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2005/11/07

米人気ドラマ『ボストン・リーガル』の挑戦

米ABC放送の人気法廷ドラマ『ボストン・リーガル』が、11月1日放送分できわめて政治的なメッセージをオンエアしている。

問題となった11月1日放送分の内容は、イラク戦争で戦死した米軍兵士の遺族である姉が、国防総省の『stop-lossプログラム(兵士減少を抑えるための特別措置)』を告発するというリアリティ溢れるストーリーで、ジェイムズ・スペイダー扮する弁護士アラン・ショアが、戦争支持派である上司の『請けるな』という命令を無視して、遺族側の代理人として国家批判を展開するというエピソード

「メディアも国民も、戦争の実体を無視している」という主張がテレビドラマで行われるという事態は皮肉だが、商業主義と公共性の間で常に揺れるテレビ局としてはこれで精一杯だろう。とにかく、小泉政権のニュースピークを反復するしか能のない日本のテレビ業界にはできない芸当だ。

以下に、ドラマのハイライトである法廷シーンを一部翻訳して掲載。ビデオ

米連邦検事クリス・ランドルフ:
「あらゆる戦争は犠牲を伴うものです。犠牲者の遺族が軍部を訴えるというのは、馬鹿げているだけでなく侮辱でもあるのです。まず第一に、祖国を護るために戦った兵士の記憶を侮辱しています。さらに、それは愛国精神と米国陸軍への侮辱です。兵士は自ら志願したんですよ。訓練も受けていたんです。戦闘の危険について承知していたはずです。このような訴訟は、反戦感情を煽るためのあからさまな意図に過ぎないのです。これは誤りであり、いわれのない訴訟であり、兵士や、合衆国防衛に携わった全ての退役軍人への侮辱なのです。特に、祖国防衛に命を捧げた人たちに対する侮辱であります。」
アラン・ショア弁護士:
「まず第一に、この訴訟は単なる反戦感情などではありません。エリオット初等兵はこの戦争に賛成だったんですから。個人的に私は反戦派でしたが、すぐに賛成になり、また反戦になったりでしたが、それは移り気な私だけの話です。しかし、戦争に反対の立場、あるいは賛成の立場のどちらであろうと、兵士に対して誠実に対応するという軍部の義務に違いはありません。エリオット初等兵の任務は一年間という約束でした。戦闘には参加することもないと言われていたんです。ところが予想外の事態が発生し、彼は戦闘に遭遇!・・・それもありうるでしょう。しかし、エリオット初等兵は、不充分な支援体制の中で最前線に送り込まれ、訓練経験のない業務を遂行する羽目になったんですよ!もっとも基本的な装備さえ与えられずにです。任務期間が終了しても、軍部は帰還を許可しなかったんです。志願した頃の彼には、そんな危険は想像できなかった。任務は延長され、装備も訓練もなし。彼はそんな条件で志願したのではないのに。そして、彼は戦死したんです。肉親以外には、彼の戦死などまるで誰も気にしない。私達はいつも兵士を尊敬せよと言う。それなら、戦死した時にも敬意を示したらどうです?若者たちは今も死んでいるんです。国内では、国民もメディアも、何も問題ないかのように振舞っている。テリー・シャイボの容態に1ヶ月も夢中になったのに、戦死した兵士達の遺影は見せようともしない。最大の視聴者を抱えるケーブルニュース局は、アルーバで行方不明になった少女の事件に1時間を割くことはあっても、エリオット初等兵みたいに、戦闘中に死亡した若者については全く取り上げないんです。」
クラーク・ブラウン判事:
「ポイントがずれているのではないかね?」
アラン・ショア弁護士:
「ずれていませんよ。2,000人もの国民が戦場で死んでいるというのに、誰も知らないというんです。全く。あるいは、若者が死んでいるなんてことは知りたくないかもしれませんね。国民にとって非常に幸運なことに、この戦争はテレビで報道されていません。戦友の腕に抱かれて死んでいく兵士や、バグダッドの路上でバラバラに吹き飛んでいる兵士達の映像を見ることもないんです。しかし、それが現実に起こっているんですよ!数千人も!それなのに、アメリカ国民の興味をそそることといえば、ブラッド・ピットとアンジョリーナ・ジェリーが付き合ってるかどうかなんです。少なくともベトナム戦争の頃には、国民は事態を注視して怒ってましたよ!」
クラーク・ブラウン判事:
「それとエリオット初等兵の死にどんな関係があるというんだね?」
アラン・ショア弁護士:
「エリオット初等兵の死に関しては、現実から目を逸らしている国民と政府にその責任の一端があるのです。我が国は現在も、この戦争に関して何の戦略もありません。撤退時期も決まってません。一部の兵士は20年以上も任務が延長されるかもしれないのです!両親たちは防弾着の購入に大慌てです。なにしろ陸軍は買ってくれないんですから。そして、殺されるんですよ。現実を見ようとしないこの国のおかげで。誰も気にも留めないんです。だが彼女は違う。彼女は戦死した兵士を敬うために、この法廷に居るんです。そこから始まるんです。」
(以上)

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