ポスト紙スクープ:『ザルカウィの脅威』は米軍のプロパガンダ
「占領中のアメリカ軍のこのやり方は、小さいながら一つの謀略である。事故が起きた。真相を蔽うために工作する。この方法は、事件を起こす、その真実を隠蔽するために工作をする、という他の事件の手法にも通じないだろうか。」
---松本清張 『日本の黒い霧(上)』「もく星」号遭難事件より---
イラク情勢とザルカウィの行方について、米軍広報部とアルカイダ広報部ではどちらを信頼すべきか?・・・ワシントンポスト紙のスクープから判断すると、アルカイダのほうが正直ということになる。
ワシントンポスト紙2006年4月10日付記事によると、イラクで大活躍する『スーパーテロリスト』ザルカウィに関する脅威情報の一部は、イラクに流入する外国人武装勢力(ザルカウィはヨルダン人)とイラク国内武装勢力の対立を煽り、イラクの政情不安とアルカイダを関連づけるために、米軍によって仕組まれた心理作戦であるという。
また、米心理作戦部隊は、サダム・フセイン体制時代の残虐行為の非道性をアピールするために、米軍内部で作成されたビデオを広範にイラク国内で流通させており、その映像は米フォックスニュースの報道にも転用されているとのこと。
ワシントンポスト紙は、このスクープを米軍の公式文書と軍内部の取材によって得た情報としている。
作戦担当者達はこの心理作戦が上々の成果を挙げていると密かに自慢していて、その実例としてイラク国内武装勢力がザルカウィ支持派を攻撃している事例を挙げている。(つまり、結果として米軍はイラク国内の内戦を心理作戦によって煽っていることになる。)
米軍の罠に嵌ったNYタイムズ紙のフィルキンズ記者は、ポスト紙の取材に答えて、「米軍側からは作戦については知らされておらず、手紙の信憑性についても怪しいと思ったので米軍以外の情報源に裏取りを試みた」と説明している。
ザルカウィ情報の信憑性についてはこれまでもかなり疑われていた。例えば2005年10月に米軍とネグロポンテ米国家情報長官が公表した「アルカイダのナンバー2・ザワヒリからザルカウィに宛てた手紙」の信憑性については、以前当ブログでも伝えたとおり、アルカイダ側は当初から「米軍の作成した偽物」と発表しており、ミシガン大学の中東専門家フアン・コール教授も「文面がおかしい。シーア派関係者が作成した偽物ではないか」と言っていた。これらの疑惑は正しい可能性が高い。
こうなるとザルカウィとアルカイダを結びつけるこれまでの報道は全て疑う必要が出てくる。例えば日本人・香田さん殺害を自供した犯人は「ヨルダン人テロリスト、ザルカウィ容疑者が率いる“イラクの聖戦アルカイダ組織”に関連した武装組織のメンバーで、米軍やイラク治安部隊への攻撃などに従事していた」と報道されている。しかし、このフセイン・ファハミ・バドル容疑者は、バグダッドの拘置施設内で、朝日新聞イラク人助手の取材に「組織の上部がどうなっているのかは自分にも分からない」と語っている。組織の上部?おいおい、ザルカウィ容疑者が率いているんじゃなかったのか?
また、イタリア人女性記者ジュリア・スグレナを拘束した容疑者がつい先日逮捕されたが、米軍は「イラク・アルカイダ機構のザルカウィ幹部と強い関係がある人物」と発表している。しかし実際にスグレナさんを銃撃したのは、ザルカウィではなくて米軍だった。ジャーナリストはザルカウィよりも米軍に警戒すべきだったわけだ。
イラク駐留米軍はザルカウィの首に2,500万ドルの賞金をかけている。在沖米海兵隊のグアム移転に伴う日本側の費用を少しでも稼ぐために、日本の自衛隊は米軍基地内部を捜索してみてはどうか?
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