続く道に立てられた米軍戦死者の墓標の列。白い十字架を見つめるのは、湾岸戦争に従軍した海兵隊退役軍人マイク・マクニール氏

路肩の草地には、シンディと支援者達が、戦死した兵士の名を記した小さな白い十字架を、道路沿いに立てた。ブッシュ牧場に続く道の脇に、戦死者の長い墓地ができあがった。しかし日が暮れると、1台のピックアップトラックが、立てられた墓標を轢き潰して走り去った。白い十字架は車輪に踏み潰され、戦死した兵士の墓標500人分ほどが、辺りに散らばった。墓標を立てた母親達は怒り、嘆き、泣いた。(トラックを運転していた犯人は後日逮捕された

17日には、シークレットサービスを自称する男が、座り込みを続ける人々に立ち退くよう脅迫した。男は後に逮捕された

ブッシュ支持派と反戦派

ブッシュ支持派の白人男性が持つ看板は『自由はタダじゃない・(犠牲になってくれて)ありがとうケイシー』という意味。(ケイシーはイラクで戦死したシンディ・シーハンの息子)手前に立つ黒人男性はニューメキシコ州から来た反戦活動家。二人の違いに注目

ブッシュ支持派の団体も続々と集まり始めている。国旗を振る150人以上のブッシュ支持団体が、シーハンらの正面で行進をした。「テキサスはブッシュのもの」と描かれたトラックを運転する者もいた。70台ほどのバイクの一団が、ブッシュ支持を叫びながらキャンプ・ケイシー前を通り過ぎた

我等が大統領に神の祝福を!」と標識を掲げて座り込みを始めたゲイリー・クエル氏は、兵士である息子の1人をイラクで亡くしたが、シンディ・シーハンの行動を「兵士を侮辱するもの」と批判している。17歳になったクエル氏のもう1人の息子は、入隊を望んでいるという。「我が国と世界、自由を求める国家のために家族全員を犠牲にせよと言われたら、私は喜んでそうする」クエル氏は語った

騒動の最中、シンディ・シーハンと28年間連れ添った夫、パトリック・シーハンは離婚の訴えを起こした。シーハンの親戚の一部は、ブッシュ大統領支持の声明を出した。フォックスニュースでは、右翼タレント達が反戦母達を連日中傷している。だがシンディは言う。「問題は私にあるのではなく、子供達を殺し続け、国家を危機にさらしている悲惨な戦争にこそあるのです」彼女の熱意は変わらなかった。「何度中傷されても、何度ショットガンで撃たれても、何度墓標を踏み潰されても、息子を死なせた戦争への抗議を止めることはありません」。


灯りはゆっくりと闇を照らしはじめた


路肩に立てた墓標が踏み潰されていたのを発見した直後、シンディ・シーハンの支援者達は悲しみと前途に続く苦難を前に、途方に暮れていた。地元住民の訴えはもうすぐ認められ、反戦の母達は、現状のキャンプ地を立ち退かねばならなくなる・・・そんな時、フレッド・マットレージと名乗る地元男性が、シンディらに反戦活動のためのキャンプ場所を提供する申し出た。フレッド氏によれば、彼の所有する土地は、ブッシュ牧場にもっと近いという。マットレージ?・・・聞き覚えのある姓だ。なんと、ショットガンでシーハン達を脅した男は、フレッド氏の遠い親戚だった

「嫌がらせを受けずに主張する権利が認められるべきだと思ったんでね。俺もこの戦争には反対さ」フレッド氏は言う。「俺も退役軍人だ。あんた方のやってることに賛成だから、俺の土地を提供したくてね」シンディ・シーハンと支持者達は、フレッド氏の土地に移動することになり、『キャンプ・ケイシー』はブッシュの足元にまた一歩近づいた。シンディらの活動をネット上で見守るブロガー達は、最新投稿を、フレッド・マットレージへの感謝の言葉で溢れさせた。

カリフォルニア州エンシニータの祈り

カリフォルニア州エンシニータでの反戦の祈り風景。全米1,600ヶ所以上、全州においてこのような祈りの集いが実施された

8月17日夜から18日にかけて、全米約1,627ヶ所で、イラク戦争反対を唱える人々が集い、徹夜で『平和の祈り』を実施した。海外でもパリ、ニュージーランドで同様の催しが行われた。テキサスのキャンプ・ケイシーには、メキシコ、ドイツ、オーストラリア、イギリスから取材者が訪れた。

全米でどれだけの人が祈りに参加したのかはわからない。だが、彼等が手にした灯りは、ブッシュ政権によって引き裂かれたアメリカの夜を少しだけ癒したに違いない。

ジャーナリストのマイク・グッドウィンは、ニューヨークデイリーニュース8月16日付けコラムの末尾を以下の言葉で締めている:

いつの日か、別の合衆国大統領がシンディ・シーハンを迎えて言うだろう:「イラク戦争を止めさせた女性というのは、あなたでしたか!」

2005/08/19

全米の「赤い州」が続々と反ブッシュに転向中

2004年度大統領選挙でブッシュ陣営が獲得した「赤い州(共和党寄り)」の大半が、現在ではブッシュ不支持に転向していることが、最新の世論調査で判明している。

SurveyUSA社が、8月12日から14日の間に全米各州で行った最新世論調査によると、今でもブッシュ大統領支持率が不支持率を上回っている州は、(支持率の高い順に)アイダホ、ワイオミング、ユタ、ネブラスカ、テキサス、アラバマ、ノースダコタ、モンタナ、オクラハマ、ミシシッピの10州となっている。

2004年大統領選挙結果地図

2004年大統領選挙の際、ブッシュは大半の州の票を獲得していたが・・・(赤がブッシュ支持、青がケリー支持の州)source:USAtoday紙

2005年8月の全米ブッシュ支持分布図

2005年8月現在の全米ブッシュ支持分布状況。赤はブッシュ支持が不支持を上回る州、青は不支持が上回る州、紫は支持と不支持が同率の州。なお、ブッシュ不支持=民主党支持というわけではないのでご注意。SurveyUSA社の最新調査を元に作成)

「大統領支持率最低記録を更新」「共和党議員が大統領の政策に反論」というニュースが配信されるにつれ、ホワイトハウス執務室のブッシュは怒りを抑えきれず、スタッフに八つ当たりして怒鳴り散らしているという。ホワイトハウス内部では、近ごろの大統領のご乱心ぶりは「手がつけられない」と囁かれている。ブッシュの側近達も、今頃は真っ青になっていることだろう。

(参考過去記事:アメリカはパープル(紫)になった

2005/08/17

アメリカ国内線で「テロ容疑者」と似た名前の幼児が「搭乗拒否」される事件が頻発

AP通信2005年8月15日付け記事を以下に全文翻訳して掲載。(記事中リンクと写真コメントは訳者による)

ブッシュ政権下の間抜けなテロ対策が、あいかわらず威力を発揮しているということだ。幼児をテロリスト扱いする一方で、米運輸保安局は新たに、5インチ以下のナイフ等刃物の機内持ち込みを解禁する計画を発表している。911テロでは、実行犯達は刃物で添乗員を刺し殺してハイジャックを実行したのだが、米政府は事件の詳細を忘れてしまったのだろうか?

なお、以下の記事でも言及されているアメリカ自由人権協会(ACLU)の活躍については、新刊書『アメリカ発グローバル化時代の人権:アメリカ自由人権協会の挑戦』(明石書店)に詳しい。

『飛行禁止リスト』の混乱に巻き込まれた幼児達(Babies Caught Up in 'No-Fly' Confusion)

by レスリー・ミラー記者:AP通信2005年8月15日付け記事


合衆国政府の管理する『飛行禁止リスト(no-fly list)』に掲載されたテロ容疑者と同姓同名、あるいは単に名前が似ているだけで、アメリカ国内の航空機に幼児達が乗れなくなる事態が発生している。

まるで冗談に聞こえるかもしれないが、子供のパスポートと必要書類を慌ててファックスする両親にとっては笑っていられない事態である。

イングリッド・サンディンさんの1歳の娘は、感謝祭でワシントンに帰郷する際に、フェニックスの空港で、搭乗を拒否された。

「テロとの闘いという状況は充分に理解しています。航空機の安全を確保したいという考えにも賛成です」サンディンさんは言った。「しかし、標的をもう少し絞ってくれたほうが、公的資源をより有効に使えると思うんです」

搭乗拒否された女の子

イングリッド・サンディンさんと娘さん。米政府機関によれば、『飛行禁止リスト』に名前が掲載されていたこの女児は、フセイン政権同様『差し迫った脅威(imminent threat)』に見えたらしい。

航空機への搭乗を拒否されたり、搭乗前に特別調査を必要とされる「要注意人物」リストの政府による使用が顕著になったのは、911同時多発テロの直後からである。アメリカ自由人権協会(ACLU)などの批判派の話によれば、そうした『飛行禁止リスト』に誰が掲載されているのかについて、政府は充分な情報提供を行っていないので、リストに掲載された人物とたまたま同名である無実の人々が、保安捜査のために拘束されることがあるという。

そうした事態は、サンディンさんの娘の例のような、幼児に対しても発生している。(2歳以下の幼児は通常搭乗チケットを必要とされないが、サンディンさんは娘が座席を確保できるように一枚購入していた)

「変な話ですよ」サンディンさんは言う。「当時の私は妊娠してお腹が大きかったんですが、『大変な脅威』と思われていたんです」

サラ・ザポルスキーさんと彼女の夫も、先月ダラス国際空港から出発する際に、同様の経験をした。チケット窓口担当者の話では、生後11ヶ月になる夫妻の子供が、政府の提供する『飛行禁止リスト』に掲載されているとのことだった。

窓口担当者が、子供のパスポートをファックスして書類手続きを30分ほどで処理してくれたおかげで、夫妻は予定どおり搭乗することができた。

「セキュリティが重要だってことはわかります」ザポルスキーさんは言う。「しかし、生後11ヶ月の乳児がテロリストじゃないと証明するために、パスポートを渡さなきゃならないなんて、時間の無駄だと思います」

他にも、エドワード・ケネディ上院議員(マサチューセッツ州・民主党)や、ジョン・ルイス下院議員(ジョージア州・民主党)、ホームコメディ『オジーとハリエットの冒険』のスター俳優デビッド・ネルソン氏等の有名人でさえ、『飛行禁止リスト』に同じ名前が掲載されているという理由で、空港で搭乗を拒否されている。

911テロ以降、合衆国政府は搭乗客の検査プロセス改善を図ってきた。政府の当初案は、個人情報へのアクセスが過剰すぎるとの恐れから敬遠された。現在、『Secure Flight』と呼ばれる新たな政府案が作成途上にあるという。

しかし今のところは、航空各社は政府から配布されている『飛行禁止リスト』と乗客を照合する義務がある。そうした照合業務は非常に困難になりつつあるという。この問題に詳しい航空業界関係者の話によれば、911テロ以降、『飛行禁止リスト』に掲載された人数は10万人を超えているからだ。リスト掲載者の正確な人数は機密事項であるため、この情報を提供した人物は匿名を希望した。

リストに掲載された人物情報の全てが、より正確に容疑者として特定するための身体的特徴を記されているわけではない。そうした事情が、「T・ケネディ」や「デビッド・ネルソン」のような名前の人たちが搭乗予約をする際に問題を生じさせている。

アメリカ自由人権協会の弁護士、ティム・スパラパニ氏の話によれば、『飛行禁止リスト』によって幼児が搭乗できなくなる事態は、同リストが役に立たないという事実を示しているという。

「掲載されている内容についての監査は行われていないのです」スパラパニ氏は言う。「掲載名が急増しているのは知っています。名前だけのシステムでは、個別の情報内容に注目できません。容疑者と似た名前に注目するだけになってしまいます」

『飛行禁止リスト』を管理する米運輸保安局(TSA)は、航空各社に対して、12歳以下の子供がリストに掲載されていても、搭乗拒否したり特別なセキュリティ検査をしてはならないと指導している。

しかし、そういう事態は結局のところ現実に発生している。地域航空協会会長のデビー・マクエルロイ氏は言う:「業界内の情報によれば、そういう問題はあらゆる空港で起きていますよ」

米運輸保安局の『旅客苦情処理係』では、間違って名前が掲載された人たちの申し出を個別に調査している。米運輸保安局広報担当官ヨランダ・クラークの説明によれば、今までに89人分の子供の名前が調査申告されているという。その内14人は、2歳以下の幼児であった。

苦情処理係が特定個人について拒否対象者でないと決定すれば、『飛行禁止リスト』に追加の個人情報が記載され、次回からは空港で呼び止められることがなくなる。

クラーク氏によれば、たとえ問題を抱えていても、『飛行禁止リスト』は航空機を利用する人々の安全を守るために不可欠であるとのことである。
(以上)

2005/08/12

「お茶も同情もなし?」byモーリーン・ダウド

イラクで戦死した兵士の母親達が、全米で結集し始めている。

きっかけは、ブッシュ大統領が最新の演説で、戦死した兵士の遺族に向けて語った以下の発言である:

「イラクとアフガニスタンで、テロとの闘いで亡くなった我が国の男女は、崇高な使命のために、無欲の内に命を捧げたのだ。」

大統領の言葉に、カリフォルニア州の女性シンディ・シーハンは、怒りを新たにした。出征した息子をイラクで亡くした母親である彼女は、『平和のための戦死兵遺族会(Gold Star Families for Peace)』という組織を立ち上げ、イラク駐留米軍の即時撤退を訴え活動している。

「崇高な使命とは一体何のこと?」この疑問の答えを、大統領に直接会って問いただすために、シンディ・シーハンは、大統領が夏休みを過ごしているテキサス州クロフォードの牧場前にやってきた。だが大統領は彼女と会うつもりはないと言う。大統領側近達の説明に納得できない彼女は、その場で待ち続けることにした。

cindysheehan

ブッシュ牧場前で野営するシンディ・シーハン。怒りと悲しみに揺れる戦死者の遺族に対し、戦争を知らぬ極右タレントたちはテレビで罵る。民主主義も人道性も国内では吹き飛んでしまうのがアメリカ社会なのか。

シンディ・シーハンがブッシュの私邸である牧場前に座り込みを開始してからまもなく、同様の境遇にある全米の両親が続々と支援のために同地に集まり始めた。さらに、遺族に共感した退役軍人達も参加し、その人数は日増しに増加している

戦死した兵士達の遺影を手に、怒りに燃える母親たちは、ジョージ・W・ブッシュと直接会見し即時撤兵を決心させるまで、私邸及びホワイトハウス前で大統領を待ち続けると宣言している。(11日、ブッシュは最新演説でシンディ・シーハンの件に言及したが、イラク撤退についてはいつもどおり拒否した)

一方で、ブッシュを擁護する保守系市民は攻撃キャンペーンを開始し、フォックスニュース等では極右タレント達が、座り込みをする母親を罵倒している

ニューヨークタイムズ紙の連載で人気を博しているモーリーン・ダウドは、同紙の連載コラム最新版で、シンディ・シーハンをとりまく現在の米国の状況について書いている。以下に全文翻訳して掲載。(文中リンク、注釈は訳者による)


お茶も同情もなし?(Why No Tea and Sympathy?)

by モーリーン・ダウド:ニューヨークタイムズ紙2005年8月10日付けコラム


W(ダブヤ)はイラクのことで何一つ満足できずにいる。

テキサス州クロフォードにあるブッシュ私邸の牧場の外では、戦死した兵士の母親が怒りに震えながら、周到に演出された弔意をより好む大統領との面会を求めている。

最新のCNN・USAトゥデイ・ギャラップ共同世論調査によれば、アメリカ国民の大半は、イラク戦争が誤りであり、戦争によってアメリカ合衆国がテロ攻撃に対して脆弱になっていると考えている。つまり、イラクで戦うことで、合衆国本土で国民がテロと戦わねばならぬ可能性が高まっているということだろうか。

昨日、ドナルド・ラムズフェルドは、イランとイラクへの国境地帯で、精巧な爆弾が流通し始めていると認めた。

そして、ローリング・ストーンズは、性的な詩をひと休みして、『素敵なネオコン(Sweet Neo Con)』という反戦ソングを新たにレコーディングした。この曲では、ミック・ジャガーがコンディ・ライスとブッシュを嗜めながら、『あんたは自分のことをクリスチャンと言ってるが、俺に言わせりゃ恥知らずさ♪』と歌っている

月曜日に、N・F・L(全米プロフットボールリーグ)は、ストーンズ、ABC放送と共同で、『Monday Night Football(毎週月曜のフットボール試合番組)』をプロモートすると発表した。愛国心を誇示しがちなN・F・Lは、(政府の)圧力があれば発表を取り消すだろうが、2003年にマドンナが反戦ミュージックビデオの配信を怖気づいて止めて以来、世論はすでに変わっている。これまでホワイトハウスは、兵士を侮辱する行為との口実から戦争批判派を抑圧してきたが、兵士を守るためにどういう計画があるのかホワイトハウス側に説明を求める国民の数は一層増加している。

48歳の、広報活動に才覚のあるカリフォルニア人シンディ・シーハンは、ブッシュ大統領と差し向かいでイラクからの米軍撤退を訴えることができるまで、大統領私邸の牧場の傍の、砂煙舞い上がる灼熱の場所で野営を決行すると話している。シンディの息子ケイシーは、24歳の陸軍特技兵で、昨年イラクのサドルシティで待ち伏せ攻撃により戦死した。

ケイシーの死後2ヵ月後に、ブッシュ大統領は遺族と面会した。陰鬱さと冗談の間を行き来する大統領の当惑ぶりに相対したシーハン夫人は、会見中にブッシュが彼女に対して『お母さん』としか呼びかけなかったのは、息子の名前すら大統領が知らなかったのではという気持ちに至ったと話した。

ブッシュ側のチームは、過去の報道においてシーハン夫人がブッシュを擁護していたとして、その『お母さん』の信用を貶めようとした。もしも彼女の夫がCIA工作員だったなら、ブッシュ陣営はとっくにそれを漏洩していただろう。しかし、仮にブッシュ陣営が『真実のための高速艇母(Swift Boat Moms for Truth)』部隊を送り出したとしても、『真実のためのファルージャの母』が迎え撃っているだろう。(訳注1)

驚いたことに、ホワイトハウス側は、門の外にブッシュを出させて、母親の言葉を聞いたり、お茶に招待する類の、初歩的な待遇すらしていない。しかし、大統領任期中の20%ほどの時間を私邸である牧場で過ごしているブッシュは、5週間の夏休みと毎日2時間のワークアウトに身を隠している。大統領自身は健康になるだろうが、イラクにとっては全く無意味だ。

かつて、これほどまでに世間から隔絶された大統領がいただろうか。強固に管理された環境のおかげで、大統領は自身に異議を唱える相手とは全く直面することがない。大統領は自らを弁護する必要は全くないどころか、それは無礼ですらあるというのだ。ブッシュは決して国民と会うことのないポピュリストで、木の手入れをするような、どこにでも居る人間で、話しかける唯一の相手も木だけというわけだ。ブッシュはテキサスを、自身が原点に帰れる場所として賞賛している。しかし彼は、バルカン、パイオニアー、レンジャーに加えて、テキサスを混乱させているだけではないか。(訳注2)

ブッシュは慰めとして、外交分野における非人道的な人道主義を強調すべく、国家安全保障担当補佐官スティーブン・ハドレーを、シーハン夫人の話し相手として派遣した。ハドレーは、強硬で思いやりのないネオコンで、アメリカを騙して戦争に引きずり込んだ張本人の1人としてまさしく適役であった。

大統領にとって、自身の行動の結果生まれた人的被害から隠れ続けたり、イラクで戦死した1835人の兵士にカーテンを被せて国民感情を管理することは一層困難になっている。1万3,000人以上の兵士が負傷し、その多くは手足を失っている。イラク市民の犠牲者数は、2万5,000人、ひょっとしたらその2倍から3倍を超えているかもしれない。申し分のない信任状を携えた人々が、比類なき道徳的権限の体現者として社会に名乗り出て、ブッシュに挑みかかっている。

イラクに派遣された海兵隊員として、大統領の行為を批判していたポール・ハケットは、共和党が優勢なオハイオ州シンシナティで民主党候補として下院議員に立候補し、先週僅差で落選した。共和党のニュート・ギングリッチは、その選挙を「2006年選挙に向けた共和党への警鐘となった」と評している。

ごく限定的な思いやりを見せるブッシュは、911テロの被害を強調することでイラク戦争を正当化している。大量破壊兵器が開戦根拠として蒸発した際には、大統領は自由を求めるイラク人の人道性を強調していた。

しかし、イラクで戦死した兵士達を埋葬した両親達の道徳的権限が絶対的であることを理解しないならば、大統領の人道主義は依然として無慈悲というほかない。
(以上)


(訳注1:2004年大統領選挙で、ジョン・ケリーの軍歴を中傷するためにブッシュ陣営が発足させたのが『真実のための高速艇退役軍人の会(Swift Boat Veterans For Truth)』。その中傷内容は全てデッチアゲだった。)

(訳注2:パイオニア等の名称はブッシュ再選活動への献金者の献金額ランクのこと)

2005/08/09

ニュージーランドの大手ピザチェーンが『ブッシュは悪魔』広告を展開

ニュージーランドのオークランドとウェリントンで、人気ピザチェーンの『地獄ピザ(Hell)』が、超過激なビルボード広告を展開し、論争を巻き起こしている。問題となっている看板広告では、ブッシュ大統領の写真に、『地獄(ピザ):悪魔野郎には贅沢すぎる』『地獄(ピザ)にだって規範はある』のキャッチコピーが添えられている。

地獄ピザ広告「悪魔野郎には贅沢すぎる」

ニュージーランド・オークランドのビルボード広告『地獄(ピザ):悪魔野郎には贅沢すぎる』

ビルボード広告『地獄(ピザ)にだって規範はある』

こちらは落書き(?)された広告。『地獄にだって規範はある』


『地獄ピザ』チェーンの奇抜なマーケティングはニュージーランドで大成功を収めているらしく、『地獄ピザ』創業者カルーム・デイビーズ氏は、2005年度ニュージーランド・マーケッター大賞を先月受賞したばかり。現在の『ブッシュ:悪魔野郎』キャンペーンを手がけた『地獄ピザ』メディア担当のマシュー・ブロムフィールド氏の話では、「味気ない退屈な広告の代わりに、論争を巻き起こすようなちょっと危ない広告を意図した」と説明している。

ニュージーランド広告規格協会は、地獄ピザの広告問題に介入するかどうかを近日中に決定する予定であるという。

仮に広告規格協会側が既存広告にクレームをつけることになれば、広告内容の真実性をめぐりさらなる論争を巻き起こすかもしれない。『地獄ピザ』のマーケティング策略は見事というほかないが、駐ニュージーランド米大使館側の今後の対応次第では、危険な騒動に発展するかもしれない。

2005/08/08

毎年恒例?「アルカイダのナンバー2」ザワヒリのビデオ出演

「ビン・ラディンとは、西側防衛網によるとてつもない計算違いの産物であった。80年代のビン・ラディンは、CIAによって武装され、サウジアラビアによって資金を得て、ロシアのアフガニスタン占領に対して聖戦を遂行する任務を担っていた。アル・カイダとは、事実上は『データベース(the database)』であり、元々はロシア人達を打ち負かすためにCIAの援助によって召集され、軍事訓練を受けた何千ものムジャヒディンの情報が記録されたコンピュータファイルのことだった。どういうわけか、ワシントンはその惨憺たる結果に気がつかなかったらしいが、ロシアが脱落した後に、ビン・ラディンの組織は注意対象を西側社会に転換したのであった。」

ロビン・クック元外相

---英国元外相ロビン・クック、ロンドン地下鉄同時テロ直後の7月8日に英ガーディアン紙に寄稿した「テロとの闘いは軍事的手段では勝てない」より(強調は訳者による)。8月6日、ロビン・クック元英外相はスコットランド北部のベンスタック山(標高721メートル)で山登り中に昏倒し、死亡した(享年59歳)
尚、アラビア語であるアル・カイダ(Al-Qaeda)の文字通りの意味は『拠点、基地、基点』とされている


2005年8月4日、「アル・カイダのナンバー2」アイマン・アル・ザワヒリの最新ビデオがアルジャジーラで放送された

テープの中で、ザワヒリは「ブレアの政策がロンドンテロを呼び起こした」と英国政府を批判し、米国政府に対しては「ベトナムで味わった経験を忘れさせるほどの恐怖に直面することになる」と威圧し、中東から英米軍が撤退しないかぎり今後もテロ攻撃を起こすと宣言している。

「ナンバー2」氏を侮辱するつもりはさらさらないが、私的な感想を言わせて貰えば、わざわざ危険を冒してビデオ出演したにしては、今回のザワヒリ氏の文句は少々陳腐すぎるのではないか。昨年のオサマ・ビン・ラディンの演説に比較すると、今ひとつレトリックや演出に工夫が足りないように思えてならない。

ひょっとしたらザワヒリ氏は、ロンドンのテロ事件の原因として、泥沼化したイラク戦争に世界の注目が集まることが気に入らず、アルカイダとロンドンテロとの関係をもっと重視して欲しいという気持ちから、(決してブッシュの気持ちを代弁しているわけではありませんよ)ロデオドライブでの買物ついでにリムジンで撮影スタジオに立ち寄ったとも考えられる。
(冗談はさておき、英タイムズ紙の記事によれば、英国情報部では、今回のザワヒリ氏の意図を「アルカイダの役割を強調して、世界に拡大するテロ『フランチャイズ』のひきしめを狙っている」と観測しているという。)

「アルカイダのナンバー2」ザワヒリの大脱走?

911同時多発テロ事件発生後、ザワヒリの消息はオサマ・ビン・ラディン同様全く不明だが、中東地域のニュースには何度も登場している。ザワヒリ関連の過去報道を以下にいくつか並べてみよう: さて、どれがホントの「アルカイダのナンバー2」?

2005/08/04

NYタイムズ紙:「合衆国最果ての地の浜辺では、イラクは夢へと続く道」

「この戦争がそんなに正しいというなら、なんであんたの子供達は入隊してないの!?」

−2004年9月17日、ニュージャージー州ハミルトンで、イラク戦争の重要性を説くローラ・ブッシュ大統領夫人に向かって、『反戦の母(antiwar mom)』スー・ニーダラーが浴びせた言葉。この直後に彼女は逮捕され訴追されたが、担当検察官は彼女の起訴を取り下げた。スー・ニーダラーの息子で陸軍中尉のセス・デボリンは、2004年2月3日にイラクで戦死した。

ニューヨークタイムズ紙2005/07/31付記事を以下に全文翻訳して掲載。

8月3日の時点で、イラク駐留米軍の戦死者数は1,820人を超えている。また、イラク内務省の最新調査によると、2005年度初頭から7月31日までに戦闘で犠牲になった一般イラク市民は2,072人、反乱軍兵士の死者数は855人、イラク人警官の死者は765人、戦死したイラク人治安部隊兵士の数は308人となっている。

合衆国最果ての地の浜辺では、イラクは夢へと続く道(On Farthest U.S. Shores, Iraq Is a Way to a Dream)

by ジェイムズ・ブルック記者:ニューヨークタイムズ紙2005年7月31日付け記事

北マリアナ諸島サイパン---夕暮れ時のヤシの木が繁る白い浜辺でジョギングをしながら、17歳のオードリー・O・ブリシアは、この島で行われるミス・フィリピン大会へ二度目の出場を賭ける以上の鍛錬に励んでいる。彼女は合衆国陸軍の基礎訓練に備えているのだ。

適性試験を待つ入隊希望者達

他の入隊希望者と共に、北マリアナ諸島サイパンの陸軍予備軍センターで入隊適性試験を待つロス・デラローザ(左)

入隊競争で優位に立つために、オードリーは土曜日朝に開催された陸軍入隊適性試験の2日前に席を予約していた。無事着席すると、陸軍のスカウト担当者が、遅れてきた申込者10人を拒否している様子を彼女は見た。10人とも、高校時代の同級生であった。

「イラクに行くのは怖いけど、自分にとってメリットになるから行かなきゃならないの」オードリーは言った。彼女はフィリピン移民の娘で、カリフォルニアの看護学校行きを目指している。

イラク戦争によって合衆国本土で入隊希望者が激減している昨今、米陸軍スカウト担当者は、北米大陸から4000マイルほど西方の、米領サモア首都パゴパゴからミクロネシアのヤップ島まで、高校を卒業したばかりの若者を入隊させるために、太平洋中を探し回っている。

太平洋の貧困な僻地は、陸軍にとって豊かな土地となっている。米領サモアでは、住民1人当たりの年間所得は8,000ドルで、北マリアナ諸島では1万2,500ドル、グアムでは2万1,000ドルとなっているが、これらの土地は全てアメリカ領である。元委任統治領であるマーシャル諸島とミクロネシアでは、およそ2,000ドルとなる。(訳注:米国民1人当たりの平均年間所得はおよそ2万2,794ドルである:source/2002年米国勢調査

米陸軍の入隊時ボーナスは最低でも5,000ドル。海兵隊二等兵の年収はスタート時で1万7,472ドル。教育手当ては7万ドル相当まで支給される。

「マリアナ諸島やミクロネシアあたりでは、募集に困ることはありませんね」オリンピオ・マゴフナ第一軍曹は言う。サイパン育ちの軍曹は、グアムの陸軍基地において太平洋募集活動を監督している。「合衆国本土では、(入隊状況は)本当にひどいみたいですが」軍曹は言った。「しかしここでは、私も毎日ゴルフに行けるくらいですよ」

『アメリカで一番早く日が昇る』この土地で、グアムの米陸軍募集センターは、米陸軍兵士入隊数ランキングトップ12基地の中で、4番目の『生産高』を誇っている。入隊実数では少ないが、グアム、サイパン、米領サモアからの人口当たりの入隊者数は、アメリカ国内で最大である。サイパンでは、アメリカ市民と永住ビザ保有者の総計は6万人ほどだが、その内245人がイラクに派兵されている。

(米領サモアでは、6万7,000人の人口の内、6人が兵士としてイラクで戦死している。最近の例では、サモアのパゴパゴ出身者フランク・F・ティアイ二等軍曹が、今年7月17日に戦死している。グアム出身者は3人戦死し、サイパン出身者は1人が戦死している)

「黄色いリボンはそこら中にありますよ」パゴパゴの陸軍募集センターから、レビ・スイアウノア二等軍曹が電話で言った。「ほとんどの通りには『無事帰還せよ』の看板がありますね」

犠牲者の数にも関わらず、貧困と愛国心が入隊を促進させている。

「私自身、少なくとも1人の兵士を埋葬したが、今でも入隊者の数が減ることはないですね」サモアの首都パゴパゴ・カソリック管区のクイン・ワイゼル司祭は言う。「彼等は今でも、合衆国のために何かしたいと思っているのです」

グアムとサイパンでは、ナンバープレートにUSAの文字が装飾されており、まるで旅行者にこの土地が米国領であることを教育しているかのようだ。

「米領の至るところで、愛国精神が強く根付いているのです」諸島関連部次官補を務めるデビッド・B・コーエンは言う。「現職の北マリアナ諸島下院議員で、イラクに1年駐留したレイ・ユムルのような人について、他にどのような説明ができます?彼は生活のために軍隊に入ったわけではないでしょう」

マリアナ諸島では、米国陸軍への従軍の伝統は、日本の占領体制と闘った1944年の夏から、3世代に及んでいる。

「私達は独立記念日と、退役軍人記念日と、国旗制定記念日を支持します」北マリアナ諸島退役軍人局局長ルース・A・コールマンは言う。自身も退役空軍兵である彼女は言う:「私を御覧なさい。父も、夫も、私も従軍してるんです。一番下の息子は憲兵だし、その息子の嫁は憲兵指揮官。真ん中の息子は空軍に居ますよ」

この土地の多くの若者にとって、従軍と経済的成功の関係は明白だ。

「そりゃあ得だよ」アーノルド・バリサリサは語った。彼は入隊適性試験を7月下旬に受けている。時給3ドル25セントのマクドナルドの仕事の休憩中に、彼は話した:「この島に居るよりマシさ。ここじゃ何も始まらないよ。俺は19歳だけど、グアムにも行った事がないんだ」

オードリー・ブリシア

オードリー・O・ブリシア(17)北マリアナ諸島に暮らす彼女にとって、陸軍入隊は看護学校へと続いている


アーノルドの友人ブリシアは、カリフォルニアの高校で1年を過ごしたので、違いがわかっている。

「合衆国本土の人たちは研修でも高給ですから」州立大学に必要な研修制度が低賃金であることを引き合いに出し、彼女は言った。「サイパンの多くの人は、高給・高待遇を求めて陸軍に入隊するんです」

サイパンの将来の経済状況を曇らせるかのように、サイパン観光客の25%を抱えている日本航空が、この10月でサービスを休止させる予定である。アメリカ政府が中国製衣料品の輸入を自由化してから、島の雇用を支える最大産業である衣料業界は、数千人の従業員をレイオフすることになった。

観光客にとって、サイパンは楽園のように見えるかもしれないが、血気盛んな地元の10代の若者にとっては、まるで袋小路のように見えることだろう。タポチャオ山の麓に住む18歳のロス・デラローザは、前庭の近くで牛と鶏の遥か先を眺めながら、野心を燃やしている。

「この島では暮らすのも大変なんだ」デラローザは言う。フィリピン移民の息子であるデラローザは、マリアナ先住民であるチャモロ族とカロリン族が地主や政府の仕事のほとんどを支配する島の現実と直面している。独学で整備士となった彼は言う:「ここでは何を知ってるかではなくて、誰を知ってるかが重要なんだ」

無敵を自負する10代の若者にとって、彼等を抑えるのは母親の仕事だ。ブリシアの母、ミラは、娘のインタビューの最中ずっと腕組みをしていた。

「ジェシカ・リンチの話を聞いてますから、『私の娘が?まさか!』という感じです」侵攻当初に拘束された兵士の件を引き合いに出して、彼女は言った。結局、未成年である娘のために、彼女は陸軍入隊同意書に署名した。

入隊希望者達にとって、決断の際にイラクは重くのしかかっているという。

「怖いのは、イラクに行って、もしも誰かに撃たれたらどうする?ってことだなあ」休憩時間にバリサリサは話した。しかし、まもなく彼は陸軍入隊適性試験を通過したかどうかを心配しだした。オードリー・ブリシアの方を向いて、彼は言った。「(陸軍から)君には電話が来た。なぜ俺には電話が来ないんだろう?」
(以上)

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