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2007/04/17

マイケル・ムーア、次回作で早くも大波乱の予兆

『華氏911』の大ヒット以降、総じて沈黙を保っている米ドキュメンタリー作家マイケル・ムーアが、次回作の公開に向けていよいよ活動を再開したらしい。『Sicko(病人)』という仮タイトルの次回ドキュメンタリーは、今年5月に開催予定のカンヌ映画祭での初公開を目指して編集作業が進められているという。4月20日追記:ムーア公式サイトの最新ニュースによれば、今年のカンヌ映画祭は5月16日-27日、『Sicko』は特別招待作品として上映が決定したとのこと。)

以前から報道されている通り、新たにムーアが取り組む課題はアメリカ医療システム危機問題、特に巨大製薬企業の問題が標的となるとみられている。

米保守派タブロイド紙NYポストによれば、ムーアは911テロ事件現場で救急活動や瓦礫の撤去に携わり、有害な塵を吸い込んで呼吸器官に深刻な障害を負いながら合衆国政府の支援を受けられなかった人々の一部をキューバに連れて行き、キューバ政府が国民向けに無料で提供している医療サービスを受けさせ、その一部始終をフィルムに収めたらしい。ポスト紙上では、ムーア監督からの誘いを断った人や、誘いに応じたものの結局キューバに行けなかった当事者達の怒りの言葉を紹介している。

ムーアの暴走ぶりはともかく、何よりもまず注目されるべき問題は、未曾有のテロ事件に際して身の危険を顧みず救助・復興活動に従事した人々に対する行政府側の処遇である。市街地での超高層ビル崩壊に伴う環境危機に際して、ブッシュのホワイトハウスと当時のNY市長ルディ・ジュリアーニは、何よりもまずNY証券市場の再開を最優先にした。「アメリカは普段通り営業している!」とテレビ画面で胸を張ってみせることでどれほどアメリカ合衆国の評価に貢献したのかは誰も知るよしもないが、有害物質が大量に舞う環境の中で市民に日常生活を続けるよう要求し、結果として呼吸器障害に苦しむことになった人々-救急・復興作業関係者だけで4万人-に対して、政府が医療支援を開始したのは事件から5年近く経過してからであった。テロ事件からわずか6日後にニューヨーク証券取引所が営業を再開したのとはあまりにも対照的である。この行政側の無責任な対応については、ムーアの訴えるとおりもっと周知されるべきだろう。

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2008年大統領選の共和党有力候補ジュリアーニ元NY市長の実像を暴露する問題作:『Grand Illusion: The Untold Story of Rudy Giuliani And 9/11

9/11テロ直後からテレビ画面に頻繁に登場して危機管理リーダーシップをアピールし、2008年大統領選出馬の足がかりを掴んだジュリアーニの危機便乗姿勢もおおいに批判されるべきだ。市長退任後に危機管理マネジメント分野をビジネスにしたジュリアーニは、年間80回の講演でおよそ800万ドルを稼いでいるという。講演テーマのほとんどは、911テロ事件現場でいかに自分がリーダーシップを発揮したかという自慢話だ。例えば2004年末のスマトラ沖大地震被災者のためにカリフォルニア州サンディエゴで開催されたチャリティイベントにスピーカーとして招かれた際にも、専用ジェット機による無料送迎+講演料10万ドルを受け取っている。(チャリティなのに奉仕精神ゼロ?)

93年に最初の爆破事件があって以来、世界貿易センターとその周辺地区がテロの標的になる危険性に気づきながら、ジュリアーニ市長は当局の救急体制を複雑化させ、結果として9/11テロ被害のさらなる拡大を招いたことで関係者達から猛烈な批判を浴びている。大統領選に向けた資金集めには有料講演も大切だろうが、別の分野の活動でアピールすべきではないか。例えば・・・まあ、共和党員にはウケが悪いだろうが・・・ベネズエラ大統領チャベスとの隠れたパートナーシップの件はどうだろう?


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