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2008/11/04

2008年合衆国大統領選挙:変革の行方は?

投票日が迫るアメリカ大統領選挙。大手メディア、政治評論家、世論調査のほとんどが、民主党バラク・オバマ新大統領の誕生を予測しており、さらには上院、下院共に民主党が多数党となる可能性が高まっている。

以下はニューヨークタイムズ紙の大統領選挙予想マップ。代議員数はオバマ291人、マケイン163人(84人分が5未定)。source
The Electoral Map: Key States


一方ワシントンポスト紙は、オバマ319人、マケイン219人。
<p><strong>><a href='http://projects.washingtonpost.com/2008/pick-your-president/'>2008 Election Contest: Pick Your President</a></strong> - Predict the winner of the 2008 presidential election.</p>


政治評論家たちの直前予想もほとんどがオバマの圧勝、上院・下院共に民主党の勝利となっている。source『ブッシュの頭脳』で選挙の天才カール・ローブですら、「世論調査なんか信じるな」と言いつつも、オバマ311人、マケイン160人、未定67人でオバマ勝利を予測している

ABC放送の伝えたところでは、ヴァージニア州、インディアナ州、オハイオ州、ノース・カロライナ州、ペンシルバニア州、フロリダ州の6州で勝負の行方は決まるという。これら6州のうち5州を獲得しないとマケインは勝てない-マケイン陣営の選挙責任者リック・デイビスはそう言っている。

これまでの1年を振り返ってみれば、今回の選挙はサプライズの連続だった。民主党の稼ぎ頭ヒラリー・クリントンが予備選でまさかの敗北。そのヒラリーを応援しつつ遊説途中でハリウッド女優と浮気してる(心臓が悪いのに頑張り屋の)ビル・クリントン元大統領。ガンと闘う妻を支えるフリをしながら、その裏で選挙キャンペーンの真っ最中に女性スタッフと浮気して、しかもそれをタブロイド誌に暴露されたジョン・エドワーズ候補。ハリウッド俳優クリストファー・ウォーケン大統領キャンペーンサイトで立候補!というデマがあったり、共和党のマイク・ハッカビー候補(職業:牧師)が説教みたいな演説しながら得意のベースギターで全米行脚したり、オバマ・ガール公式サイトまである!ジュリアーニ・ガールマケイン・ガールパリス・ヒルトン大統領候補、そして自称『外交・エネルギー政策のプロ』サラ・ペイリン・・・・。

しかし今一番驚かされるのは、10月の時点で総額621億円以上もの選挙資金を集めた民主党バラク・オバマに対して、同時期までに総額96億円ほどしか集まらなかった共和党ジョン・マケインが、投票日直前の現在まで選挙活動が続いたという事実だ。2008年前半まで概ね好意的だったメディアにも背を向けられ、ありがたくない時期にブッシュ、チェイニー両者から支持され、おまけに本人の希望だったジョー・リーバマン議員ではなく、宗教右派以外に基盤のないアラスカ州知事まで副大統領として押しつけられ、経済問題に疎くて政策がコロコロ変わるジョン・マケインが、それでもここまで健闘しているのだから、たいしたものである。

しぶといのはマケインだけではない。2000年以来恒例となった共和党の選挙不正活動も、いよいよ今年は全米各地で全力展開中らしい。激戦地バージニア州では、「共和党支持者は4日、民主党支持者は11月5日に投票してください」というニセ選挙管理委員会のチラシが出回っている(実際の投票日は4日)。カリフォルニア州では、地元共和党委員会に雇われた選挙運動員が選挙人登録不正容疑で検挙されている。フロリダ州マイアミでは、民主党支持者の記入済み不在者投票が大量に持ち去られ、紛失した

2004年に問題を引き起こしたタッチスクリーン式電子投票機も、仕込みは上々の様子だ。ウェストバージニア、コロラド、テネシー、サウスカロライナ、テキサス等ですでに民主党票が共和党票に自動変換される不具合(基本仕様?)が発覚している。不具合が発覚した投票機は交換されるだろうが、間に合わない地区もあることだろう。

有権者にとってさらに困るのは行列だ。期日前投票ですら、投票所前には数時間から十数時間も行列に並ばなくては投票できない。行列で遅れた後には集計作業が待っている。歴史的な高投票率が予測される今回の選挙で、州ごとに違う集計手順の中、大統領に誰が選ばれたのかを決定するプロセスは、決してスムーズにはいかないだろう。あらゆる手法で公民権剥奪が横行するアメリカ大統領選挙では、貧困層の票や黒人有権者の票があらかじめカウントされずに毎回大量廃棄されているが、今回は廃棄する場所にも困るはずだ。激戦州で早々に票集計結果が発表されたら要警戒である。どうせ不在者投票分や郵送票、さらにはイラク他世界に駐留する軍人票のカウントを忘れたり意図的に怠ったりしているに決まっている。

そんなわけで今回も、合衆国大統領選挙は揉めに揉めて、大混乱の中で票をカウントしている最中に、大手メディアがテキトーに勝者を選択するだろう。そしてホワイトハウス入りするのは、常に一番稼いだ人物なのだ。デモクラシー・ナウ!のエイミー・グッドマンは10月22日付けコラム:『巨額献金者が信じる変革(Change Big Donors Can Believe In)』で以下のように書いている:

・・・(略)今年9月、バラク・オバマは、周囲の予測を上回る史上最高額、1億5,000万ドルの献金を集めたと発表した。オバマは公的選挙資金制度に参加していないので、集まった選挙資金を自由に支出することができる。ジョン・マケインは公的選挙資金制度を受け入れたので、選挙資金の支出には8,410万ドルの上限が課せられている。オバマ陣営から4倍分の選挙広告を浴びせられ、マケイン陣営は疲弊している。

オバマ陣営は選挙区を選挙広告で溢れさせている。ディッシュ・ネットワークではオバマ・チャンネルを開設した。「Guitar Hero」などのビデオゲームにも、オバマ広告は挿入されている。投票日の6日前から、NBC、CBS、Fox各放送局のゴールデン枠30分がオバマ広告用に確保されている。フォックス放送はオバマ陣営の広告需要に適合させるために、ワールドシリーズの放送開始時間をずらすことにしたという。

オバマ陣営は史上最多の310万人から前例がないほど多くの小口献金を集めたと信じられている。オバマ陣営の選挙責任者デビッド・プルーフェの話では、一人あたりの平均献金額は100ドル以下とのこと。しかし、ワシントンポスト紙が連邦選挙管理委員会のデータを調査したところ、200ドル以下の「少額献金者」は献金者全体の4分の1に過ぎないことが判明している。これは、ジョージ・ブッシュの2004年度再選キャンペーンよりも少ない比率だ。

選挙資金を追跡している市民団体Center for Responsive Politicsによれば、大統領選挙で集められる資金額は急上昇している。公的選挙資金制度が導入された1976年、選挙資金総額は1億7,100万ドルであった(インフレ調整後金額は5億7,000万ドル)。現在の選挙では、すでに16億ドルに届いており、最終的には24億ドルになるだろうと同団体は予測している。候補者への直接献金額は2,300ドルに制限させているはずだが(予備選挙に2,300ドル、本選挙に2,300ドル)、大きな抜け穴は存在する。最も注目すべきは「共同資金管理委員会」と呼ばれるもので、大統領候補者のパートナーが所属政党と共に資金管理団体を組織できるものだ。マケインと共和党全国委員会では、『McCain Victory 2008』と呼ばれる団体で、1件あたり7万ドルまで献金を受け付け、集めたお金は大統領選挙及び各地区選挙区の共和党支部へ振り分けられている。オバマと民主党陣営は『Obama Victory Fund』を設立し、1件あたり2万8,500ドルまで献金を受け付けている。ワシントンポスト紙が報道するように、民主党側はその制限額が少なすぎると判断し、別の団体『Committee for Change』を設立、1件あたり献金額を6万5,500ドルまでに設定している。これはなんともすごい改革だ。

------(中略)--------

公的選挙資金制度は死滅するのだろうか?1年前、オバマ上院議員は言った。「私は、金まみれの特定利益団体の影響力を低減するために、無料テレビ広告と無料ラジオ放送枠を併合した公的選挙資金制度を昔から支持してきました」。勝者が誰であれ、次期大統領は、返礼すべき大勢の大口献金者リストを抱えてホワイトハウスに入ることになるだろう。
(以上)


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