カテゴリー

アクセスの多い記事

« 「崇高な使命」に引き裂かれたアメリカ | トップページ | 「石油成金vs.ヒューゴ・チャベス」byフアン・ゴンザレス »

2005/08/26

「全米で最も保守的な州」ユタ州ソルトレイク市長の反乱

連日のサイクリングに忙しくて、戦死兵の母親達に面会するヒマがないブッシュ大統領は、イラク戦争の正当性を地方の国民に訴えるために、全米で最も保守的な土地として知られるユタ州で開催される退役軍人大会において遊説を行うことにした。2004年大統領選挙時、住民の71%がブッシュに投票したユタ州では、地元民主党員さえも『共和党穏健派』と揶揄されるほど超保守的な土地柄として知られている。この場所で、しかも退役軍人向けイベントとなれば、勢いを増している反戦運動から、大統領は身を隠すことができるはずだった。

ところが、ブッシュの遊説の知らせを受けてすぐ、ユタ州都ソルトレイク市長のロッキー・アンダーソンは、地元の各市民団体に電子メールで異例の呼びかけを始めた。州都の市長として大統領歓迎の挨拶を述べるはずのアンダーソン市長は、退役軍人と共和党支持者が結集するブッシュ大統領遊説会場の外で、反戦集会を開催しようと市民に持ちかけたのだ。アンダーソン市長は電子メールで説明した。「ブッシュ政権は我が国に災いをもたらしている。全米でもっとも保守的なこの場所で、私達市民が結集して、印象的な態度で大統領に異論を唱えれば、注目を集められるはずだ」

もちろん、ユタ州住民はソルトレイク市長の態度に「顔を真っ赤にして」猛抗議した。「汚い言葉で申し訳ないが、あのクソッタレ市長め!なんという非国民・・・見下げた野郎だ」地元紙の取材で、退役軍人の1人は市長を呪った。「もう奴に二度と投票するもんか」

市長は、ブッシュ支持派の批判に反論した。「政府役人が国民に対して非民主主義的且つ詐欺的に振舞っている時には、堂々とそれを批判するのが愛国心というものです」同州でモルモン教徒として育ち、後に信仰を捨てた『ユタ州の異端児』ロッキー・アンダーソン市長は言う。「ブッシュ政権の詐欺的で残虐なやり方に対して、盲目的に追随する人々が私には理解できない。単に権利があるから異論を述べるのではなく、政府の不正を見つけたらそれを糾すことは国民の義務です。私達にとって最も愛国的な行為とは、政府権力の乱用に立ち向かうことなのです。」

8月22日月曜日、ユタ州ソルトレイク市ソルトパレス・コンベンションセンターの演台に立ったブッシュ大統領は、相変わらず911テロの恐怖を巧みに利用しながら以下のように述べた

「911テロの朝以来、テロとの戦いが多大な犠牲を強いてきたことは我々も理解している。『イラクの自由作戦』では1864人、『限りなき自由作戦』では223人の兵士を失っている。」

この日、就任以来初めて、ブッシュは自身の演説で具体的な戦死者数に言及したことになる。「大統領は兵士の死にあまりにも無頓着」との反戦派からの批判をかわすために、側近達が入れ知恵した結果だった。しかし、ブッシュ大統領が夏休みを開始してから68人の米軍兵士がイラクで戦死している事実については言及されなかった。

アンダーソン市長と反戦集会

ユタ州の『反乱軍』アンダーソン市長と反戦市民たち。

ブッシュの演説が行われたコンベンションセンターには、約6,000人の退役軍人・軍関係者が集まった。大統領演説に先立って行われたアンダーソン市長の演説の際には、大量のブーイングが巻き起こった。ブッシュ遊説前の挨拶を終えた市長は、コンベンションセンターを出ると、すぐ近所で行われている反戦集会の演台に上って宣言した:「このソルトレイクの地において、今日が我が国にとって転機となるのです。」市長直々の呼びかけに集まった2,000人ほどの反戦派市民が、シンディ・シーハンら『平和の母』への連帯を唱えた。

この日、ユタ州のNBC、CBS及びフォックス系列の地元テレビ局は、シンディ・シーハンの「ブッシュはウソつき」CMを配信開始した。しかし、ユタ州のABC系列放送局KTVXは、CM配信を拒否した。また、ブッシュの次の遊説場所であるアイダホ州(2004年大統領選挙で住民の68%がブッシュに投票、8月現在全米でブッシュ支持率が最大を誇る土地でも、CBSとフォックス系列の地元テレビ局が、シーハンのCM配信を拒否している。

アイダホ州の地元テレビ局KBCIの責任者は、反戦広告配信拒否の理由として、「イラクに大量破壊兵器が存在しなかったというシンディ・シーハンの主張を裏付ける証拠はない」と説明している。テキサス州クロフォードにやって来たブッシュ支持者の1人は、「今イラクで米軍が戦っている相手は、(911テロで)国際貿易センターを爆破した奴等なんだぞ」と主張し、イラク戦争継続を訴えている。

アメリカは確かに転機を迎えているが、反戦派とブッシュ支持派の間には依然として深い溝がある。その溝はやがて埋るのだろうか?それまでにあと何人の米兵とイラク市民が死ぬのだろう。

« 「崇高な使命」に引き裂かれたアメリカ | トップページ | 「石油成金vs.ヒューゴ・チャベス」byフアン・ゴンザレス »

イラク戦争」カテゴリの記事

反ブッシュ」カテゴリの記事

遥かなる平和への祈り」カテゴリの記事

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/1730/5644956

この記事へのトラックバック一覧です: 「全米で最も保守的な州」ユタ州ソルトレイク市長の反乱:

» 平和の国を目指して [信州から世界へ]
息子をイラク戦争で亡くしたシンディさんの反戦抗議行動が続いている。 http://www.familiesforpeace.com/ 今回の戦争に道義なんてないってことを息子が死ぬまで気付かなかった人も、その前から気付いていた人もいるわけだが、今でも気付いていない人がいるらしい。 http://hiddennews.cocolog-nifty.com/gloomynews/2005/08/post_6adf.html ソルトレイク市といえばオイラの住む松本市の姉妹都市である。その市長であるロ... [続きを読む]

« 「崇高な使命」に引き裂かれたアメリカ | トップページ | 「石油成金vs.ヒューゴ・チャベス」byフアン・ゴンザレス »

2016年5月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31