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2007/03/31

イラン、イギリス、アメリカ:圧力はどちらを向いているか

2006年3月23日、イランの沿岸警備隊が、ペルシャ湾岸で“通常任務である密輸の監視をしていた”英海軍兵士15人を拘束した。イラン外相の説明によれば、英兵士達はイランの領海を侵犯していたとのことだった。

英海軍のチャールズ・スタイルズ中将はGPSデータを引用し、拘束された英兵達はイラク領海内で活動していたと主張。英ブレア首相はイラン側へ人質をただちに解放するよう求め、事態の解決を国連安全保障理事会に持ち込んだ。国連側は今のところ「イラン政府はただちに英兵士を解放するべき」と言いつつも、事態に対しては「重大な懸念を表明する」に留まっている

Iran's ambassador Rasoul Movahedian leaving the Foreign Office in London today. Movahedian was summoned to the Foreign Office today over the seizure of 15 British navy personnel by Iranian forces in the Persian Gulf.

英兵拘束事件をめぐりイギリス政府に召還され事態の説明に向かう駐英イラン大使。満面の笑顔に注目。(NYタイムズ紙

人質解放のための交渉を要求するイラン側は、ブレア政権の対応を批判し、早期に解放する予定だった女性兵士も拘束されたままとなっている。イラン国内でも事件への関心は高まっているが、イラン国民の中には「アフマディネジャード政権は約束どおり早く女性兵士を解放すべきだ」という政権批判も拡大しつつある。

一方でホワイトハウスの反応はどうかといえば、通常ならば「悪の枢軸」等お馴染みのボキャブラリーを駆使しつつ声高にイラン側を批判しそうなものだが、今のところブッシュ大統領本人は、ブレア首相への支持を表明するに留まっている。

中東諸国及びロシアは、この人質事件が英米両国にイラン爆撃・侵攻の口実を与えることになるのではと懸念している。3月26日、駐ロシア英大使アンソニー・ブレントンは、ロシア政府側にイランの人質解放に向けて協力を要請していると語った

しかしロシア政府筋は、米軍がイラン国境付近及び湾岸地区に戦力を集結させており、イラン本土内軍事施設への攻撃準備が整いつつあるとメディアにリークし始めた

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2007/03/26

雑誌TIMEが表紙差し替えで自主検閲

雑誌『TIME』が、最新号の表紙を米国版のみ差し替えて、アフガニスタンでタリバンが再興している報道を「自主検閲」している。以下、公式サイトのキャプチャ画面より。(昨年のNEWSWEEKでも同様の処置がみられた。)

Timemagazine20070326
ヨーロッパ版、アジア版、南太平洋版:タリバンの復活特集。
米国版:聖書教育に関するエッセイ。「学校で聖書教育をすべき」というブッシュ政権の主張に沿った内容。

2007/03/19

イラク戦争4年後の泥沼:武装勢力の新たな戦術

「ワシントンはますます大変なことになってますね。ハリー・リード議員(民主党)の“イラク戦争は合衆国史上最悪の失敗だった”という批判に、本日ホワイトハウス側は反論しました。ホワイトハウス側はこう言ったんです:“ブッシュ大統領にはまだ2年任期が残っていることを国民は理解すべきだ”。」

コナン・オブライエンのジョーク

米軍のイラク侵攻から4年。米軍兵士3,254人がすでに戦死し、2万3,924人が戦傷を負っているGlobalSecurity.orgの調査。イラク市民の犠牲者数は最大6万5,121人iraqbodycount.orgの調査国連人権委員の報告によれば、2006年だけでイラク市民3万4,452人が殺害され、3万6,000人以上が負傷したという)。イラク国内では駐留連合軍、シーア派武装勢力、スンニ派武装勢力による内戦状態が拡大している。

一方でイラク北部では、クルド自治政府(前クルド愛国同盟)の代表を務めるクバド・アル=タラバニ氏(ジャラル・タラバニ前イラク大統領の息子)が米国ワシントンDCでロビイングオフィスを開設し、米実業界に投資を呼びかけながら自治権拡大をPRしている。しかし北部でのクルド人勢力拡大に反対するスンニ派武装勢力は、北部でも攻撃を行っている

シーア派民兵軍(ムクタダ・アル・サドル氏率いるマフディ軍など)の勢力拡大が伝えられると、シーア派と連携するイランの影響力拡大を懸念するサウジアラビア王家は、昨年暮れにチェイニー副大統領をわざわざサウジへ召還し、「米軍が増派しないのなら我々はスンニ派武装勢力への支援を拡大するぞ」と警告し、着任して1年早々の駐米サウジ大使を急遽帰国させたチェイニーのサウジ訪問は、当初は定例の石油産出国訪問とアピールされていたが、ポスト紙が暴露するように、サウジ側がブッシュ政権側に“すぐ顔を出せ!”とばかりに呼びつけたものであったらしい。)

サウジ王家のスンニ派武装勢力支援宣言は、ブッシュ政権にとって非常に厄介な問題のはずだった。なにしろイラクのスンニ派武装勢力にはアル・カイダ系グループも含まれているというし、911テロの首謀者の多くはサウジ出身で、サウジ王家とビン・ラディン家は深い関係にある。しかも、イラク駐留米軍への致命的攻撃の大部分はスンニ派武装勢力によるものだ。しかし、サウジの支援によってシーア派武装勢力とその背後にいる(?)イラン政府に打撃を与えたいブッシュ政権は、米国への宣戦布告にも等しいサウジの行動を黙認しただけでなく、サウジ王家の意向に沿うように、議会の承認もないまま米国民の税金を密かにスンニ派武装勢力(アルカイダ系含む)に提供し始めたというシーモア・ハーシュの報道

つまり、イラク駐留米軍への攻撃が激化し、米兵戦死者が急増する原因の一端は、ブッシュ政権とその友人であるサウジアラビア王家ということになる。そしてブッシュ側は、イラク内戦激化の原因がイランのシーア派支援にあると主張し、イラン侵攻へと歩を進めつつある。今のところ米大手メディアはイラク戦争よりもアンナ・ニコル・スミスの突然死に5倍から10倍の報道時間を割いて国民の目を逸らしているが、ブッシュとサウジによる米国への裏切り行為が知れ渡ることになれば、アメリカ国民も黙ってはいないだろう。

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2007/03/18

ドナルド・トランプ、ブッシュ政権を酷評

「まあ、私が思うに、ブッシュは合衆国史上最悪の大統領だね。」

CNNの報道番組「The Situation Room」で、ウルフ・ブリッツア(ブッシュ支持派で知られるニュースアンカー)のインタビューに応じた不動産王ドナルド・トランプ氏が、ブッシュ政権を痛烈に批判しているビデオ

以下に番組中の発言を一部翻訳して引用する:

(番組ホスト)ブリッツア:
「イラク戦争がますます政治問題として注視され、現在では最重要課題となっていますが、あなたのご意見を伺いたい。突破口はあると思いますか?」
トランプ:
「イラク戦争は全くもって大失敗だ。どうみても大惨事だよ。こんな事態を招いたのは全く残念でならない。実際、イラクに深入りしなかった大統領の父親を尊敬する。彼は戦争に勝利し、深追いは止めようと宣言したのだから。結局父親は正しかった。さらに、現政権が好むと好まざるとに関わらず、サダム・フセインはテロリストを憎み、テロリストを殺害してきた。テロリストが自分の支配する国に来たら、殺しただろう。ところが今では、あの国はテロリスト育成地になってしまった。だから、どうみても、イラク戦争は大惨事だよ。しかも内戦まで始まっている。」
ブリッツア:
「誰が責任を負うべきと思いますか?」
トランプ:
「責めを負うべきは唯一人、現大統領だ。それに、ラムズフェルドは大失敗。大統領に助言を与える立場の人たちは皆大失敗だな。コンドリーザ・ライスは素敵な女性だろうが、解決策がない。何も取り決めできず、手を振るだけ。中東の独裁者達と45度の角度で席について、写真に収まったら、手を振って飛行機に戻って、もう一度手を振って、取り決めは何もなし。」
ブリッツア:
「取り決めに至りそうな時もありましたが」
トランプ:
「取り決めしたらどうだ!世界は取り決めを心待ちにしているんだ。それなのに我が国には実行できる人間がいない。」
ブリッツア:
「副大統領のディック・チェイニーはどうですか?」
トランプ:
「まあ、明らかに彼は強硬派だったね。副大統領は、戦争が素晴らしくうまくいっているとつい数ヶ月前にも言ってる。ひどいもんだ。彼らが悪人かどうかわからないが、どうなっているのだろう。わかっているのは、彼らは私達を、この国が未だ経験したことのないような混乱に陥れたということだ。あらゆる時代の中で最も悲惨な時代のひとつになってしまった。さらに悪いことには、世界が我々を憎んでいることだ。ヨーロッパに行ってみたまえ-私は仕事で世界中に行ってるが、ヨーロッパの人々は米国人を憎んでいる。ドイツに行っても、イギリスに行っても、どこでも、かつて問題はなかったのに、現在起きていることについて世界がアメリカを憎んでいるんだ。911テロの直後、我が国は史上初めて地球上で人気を獲得できる機会があったのに、台無しになった。あの時初めて、世界は同情してくれたのに。同情されることが素晴らしいと言う訳じゃないが、歴史上初めて、この国で起きたことに世界が共感してくれたのに、我々はそれを台無しにしてしまったんだ。」
ブリッツア:
「合衆国はこの状態からどうやって抜け出したらいいのでしょう?突破口はあるのでしょうか?」
トランプ:
「抜け出す方法?抜け出せばいいんだ。それだけのことだ。勝利を宣言して撤退することだ。そうしないと、この国はますます身動きがとれなくなる。イラクでは内戦が起きているんだよ。内戦状態に対して私達ができることなど何もない。内戦は拡大して、イランに飛び火して、他国にも拡大する。内戦の途中で何もできることなど・・・ちょっとの間、目を背けるしかない。撤退する頃には、さらに拡大するだろう。(中略)誰も話そうとしないが、たくさんの兵士達が腕や足を失くして帰還しているんだよ。私はマラーゴに毎週月曜に行くが-知ってるだろう、私の屋敷だ。」
ブリッツア:
「(フロリダ州)パームビーチの屋敷ですね。」
トランプ:
「屋敷にイラクから帰還した兵士達を招待しているんだ。私の知りうる限り最高の素晴らしい人たちだが、腕や足を失くしてるんだよ。奥さんを連れたり、恋人を連れたりしてるが、みんなの顔から涙がこぼれるんだ。つまりだね・・・数千人、もしかしたら数十万人ものイラク人も、手足を失くしたり殺されているかもしれない。この戦争はおぞましいものだ。それなのに、ブッシュは自分のことを信心深いと言うんだ。私の勘定では、すでに40万人ほど死んで、おそらく数百万人が手足を失くしたり障害を負っているんだ。一体どうなっている?どうなってしまった?我が国が撤退する頃には、さらに拡大するんだ。今は目を背けているが、それでも悲惨だ。撤退する頃には、認めようが否定しようが内戦状態だ。」
ブリッツア:
「ワシントンで進行中のスキャンダルについてはどう思いますか?現在、司法長官アルベルト・ゴンザレスが槍玉に上がってますが、経営者としてどのように捉えますか?」
トランプ:
「ワシントンでは全てが嘘ばかりだ。大量破壊兵器の件は全くのデタラメだった。大統領が楽勝と思ったイラク攻撃はまさしくそれと正反対だった。大統領は年に60冊、週に1冊の本を読むそうだが、どうだろうね-大統領はホントに週に1冊本を読むのか?信じられないね。テレビも観てないじゃないか。ひとつだけ言えるのは、私がテレビに出る時には、少なくとも観ようとする。なぜなら、自分の中のエゴが、観ようと言うからだ。出来が良かろうが悪かろうが、観て確かめてみようと思うだろう?でも大統領は、テレビで誰かにインタビューを受けても、テレビを観ないんだよ。ホントに信じられるか?それで今度は司法省スキャンダルだ。電子メールが見つかって、また嘘が発覚した。全部嘘なんだよ。大嘘だ。」
(以下略)

2007/03/12

50歳になったオサマ・ビン・ラディン

1957年3月10日にサウジアラビアのジェッダで生まれたアルカイダ指導者オサマ・ビン・ラディンは、今月10日で50歳の誕生日を迎えた。

ロイター通信が、タリバン広報担当官ムラー・アヤトラ・カーン氏の談話を伝えている。「彼は生きている。100%確かだ。」同氏の説明によれば、アフガニスタン訓練キャンプのタリバン戦士達が誕生日の祈りを捧げたという。

ロバート・フィスクは、1993年当時の英インディペンデント紙上で、当時初めて対面したオサマ・ビン・ラディン(当時36歳)について以下のように書いている:


オサマ・ビン・ラディンは金の飾りがついたグローブを身に着けて座っていた。彼と共にアフガニスタンで戦った忠実なムジャヒディン達が護衛についていた。

あごひげを生やした寡黙な人物-武器はもっていなかったが、数ヤード付近で、ソ連軍と戦うために彼が採用し、訓練し、派遣した男たちが、微笑みもせずにスーダン・アルマティグ村の人々を見守っていた。村人たちは、村とカーツーム(首都)を繋ぐ高速道路の建設を完了しつつあるこのサウジ人実業家に感謝を述べるために行列を作っていた。

高い頬骨に細い目で、長い茶のローブを纏ったビン・ラディン氏は、あらゆる点でムジャヒディンの伝説に生きる山岳地帯の戦士に見える。

「戦後、私は戦友達がここに来れるように手配したのだ。」彼は言った。
ロシア人達と戦ってきて、スーダンで道路建設に携わるなんて戦士達にとっては少し拍子抜けではないか、と私は尋ねた。

「彼らはこの仕事を気に入っているし、私もそうだ。」
(以上)

2007/03/05

アメリカ医療システムの危機:医療難民、カナダに越境

ニューヨークタイムズ紙が今月始めに発表した世論調査によれば、大半のアメリカ国民は政府負担の国民皆保険制度の導入を切望しており、そのために税金が上昇しても止むを得ないと考えていることが判明している。しかも、イラク戦争以外に合衆国が直面している国家危機として、医療問題が移民問題を抜いて国内最大の政策課題となっている。

つまり、2008年度大統領選挙時には、今のところイラク戦争(イラン戦争含む?)と医療危機が二大争点となると見込まれている。

現在、アメリカ国民のおよそ4,700万人が医療保険未加入で、その内900万人が児童である。市民団体『Families USA』の調査によれば、怪我で入院した子供が無保険の場合、保険に加入している子供に比較して病院で死亡する確率は2倍高く、高度な治療やリハビリも少なくなるというショッキングな報告もある。(病院業界は調査内容に問題ありと市民団体を批判している。)

収入が少なく民間医療保険に入れないアメリカ人がケガや病気で医者にかかる場合、連邦政府が提供する貧困層・高齢者向け医療扶助・支援制度(メディケア・メディケイド)の適用を受けることになる。しかし財政悪化と、それに追い討ちをかけるイラク戦争の泥沼化により、ブッシュ政権下で貧困層への支援打ち切り姿勢はいよいよ鮮明になった。ブッシュ大統領の2008年度連邦予算案では、貧困層向け医療保障予算を今後5年間で78億ドル(約9,100億円)削減し、さらに児童向け医療保険制度も大幅削減するとしている。もちろん、社会福祉削減で浮いた予算は戦争準備金へ・・・ということで、ブッシュの提案する国防総省予算は前年比11%増加となっているワシントンポスト紙の言うとおり、「レーガン政権以来最大の国防予算、イラクとアフガニスタンの戦費はベトナム戦争を超えた。」

2000年から2005年の間に、アメリカでは無保険者が680万人増加し、政府の規定する「深刻な貧困層」は26%増加したという。職に就きながら政府の食糧支援制度(フードスタンプ)を受け取る人も急増している。(いわゆる『ワーキング・プア』層のことで、例えばオハイオ州では6年間で倍増している

これだけ貧困層が増えると、いくら世界一裕福で明るいアメリカをハリウッド映画で宣伝しても、効果は低いだろう。ユニセフが最近発表した児童の成育環境ランキングで、アメリカは先進国21カ国中20番目だ。(最下位はブレアのイギリス。なにしろハリー王子は訓練をサボってるのにイラクに行かなきゃならないし、ブレア首相はワイセツなポーズをとったオクスフォード時代の写真を公開されてしまう国である)

そんなわけで、アメリカの医療危機をわかりやすく説明しているテッド・ロール氏のコラムを以下に翻訳して掲載。


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2007/03/01

米国内のホームレス人口は75万4,000人

米住宅・都市開発省の最新発表によれば、2005年度の米国内ホームレス人口はおよそ75万4,000人で、仮設住宅や緊急避難施設に入れない路上生活者は30万人以上。この数値は、ホームレス支援団体「National Alliance to End Homelessness」が今年1月に発表した独自調査統計とほぼ合致している。

米住宅・都市開発省の統計によれば、ホームレスの実態として以下の事実が判明している:

  • ホームレスのおよそ半数が独身男性。
  • ホームレス人口の1/4近くを未成年が占めている。
  • 65歳以上のホームレスは2%以下。
  • ホームレスの59%が少数民族。
  • ホームレスのおよそ45%が黒人。
  • およそ1/4が身体障害を負っているとみられるが、専門家によればその割合はもっと多いとのこと。

また、ホームレス支援団体「National Alliance to End Homelessness」の調査によれば、ホームレスの割合が多い州はアラスカ、カリフォルニア、コロラド、ハワイ、アイダホ、ネヴァダ、オレゴン、ロード・アイランド、ワシントン。また、ワシントンDCはホームレスの割合が格段に高い地域となっている。

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