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2006/05/09

ザルカウィと呼ばれる男達

Zarqawi

M249分隊機関銃を試射する『ザルカウィ』

2006年5月4日、イラク駐留米軍は武装勢力指導者アブ・ムサブ・アル・ザルカウィのビデオ映像を公開した。映像の中のザルカウィは、M249分隊機関銃を試射し、途中で弾詰まりの処理を部下に任せている。米軍主席報道官リック・リンチ少将は、記者を前に映像を解説しながら、「ザルカウィは銃を撃つにも補佐官の助けが必要で、しかも熱い銃身を握って火傷している部下も居る」と言い、テロ指導者が実際の戦闘には未熟であると皮肉った。

すると意外なことに、現役・退役米軍将校達が、リンチ少将の解説について苦言を呈した。ニューヨークタイムズ紙の報道からそうした反論を一部引用する:

M249分隊機関銃は操作が複雑で、米軍海兵隊の兵士も基本操作手順を何日もかけて習得する。特にザルカウィが使っているのは初期型で、不具合があることで知られている。退役軍人達が言うには、長い間旧ソ連の旧式武器に慣れてきたテロリストが、M249分隊機関銃の操作を知っているとはとても期待できないとのことである。

「連中は小さな出来事を誇張している」イラクのティクリートで第42歩兵師団の作戦指揮を担当し、先月陸軍大佐を退役したマリオ・コスタグリオア氏は言う。

イラクで活動する現役の特殊部隊大佐も、ビデオ映像だけではザルカウィのテロリストとしての手腕を判定できないと言う。「ビデオを観るだけなら、楽しめるだろう。あの手のヘマを見るのは愉快だ。」公的な場での発言を禁止されているため、匿名を条件に語ってくれた特殊部隊隊員は言う。「しかし、軍人としては首を傾げざるを得ない。ザルカウィがあの武器の扱いを知らないのは当然だ。俺たちの武器だからな。皆が言うほど間抜けには見えないね」
(以下略)

こうした現場兵士達の批判はごもっともだが、映像中の人物がザルカウィであることに関しては誰も疑問を抱かないのは奇妙な事だ。マスコミ関係者は過去の報道をまるきり忘れてしまったのだろうか?

例えば、2004年3月4日付けAP通信はザルカウィについて以下のように伝えている。:

『ザルカウィは死亡とイラク武装勢力が主張』

イラク国内で自爆テロを率いていると見られるヨルダン人過激派は米軍の爆撃によりすでに死亡しており、聖戦を扇動する計画を記した手紙は偽物であると、バグダッド西部の武装グループによるとされる声明が明らかになった。

ファルージャで今週配布された、アラー・アクバル・ムジャヒディン指導部の署名が記された声明文によれば、アブ・ムサブ・アル・ザルカウィはイラク北部のスライマニヤ山脈で“米軍の爆撃により”死亡したと伝えられている。(中略)声明文には、ザルカウィが死亡した日時については記されていないが、昨年4月のサダム・フセイン体制崩壊時に、過激派アンサル・アル・イスラムの支配するイラク北部地域を米軍戦闘機が爆撃している。

声明文によれば、ザルカウィは義足のため爆撃を逃れることができなかったとされている。

昨年3月のイラク侵攻が開始される前、コリン・パウエル国務長官は、ザルカウィはアフガニスタンを脱出後にバグダッドの病院で手当てを受けていたと話した。米国諜報筋の話によれば、ザルカウィはその際に義足を装着されたという。
(以下略)


2004年5月12日付けFOXニュースの報道はザルカウィについてもっと強烈に説明している。
ビン・ラディンを凌駕するザルカウィ

米国人人質斬首事件を背後で操った片足のヨルダン人テロリスト、ザルカウィは世界で最も危険なテロリストの地位に浮上し、まもなくビン・ラディンを凌ぐ存在になると見られている。

(中略)米軍のアフガニスタン侵攻の際、ザルカウィは爆撃で重傷を負い、イランに脱出したと言われている。後に、バグダッドに到着したザルカウィは、足を切断してから、サダム体制の下で数ヶ月の療養を許された。(以下略)


歩くザルカウィ

歩くザルカウィ。足元はニューバランス製スニーカー。イスラム戦士は資本主義に毒された?

おわかりだろうか?今回公表されたビデオの『ザルカウィ』は、米軍の追跡から逃れ、数々の戦傷を負い各地を転々とする生活を送っているはずなのに、過去の指名手配写真に比較すると随分肥っているように見える。しかもこの『反米イスラム原理主義者』は、ニューバランス製のスニーカーを履いて、重い武器を担ぎ、大股で自然に歩いている。この奇妙な事実について記者達や軍人達が質問しないのはなぜだろう?

ザルカウィ義足説や重傷説は全て地元武装勢力のガセネタ、と言うならそれもいいだろう。しかし、米軍広報部が発表するザルカウィ脅威情報は、米軍心理作戦司令部のプロパガンダキャンペーンであることはすでにポスト紙が報道している。果たしてザルカウィのウソ情報でイラクの武装勢力は利益を得ただろうか?


ザルカウィはイラク北部で何をしていた?


帝国の傲慢

大反響を巻き起こしたマイケル・ショワー氏の著作『帝国の傲慢

『ザルカウィのビデオ』が米軍によって公表される数日前に、オーストラリアABC放送の報道番組『Four Corners』では、元CIA工作員で、オサマ・ビン・ラディン追跡チームを率いたマイケル・ショワー氏が驚くべき暴露をしていた。同氏の説明によれば、ブッシュ政権がイラク侵攻計画を練っている2002年当時、イラク・クルド人地区にあるザルカウィ指揮下の軍事訓練施設に関する詳細な情報をCIAがホワイトハウスに説明しており、施設攻撃計画の承認を求めていたという。ショワー氏は言う:

「イラク侵攻以前に、ブッシュはザルカウィについて一年を通じてほとんど毎日説明を受けていたが、イラク侵攻支持を得るためにフランスを説得するのに夢中で、(ザルカウィの施設)攻撃について承認しなかった。(中略)ヨーロッパに対して、戦争好きアメリカという印象を薄めることをより重視したんです」

ブッシュがザルカウィ攻撃を承認しなかった理由についての元CIA工作員側の見解はともかく、ザルカウィがイラク北部クルド人地区で軍事施設を運営していたという事実は、よく考えると奇妙なことである。なにしろ当時は、同地区を支配する二大勢力、クルド民主党とクルド愛国同盟が、CIAと共同でフセイン体制転覆計画を進行させていたし、それ以前からイスラエル軍と諜報部(モサド)は過去数十年から現在に至るまで、イラク北部のクルド人勢力に武器支援と軍事訓練を施している。アル・カイダ関係者で、パレスティナ系のザルカウィにとって、米諜報部とイスラエル諜報部が駐留するクルド人地区は、それら組織とザルカウィが実際に敵対関係にあるならば、ヨルダン政権転覆を目指して活動するにはちょっと不都合すぎるのではないか?ビン・ラディンのお墨付きを得たテロリストが、そこまで周りの環境に無頓着になれるだろうか?

2002年にザルカウィはイラクで実際には何をしていたのだろう?そして、ザルカウィと呼ばれる男達は何処から来て、今何をしているのだろう?

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