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2006/03/27

グレッグ・パラストが暴くブッシュ政権イラク侵攻の秘密

英BBCに登場するアメリカ人ジャーナリスト、グレッグ・パラスト氏の最新著作『Armed Madhouse』が5月23日に発売される。それに伴い、最新レポートが公開されているので、以下に全文翻訳して掲載した。この英ガーディアン紙向けに書かれた記事は昨年英BBCで報道されたスクープの続きになっていて、イラク侵攻の隠された動機を暴露している・・・

たしかに任務は完了したのだ

−ブッシュはイラクで失敗してないよ、愚か者−

by グレッグ・パラスト:2006年3月20日付記事(文中リンクは訳者による)

いいかげんにしてくれ。ジョージ・ブッシュのイラク政策の無能ぶりに対して、あら探しばかりの、片腹痛い不平を言う左派や右派の連中は、いずれも間違っている。

戦車がイラク国境を越えてから3回目の記念日を迎えて、ブッシュに投票した5,900万人のほとんどは、大統領が任務を完了したのか疑い始めている。

しかし、冗談は止めて欲しい。ブッシュと共犯、ディック・チェイニーは、まさしく計画通り任務を完了したのだ。彼等の真の任務を忘れてしまった方のために、3年前に当時のホワイトハウス広報担当官アリ・フライシャーが作戦開始を告げた時の、元々の作戦名を思い出してみよう。

"Operation
 Iraqi
 Liberation."
(イラク開放作戦)

オ・イ・ル(O.I.L.)。なんて素敵な、気の利いた言葉だろう。その後、カール・ローブはホワイトハウスではしゃぎ回る連中に対して、作戦名を『オイフ(OIF:Operation Iraqi Freedom、イラク自由作戦)』に変更させた。しかし、第101空挺部隊は、イラクの『オイフ』のために実戦に臨んだわけではない。

「あれは石油のためですよ」ロバート・エベルは言う。エベルって誰だ?元CIA資源アナリストのエベル氏は、イラク侵攻の約1ヶ月前に、イラク石油産業を『開放する』計画に決着をつけるために、ロンドンで行われていたサダムの元石油相との懇談会に、ペンタゴンの命令で出席していた。ロンドンで、ブッシュの特使エベル氏は、『イラク自由作戦』終了後の新石油相としてペンタゴンが指名したイブラヒム・バフル・アル・ウルム氏に、イラクの原油処理手法について指導までしていた。

アメリカ合衆国はイラク政府に対して、石油をどうして欲しかったのか?その答えは皆さんをおおいに驚かせるだろう。それは、陰謀好きのブロガー達が想像するよりもはるかに醜く、ヒネリの効いた、悪魔的でずるいやり方なのだ。答えは、イラク石油相のために米国務省によって準備された323ページに及ぶ書類の中に書かれていた。我々の調査チームは、そのコピーを入手している。どうやって入手したのかは問題ではない。重要なのは、この分厚いブッシュ命令書に書かれている内容だ。これは『OPECとの関係を強化する』石油企業を維持するための指導書なのである。

OPECとの関係強化???奇妙なことだ:むかつくような高い価格設定でアメリカ国民を窒息させているOPECのオイルカルテルを、合衆国政府がイラク政府に支持するよう命令しているとは。

具体的には、ブッシュ一味が設定したシステムでは、イラクで産出される石油の生産には上限が設けられている・・・サウジアラビアとOPECカルテルが設定した割当量きっちりに石油生産が制限されているのだ。

もうおわかりだろう。そう、ブッシュは石油のために侵攻した。イラクの石油をもっとたくさん入手するためではなく、石油生産が過剰になるのを防ぐためである。

ジョージの牧場やディックの金庫の費用を払っているのが誰か覚えて欲しい。大手石油企業である。そうした石油企業、さらに連中の金庫番であるサウジ王家は、より多くの石油生産で儲けるのではなく、より少ない生産量で儲けているのである。供給が減るほど、価格は高くできる。

いわば第101経済部隊だ。石油産業はOPECというカルテルに支配されている。経済学者はそれを『寡占』と呼ぶ。一握りの業者が、石油不足で稼ぐ仕組みだ。従って、バスラで『武装勢力』がパイプラインを爆破したり、テヘランの怒れる指導者が石油供給を停止すると脅したりする度に、石油価格は跳ね上がる。ディックもジョージも、それが嬉しくたまらない。

ディックもジョージも、イラクの石油はこれ以上欲しくない。足りないくらいがいいのだ。皆さんの多くは、私が何を書いても、我が国の大統領・副大統領はアメリカ人家庭の車庫にあるハマー(4輪駆動レジャー車)に安いガソリンが入れられるように、もっと多くの原油を探している最中だと言うだろう。だって、この石油まみれの二人組みは、1ガロンあたり3ドルに跳ね上がったガソリン価格を懸念しているじゃないか、というわけだ。

そうじゃないんだよ。暢気な皆さん。合衆国内で1ガロン3ドルとなれば(英国では1リットル1ポンド)石油産業にとてつもない利益が転がり込んで、ディック(副大統領)の心臓は嬉しさのあまりドキドキだ。『イラク自由作戦』開始以前の2002年当時、油に浸かった5大石油企業の総利益額は340億ドル(約3兆9,941億5,000万円)であった。それが2005年度には1,130億ドル(約13兆2,746億7,500万円) という利益を叩き出した。すなわち、大手石油企業には良い戦争だったのだ。

ブッシュの計画に沿って、バフル・アル・ウルム氏はイラク占領当局の石油相に任命された。占領されたイラクは「OPECとの関係を強化し」、安穏なクリントンの時代に比較して、ブッシュの戦時下では石油価格は317%上昇した。

言い換えると、侵攻3周年記念を迎えて我々に言えるのは、攻撃と占領は、まさしく『任務完了』だったのだ。しかしながら、それはアメリカのための任務ではなく、ましてやイラクのためのものでもなかった。OPECと大手石油企業のための『任務は完了』なのである。
(以上)


訳注:その後、イラク国内石油販売価格の値上げ案に反対したバフル・アル・ウルム氏は解任され、後任には米国政府と関係が深いアフマド・チャラビ副首相が就任している。チャラビは石油生産アップを約束したが、イラクでは現在でも石油産出及び精製量が米軍侵攻前のレベルに回復しておらず、特にガソリン精製量はフセイン政権時代の半分以下に留まり、深刻な燃料不足となっている。

一方、燃料価格上昇で稼ぐ米エネルギー業界では、企業利益の最大化のために様々な策略が進行中である。例えば、米国の石油精製業界は、燃料生産を減速させて、ガソリン価格の高騰を維持している。

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