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2006/06/06

「生ける者達を見よ」byボブ・ハーバート

『タイムズ紙コラム欄の良心』と呼ばれるジャーナリスト、ボブ・ハーバートが、戦没将兵追悼記念日(メモリアル・デー)に向けて書いた怒りのコラムを以下に全文翻訳して掲載。(文中リンクは訳者による)

ボブ・ハーバート関連過去記事

生ける者達を見よ(Consider the Living)

by ボブ・ハーバート:ニューヨークタイムズ紙2006年5月29日付けコラム

何の解決策も見出せないまま、イラク戦争はこの国が第二次大戦に関与した頃と同じくらい長引くことになるのだろう。

戦没将兵追悼記念日(Memorial Day)とは、国家の戦争に自らの命を犠牲にした者達を弔うものである。しかし、私は今回、生きている人々について共に少し時間を割いてもらいたく思う。

イラクの平常化と民主化を信じるというのならば-あるいはこの戦争の大義についてあなたが宣言したものが何であれ-周りを見直して自分自身に問いただしてみるといい。この戦争に、あなたの息子や娘、夫や妻、あるいは朝一緒に出勤する同僚や、親切な隣人達の命を犠牲にする価値があるだろうか?

今日の午後、ホットドッグを持ち寄ってバーベキューに出かける前に、鏡を見て自分に正直に問い直して欲しい。イラクのためにあなたは死ねるだろうか?

Promises Betrayed: Waking Up from the American Dream

ボブ・ハーバート初のタイムズ紙掲載コラム集『Promises Betrayed: Waking Up from the American Dream(裏切られた約束:アメリカの夢から目覚めて)』警察の腐敗と人種差別が招く冤罪の数々、超格差社会の中に拡がる貧困、終わりなき戦争・・・現代アメリカの影と、そこから這い上がるために闘う人々をジャーナリストの視点から鮮やかに描く。2005年度ベストセラーがペーパーバックになった。

イラクから撤退することはできないと国民に説く姑息な政治家や見当違いの評論家が不足することはまったくないが、実際できないのだ。混乱は続くだろう。内戦になるかもしれない。しかし、そういう連中の本音は、この戦争が他人の子供によって戦われている限り、そして、ジョージ・W・ブッシュに鼓舞された狂気の残高がクレジットカードに残されている限り、私達は撤退できないということなのである。

今すぐ裕福な家庭の子供達をバグダッドに送って、戦争費用を支払うために増税を開始しよう。そうすれば、この悲惨な大失態があっという間に収束に向かう様をみることになるだろう。

先週の嘆かわしい記者会見の最中、ブッシュ大統領とトニー・ブレア英首相は、まるで不運な小学生が、あたかも火遊びの最中に大火災が発生し、未だ手に負えない状態になってしまったかのように振舞った。彼等の無関心さが、これまでに2,500人ほどのアメリカ人と、無実のイラク人数万人-その多くは子供達-の命を奪ったのだ。

記者会見で大統領が口にした後悔の中には、2003年に彼が言った『かかって来い(bring 'em on.)』という武装勢力への馬鹿げた挑発の言葉もあった。しかしブッシュは、その狂気がいつ終わるのかについて何のヒントも示さなかった。

最終的に終わりが決定される前に、この先何人の若者をイラクの業火に放り込むことになるのだろう?何人死ねば満たされるのか?

イラクに良いニュースなど何もない。先日も、タイムズ紙のサブリナ・タバニス記者が書いている:「イラクに住む人々に重く圧し掛かる窮状を示す最新の兆候は、国を離れる中流層が急増していることです。」

過酷な暴力を鎮圧できずにいるイラク政府と米軍に、中流層は慌てふためくばかりだ。タバニス記者はヨルダンに移住を考える或る事業家の言葉を引用している:「私達は屠殺場の羊になってしまう。」

イラク国民は誘拐、殺人集団、そしてブッシュ氏言うところの『自殺犯(suiciders)』の恐怖に怯えている。

ザルメイ・ カリルザード米大使が先週言ったように、今の時点でもイラク西部の一部は米軍ではなく「テロリストや武装勢力の支配下にある。」

そして今、我々は、昨年11月に米海兵隊の兵士達が数十人のイラク人を情け容赦なく殺害した事件を聞かされている。

そのような虐殺の発生に驚くべきではない。戦争とはそういうものなのだ。殺戮は制御不能に陥るものであり、それ故、若く健康な人々をまるで一流のスポーツイベントに参加させるかのように戦闘に送り込む傲慢な指導者でなく、戦争を避けるために可能な限り力を尽くす成熟した指導者が重要となる。

ブッシュ・ブレア合同記者会見では何の進展もみられなかった。3年以上が過ぎても、この二人の男はイラクですべきことについて今まで同様全く察していない。このままさらに3年、この無駄な脚本に付き合わされるのだろうか?そして、その先も?

これほど救いようのない指導者はいない。かつて、フランクリン・ルーズベルトとチャーチルの時代があった。今はブッシュとブレアだ。

市民の殺戮疑惑に対応して、海兵隊司令官マイケル・ヘギー大将は、先週イラクに赴き兵士達に「人命の喪失に対する無関心」の危険性について説いたという。

そうした言葉はこの国の指導者達にこそ送られるべきだろうし、広く国民にも知らしめるべきだ。戦没将兵追悼記念日はそれを思案するには絶好の機会である。死者を追悼するように、生きている者達のことも考慮すべきだ。そして、何千もの人々を無駄で意味のない死に追いやるのはもう終わりにしよう。
(以上)

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