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2005/10/29

CIA工作員名漏洩事件とイタリアン・コネクション

チェイニー副大統領の側近、ルイス「スクーター」リビーがCIA工作員名漏洩に関わる司法妨害を含む5つの容疑で起訴された。起訴発表と同時にリビーは補佐官を辞任し、副大統領はさっそく「遺憾」の声明を出しているが、心中はビクビクしているはずだ。なにしろ、副大統領自身も依然として捜査の標的にあり、リビー補佐官の後継者に任命されたデビッド・アディントン副大統領顧問も、リビーの工作の幇助をした件ですでに追求されはじめている。副大統領辞任の声が共和・民主両党から高まるのは必至だ。

チェイニーは辞任するだろうか?そうなれば、ホワイトハウスは実質大統領を失うことになる。副大統領へ昇進が噂されるコンドリーザ・ライス国務長官もすでに捜査のターゲットだし、証言拒否で収監されていたミラー記者に口止めを念押しするべく面会を繰り返した米国連大使ボルトンも、リビーにCIA工作員名について漏らした人物の1人として批判されるのは確実だ。今のホワイトハウスでは、どちらを向いても容疑者だらけなのである。

来週には大統領側近カール・ローブも起訴される可能性が高い。ローブ本人は必死の工作を試みているというが、逃げ場はないだろう。

仮にローブが起訴されても、ブッシュ政権への追撃は終わらない。なにしろ、疑惑の捜査を担当するフィッツジェラルド特別検察官は、「さらに捜査を拡大する」と宣言しており、最終的には事件の原因となった「ニジェール文書」---フセイン政権がニジェールからウランを入手する意図を示したとされた偽造書類---の出所まで調べ上げるつもりでいる

つまり、フィッツジェラルド特別検察官は、イラク戦争開戦事由においてブッシュ政権が米国民を意図的に騙したのかどうかを、捜査の過程で明らかにしようというのだ。なんというド根性!

フィッツジェラルド特別検察官の捜査を後押しするように、イタリアでは当のニジェール文書をめぐる偽造犯人探しが始まっている。この話題の先導役となったのは、イタリアの日刊紙ラ・リパブリカの調査報道特集。記事を書いたカルロ・ボニーニ記者とジョゼッペ・アバンゾ記者によれば、イラク戦争開戦の口実を探せとのベルルスコーニ伊首相の命を受けたイタリアの軍事諜報機関(SISMI)が、外部情報部員を使って文書を捏造したとみられている

ニジェール文書

イラク侵攻のために捏造されたニジェール文書(source

当初SISMIは、捏造されたニジェール文書をローマ駐在CIA工作員とMI6工作員に手渡したという。しかしCIAとMI6は文書の信憑性を疑問視した。英米両国にイラク侵攻の口実を与えたいというSISMIの意図は空回りしていたのだ。(2002年7月23日に行われた英ブレア政権内極秘会議で、MI6長官リチャード・ディアラブ卿は「(イラク侵攻の)政策に合わせて、情報と事実が仕組まれつつある」と評したが、リチャード・ディアラブ卿の言葉の裏にはニジェール文書をめぐる疑惑もあったのだろう。)

その後、2002年10月、SISMIの雇われ工作員ロッコ・マティーニが、偽造されたニジェール文書を、ベルルスコーニ伊首相の経営するメディアグループ傘下のひとつ、パノラマ誌記者エリザベッタ・ブルバに手渡した。彼女はその文書を記事にする代わりに、ベルルスコーニ伊首相と個人的に親しい上司のカルロ・ロッセラの指示に従い、在イタリア米大使館に持ち込んだ。そして、米大使館からブッシュ政権へとニジェール文書情報はもたらされた。

一方で、ニジェール文書がパノラマ誌に持ち込まれる1ヶ月前の2002年9月9日、ニコラ・ポラーリSISMI長官はホワイトハウスを訪れ、当時の国家安全保障担当大統領補佐官スティーブン・ハドリーと面会していた事実が確認されている。リパブリカ紙の報道によれば、二人の会談の目的は、偽造ニジェール文書をイラク侵攻の口実にするための打ち合わせということだ。

ニジェール文書の出所を巡っては、米FBIも捜査を継続している。リパブリカ紙の報道に怯えるベルルスコーニ伊首相は、10月31日にはホワイトハウスでブッシュと会談予定だ。

ブッシュとベルルスコーニが話す内容?おそらく自分達が招いた泥沼からの『出口戦略(exit strategy)』だろう。

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