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2007/10/22

2008年アメリカ大統領選挙:最新選挙資金動向

米連邦選挙管理委員会(FEC)は、2007年10月15日付けで最新の大統領候補者選挙資金報告を公開した。そこで、第三四半期(2007年7月1日から9月30日)締め後の候補者別の数字を以下に一覧表にまとめてみた。まずは民主党から:

民主党候補者選挙資金情勢(2007年9月30日末時点)
候補者名資金総額総支出額手持ちの現金第三四半期集金額
ヒラリー・クリントン$90,935,788$40,472,775$50,463,013$26,082,347
バラク・オバマ$80,256,427$44,169,236$36,087,191$20,419,020
ジョン・エドワーズ$30,329,152$17,932,103$12,397,048$6,987,596
ビル・リチャードソン$18,699,937$12,878,349$5,821,588$5,229,967
クリス・ドッド$13,598,152$9,723,278$3,874,874$1,467,093
ジョー・バイデン$8,215,739$6,329,324$1,886,340$1,723,356
デニス・クシニッチ$2,130,200$1,803,576$327,094$1,010,963
マイク・グラベル$379,795$362,268$17,527$130,598

民主党トップ、ヒラリー・クリントンの選挙資金総額は早くも100億円を超え、勢いは現在も続いている。彼女を追うバラク・オバマとジョン・エドワーズはヒラリーの議員活動や政策への批判を強めているが、資金面だけ見れば、ヒラリー優位はこのまま揺らぐことがないだろう。(アル・ゴアが出馬すれば状況は一変するが、ゴア本人は現在も出馬にかなり否定的・・・)

2007年7月から9月にかけて、ヒラリー陣営は2,608万2,347ドル(約29億8,877万6,142円)もの献金を集めているが、ヒラリーの夫ビル・クリントンの集金額は同時期(2003年第三四半期)に1,032万1,501ドル(約11億8,274万799円)。集金能力でみれば、妻のほうが上ということだ。実際ヒラリーは、あらゆる業界から金を集めることができる稀有な候補者だ。企業ロビイストやPR業界人を選挙スタッフに抱えたおかげで、モンサント社に代表されるアグリビジネスも、製薬業界も医療保険業界も、皆が競ってヒラリーに投資している。大企業では従業員を動員してヒラリーに上限一杯まで個人献金させ、献金額全額を会社側が従業員に払い戻すという違法スレスレの活動をしているところもある。

概して共和党寄りと言われてきた軍需産業界からの献金額でも、ヒラリーはトップを走っている。イラクからの米軍撤退を否定し、イラン攻撃に積極的な発言を繰り返した成果が、早くも数字となって現れているらしい。(ヒラリー陣営の好戦的な外交姿勢を主導するアドバイザーはマデリーン・オルブライト元国務長官。オルブライトは“イランとの戦争を除外すべきでない”と主張している。生まれ故郷チェコでは彼女を次期大統領に推する動きもあるようだ)

ヒラリーの選挙参謀を務める人物も一流のビジネスコンサルタントで、悪名高き軍事傭兵企業ブラックウォーター社に議会対策を施した企業の関係者として評価が高い(ヒラリー攻撃を強めるジョン・エドワーズはさっそくこの件でヒラリー陣営を批判したが、彼自身の選挙スタッフもイラク戦争で巨額の利益を得た軍需利権大手グローバル・ストラテジー・グループの関係者だ。)

ところで、ジョージ・W・ブッシュは二期目を目指していた2003年の同時期に5,006万4,633ドル(約57億3,690万6,295円)もの献金を集めていた。ブッシュ・ファミリーから見れば、クリントン・ファミリーはまだまだ規模が小さいのである。(source:FEC

次に、共和党陣営の情勢を以下に見てみよう:

共和党候補者選挙資金情勢(2007年9月30日末時点)
候補者名資金総額総支出額手持ちの現金第三四半期集金額
ミット・ロムニー$62,829,069$53,612,552$9,216,517$9,533,269
ルディ・ジュリアーニ$47,253,521$30,603,695$16,649,826$11,253,552
ジョン・マケイン$32,124,785$28,636,157$3,488,628$5,466,904
フレッド・トンプソン$12,828,111$5,706,367$7,121,744$12,717,993
ロン・ポール$8,268,453$2,824,786$5,443,667$5,204,218
サム・ブラウンバック$4,235,333$4,140,660$94,654$804,902
トム・タンクリード$3,538,244$3,458,130$110,079$747,539
マイク・ハッカビー$2,345,798$1,694,497$651,301$1,031,679
ダンカン・ハンター$1,890,873$1,758,132$132,742$486,337
トミー・トンプソン$1,162,407$1,161,827$580$195,725
(サム・ブラウンバック、トミー・トンプソンは脱落済み)

共和党側の資金トップはミット・ロムニーだが、この人は自らの個人資産を選挙活動に大量投入し、テレビCMを派手に流して金を使いまくっている。報道によれば、今年だけでミット・ロムニーは個人資産から1,740万ドル以上(約19億9,386万円)を選挙活動につぎ込んでおり、来年までに個人資産をさらに投入して、今以上にテレビCM攻勢をかけて共和党指名を獲得する意気込みであるという。「ロムニーの最大の支持者はロムニー」と政界で揶揄されるのも頷ける。(フレッド・トンプソンへの中傷キャンペーンも仕掛けているらしい

だが、9月末の時点でロムニー陣営の資金残高は900万ドル少々、一方で共和党最大のライバル、ルディ・ジュリアーニは1,600万ドル以上を残して、献金パーティも活発化させている。総合的な政治資金能力では、おそらくルディ・ジュリアーニがトップになるだろう。

ヒラリーv.sジュリアーニ?

9月末に実施されたワシントンポスト紙・ABC放送共同世論調査によれば、民主党でヒラリー、共和党でジュリアーニが指名された場合、ヒラリー支持が51%、ジュリアーニ支持が43%となっている。無党派層の支持率を見ると、ヒラリーの48%に対しジュリアーニが44%で接戦だが、ポスト紙によれば共和党支持を自認する人の比率は2000年以来最低レベルに落ち込んでいるらしいので、ジュリアーニが一般投票で勝利する可能性は低いと言わざるをえない。

しかしここで考慮しなければならないのが、“イスラエル・ファクター”だ。イスラエル紙Haaretzが主催するアメリカ大統領選挙候補者ランキングでは、今のところトップがジュリアーニ、ヒラリーは2位である。


金で買えるライバル候補

目下のところ、ヒラリー陣営最大の障害は、2008年度大統領選で最初の試練となるアイオワ州党員集会だ。アイオワ州の民主党支持層はヒラリーをあまり好きでないというのである。ワシントンポスト紙の取材に対して、アイオワ州民主党員はヒラリーを「ご都合主義」「一般投票で勝てない」などと総じてネガティブに評している。

しかしそれでも、ヒラリー陣営にはアイオワ州で支持を獲得する秘策がある。

2006年12月、次期大統領選挙にもっとも早く出馬を宣言した前アイオワ州知事トム・ビルサック(民主党)は、わずか3ヶ月で選挙戦から離脱した。3ヶ月の選挙活動で40万ドルの借金を抱えたアイオワ州の民主党重鎮ビルサック陣営に対し、ヒラリー陣営の対応はスピーディだった。借金の肩代わりを申し出て、ビルサック夫妻の支持を取り付けたのだ。アイオワ州の支持者に宛てた手紙の中で、トム・ビルサックは書いている。「(妻の)クリスティと私は、ヒラリーがアイオワ州党員集会や他州で民主党の推薦を獲得し、2008年度にホワイトハウス入りできるように、今後10ヶ月間かけて支援します。」

“民主主義の帝国”アメリカ合衆国においては、選挙は戦争と同じく投資ビジネスだ。支持者を説得するよりも、金で買ったほうが簡単で早い。ヒラリー・クリントンは、まさしくそのようなアメリカ民主主義を体現する大統領になれるかもしれない。

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