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2008/10/20

イスラエル:モサド副官の娘が兵役を拒否

今回は、イスラエルで兵役を拒否し、軍刑務所に収監されている女性の話題を取り上げた英ファーストポスト誌の記事を以下に翻訳して掲載。

イスラエル情報部副官の娘の良心

イガル・サルナが、兵役を拒否して収監されたモサド副官の娘と会見

The First Post 2008年10月9日付記事

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オメア・ゴールドマンはとても美しく、モデルのように痩せた少女だ。落ち着かず、不安げな面持ちで、自由を奪われる予感に苦悩している。イスラエル国防軍への兵役義務を拒否する数ヶ月前に、彼女は精神分析医の下を毎週訪れ、今後の事態に備えた。彼女はまもなく軍刑務所に収監される。歌姫には狭すぎる鳥かごである。

9月、私はオメアに何度か会った。アパートで、他の良心的兵役拒否をした少女たちと一緒だった。1年前に卒業した高校の前で、彼女たちは共に、イスラエルによるヨルダン川西岸地区及びガザ地区占領に反対するチラシを配布していた。

オメアが市民的自由を得られる最後の日、イスラエル国防軍への2年間兵役任務命令を受けた新兵受入基地の門の前で、私は彼女に会った。彼女は徴兵を拒否し、裁きを受けまもなく収監されることになった。

十数人の支援者が現れた。『壁に反対する無政府主義者』のメンバー、彼女の母親、そして数人の友人。終わりの時を遅らせようとするかのように、オメアは支援者たちの傍に居た。これから彼女は独りで軍に立ち向かわねばならない。

オメアにとって、この転身はあまりにも険しく、他の良心的兵役拒否者たちよりもさらに驚かされる出来事となる。彼女は退任したモサド副長官の実の娘なのだ。彼女の父親はモサド長官になる寸前だった。

オメアは、今では友人というより敵となった広大な保安機関のぬくもりの中で育った。彼女の父親は新聞上では「N」として登場していた。彼は上級諜報将校から後にモサドに異動し、2007年にはモサドのメイル・デイガン長官の代理の座にまで昇格した。デイガン長官はイスラエル諜報機関で最も権力ある謎の人物と目されている。

イラン問題を専門とする「N」は、デイガン長官の後継者と目されていたが、デイガン長官は引退の素振りを見せない。強大な権力者である二人の間に意見の相違が生じて、「N」は2007年6月に辞任した。

その年、テルアビブ郊外ラマ・ハシャロンの裕福な家庭の娘であるオメアは、高校から陸軍入隊という通常の軌道から遠ざかり始めていた。

父親の葛藤とモサド退任に並行して、オメアは父親が用意した進路に反抗し、壁の向こうに出かけて、パレスティナ人の生活を知るようになった。これは思春期の反抗、あるいは家に居ない父親の心をめぐる闘争とでもいうものだろうか。

オメアは、2008年度12年生の手紙に署名した40人の高校生の一人だ。38年前、その最初の手紙が大騒動を引き起こした。1970年4月、私の中等学校最後の同級生たちが、当時の首相ゴルダ・メイアに宛てて、占領と消耗戦に反対する手紙を書いた。それ以来、他にも手紙は書かれてきたが、騒がれることもなくなった。しかしイスラエルでは、良心的参戦拒否は冷酷で独善的な憤りを想起させる。

オメアの話によれば、彼女の転身の契機は、イスラエル軍が防塞を設けたパレスティナ人の村に今年行った際の出来事だった。これまで生涯の敵とみなしてきた人たちが彼女を守る側に立ち、護ってくれるはずの人びとが彼女に銃を向けたのだ。

「道ばたでお喋りしていたら、兵隊たちがやってきて、まもなく命令があって、彼らはガス弾やゴム弾を私たちに向かって撃ってきたんです。心底驚いたのは、兵隊たちが何も考えることなく命令に従ったことです。人生で初めてのことでした。イスラエル兵が私に武器を向けて撃ってきたんです。」

父親には話した?

「父は驚いて、私がそこに行って命を危険にさらした事を怒りました。その後も話しました。父は娘として私を助けてくれましたし、私たちは良い関係でした。でも、父は私のした事には断固として反対で、私の軍務拒否には一層反対でした。」

「最初のうちは、父は思春期にある一時的なものであると考えてましたが、後にそれが私の心の底から生じるものであると理解しました。父と私はよく似ています。私も、信じるもののために最後まで闘います。しかし私たちは思想的に全く反対です。」

父親についてもっと何か聞こうとするが、オメアは微笑むだけで答えない。思いがけない沈黙。彼女の美しい微笑みが全てを繕っている。

9月23日に陸軍入隊を拒否してから、彼女は裁かれ刑務所で21日間収監となる。来週には再度彼女は裁かれる。その後は、軍が飽きるか彼女が飽きるまで繰り返される。

2週間後には、私の息子ノームが陸軍に入隊するので、オメア・ゴールドマンを見た同じ基地に、私は息子と共に行く予定だ。オメアと違い、ノームは兵役の務めを果たすつもりでいる。息子のこともオメアのことも、私は納得している。
(以上)

訳注:オメア・ゴールドマンさんに関する最新情報はイスラエルの反戦市民団体New Profileを参照。彼女は2度目の収監を終えて10月24日に一時釈放される予定とのこと。)

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