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2008/01/01

パキスタン・ブット元首相暗殺事件:早々に暴かれた隠蔽工作

2007年12月27日午後5時、パキスタン首都イスラマバード近郊のラワルピンディで遊説中のベナジル・ブット元首相が、観衆の中に居た暗殺者の銃撃を受け死亡、さらにその直後に発生した自爆テロと思われる爆発で、遊説に集まっていた人のうち約20人が死亡し、他にも大勢が負傷した。

ブット元首相狙撃犯人

ブット元首相を銃撃した犯人の映像。銃撃犯のそばに立つ白いショールを被った人物が自爆犯とみられている。(source:英BBC

事件当時、ブット元首相は防弾ランドクルーザーのサンルーフから身を乗り出して、支持者に手を振っていた。すると車輌左側から近づいてきたサングラス姿の若い男が、オートマチック銃でブット氏に向かって発砲し、被弾したブット氏は車内に倒れた。銃撃は3発で、同乗していた側近や、多くの観衆が、ブット元首相が頭部に銃撃を受け、出血しながら倒れた姿を目撃している

現場に居合わせた目撃者らの証言によれば、パキスタン政府側の保安要員たちは会場警備をサボタージュし、いつの間にかブット元首相の傍を離れていたという。

パキスタン陸軍と統合情報局(ISI)の拠点であるラワルピンディは、最近ではテロ事件が頻発する危険な場所になっている。2007年11月には、軍情報部要員の乗ったバスが、同地の複合軍施設であるハムザ・キャンプ入り口に入る直前に、爆弾を搭載した乗用車が突っ込み、軍関係者15人が死亡しており、さらにその直前には、ハムザ・キャンプから数マイル離れた陸軍本部施設前で自爆テロがあり、犯人は死亡、軍関係者3人が負傷している。


杜撰な隠ぺい工作

暗殺直後の夜、パキスタン内務省の或る広報担当者は「自爆テロリストの銃撃により、首に被弾したのが原因で死亡した」と国営パキスタン新聞に話した。一方で、病院側の医者が取材者側に当初語ったところでは、「ブット氏は頭部に爆弾の破片を受けて死亡した」と説明されていた

ところが事件発生の翌日、内務省のジャフード・イクバル・チーマ報道官は記者会見を開催し、ブット氏の死因について、爆風によって車輌のサンルーフ操作レバーに頭を打ち付け、頭蓋骨を骨折したのが死亡原因であると説明し、自爆犯の銃撃が死因との見解を撤回した。チーマ報道官によれば、銃撃犯は3発発砲したが、ブット氏は被弾しなかったということだった。報道官は記者会見上でブット氏の頭部レントゲン写真を公開し、対応した医者も「ブット氏の頭部に銃創はなかった」と証言した。

しかし、遊説に同行し、車輌にも同乗したブット氏側近の話によれば、彼女は頭部と首に被弾し出血していたという。また、ブット氏が運び込まれたラワルピンディ総合病院の役員アサー・ミナラー氏が、ブット氏の手術状況を記した内部報告書を、地元紙とNYタイムズ紙宛てに送付している。ミナラー氏によれば、治療を担当したムサディク・カーン外科主任医師は、治療当夜にブット氏の死因を「銃撃による負傷が原因」と説明していたという。カーン医師本人はミナラー氏を通じて地元記者に「私は政府の病院に勤務しているので政府の説明に沿わないと復讐が怖い」と本音を吐露したという

内部報告書

公開されたラワルピンディ総合病院の報告書(PDF

政府発表に疑惑を持つ人々は死因の再調査を求めているが、遺体の司法解剖については、地元警察が拒否したほか、ブット氏の夫が「死んだ妻に対する冒涜」として拒否しているとの情報が流れている。

30日には、英国テレビ放送Channel 4が、暗殺の瞬間を捉えたかなり鮮明なビデオをオンエアした。政府発表の信頼性を否定する「決定的証拠」とも言われるそのビデオには、銃撃犯が発砲し、ブット元首相の頭部が銃撃のショックで揺れる場面がはっきりと映し出されている。

ビデオに映る銃撃犯人は、ふち無しサングラスを着用し黒髪はきちんと短めに整髪され、髭もない。黒の袖なしジャケットにカラーのかなり大きな白いシャツを着用、さらにアスコットスカーフのようなものを巻いているように見える。NYタイムズ紙の解説によると、「盛装した諜報部員を彷彿とさせる外観」だが、アルカイダや他の民兵も、西欧風の服装を好むという。

またビデオでは、銃撃犯の後ろに、白いショールを被った人物(パシュトゥン人の民族着と説明されている)が付き添っており、この人物が自爆犯であると、地元のドーン紙は伝えている。


1月2日追加:1日夜、パキスタン内務省は、ブット元首相の死因について、前回の公式見解である「サンルーフ衝突」説を撤回し、法医学上の調査が済むまで公式発表を控えると説明した。(CNN報道) 事実を隠蔽しているとの批判に対しては「パキスタン国民に対して何かを隠そうなどという意図はない」と内務省側は反論している。また、地元の各メディアを通じて、暗殺の瞬間映像に登場した二人のテロリストについての身元情報を提供した者に対し、賞金500万ルピー(約902万1,620円)を与えると発表している。

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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080120-00000073-mai-int 記事は毎日新聞から http://mainichi.jp/select/world/asia/news/20080121k0000m030096000c.html  【ニューデリー栗田慎一】パキスタンのベナジル・ブット元首相暗殺事件で、「暗殺実行グループの後方支援役... [続きを読む]

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