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2007/06/15

テリー・ジョーンズ:『これぞまさしく機会の地』

「今後、国民とメディアには、イラクや世界中で兵役に就いている人たちの事など、もっと重要な話題に関心を持つよう望みます。」

-パリス・ヒルトン、再収監の際の声明文より(source)

今回は、モンティ・パイソンで知られるテリー・ジョーンズの最新コラムを以下に翻訳。以前のコラムに比較するとかなりストレートに、傭兵企業の問題を取り上げている。

英インディペンデント紙の報道によれば、イラクで活動する傭兵はおよそ4万4,000人といわれる。特に英国人傭兵は2万1000人を超え、英国駐留軍のほぼ3倍の規模になる。イラク駐留各国軍の兵站等、後方支援業務も担う企業も多く、それらを含めた民間軍事要員の総数は12万6,000人以上とみられている。傭兵の活動は正規軍の管理下にないので、しばしば現地で正規軍と衝突し、銃撃事件を起こすなど、治安悪化の隠れた要因になりつつある。

コラム中に登場する傭兵企業ブラックウォーター社は、米海兵隊、米陸軍その他世界中から特殊部隊出身者を集めて傭兵サービスを行う業界最大手。ワシントンにも関わりが深く、例えば元CIAビンラディン追跡チーム責任者で、現在ブラックウォーター社の副会長を務めるコーファー・ブラックは、共和党大統領候補ミット・ロムニーの選挙対策チームに加わっている

これぞまさしく機会の地

死と破壊のある処には利益が生まれる-イラクで活躍する保安企業はあまりにもよくわかっている

by テリー・ジョーンズ:英ガーディアン紙2007年6月12日付けコラム

Terry Jones's War On The War On Terror

テリー・ジョーンズの辛辣なコラム集:Terry Jones's War On The War On Terror(テリー・ジョーンズの“テロとの戦い”との戦い)スティーブ・ベルの風刺画も満載。

昨日、ゴードン・ブラウンはイラクで「事実調査視察」に出向いた。次期首相にとって、必ずしも全てが陰鬱に見えることはないだろう-もしも彼が、ブラックウォーター社について「事実調査視察」を行ったとすればなおさらだ。ノースカロライナ州の同社は、イラクで活躍する民間軍事企業の中でもっとも利益率が高く、イラクが実は機会の地であることを証明する企業である。ブラックウォーター社のゲイリー・ジャクソン社長曰く「2004年度に600%という驚異的な成長率」を果たしたらしい。さらにジャクソン社長は言う。「市場規模は数十億ドルで、ブラックウォーター社は未だその表面をなぞったに過ぎない。」そんなわけで、もしもゴードンが、あるいは我が国の誰か別の者が、イラクにおけるあぶく銭競争にありつきたいなら、ブラックウォーターの道筋を辿るのがよさそうだ。

まずなにより、ブラックウォーター社を創業したエリック・プリンスがそうであったように、数十億ドルの資産を残してくれる父親を見つける必要がある。次に、その資産を使って人を銃撃することを専門とする企業を立ち上げる。もちろん、その企業理念としては“あらゆる地域で治安、平和、自由、民主主義を守る”と主張する。もっとも、企業パンフレットには、マシンガンを手に住居に突入したり、ヘリコプターから銃撃する男たちの写真を満載し、5段階の訓練コースを提案する:基本軍事訓練、上級軍事訓練、戦場狙撃、高角度狙撃(屋根から人間を銃撃する)、そしてもちろん、ヘリコプター銃撃訓練だ。

このような暴力沙汰から金を稼ぎ出すとなると、いかに理想主義的なスローガンで飾ってみても、道徳的には少々危ういものに見えてしまうので、エリック氏同様に、キリスト教再生派(born-again Christian)となって共和党に大金を寄付すれば申し分ない。ネイション誌の報道によれば、1989年以来、エリック氏と彼の妻は共和党に27万5,550ドル寄付しているが、民主党への寄付はゼロだ。90年代前半にエリック氏が経験したように、ホワイトハウス実習生になれば、最適なポジションに充分な友人を作ることもできるだろう。ブラックウォーター社のイラクにおけるCPA(連合軍暫定当局)警護業務のように、異様ともいえる競争入札なしの契約獲得も夢ではない。

同僚と金を稼ぐとなれば、快適であるに越したことはない。例えば、警備業務が1日あたり600ドルなら、クウェート・リージェンシー・ホテルに請求する金額は815ドル。ラーレー・ニュース&オブザーバー紙の報道によれば、リージェンシー・ホテルはさらに上乗せした費用を軍事サービス会社ESSに請求する。さらにESS社はケロッグ・ブラウン&ルート社に請求書をまわし、ルート社はさらに利益を上乗せして膨れ上がった請求書を国防総省に送りつける。ヘンリー・ワックスマン上院議員の話によれば、彼がその請求書の明細を調べるのに2年かかったということだ。

支出を抑える手法でも、ブラックウォーター社に学ぶのがよいだろう。2004年3月14日、ブラックウォーター社はリージェンシーホテル、ESS社を相手に、個別の保安業務に関して最低でも“2台の装甲車輌でESSの活動を支援する”と指定する契約を交わした。しかしブラックウォーター社は、契約書の中から“装甲”という文字を削除して、150万ドルを節約することにした。

この件が思いがけない事態を生んだ。ブラックウォーター社から4人の職員がファルージャに派遣された際、2台の車輌は暴徒に襲われた。4人は殺害され、バラバラにされた死体が橋にぶら下げられた。この事件は、ブラックウォーター社の人気を害するどころか、米軍の支援を得ることにより同社の業績を証明することになった。マーク・キミット陸軍准将は明言した:「俺たちは戻ってくる・・・犯罪者どもを仕留めてやる・・・徹底的に、圧倒してやる。」その結果、米軍はほとんど街を破壊してしまった。

殺害された4人の遺族は原因究明のためにブラックウォーター社を訴えることにしたが、その状況でさえ同社は利益をはじき出そうとしている。先週金曜日、ブラックウォーター社は死亡した4人の遺産に対し1,000万ドルの賠償請求を起こした。遺族側の弁護団によれば、「遺族を黙らせて法廷から追い出す」ための訴訟ということだ。

まあ、そういうわけで、イラクで金を稼ぐとなると、我々が想像するよりもはるかに多くの手法があるのだ。ブラックウォーター社のような企業は、それを示してくれる。
(以上)

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