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2007/07/09

2008年大統領選挙:無党派層の動向

朝日新聞社と東京大学の共同有権者調査によれば、2004年度参院選挙で民主党に投票した4人に1人が2005年度衆議院選挙で自民党に投票し、2005年度衆議院選挙で自民党に投票した4人に1人が、今年の参議院選挙で自民党に投票しないと回答しているという。

日本の選挙では「自民党と民主党の間を揺れ動く」浮動票が選挙結果を大きく左右する。米国流に言えば、この層は“スイング・ヴォーターズ(swing voters)”と呼ばれる特定の政党に拘らない無党派の有権者達だ。最新の世論調査によれば、現在の米国では、有権者のおよそ3割(男性の31%、女性の23%)が自身を無党派と申告しているという。日本と同じく米選挙業界でも、この無党派層が2008年大統領選挙においてこれまで以上に重要な役割を果たすとみられている。

無党派層の政治意識はどのようなものか?ワシントンポスト紙の特集記事によれば、無党派層は2004年大統領選挙でケリー派とブッシュ派に分裂したが、2006年議会選挙では圧倒的に民主党に流れ(無党派の57%が民主党、39%が共和党候補に投票)、現在に至るも無党派層の過半数は民主党に傾倒しているという。しかし一方で、無党派層の多くは2大政党政治に疑問と不満を感じており、77%が2008年大統領選では独立派候補への投票も真剣に考慮すると回答している。

また、無党派層の3人中2人がイラク戦争を「戦う価値なし」と考え、5人中3人はイラクで勝利できなくともテロとの戦いに勝利できると思っている。

現在民主党支持者の過半数は女性で、共和党支持者は男女均等だが、無党派層の過半数は男性が占めている。2大政党支持者に比較すると無党派層は総じて世俗的で、5人に1人は無宗教であるという。

無党派層は総じてヒラリー・クリントンにネガティブで、バラク・オバマとエドワーズには好感を持ち、出馬が噂されるアル・ゴアへの関心は低い。一方で共和党候補ではジュリアーニとマケインは許容するが、ミット・ロムニーとフレッド・トンプソンには総じてネガティブだ。

無党派層の過半数がマイク・ブルームバーグ支持を考えているが、逆に無党派層の1/3は支持しないと回答している。1992年にロス・ペローを支持した層はブルームバーグ支持に移行するとみられている。

さらにポスト紙の分析によれば、無党派には政治意識別に以下の5つの類型が存在するという。(source:ワシントンポスト紙・カイザー家族財団・ハーバード大学の合同世論調査

Typesofpoliticalindependents_1


浮遊派(Disengaged)24%
・政治への関心が薄く、有権者登録をしていないことが多い。
・2大政党政治を支持し、政府を信頼している。
・この層には概して若者が多く、浮遊派の40%が30歳以下。
・現状肯定派。
・概して政治活動に消極的なので、選挙への影響は少ない。

偽装無党派(Disguised Partisans)24%
・無党派と主張するが、2大政党のどちらかになびいていて、隠れ民主党支持者、隠れ共和党支持者に分かれる。
・現状の政治に否定的。
・政治に関する関心が極めて高く、政治情報をブログで入手する率が最も高い。
隠れ民主党支持者(反戦層)15%
・イラク戦争反対派(戦争する価値があるという回答はわずか7%)。
・民主党支持者以上にブッシュ政権への敵意が強く、およそ6割はブッシュ政権に「怒り」を感じている。
・2008年は民主党候補に投票するが、大半が無党派候補への支持も考えている。
隠れ共和党支持者(賛戦層)9%
・半数以上が妊娠中絶に反対し、64%がイラク戦争に価値があると回答。
・現状最大の政策課題は移民問題で、違法移民は即刻強制送還すべきと考える。
・合衆国史上最高の指導者はレーガン大統領と思っている。
・2008年度は共和党候補に投票するが、大半が無党派候補への支持も考えている。

幻滅派(Disillusioned)18%
・2大政党政治に9割が否定的。
・現在の政治状況全般に強い不満があり、7割が「怒り」を感じている。
・57%が「ブッシュは史上最悪の大統領」と考えている。
・過去には支持政党があったが、現在では民主・共和両党にたいした違いはないと感じている。
・宗教への関心が低く、半数は中年以上(40歳以上65歳)の世代である。
・政治課題は(1)イラク戦争(2)政治腐敗(3)医療危機
・2008年大統領選では総じて民主党候補を支持するが、ブルームバーグ、チャック・ヘーゲルなど独立派候補への関心が高い。
・およそ半数が、ヒラリーとジュリアーニには絶対に投票しないと回答している。

熟考派(Deliberators)18%
・伝統的浮動層(2004年はブッシュ支持、2006年は民主党支持)。
・2大政党政治に満足している。
・宗教への関心が高く、従軍経験者が身近に居る。所帯持ちが多い。
・候補者の人格や争点を中心に候補者を選択する(政党は無関係)。
・総じて保守的だが、現在多数が民主党に傾倒している。
・イラク戦争では賛成・反対で二つに分かれる。
・経済を含め、アメリカの将来について楽観的。
・半数近くが妊娠中絶に反対。
・医療費の抑制を求めている。
・民主党に傾倒してもヒラリーには投票しない。
・共和党に傾倒してもミット・ロムニーやフレッド・トンプソンよりはジュリアーニやマケインに投票する。

超党派(Dislocated)16%
・社会面ではリベラル、経済面では保守。
・2大政党政治には否定的。
・政治への関心が高い。
・2/3が男性で、宗教への関心が最も低く、3割は無宗教で半数は宗教行事に全く参加しない。
・政治情報をインターネットで取得する割合が高い。
・3人に1人はリバタリアン(libertarian)を自認しており、46%がプログレッシブ(progressive)を自認している。
・2008年大統領選では総じて民主党寄りだが、無党派候補にも関心が高い。

ワシントンポスト紙の分析では、無党派層のうち共和党が取り込めるのは、9%を占める隠れ共和党支持者と18%を占める伝統的浮動層ということになるが、ポスト紙の類型から伺えるように、この層は宗教右派層と重なっている。しかし現在、宗教右派は共和党のために票をまとめるリーダーが不在だ。この分野で最大の大物であるジェリー・ファウエルは死亡し、パット・ロバートソンは相次ぐ失言事件で同業者からも疎まれている。ブッシュ大統領の宗教アドバイザーを務めた福音派の大物テッド・ハガードは薬物乱用と男性スキャンダルで地位を失った。宗教右派の若手リーダーだったラルフ・リードはジャック・エイブラモフ事件で失墜した。(宗教右派の弱体化・無神論派の増加を象徴するかのように、現在米国では宗教全般を批判する書籍が相次いで刊行され、いずれもベストセラーになっている。)おまけに、現在の共和党には資金力と福音派の信仰心という両条件を満たす候補者がいない。マケインはキリスト教右派因縁の敵で、ジュリアーニは浮気者で家庭崩壊の象徴、ロムニーはモルモン教徒だ。

かつてブッシュ政権を熱烈に支持し、軍事行動に積極的だった福音派・キリスト教右派も、現在ではイラク戦争反対、拷問反対など民主党寄りの主張をする派閥も活発化し、もはや全て共和党支持という状態でもなくなったといわれる

以上の事情から、無党派層でも共和党不利の情勢は揺るがないが、政策課題別に意識調査を見ると、無党派層では、今のところテロ対策に関してのみ共和党側を評価しているらしい。今後は、テロ事件の発生状況が米国大統領選挙の行方に影響を与える可能性がある。

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