カテゴリー

アクセスの多い記事

« 欺瞞の宣誓:「変革」か、あるいは「終わりの始まり」か | トップページ | オバマ大統領、パキスタン北部集落へのミサイル攻撃を指示、子供3人が死亡 »

2009/01/24

「我々は拷問をしない」合衆国大統領がお約束

1月22日、オバマ米大統領は、ブッシュ前大統領の推進した悪名高きテロ戦争の遺産の象徴ともいえるグアンタナモ刑務所の1年以内閉鎖と、CIAが全世界に張り巡らせた強制収容所ネットワークの閉鎖を命ずる大統領令に署名した。

カメラの前で、オバマは宣言した。「我々は拷問をしない」。ホワイトハウス入りして2日で、新大統領は重要な公約のひとつを果たす姿勢を見せ、世界中に拡大したオバマ支持者を大喜びさせた-ああ、やっぱりアメリカ合衆国は世界のモラル・リーダーなんだ!人権が最も尊重される自由の国なんだ!これこそ国民が信ずる変革だ!USA!USA!

・・・いや、ちょっと待てよ。・・・・

我々は拷問をしない。

-ジョージ・W・ブッシュ大統領、2005年11月7日の記者会見で発言

拷問はしないが、情報を得るために尋問はする。

-ジョージ・W・ブッシュ大統領、2006年9月6日付CBS放送の独占インタビューで発言

オバマ、声が変わっただけで、言ってることは前任者と似すぎていないか?

拷問はしない?それじゃジャック・バウワーはどうすればいい?

オバマ大統領のグアンタナモ刑務所閉鎖命令を受けて、すでに米軍では収監されていたおよそ250人ほどの囚人を、国内3カ所の米軍基地内(サウス・カロライナ州、カンザス州、カリフォルニア州)にある収容施設に移送する準備を進めていると報道されている。そして、オバマが任命したホワイトハウス法律顧問グレゴリー・クレイグは、CIAに課せられた拷問禁止命令は「得策でない」と諜報組織内で懸念の声が上がっているので、ホワイトハウス側も軍規に沿った尋問方法以外の手法を許可する余地があると示唆している

これでは結局のところ、ブッシュ政権内で拷問が尋問手段として密かに認められていった過程が、オバマ政権においても踏襲される可能性が残る。議論の展開はこうだ。「我々は拷問はしない!」「軍のルールに従って尋問する!」「ルール内ではテロ防止に間に合わない!」「そもそも拷問とは何だ?」「水責めは拷問ではない!」「諜報機関の一部で拷問が行われていた!」「拷問したのは一部のアウトローの仕業だ!」「ホワイトハウスは関与していない!」「我々は拷問はしない!」・・・


刑務所大陸アメリカ

一方で、共和党支持者たちの間では、拷問と強制収容を継続せよとの意見が根強い。理由?それは、マイケル・ムーアが映画『SICKO』で強調したように、グアンタナモ刑務所では、テロリストでも最先端の医療サービスが無料で受けられるし、空調も完璧、しかも家賃ナシで運動もできる、言ってみれば普通のアメリカ人以上の生活が保障されているからだ!・・・と彼らは主張する。下院少数党院内総務ジョン・ボーナー議員は、グアンタナモ刑務所閉鎖命令に反対して言う

「グアンタナモ刑務所以上にテロリストたちに良い待遇をする場所は世界の何処にもないと思う。我が国は数百万ドルをかけて、多くのアメリカ人が手に入れられないような快適な設備を建造してきたんだからね。」

Californiaprison_2

カリフォルニア州刑務所の状況。混雑しすぎ。(source

ボーナー議員がグアンタナモ刑務所を楽園のように評するのにはそれなりの理由がある。米国民の人口は世界人口のおよそ5%を占めるが、アメリカの刑務所に収監されている囚人人数は世界の囚人人口の25%近くを占めているという。言わば“刑務所大陸”とも言うべきアメリカでは、囚人が増加し過ぎて刑務所が不足し、地方財政を圧迫している。(おかげで囚人管理を請け負う民間刑務所ビジネスは不景気知らずだそういう事情で、カリフォルニア州の刑務所の例にあるように、アメリカの刑務所は混雑しており環境もサービスも悪いのだ。グアンタナモ刑務所に収監されているアル・カイダのメンバーがこんな場所に移送されたら、祈りに確保できる場所すらない。大統領が閉鎖すると言ったところで、移送先の選定を巡って相当揉める可能性がある。


真の犯罪者はお咎めナシ?

一方、CIA秘密収容所の件はどうか。世界中に張り巡らせた拉致・誘拐・強制収容ネットワークを突然閉鎖するって宣言されても、施設の場所も囚人名も公表してないのだから、確認のしようがない。しかもこれらの収容所で拷問された人たちには人違いや無実だった被害者が大勢いるのだ。施設を閉鎖し、彼らを釈放すべきなのは当然だが、それなら誘拐・拉致を実行した組織には説明責任があるし、命令した人物は罰せられるべきである。

命令した人物?拷問にゴーサインを出したのは、つい最近までホワイトハウスを不法占拠していた連中だ。昨年末のテレビインタビューでディック・チェイニー副大統領は、自分が水責めを了承し拷問承認を推し進めた事実をあっさり認めている。

そんなわけで、オバマ大統領に告ぐ:テレビ視聴者向けの陳腐なパフォーマンスは要らぬ。拷問はしない、アメリカの威信を取り戻すというのなら、その原因を作った犯人たちをさっさと逮捕しろ。グアンタナモ刑務所は閉鎖しなくてよろしい。囚人たちは直ちに通常裁判にかけて、無実だった者はそのまま刑務所の看守として雇用し、新たに二人の囚人を迎える準備をせよ。出来るだけ早くジョージ・W・ブッシュとディック・チェイニーにオレンジのジャンプスーツを着せて、二人がグアンタナモ刑務所に収監される様子をCNNとアル・ジャッジーラ、それからイラン国営放送を使って世界に配信してくれ。それこそ世界がオバマ政権に求める「変革」だろう。

« 欺瞞の宣誓:「変革」か、あるいは「終わりの始まり」か | トップページ | オバマ大統領、パキスタン北部集落へのミサイル攻撃を指示、子供3人が死亡 »

テロの脅威、テロ対策の脅威」カテゴリの記事

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/1730/43830855

この記事へのトラックバック一覧です: 「我々は拷問をしない」合衆国大統領がお約束:

» オバマYes, we can・・・・ほらね [Die Sendung mit usopchen, und dem Elefanten]
暗いニュースリンク「我々は拷問をしない」合衆国大統領がお約束 Times Online President Obama ’orders Pakistan drone attacks’ イルコモンズのふた。 ▼オバマの外交政策第一弾 やっぱりオバマは政治家でしょ。キング牧師ばりの演説した直後にこれじゃね。 関連エント... [続きを読む]

» [パレスチナ][毎日新聞]仕組まれた無知の連鎖――後退する中東報道(1) [media debugger]
 毎日新聞の論説委員のバグ取り。パレスチナ報道に関しては、読売・朝日・毎日・産経・東京の五紙の中でいちばんまともなのは、毎日か産経だよなーと思っていたのも束の間。国連UNRWA本部攻撃をスルーしたあたりから、毎日は彗星のごとく転落し、朝日が不気味な浮上を開始... [続きを読む]

« 欺瞞の宣誓:「変革」か、あるいは「終わりの始まり」か | トップページ | オバマ大統領、パキスタン北部集落へのミサイル攻撃を指示、子供3人が死亡 »

2016年5月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31