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2008/09/14

「パンドラの箱を開けたのは誰だ」CNNのプーチン首相独占インタビュー

2008年8月28日木曜日、黒海に面したロシアのリゾート地であり、2014年の冬季オリンピック開催予定地でもあるソチを訪問中のロシア首相ウラジミール・プーチンに、CNN特派員マシュー・チャンスが独占インタビューを行った。今回はCNNサイトに掲載されたインタビュー内容全文以下に翻訳した。(CNNのインタビュー映像リンク

ロシア首相ウラジミール・プーチン

CNNのインタビュー中、プーチン首相はロシア、グルジア及び南オセチア自治州の歴史的経緯について詳細に説明し、米国への経済制裁(実効性は疑問)を示唆している。また、G8(主要国首脳会議)から除外される可能性については、「インドと中国が参加しない経済会議など意味がない」と一蹴、さらにきわめて率直にアメリカ批判、特にメディア工作批判を展開している。

また、インタビューの中でプーチン首相は、8月7日に勃発したグルジア紛争は、2008年大統領選挙における政策課題にするために、米政府が画策した疑いがあると批判した部分が話題になった。この疑惑については、米国側は武器支援だけでなく、紛争勃発の直前にもグルジア国内で同国特殊部隊に軍事訓練を行っていた事実が、英フィナンシャル・タイムズ紙の調査報道で暴露されている。(米軍側は、グルジア軍特殊部隊を訓練した目的は、アフガニスタンのNATO軍治安活動に参加させるためと説明している)

報道によれば、米国防総省は、グルジア軍訓練業務を民間軍事企業MPRI社とアメリカン・システムズ社に委託していたという。両社は2008年1月から4月にかけて、米軍特殊部隊出身者15人からなる教官チームをトビリシに派遣、グルジア特殊部隊向けに“特殊部隊用基礎訓練”を行い、さらに8月11日から70日間の第二期訓練を実施する予定であった。両社の訓練担当者が現地に到着したのは8月3日で、グルジア軍が南オセチアへの攻撃を開始したのは8月7日。これは、米政府がグルジア紛争を直接扇動しているというプーチン露首相の主張を裏付ける事実のひとつといえる。

なお、米CNN放送は、プーチン首相との30分独占インタビューというスクープをモノにしながら、その発言内容をブツ切りにして報道したため(プーチン首相の話は米側に都合の悪い部分が多かった)、クレムリン側は激怒しており、CNNモスクワ支局スタッフ向けビザ延長を認めないなどの懲罰措置を行うとの噂が広がっている。ロシア国内ではCNNインタビューは全編放送されたらしい

マシュー・チャンス(質問者):
「世界中の大半の人々は、すでにロシア大統領でなくなったあなたのことを、ロシアの意思決定を担う人物とみています。ロシア軍のグルジア侵攻を命令したのはあなたであり、その結果責任を担うのもあなたではありませんか?」
ウラジミール・プーチン:
「むろん、それは事実ではない。ロシア連邦憲法に基づき、外交政策及び国防政策は大統領の手中にある。ロシア連邦大統領はその権限に基づいて行動したまでだ。

すでに知られているように、私自身も北京オリンピック開会式に参加していたのだから、(軍事侵攻の)決定に参加できるはずもなかったのだ。しかしながらもちろん、当該事項に関する私の意見については、メドベージェフ大統領も知っている。率直に言って、この件に関して秘密は何もない。我が国はあらゆる事態を想定してきたし、グルジア指導者による直接攻撃も考慮にいれてきた。

事前に我々が考えたのは、南オセチアに住むロシア連邦市民とロシア治安部隊の安全確保だ。しかし、繰り返すが、そうした決定は軍の最高司令官及びロシア連邦大統領であるメドべージェフ氏にのみに委任されているのであり、それゆえ彼の下した決定なのだよ。」
マシュー・チャンス:
「しかし、国際社会に対するロシアの懸念について西側に真剣に考慮するよう要請してきたのがあなたであることも、秘密でもなんでもありません。たとえば、NATOの拡大や、東欧諸国へのミサイル防衛システムの問題などです。このたびの紛争は、同地域において権力の座にあるのが、NATOでもなく合衆国でもない、ロシアであるというデモンストレーションのひとつでは?」
ウラジミール・プーチン:
「もちろんそれは違う。さらにいえば、我が国はそのような紛争は望まなかったし、将来的にも望まない。

このような紛争が起きたのは、望まれないまま起きてしまったが、これは各国が我々の懸念を聞き入れなかったという事実によるものだ。

もっと一般的にいえば、マシュー、こうも言えよう。このたびの紛争はもっと大局的な視点で見るべきなのだ。

思うに、あなたの国や私の国の視聴者は、この地域の人民と民族集団についての関係をめぐる歴史的事情について学ぶことにほとんど興味がないだろう。人々はそうした事情をほとんど全く知らないのだから。

もし重要でないと思うのなら、この話は番組上カットしてもらってかまわない。気にしないから好きにしてくれたまえ。

だが、これら国々が、かつては自発的にロシア帝国に組み込まれていたことを思い起こしてほしい。18世紀半ば、1745年から1747年の間に、オセチアは初めてロシア帝国に加わった。当時は統一国家であり、北と南オセチアは一つの国だったのだ。

1801年に、私の記憶が正しければ、グルジアも、オスマン帝国からの圧力もあって、自発的にロシア帝国の一員になった。

それからほんの12年後の1812年、アブハジアもロシア帝国に加わった。それまでの同国は、独立国家であり、独立主権国家だったのだ。

南オセチアがティフリス地方(現在のグルジア首都トビリシ)に合併されると決定されたのは19世紀半ばにはいってからだ。同一国内の出来事であり、その件はあまり重要視されなかった。しかし、私が断言したいのは、それ以降オセチア人は合併を快く思っていなかったのだ。しかしながら事実上は、帝国中央政府により、現在グルジアとなる管轄区域に組み込まれた。

第一次世界大戦後、ロシア帝国が崩壊し、グルジアが独立を宣言するとオセチアはロシアに留まる選択をした。これは1917年の事件(ロシア革命)直後に起きたことだ。

1918年には、その帰結として、グルジアは酷く残忍な懲罰的軍事作戦を実施し、1921年にもそれを繰り返した。

ソ連邦が成立すると、これら領土は、スターリンの決定により、グルジアに譲与された。ご存じのように、スターリンは民族的にはグルジア人だったからだ。訳注1

それゆえに、オセチアが引き続きグルジアの領土であるべきと唱える人々は、スターリン主義者なのだ。そうした人たちは、ヨシフ・ヴィサリオノヴィチ・スターリンの決定を擁護しているのだ。

しかし、今当該地域で起きている出来事について、紛争に関わる諸国の動機はどうであれ、我々が今目撃している出来事は悲劇でしかない。

我々にとっては、特別な意味を持つ悲劇だ。何年もの間、我々は共にグルジア文化の中で暮らしてきた-歴史ある文化を持つグルジア人民は、疑いもなく他文化国家ロシアの一部になっているからだ。

今回の件は我々にとっては内戦の様相にさえ見える。もちろんグルジアが独立国家であるのは疑いようもない。我々は未だかつてグルジアの主権を侵害したことはないし、将来的にも侵害するつもりはない。それでもなお、100万人を超えるグルジア人が当地に移住している事実を鑑みても、我々があの土地と住民に対して特別に精神的なつながりを感じているのだ。我が国にとって、これは特別悲劇的な事件なのだ。

それから、これも断言するが、ロシア国民の多くは、戦死したロシア兵士を弔うのと同様、罪もなき市民たちの死も、死亡したグルジア人たちについても、哀悼の意を表しているのだよ。

失われた命に関する責任の所在は、このような犯罪行為をあえて実行したグルジア指導者側にある。

1人で長々と話して申し訳ない。興味がおありかと思ったのでね。」
マシュー・チャンス:
「あなたが当該地域におけるロシア帝国時代の歴史について話してくれるとは興味ぶかいことですね。というのは、ロシアによるグルジア介入の影響のひとつとして、かつてソ連邦だった国々が、次は自分たちの番ではないかと、再興するロシア帝国に併合される可能性について深く懸念しているからです。特に、ウクライナなどは、国内に多くのロシア人を抱えており、またモルドバなど、中央アジア諸国やバルト海沿岸諸国等も懸念しています。これらの国々に対してロシアが二度と軍事行動を行使しないと保証できますか?」
ウラジミル・プーチン:
「そのような質問の仕方には強く意義を唱えたい。どこかの国を攻撃しないと保証すべきなのは我が国ではない。我々はどこも攻撃していない。我が国を攻撃したり、我が国の市民を殺害することはないと保証せよと他国に要求できるのは我々の側なのだ。それなのに、我々は侵略者にされてしまっている。

8月7日、8日、9日に発生した一連の出来事を順番に振り返ってみよう。8月7日午後2時42分、合同平和維持軍本部に居たグルジア政府職員が本部から立ち去った。我が軍、グルジア軍、オセチア軍兵士の駐留する本部からだ。彼らは司令官からそうするよう命令されたということだ。戦闘開始に先立つ時間に、グルジア政府職員たちは我が軍兵士を本部に残して立ち去り、戻ることがなかった。それから一時間後、重火器による砲撃が始まった。

午後10時35分、南オセチア州都ツヒンバリで大規模な砲撃が始まった。10時50分、グルジア軍地上部隊が戦闘地域で展開開始。同じ頃、グルジア陸軍病院が近辺に設置。そして午後11時30分、同地区に展開するグルジア平和維持部隊司令官のクラシビリ陸軍准将が、グルジア共和国が南オセチアに対して宣戦布告を決定したと発表。彼らはそれを直接かつ公的に、カメラを見ながら発表したのだ。

ちょうどその頃、我々はグルジア指導者に接触を試みていた。しかしグルジア側は対応を拒否した。8月8日午前0時45分、クラシビリ陸軍准将は再度開戦を発表した。午前5時20分、グルジア軍の戦車部隊がツヒンバリに砲撃を開始。それに先だってGRAD(多連装ロケットシステム)による大規模攻撃があり、我々側の要員に犠牲者が出始めた。

その時、ご存じのように、私は北京にいて、合衆国大統領と会話の機会を得た。私は大統領に直接、グルジア指導者と連絡がとれず、グルジア軍司令官が南オセチアに宣戦布告したと説明した。

ジョージ(米大統領)は-すでにそのことは公にしているが、誰も戦争を望まないと私に答えた。我々は合衆国政府が紛争に介入し、グルジア指導者の攻撃姿勢を止めさせるものと期待した。ところがそうならなかった。

さらに、現地時間で正午になると、グルジア軍部隊がツヒンバリ南部の平和維持軍基地を占拠し、我が軍兵士は都市中心部に撤退を余儀なくされた。グルジア軍側は我が軍の6倍の兵力だった。さらに、我々の平和維持軍は重火器を所持しておらず、保有していた兵器も最初の砲撃で破壊されてしまっていた。そうした攻撃で10人が一度に殺害された。

その後、北部基地の平和維持軍に対する攻撃も開始された。ここで、我が軍の参謀の報告書を引用すると:"午後12時30分時点で、市北部に配備されたロシア連邦平和維持軍は5度の攻撃を撃退し、戦闘を継続中”。

その頃、南オセチア中心部の戦闘地域外にある町Dzhavaをグルジア航空機が爆撃し始めた。

さて、攻撃したのは誰だ?攻撃されたのは?我々には攻撃の意図はなかったし、戦争に突入するつもりなど毛頭なかったのだ。訳注2

私が大統領だった8年間にも、しばしば同じような質問を受けた。ロシアは世界のどこを占めるのか。ロシアは自国をどうみているのか。どんな場所なのか?我が国は平和を愛する国家であり、隣国及び各国との協力を希望する。しかし、もしも我が国に侵攻し国民を殺害しようと意図する者がいるならば、その者らはそうした政策が彼ら自身にどのような結果をもたらすのか考慮すべきだろう。」
マシュー・チャンス:
「あなたはロシア大統領在任中、そして今でも、合衆国大統領ジョージ・W・ブッシュと個人的に緊密な関係にありますが、今回の件で合衆国大統領がグルジア軍を制止できなかったことで、その関係が傷ついたのでは?」
ウラジミル・プーチン:
「今回の件は間違いなく我々の関係を損なったが、なによりも両国政府の関係を傷つけることになった。

しかし、それはただ単にアメリカ政府側がグルジア指導者の犯罪的行為を制止できなかったということにはとどまらない。アメリカ側は事実上グルジア軍に武器を与え、訓練してきたのだ。

民族紛争解決のために包括的妥協解決手段を模索すべく、困難な交渉に何年も費やすのはなぜか?どちらか片方に武器を与えて他方を殺すよう扇動して済ませればいい。一見すると簡単な解決法だ。しかしながら実際には、いつもそう事が運ぶとは限らない。

私にはほかにも考えがある。私の言おうとしていることは仮定上のことで、いくらか想定していることであり、きっちりと解明するには時間がかかるだろう。しかし、思考する余地はある。

冷戦時代の頃であっても、ソ連と合衆国は激しく対立したが、我々は常に両国市民の間で、もっとはっきりいえば、両国軍同士の直接的な衝突を避けてきた。

我々には合衆国市民が今回の戦闘地域に駐留していたと信じるに足る重大な根拠がある。そうした場合、もしも事実が確認されたなら、非常に良くないことだ。きわめて危険だ。それは誤った政策だ。

しかし、もしそうであれば、一連の出来事はアメリカ国内の政治情勢という面もあるのかもしれない。

もしも私の推定が立証されるとしたら、合衆国の一部の人々が、合衆国大統領選挙で一方の候補者を競争上優位に立たせるために、状況を悪化させるべく今回の紛争を故意に作り出したと疑う素地はある。その場合、これは国内政治における行政手段を、考え得る最悪な様式に用い、流血の事態を引き起こすに至ったことになる。」
マシュー・チャンス:
「それは驚くべき主張ですね、念のためにお聞きしますが、首相殿、あなたは、戦闘地帯にグルジア軍を補佐する米国政府側要員が存在したと示唆するだけでなく、合衆国大統領選挙の候補者に話題を提供するために、紛争を引き起こすよう挑発したとおっしゃるのですか?」
ウラジミル・プーチン:
「説明しよう。」
マシュー・チャンス:
「もしそうであれば、どのような証拠があるのですか?」
ウラジミル・プーチン:
「すでに言っているように、もしも合衆国市民が戦闘地域に存在すると確認されたならば、意味するものはただひとつだ。合衆国政府指導者の直接命令でそこに居ることになる。そうであれば、戦闘地域で合衆国市民が任務を遂行しているということだ。それができるのは、上司の命令があるからで、自発的にやっていることではないだろう。

一般の専門家であれば、軍人を訓練するとすれば、戦闘地帯ではなく、訓練施設か訓練場でやるべきだ。

繰り返すが、これにはさらなる確認が必要になる。あなたに言ったのは、我が軍の報告を引用したに過ぎない。もちろん、さらなる証拠を捜すつもりだ。

ところで、なぜ私の仮説にそんなに驚くんだね?中東の問題がある。紛争解決の目途はたたない。アフガニスタンでは、事態は全然良くならない。さらに、タリバンが秋に総攻撃を開始すれば、NATOの兵士が大勢死ぬことになる。

イラクでは、勝利の陶酔が過ぎてからは、そこら中で問題が発生している。戦死者数は4000人を超えた。

(米国の)経済にも多くの問題があることは、誰もがよく知ることだ。財政問題に、住宅抵当危機。我々すら懸念しているし、早く解決してほしいと思うが、今も問題のままだ。

アメリカには少々の戦勝が必要なのだろう。それがうまくいかないとなれば、我が国に責任を負わせて、我が国を敵国イメージに仕立てて、またしても愛国主義を背景に国中を特定の政治勢力に結集させようとするのだ。

私の話にあなたが驚いたのは私にとって驚きだ。事態は明々白々ではないか。」
マシュー・チャンス:
「私には少々突飛に聞こえますね。しかし興味ぶかい。というのも、私は紛争の最中にグルジアにいたんですが、そこでは噂が飛び交ってました。米国政府の要員が戦闘地域で拘束されたという噂もありました。その噂は事実でしょうか?」
ウラジミル・プーチン:
「それに関する情報は聞いていない。私見では、それは間違いだろう。

繰り返すが、戦闘時に紛争地域でアメリカ市民が居たことを確認できるさらなる情報を軍に要求するつもりだ。」
マシュー・チャンス:
「今回の紛争に関する外交上の影響に話を戻しましょう。そうした影響のひとつに、少なくとも多くの国々が対ロシアで行動する恐れがあります。主要先進国首脳会議(G8)から除外される可能性もあります。NATOとの軍事提携が中断される恐れさえあります。ロシアと西側諸国の緊張関係の結果、仮にロシアが外交上孤立する事態になった場合、ロシア側はどう対応されるつもりですか?」
ウラジミル・プーチン:
「まず第一に、今回の紛争と米国内政治情勢における私の推定が正しかった場合、合衆国の同盟諸国がアメリカ大統領選挙において片方の陣営を応援すべき理由が見あたらない。総じて、アメリカ国民に対して公正な立場ともいえないだろう。しかし、可能性は除外できないので、以前にも起きたとおり、合衆国政府は再び同盟国を従属させるかもしれない。

ではどうすべきか?我が国の選択肢は?主要8ヶ国首脳会議にとどまるために、殺され続けることに同意すべきか?もしも我が国全員が殺されてしまったら、いったいどの国が首脳会議にとどまるというのだ?

あなたはロシアの脅威の可能性について述べたが、あなたと私はいまここに座り、ソチで静かに会話をしている。しかしここから数百キロ先では、合衆国海軍の船舶が、ちょうど数百キロの射程を持つミサイルを積んで、接近してきている。我が軍の船舶があなた側の港に接近しているのではなく、あなた側の船舶が我が国の領域にやって来ているのだ。さて、我が国の選択は?

我々は複雑な事態は好まない。誰とも口論するつもりはない。誰とも闘いたくはない。我々が望むのは、通常の協力関係と、我が国やその利害に対する尊厳ある態度だ。望みが多すぎるとでもいうのか?

あなたはG8に言及しているが、現在の形では、G8はすでに十分な影響力を持たない。中国やインドを招待せず、その両国に相談もせず、影響も及ばずして、世界経済の発展は不可能だろう。

あるいは、対ドラッグ戦争はどうだろう?伝染病対策は?対テロ戦争、核不拡散活動はどうか?いいかね、もしどこかの国がロシアの参加なしにそれらをやろうとしたら、いったいどれくらい効果的だというのかね?

そういう考え方はすべきではないし、誰かを脅迫しようとするのは無意味だ。我々は何一つ恐れていない。必要なのは、互いの利害を満たすような正常な関係の発展を鑑みた、現状に対する現実的な分析なのだ。」
マシュー・チャンス:
「あなたの言うような協力関係における問題とは合衆国とロシア両国での問題ですが、特に物議を醸しているものにイランの核開発をめぐる課題があります。

もしも外交圧力によりロシアと西側諸国の関係がこじれた場合、国連での合衆国の取り組みに対する協力を撤回するとお考えなのですか?」
ウラジミル・プーチン:
「ロシアはこれまであらゆる問題に関して同盟諸国と首尾一貫して誠実に取り組んできた。私の言ったような問題や、あなたの言うような問題に関してもだ。我々がそうしたのは誰かに頼まれたからではなく、諸外国の前で格好をつけたかったわけでもない。我々がそうするのは、一貫して国益に沿っているからであり、当該地域についても、我が国の利害とヨーロッパ諸国、さらに合衆国の利害は一致している。もしも誰かがこれら地域の問題についてロシアと話し合うつもりがなく、ロシアの協力を必要としなくなるのであれば、どうぞご自分で解決してくれたまえ。」
マシュー・チャンス:
「エネルギー供給問題はどうするのですか?特にヨーロッパ諸国が、ロシアの天然ガスと石油への依存を強めているのは明らかです。ロシアが、そうしたヨーロッパ諸国へのエネルギー供給を圧力手段として用いることで、外交上の緊張がますます高まってきたのでは?」
ウラジミル・プーチン:
「我が国はそんなことをしていない。最初の天然ガスパイプラインの建設が始まったのは1960年代で、冷戦の真っ最中だったが、その頃からずっと、60年代から現在に至るまで、政治状況がどうであれ、一貫して確実にロシアは契約上の義務を履行してきた。

我々は決して経済関係を政治化しないし、アメリカ合衆国の首脳の姿勢には驚いている。彼らはヨーロッパ各地の首都に出かけていって、ロシア製品、たとえば天然ガス等を買わないように各国を説得している。経済領域まで政治化しようという、まったくもって驚くべき行動だ。実際、全くもって悪質といえる。

ヨーロッパ諸国が我が国のエネルギー供給に依存しているのは事実だが、我々だってガスを買う相手に依存している。持ちつ持たれつの関係なのだよ。それがまさしく安全保障というものなのだ。

経済の話が出たついでに、近い将来下される決定についての話もしよう。最初に言っておくが、それは紛争とはなんの関連もないことで、アブハジアや南オセチアの情勢にも関係ない。純粋に経済的事情によるものだ。なんのことか説明しよう。

ここしばらく、我々はアメリカ合衆国も含めて、様々な国々の様々な製品供給について話し合ってきている。もちろん、例によって、農産物に関する議論は非常に激しいものだ。

7月と8月に、我が国の衛生管理部が、アメリカ国内でロシア市場へ鶏肉を輸出している養鶏場の検査を行った。抜き打ち検査だったが、検査対象のうち19カ所で、2007年以来ロシア当局者が懸念してきた課題が無視されていたとわかった。これら養鶏場はロシアへの鶏肉供給業者リストから排除されるだろう。

29カ所の養鶏場は、近い将来、我が国の専門家が許容できないと判定した状況を改善すべきという警告を受けた。我々はこれらの問題が早期に解決され、米国側の工場が引き続きロシア市場に製品を供給できることを期待する。

そうした情報は、ロシア農務省から私の下へ報告があったばかりの出来事だ。

もう一度言わせてもらうが、こうした問題をひとまとめにはしたくない。紛争、政治、経済、食肉、これらはそれぞれ独自の局面があるし、無関係だ。」
マシュー・チャンス:
「プーチン首相殿、そうした話は、アメリカ合衆国側では、経済制裁と同等のものと受け取られかねません。ロシアへ農産物を輸出している工場19カ所で欠陥があるとおっしゃるのですか?」
ウラジミル・プーチン:
「まあ、私は農業の専門家ではない。今朝、ロシア農務大臣がそういう説明を私にしたんだ。

すでに言うとおりだが、もう一度繰り返す。今年7月と8月、ロシア市場に鶏肉を輸出しているアメリカ国内養鶏場に抜き打ち検査が実施された。その結果、2007年初旬にロシア側当局者が懸念していた問題が解決されておらず、以前の検査で指摘された欠陥についてなにひとつ改善されていない事実が判明した。それにより、ロシア農務大臣は当該工場を取引先リストから排除する決定をした。

それ以外の29カ所の養鶏場についても、問題が見つかっている。それら問題は完全に書面化されており、当初の契約どおりそれら工場がロシアへ製品の輸出を継続するために求められる改善事項についての指導内容も含まれている。我々は検査上指摘のあった問題が早急に改善されることを期待している。

検査でわかったのは、アメリカ国内工場の製品には、ロシアにおいて規制の対象となる物質が過剰に含まれていた事実だ。許容量を超える抗生物質と、ヒ素のような物質まで含まれていたのだ。私は関知しないが、農業専門家にとって懸念すべき事態なのだ。過去にもそうした事態への対策は何回か実施された。まだ壊滅的な事態にはなっていない。この問題には双方が共に取り組むべきなのだ。

さらに、ロシア農務大臣が私に電話した際、こう言った:"正直言って、どうすべきかわかりません。経済制裁のようにうけとられるかもしれませんが、決定しなければならないのです。もちろん、一時休止でもよろしいですが。”

我が国には独自の基準がある。ロシア市場に製品を輸出したいのであれば、基準には従ってもらう。皆わかっているはずだ。2007年にすでに話し合っているのだから。」
マシュー・チャンス:
「合衆国側はやりたがらないでしょう。」
ウラジミル・プーチン:
「我々の側だって、そういうことはやりたくない。彼らは我が国の農務省と緊密に協力する必要がある。以前にもそうしたことがあったのだ。

我が国が輸入を一旦停止し、再開したことがある。合衆国相手だけではない。ブラジルでもそういうことがあった。」
マシュー・チャンス:
「しめくくりましょうか・・・」
ウラジミル・プーチン:
「(インタビューを)まだ続けていいよ。私は急いでいない。」
マシュー・チャンス:
「プーチン首相殿、誰よりもまずあなたには、国際社会におけるロシアの威信を取り戻した功績があるでしょう。ソ連邦崩壊後、90年代の混乱を経験した後で、グルジアを巡る一件で、あるいは合衆国からの鶏肉輸入禁止の件で、そうした国際社会の名声を失ってしまう懸念はありませんか?」
ウラジミル・プーチン:
「まあ、すでに話したように、米国からの鶏肉輸入を全面的に禁止するわけではない。我が国の懸念に応えない一部の工場だけを禁輸するだけだ。我々は国内市場と消費者を保護しなければならないのだ。他のどの国でも、アメリカ合衆国を含め、そうしているのだから。

ロシアの名声については、これまでに起きている事態については気に入らないが、そもそも我が国が挑発したわけではない。名声といえば、一部の国々の名声が近年ひどく損なわれているのは事実だ。実際、近年では、アメリカの同盟国が、国際社会の法による統治ではなく、軍事力による統治を助長させてきている。コソボの件で我が国は空爆を制止しようとしたが、聞き入れる国はなかった。あのとき我が国は、だめだ、待てと言った。コーカサス地域で、我が国は窮地に立たされている。コーカサス地域の小国家に、なんと言えばいい?コソボは独立を果たしたのに、なぜここでは独立できない?我が国を馬鹿げた立場に立たせたのはあなた方だ。あの当時、国際法について言及する国はなかった。ロシアだけが国際法に訴えていた。ところが今、皆が国際法を思い出したというわけだ。どういうわけか、今では皆が国際法について話し始めている。

パンドラの箱を開けたのは誰だ?我々の側か?いいや、我々のせいではない。我々はそういう決定はしなかった。我が国の政策ではなかったからだ。

国際法では両方とも規定されている。領土保全の原則と、自決権だ。必要なのは、現場の基準に則した協定を締結するだけのことだ。今回の件では、最終的にそのようになると思っている。

起きつつある一連の出来事に対する一般大衆の認識については、もちろんこれは単に政治家たちだけに依存しているのではなく、巧妙に仕組まれたメディアと、それが世論に及ぼす影響力にかかっている。もちろん、アメリカ同盟諸国は、我が国よりもはるかにそれが得意なのだ。我が国も学ばねばならない。しかし、それは常に正確といえるだろうか?民主的といえるのか?そうした情報は常に公正で客観的だろうか?

思い出してみると、たとえば、私の理解する限りでは、合衆国在住の12歳の少女と彼女の叔母が、南オセチア自治州で発生した事態を目撃した件を話したインタビューの件がある。主要ニュースメディアのひとつであるフォックスニュースのインタビュアーは、少女の話の邪魔ばかりしていた。邪魔ばかりだ。少女の言うことが気にいらなくなるとすぐに、話を遮りだして、咳払いをしたり、のどを鳴らしたり、金切り声を上げたりした。インタビュアーに残された方法といえば、汚れたパンツを見せるくらいあからさまなやり方で話を中断させることだった。さすがにそこまではやらなかったが、比喩的に言えば、ほとんどそんな状態だった。あれが正直で客観的な報道の仕方かね?あれがアメリカ国内で国民に情報を伝える方法なのか?あれは偽情報ではないか。訳注3

我々は平穏な同意の下に暮らしたい。正常な通商関係を構築したい。あらゆる分野で協力したい。国際的安全保障分野でも、軍備縮小分野でも、テロ戦争にドラッグ戦争、イランの核問題、少々不安な傾向を見せる北朝鮮問題でも。我が国はそれらすべてについて用意があるが、正直かつ公明正大に、自国本意でなくパートナーシップの下に活動したいと思っている。

誰かを敵の立場に置くことは間違いだ。その敵によって自分の国民を脅したり、それを基に他国と同盟を組もうとするのもよくない。必要なのは公明正大に、正直に、問題解決を図ることだ。我が国はそれを望み、そうする用意がある。」
マシュー・チャンス:
「アメリカ合衆国が戦争を誘発させたという主張に戻りましょう。米国内の外交官たちは、ロシア側がアブハジアと南オセチアの分離主義者に軍備を提供し、領土内の軍隊を増派することで戦争を誘発し、分離主義者らの制度を承認することで基本的にゴーサインを出し、事実上行動させることになりました。紛争の原因を作ったのはロシア側なのでは?」
ウラジミル・プーチン:
「その質問に答えるのは簡単だ。1990年代、アブハジアと南オセチアの自治権をグルジア側が剥奪すると決定したことから紛争は始まっている。1990年と91年、グルジア指導部はアブハジアと南オセチアがソ連時代に謳歌した自治権を剥奪し、その決定直後から民族闘争と武力による敵対関係が始まった。その頃、ロシアは国際協定に調印しており、我が国は国際規則に準じていた。アブハジアと南オセチアには、協定で規定された治安部隊だけを駐留させて、制限を超えることもなかった。

あちら側は・・・グルジア側のことを言っているのだが、アメリカ合衆国の支援の下に、もっとも厚かましい形で協定の全てに違反したのだ。

内務省部隊という口実により、グルジア軍は秘密裏に紛争地帯へ兵士や正規軍、特殊部隊に重火器を送り込んだ。実際、彼らは南オセチア首都ツヒンバリを重火器と戦車で包囲していた。グルジア軍は我が国の治安部隊を戦車で包囲し、狙いを定めて攻撃してきたのだ。

我が軍に最初の犠牲者が出て、グルジア軍側の犠牲者が相当数出た後で、相手側が10人の戦死者を出し、我が国の治安部隊の15人から20人が殺害されて、市民に多数の死者が出てから、治安部隊と罪もない市民を守るために、メドベージェフ大統領が軍事部隊派遣を決定すると発表したのだ。

さらに、我が軍がツヒンバリに向かう途中、グルジア軍が密かに準備した要塞地帯を横切った。事実上、戦車と重火器が現地に投入されており、移動途中の我が軍兵士は砲撃を受けた。

これら全ては、以前の国際協定に違反する行為だ。

もちろん、米側同盟諸国がこれらの事実に気づいていないとも考えられるが、その可能性は非常に低いだろう。

完全に中立的な立場にある人物として、前グルジア外相ズラビシヴィリ氏・・・フランス国民でパリ在住とのことだが、彼女が公的に発言され報道もされているように、紛争地には大勢の米国人アドバイザーがいたと言っている。もちろん、米側は全部知っているはずだ。

戦闘地域に米国市民が居るという我々側の推定・・・繰り返すが、さらなる情報確認が必要だろうが・・・それが確認された場合、疑いは全くもって正当といえよう。

ロシアに対してそのような政策を推し進める者は、何を考えているのだ?我々の死だけを望むのか?」
マシュー・チャンス:
「ありがとうございました。」
ウラジミル・プーチン:
「どうもありがとう。」

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